チートなし!JK魔法使いの異世界冒険記〜姉を訪ねて三千里っ!?〜

ノン・タロー

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一章 異世界に飛ばされた女子高生

エミリーとの模擬戦

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「サナ、そろそろ次は実戦訓練に移るわよ!」

 エミリーの放った矢をだいぶ撃ち落とせるようになった頃、彼女は木で出来た剣をわたしへと突き付けてきた!

「実戦……?」

「そう、的当てだけじゃダメよ。実戦で得られることは多くあるわ。後衛の魔法使いと言えど、狙われない訳じゃないわ。むしろ真っ先に狙われると言っても過言じゃない。その時に戦い方が分からないとすぐに死ぬわよっ!」

 死という言葉を聞き、ブルラビットに襲われたときのことを思い出す……。

 確かにあの時のように何もできませんじゃダメだ……!

 わたしも戦えるようにならないと……っ!

「わかった……!どうすればいいの……っ!?」

「簡単よ、サナはあたしの攻撃を防御魔法で防ぎつつ、攻撃魔法や補助魔法を駆使してあたしを倒せばサナの勝ち。もっとも魔法のスペルを覚えていればの話だけど……!」

「大丈夫、きちんと勉強してるから……っ!」

 魔法のスペルは特訓が終わってから毎日のように本を読んで覚えるようにしている。

 と言っても使えるのはまだ初級の攻撃魔法や補助魔法、あとは防御魔法と初級の回復くらいだけど……。

 もっとも、厳しい特訓の後だから眠たい目を擦りながらではあるけど……。

「結構。ならあたしがこの木剣で攻撃するからサナは防いでみなさい。本物の剣じゃないから死ぬことはないけど、当たると結構痛いわよ!」

「わ、わかった……!」

 わたしが頷くとエミリーは木剣をわたし目掛けて振り下ろしてきた!

  エミリーの攻撃をわたしはプロテクションで防御する。

 うん、何とか防げた……!

  でもエミリーの剣筋はすごく速い……っ!

「そうそう、そんな感じよ!」

 そう言うと今度は連続で攻撃してくる……! わたしは必死に魔法障壁を使いガードするけど、段々追いつかなくなってくる……。

 もうダメかもと思ったその時だった。

「あう……っ!」

 プロテクションの展開が間に合わず、エミリーの木剣がわたしのお腹へと食い込む……っ!

 その痛みはかなりのもので、わたしは思わず顔をしかめた。

「その体制じゃ隙だらけよ!トドメを刺してくれと言っているようなものよっ!!」

「きゃあ……っ!?」

 今度はエミリーの突きがわたしの胸へと突き刺さり、わたしは地面へと倒れた!

「サナ、これが実戦だったらあなたはもう二回死んでるわ。それに防ぐだけでは相手は倒せないし、決して相手は見逃してはくれないのよっ!」

 そう言い、エミリーの木剣が地面に倒れているわたしの首のすぐ近くへと突き刺さる……。

 その状況に思わず恐怖し、身体が強張り段々と身体が動かなくなっていく。

「あ……、ああぁ……」

 立ち上がって戦わないと……!

 そう思うけど、身体が全く動いてくれない。

「サナ、もう一ついい事を教えてあげましょうか?」

「な、何を……?」

「もし、相手が男だったらこの時点であなたは好き放題に犯されるのよ!こんな風にねっ!」

 エミリーはそう言い、わたしの上に馬乗りになると力任せに、そして乱暴にわたしの胸へと手を伸ばす!

「イヤ!いやぁぁーーー……っ!やめて!痛いっ!わたしの胸を乱暴に触らないでぇぇーーー……っ!!」

「これが嫌なら戦いなさいっ!立ち上がって相手を倒すのよっ!!」

 わたしは全力でエミリーを突き飛ばすと再び立ち上がり杖を構える……!

「はあ……!はあ……っ!マジックバレットっ!!」

 そして、エミリーへとマジックバレットを放つ……が、それはいとも容易く避けられてしまった!

「甘いっ!!」

 マジックバレットを避けたエミリーそのまま木剣を構えわたしのお腹へと木剣を打ちつける!

「かは……っ!?」

「魔法は撃てば必ず当たるというわけじゃないわ!当たったことを確認するよりも当たるまで魔法を撃ち続けないとこうなるのよっ!敵はあなたが思っているほど甘くはないわっ!」

 お腹を強打され、地面にうずくまるわたしにエミリーの声が突き刺さる。

「さあ!立ちなさいサナっ!まだ終わりじゃないわよっ!!」

「あう……!ああ……っ!ひぐっ!」

 エミリーの振るう木剣がわたしの背中を撃ちける……!

 その度に激痛がわたしを襲い、いつしか目からは涙がこぼれ始めていた。

「姉さんやめて……!これ以上したらサナが死んじゃうよ……っ!!」

「どきなさいユーリ!実戦は甘くはないのよっ!それはあなたも分かっているでしょっ!?」

「そ、それは……」

 わたしを庇うようにエミリーとの間に立ちはだかったユーリだったが、エミリーの言葉にユーリが口籠る。

「さあサナ!もう一度立ち上がりなさいっ!」

「あぐ……っ!」

 肩の辺りを木剣で強く叩かれ、激痛が走る……。

 もう無理だよぉ……! 痛いのも苦しいのもイヤだよぉ……!

 でも……、このままお姉ちゃんにはもう会えない……。

 苦しいのも痛いのもイヤだけど、お姉ちゃんにもう一生会えないと言うのはもっとイヤだ……!

 わたしはお姉ちゃんを探しに行くんだ……っ!

  ならどうする……? どうすればいい……? 

 そうだ……!

 わたしはふと頭に回復魔法の事を思い出した!

「ヒール……っ!」

 わたしは痛みに耐えつつ立ち上がりながら、回復魔法を自分にかける!

  するとすぐに身体の痛みが引いていくのを感じた。

 よし、これならまだいける!

 わたしはゆっくりとだけど立ち上がると、杖を構えた。 

「サナ、よく立ち上がったわね!でもね……っ!」

 そう言うとエミリーが木剣を上段に構える……!

「これで終わりよっ!」

 エミリーが木剣を振りかぶり、わたしに斬りかかろうとする! 

 そしてその時に見えた一瞬の隙を見逃さなかった!

「アイスニードルっ!!」

 わたしの放った初級の氷結魔法、アイスニードルはまっすぐエミリーへと飛んで行き、彼女の肩を掠める!

 やった……っ!?

「つっ……!」

 しかし、肩を掠めたとは言え、攻撃を受けたエミリーは一瞬怯むもすぐに体制を整え直すと、そのままわたしの目の前まで距離を詰めてきた!

「いい判断ね……サナ。でも、詰めが甘いわ……っ!」

 エミリーはそう言うと木剣を構える……!

  わたしは咄嗟にプロテクションを展開しようとするも、間に合わずにそのままエミリーがそのままわたしの懐へと潜り込んできた!

「あう……っ!?」

 その瞬間、木剣の柄がわたしのみぞおちへと食い込み、その衝撃でわたしは意識を失ったのだった……。
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