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一章 異世界に飛ばされた女子高生
最初の実戦
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茂みから飛び出してきたのはホーンラビットでなく、体長が1.6メートルほどもありそうな巨大なウサギだった!
その巨大なウサギは額に長く太く、そして鋭い角を生やしている。
そのウサギは、ウサギとも思えない大きな鳴き声のような雄叫びのような声を上げてその鋭い角をわたしの方へと向けるとものすごい勢いで突進して来た!
「あ……、ああ……」
逃げないと……っ!
頭ではそう思うけど逃げようにも腰が抜けてしまい、わたしは座り込んだまま立ち上がることすら出来ない……っ!
そうしている間にも巨大なウサギの鋭い角が直ぐ目の前まで迫ってくる……っ!
も……、もうダメ……っ!
わたしは思わず目をぎゅっと閉じるっ!
「サナ!危ないっ!!」
もうダメだっ!
そう思った瞬間わたしの身体は誰かに抱きかかえられていた。
思わず目を開けてみると、そこにはわたしを抱きかかえ、巨大なウサギの突進を避けたユーリの姿があった!
「ゆ……、ユーリ……?」
「コイツは今のサナでは危険だっ!僕に任せて……っ!!」
ユーリはわたしをそっと地面へと降ろすと背負っていた槍を構え巨大なウサギへと向かっていくっ!
一方の巨大なウサギはユーリへと攻撃対象を変えたのか、今にも突進をしようと身構えていた。
「はあっ!!」
ユーリは素早い槍さばきで巨大なウサギの角を斬り落とすと、このまま眉間へと槍を突き立てたっ!
そして、巨大なウサギは断末魔のような声をあげそのまま地面へと倒れるとそのまま動かなくなった……。
「た……、倒したの……?」
「うん、倒したよ」
恐る恐る尋ねたわたしに対し、ユーリは何事もなかったかなように答えた。
「ユーリ、この大きなウサギは何……?これもホーンラビットなの……?」
「これはブルラビットだよ。好戦的な性格だけどそこまで手強い相手じゃない」
この巨大なウサギがブルラビット……?
ユーリは手強い相手じゃないと簡単に言っていたけど、わたしはこのブルラビットですら腰を抜かしてただ呆然とする事しか出来なかった……。
これがもしこれ以上の獰猛な動物だったら……?
今のわたしでは戦えない……!
エミリーが言っていた通り、わたしは足手まといにしかならない……。
仮にこのままお姉ちゃんを探す旅にでたとしてもユーリとエミリーを危険に晒すことにしかならない。
自分一人で旅にでても恐ろしい猛獣が出てきたらきっと身体が強張って逃げることすら出来なくなるかもしれない……。
旅というものを甘く見ていた……。
わたしは酷くその事実を痛感した。
そして、今更ながら恐怖に打ち震え、身体を強張らせていた。
「ユーリ……、エミリーの言うようにわたしじゃ無理だ……。お姉ちゃんを探そうにも旅にすら出れないよ……」
「サナ、怖かったんだね……。僕も最初はそうだった。最初にブルラビットを見たときなんて足が竦んで身動き一つ出来なかったよ。今回の事でサナは恐怖を知った、ならそれを克服できればサナはきっとやれるよ……!」
「いや……!無理……っ!わたしには無理っ!ユーリ、わたし帰りたい……。ここにこれ以上居たくない……っ!!」
怖い……!
ここにいたらまた別のブルラビットが襲ってくるかもしれない……!
もしかしたらそれ以上の猛獣が出てくるかもしれない……っ!
死というものを身近に感じる……。
わたしはしゃがみ込んだまま恐怖で身体を震わせていた。
「……分かった、なら僕の家に帰ろうか」
ユーリの言葉にわたしは頷くと、恐怖で震える手を引かれながらこの森をあとにしたのだった。
その巨大なウサギは額に長く太く、そして鋭い角を生やしている。
そのウサギは、ウサギとも思えない大きな鳴き声のような雄叫びのような声を上げてその鋭い角をわたしの方へと向けるとものすごい勢いで突進して来た!
「あ……、ああ……」
逃げないと……っ!
頭ではそう思うけど逃げようにも腰が抜けてしまい、わたしは座り込んだまま立ち上がることすら出来ない……っ!
そうしている間にも巨大なウサギの鋭い角が直ぐ目の前まで迫ってくる……っ!
も……、もうダメ……っ!
わたしは思わず目をぎゅっと閉じるっ!
「サナ!危ないっ!!」
もうダメだっ!
そう思った瞬間わたしの身体は誰かに抱きかかえられていた。
思わず目を開けてみると、そこにはわたしを抱きかかえ、巨大なウサギの突進を避けたユーリの姿があった!
「ゆ……、ユーリ……?」
「コイツは今のサナでは危険だっ!僕に任せて……っ!!」
ユーリはわたしをそっと地面へと降ろすと背負っていた槍を構え巨大なウサギへと向かっていくっ!
一方の巨大なウサギはユーリへと攻撃対象を変えたのか、今にも突進をしようと身構えていた。
「はあっ!!」
ユーリは素早い槍さばきで巨大なウサギの角を斬り落とすと、このまま眉間へと槍を突き立てたっ!
そして、巨大なウサギは断末魔のような声をあげそのまま地面へと倒れるとそのまま動かなくなった……。
「た……、倒したの……?」
「うん、倒したよ」
恐る恐る尋ねたわたしに対し、ユーリは何事もなかったかなように答えた。
「ユーリ、この大きなウサギは何……?これもホーンラビットなの……?」
「これはブルラビットだよ。好戦的な性格だけどそこまで手強い相手じゃない」
この巨大なウサギがブルラビット……?
ユーリは手強い相手じゃないと簡単に言っていたけど、わたしはこのブルラビットですら腰を抜かしてただ呆然とする事しか出来なかった……。
これがもしこれ以上の獰猛な動物だったら……?
今のわたしでは戦えない……!
エミリーが言っていた通り、わたしは足手まといにしかならない……。
仮にこのままお姉ちゃんを探す旅にでたとしてもユーリとエミリーを危険に晒すことにしかならない。
自分一人で旅にでても恐ろしい猛獣が出てきたらきっと身体が強張って逃げることすら出来なくなるかもしれない……。
旅というものを甘く見ていた……。
わたしは酷くその事実を痛感した。
そして、今更ながら恐怖に打ち震え、身体を強張らせていた。
「ユーリ……、エミリーの言うようにわたしじゃ無理だ……。お姉ちゃんを探そうにも旅にすら出れないよ……」
「サナ、怖かったんだね……。僕も最初はそうだった。最初にブルラビットを見たときなんて足が竦んで身動き一つ出来なかったよ。今回の事でサナは恐怖を知った、ならそれを克服できればサナはきっとやれるよ……!」
「いや……!無理……っ!わたしには無理っ!ユーリ、わたし帰りたい……。ここにこれ以上居たくない……っ!!」
怖い……!
ここにいたらまた別のブルラビットが襲ってくるかもしれない……!
もしかしたらそれ以上の猛獣が出てくるかもしれない……っ!
死というものを身近に感じる……。
わたしはしゃがみ込んだまま恐怖で身体を震わせていた。
「……分かった、なら僕の家に帰ろうか」
ユーリの言葉にわたしは頷くと、恐怖で震える手を引かれながらこの森をあとにしたのだった。
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