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一章 異世界に飛ばされた女子高生

ユーリの後悔

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 ーユーリー

「はあ……」

 サナとの買い物を終えた後、僕は深いため息をつきながら夕飯の支度をしていた……。

 ため息を理由はもちろん今日の事だ……。

 僕は姉さんに昔からベッタリだったせいか、同年代の女の子と二人っきりで歩いたりすることに全くと言っていいほど慣れていない……。

 もちろん、護衛の仕事とかで若い女性と近くの町や村まで行ったりする事もあったけど、その時も姉さんがいたし、仕事だからという理由で特に話したりすることもなかった。

 でも、今回はプライベートで女の子サナと街を歩く事となった。

 サナがどこに行きたいのか、どこに連れて行ってほしいのか僕には全くわからなかった……。

 ただ漠然と街を歩き、時折サナがはぐれていないかを確かめながら何の目的もなく、僕から話しかけることもなくただ歩いていた……。

 たぶんサナからしたらとても面白くなかったと思う……。

 普段街を歩いていると、男女が楽しそうに話をしながら歩いている様子を見かける。

 僕もいつかは女の子と楽しく話しながら街を歩けらばと思っていたけど、実際その時になったら何も話せなかった……。

 僕の方からどこか行きたい所があるかと聞けば、たぶんサナは服を買いに行きたいと言っていたと思う。

 実際服を買っていたわけだし……。

 その流れで普段どんな服が好きなのかとか、話を広げようと思えば広げれたかもしれない……。

 でも、僕はその一歩を踏み出すことができなかった。

「はあ……、どうして僕ってこうなんだろう……。姉さんがいなければ女の子と話一つ出来ないじゃないか……」

 時間が経てば経つほど今日の事を後悔する……。

 姉さんが僕のことを奥手とかヘタレとか言ってたけど、まさにその通りじゃないか……。

 現にサナはそんな僕に怒ってしまったのか部屋にこもったきり出てこない……。

 これじゃあパーティの連携強化どころじゃないよ……!

 しかも、今日はよりによって姉さんが用事があるのか未だに帰ってこないし……。

 多分どこかで遊んでいるんだろうけど、この気まずい空気の中僕とサナを家で二人っきりにしなくてもいいじゃないか……っ!!

「はあ……、とりあえずお風呂にでも入るか……」

 ある程度下ごしらえを済ませた僕は気持ちをスッキリさせるためにお風呂へと向かうことにした……んだけど……。

「え……?」

 脱衣場のドアを開けると、そこには一糸まとわぬサナの姿があった。

 お風呂から出たのか、彼女の髪や身体は濡れていた。

(あ、部屋から出てお風呂に入っていたんだ。)

 どうでもいいことが頭の中をよぎる。

 突然の事でサナも動揺しているのか髪をタオルで拭く体制のまま固まってしまっていた。

 僕はおもむろに視線を下げていくと、着痩せするのか、彼女の大きな胸が見える。

 さらに視線を下げる、その下は……。

「き……、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー……っ!!!」

「ふご……っ!?」

 サナはバスタオルで身体を隠すと同時に悲鳴を上げながら何かが僕の顔へと飛んできた!

 なんだろうと思い、それを手にするとなんとサナの下着ブラジャーだった……っ!

 よく見るとD80と書いてある……。

 お、大きい……!

「ちょ……!いつまでここにいるのよっ!て言うか下着返して早く出ていってよっ!!」

「え……っ!?あ!ごめ……!」

 僕は慌ててサナに下着を返すとか直ぐに脱衣場を出ていった!

「はあ~……、やってしまった……。」

 これは嫌われた……。
 ひと声かけてから開ければよかったと今更ながら後悔する。

 そしてこの後、不機嫌マックスなサナと二人きりで食事をする羽目となった。

 気まず過ぎてなんの味もしなかったのは言うまでもない……。


 ◆◆◆


 ーサナー

 食事を済ませた後、ユーリは見るからに項垂れながらリビングを後にしていた。

 落ち込んでいる理由はたぶん今日のデートの事、そして脱衣所のことだということは容易に想像はつく。

 確かに今日はデートと言うには程遠いし、裸を見られたのもショックな出来事だ。

 でも、ユーリは今日見た限りでは女の子とのデートとか初めてっぽいし、脱衣所の事だってわざと入ってきた訳じゃないということくらいは分かる。

 ホント、女の子慣れしてないのかもしれないけど、変に落ち込みすぎって言うか、もしかしたら変にクヨクヨして後に尾を引くタイプなのかもしれない。

(それなら、少し元気づけてあげるとしようかな……)

 わたしはヤレヤレとため息をつきながらもユーリの後をついて行くことにした。


「はあ……、やっちゃった……。絶対にサナに嫌われちゃったよ……。」

 ユーリの後をついて行くと、彼の部屋なのかベッドに座り、頭の犬の耳項垂れ、見るからに落ち込んでいるユーリの姿があった。

「別に嫌ってなんかいないよ……」

「……っ!?」

 ユーリへと声を掛けると、驚いた表情でわたしが立っているの部屋の入り口へと視線を向けてきた。

「さ、サナ……!?どうしてここに……?」

「どうしてって、そりゃ今にも自殺しそうな感じで落ち込んでいたら誰だって気になるよ……」

「ぼ、僕そんな顔してた……?」

「してた。それはもう食事している時なんてもうこの世の終わりみたいな顔してたよ。……隣座ってもいい?」

「う、うん……」

 ユーリの了承を経たわたしは彼のすぐ横へと座ることにした。

 すると、先ほどまで絶望のどん底に落ちたような顔をしていたユーリの顔がすこし照れたように顔を赤くしているのが見て取れた。

「あ~あ……、今日は散々だったわ。デートはつまらないし、裸は見られるし……」

「ご……、ゴメン……」

「別に怒っているわけじゃないよ。ユーリ女の子とデートするの初めてだったんでしょ?わたしも男の子とのデートなんて初めてだったからおあいこだよ。それに、いきなり上手くできる人なんていないよ。むしろに変に手際が良すぎたらこの人女の子と遊び慣れてるのかなって逆に引いちゃうよ」

「そ……、そうなの……?」

「そうだよ。でも、ちょっとくらい声は掛けてほしかったな。あと、脱衣所でも一声かけて欲しかったな」

「それは……、本当にゴメン……」

「いいよもう、過ぎたことだし。さて、明日こそわたし達でエミリーをギャフンって言わせちゃお!」

「うん……!そうだね……っ!あ、でもその前に食器とか洗わないと……」

「それならわたしも手伝う。二人でやったほうが早く済むよ。それに、パーティの連携の強化にもなるかもよ?」

「うん、そうだね!」

 わたし達はこの後仲良く食器を片付けることにしたのだった。


~サイドストーリー~

 ーエミリーー

「たら~いま~っと」

 酒場でルースと言う昔馴染みのエルフの男と酒を飲み、ほろ酔い状態で帰宅するとなにやらキッチンから楽しげな声が聞こえてくるのに気がついた。

 あたしはなんだろうと思い、そっと覗いてみるとそこには楽しげに話をしながら鍋や食器を片付けているユーリとサナの姿があった。

「へぇ~……、あの子あたし以外の女とはろくに話も出来なかったクセにサナと楽しそうに話なんかしちゃって……」

 あたしは一人ニヤニヤとしながらしばらくの間二人の様子を見守ると、その後あたしは二人の邪魔をする事なく自分の部屋へと戻ったのだった。
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