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月曜日

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 秋は食欲の秋である。
 天高く馬肥ゆる秋とはよく言ったものだ。
 料理が美味しいと、食事が楽しい。食事が楽しいとつい食べすぎてしまう。
 最近太った気がするのだ。
 白米を咀嚼しながら、自身の腹回りを盗み見る。高松が気づいているのかは分からない。
 歳をとると代謝が落ちるから、若い頃よりも太りやすくなるらしい。おじさんと呼ばれて、腹を立てるような年齢ではないから仕方がない。最近は体力の衰えを感じるし(元々あまりないけれど)、髪に白髪も混じってきたし。
 料理が美味しいからつい食べすぎてしまう。それもこれも高松のせいだ。恋人の料理が上手いから、俺だって食べすぎてしまうのだ。
「うーん……くるしい」
「無理しないで。今日は作りすぎちゃいましたね」
 夕飯の献立は唐揚げ、トマトサラダに卵焼き。味噌汁の具はネギとえのき。頑張って用意してくれるのが嬉しくて、ついいっぱい食べてしまった。
「卵焼きは明日の朝食べる。とりあえずゆっくりしてるわ……楽になったら皿も洗うから」
 空いた皿をシンクに置いた。とりあえず水につけて置く。
 本当は食後にコーヒーも飲みたいけれど、胃痛の元になりそうで気が引ける。ただでさえ腹がパンパンなのだ。
「あー……なんかやってねえかな」
 テレビをつけて、適当にチャンネルを変える。面白い番組が見当たらなくて、結局ニュース番組に落ち着いた。
 ソファに深く腰掛けて、食後の一服。飯を食った後はとりあえず吸うのが習慣になっている。
 高松が隣に座る。彼もまた、iQOSをふかしていた。
「そう。言うの忘れてたんですけど、りんご買ってきたんですよ」
「お、いいな」
「今日はもうお腹入らないから、明日食べましょうね」
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