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夢の中のサンフランシスコ
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香川君は、その日のうちに米国へ発った。それから、何日もしないうちに… 黒崎先生が母校にお忍び凱旋した。 にわかに、T大学附属病院がざわめき立つ。
医局に現れた三ヶ月ぶりの黒崎先生。
相変わらず黒髪をオールバックに撫でつけたスタイルは変わらないが、頬から下は手入れの行き届いた髭で覆われ、益々、厳つい風貌に変わっていた。 仕立てのよいスーツが先生の体の稜線に沿って隙間なくフィットして完璧なファッションセンスが光る。 看護師や医療クラーク、 秘書達も6月に教授が代わると、全員入れ替わり 医局員も新しい教授の取り巻きに替わっていた。
新しい教授は、黒崎先生が抜けた後、異例の講師からの原先生が就任していた。
「久しぶり 邪魔するよ…」
「黒崎っ先生ぇ!」
医局内に残っていた若い医師達は、ほとんどが黒崎先生の教え子であり、先生に憧れて消化器外科教室に入局した者も少なくなかった。
「先生っ、何時お帰りになられたのですか? 知っていたらお迎えに上がりましたのにっ」
只野先生は弟が入院していた時の病棟担当医だった人で、今は助教となって大学の授業も担当している。
「今回はプライベートな用事だからなぁ…」
先生が、顎に蓄えた髭をぞわぞわとさすりながらニヤついていると、
「黒崎先生っ、お帰りなさい」
原教授が連絡を聞いて教授室から駆け付けてきた。
「教授っ!わざわざお越し頂かなくても、私の方から、ご挨拶に伺おうと思っていましたのに―」
先生は、全くその気が無いくせに、社交辞礼をわざとらしく、口にする。
頼み事は原先生の方にあった。 来年度から定期的にスタ○○○ド大学へ留学生を送りたいと計画していた。
そのために、黒崎先生の力添えは必要不可欠で、この定期的な留学の提携が決まれば…、原先生の学部内の立場もおおいに上がる事になる。 原先生は、口に物が挟まったように口ごもり、黒崎先生の目をまともに見る事が出来ない。 黒崎先生は、わかっていてもけして手を差し延べる事はしなかった。 日本の最高峰の教授が、お人よしでは話しにならない。 場合によっては他人を蹴落としてでも目的を果たさなければ、学生は元より教室員がついては来ない。
(…原先生、頑張って下さいよ)
先生は、心中で応援しつつ 素知らぬふりで医局から血液内科の病棟へ向かった。
先生が帰国しているとは、夢にも思っていなかった。
新年度の九月までには、研究室の立ち上げ準備で アメリカを離れる事など出来るはずもなく、今度の入院中は先生無しで頑張る覚悟でいた。 ずっと隔離状態のまま三ヶ月は過ごしていただろうか…。
香川君がオーストラリアへ帰る前に サンフランシスコの先生に会って いるはずだが、何方からも何の音沙汰もない。
数時間前に、やっと 面会規制も条件が緩和されたところだった。病室は、何時もの個室のまま変わらない。 私は一人で、広い病室は淋しいから多床室がいいとお願いしていたが、聴き入れて貰えなかった。先生の声が聞きたい。タブレットで呼び出しても、返事がない。駄目元で、携帯電話の番号を押してみた。
「ミチル?」
電話越しの低くく、くぐもった声が、耳に心地よく響く。 カリフォルニア州サンフランシスコ 真夜中の筈。…先生は素早く電話に出てくれた。 もう何年も聞いていなかったような懐かしい響きと、逢いたいと思う恋しさで、胸が一杯になりすぐに返事の声を出す事が出来
ない。
「…」
「おいっ 大丈夫か?」
「パソコンに出てよ」
先生の声が私の涙腺を緩める。
… … ……
「悪いっ 手元に無くてな…泣くなよ…」
先生は慌てもせず私が落ち込んでいるのを楽しんでいる。
「バカ…おやじ」
涙が溢れる。声を聞いてしまうと、我慢していた思いがせきをきる。強く抱きしめられたい、先生の匂いに包まれたい。
「おい、おいっ すぐ行くからっ泣かないで待ってろよ」
(すぐ…行くって……何時間かかると思ってるのよっ)
「…」
カッ カッ と看護師の足音が近づいてきた。スライド扉の前で足音が止まった。
「せっ、先生ぇ…電話切る…ズルッ…看護師さ…が…きた…か…ら 、ズズー 早く…来て…よ」
看護師に泣き顔を見られ無いようにケットを被る。扉が開き人が入ってきた気配。 ケットの端で涙を拭う。
「黒崎さん 入りますよ」
きっちり3時間で輸液バッグが空っぽになった。
「点滴を交換しますね~ 後で宗方先生が来られますから…誰か ご家族さんを呼んでもらえますか?」
看護師は、手際よく新しい輸液をセットしていく。
「あ…叔母なら呼べば来てくれると…思いますが、」
「宗方先生から今後の治療について説明があるそうなので、ご家族さんが来られたら、知らせて下さい」
「はぁ…」
(どんな治療?)
…不安と心配が入り混じる。
「わざわざ叔母さんを呼ぶ必要は無いだろう…」
「えっ! エェー 先生ぇぇ?」
看護師の背後から髭を蓄えて恐面に、研きをかけた先生が姿を現した。 看護師は、“ ヒャッ ”と小さな悲鳴に近い驚きの声を上げたが、すぐにしかめつらしく所定の作業を終わらせると、
「あのぉ…ご家族さんですか?」
先生の方を見ないようにしながら 私に尋ねてきた。 私はすぐに返事をせず、看護師の背後に突っ立たまま、睨みを効かせている先生を見た。 無精髭ならまだ見慣れているが、わざと頬から下に髭をはやした顔は好きになれない。 先生の表情の変化も確かめられない。
「主人です…宗方先生の説明は、夫と一緒に聞ききますと伝えて下さい」
「わかりました」
看護師は…先生を無視したままそそくさと病室を出て行ってしまった。
「なんだっ、愛想のない礼儀知らずな 看護師だな…」
……………
(髭面に恐面、ダークスーツじゃ、敬遠されるよ…先生っ)
二人っきりになると言葉は要らなかった。
先生は私を懐に招き入れ、私の頭に唇を落とし私も先生だけが醸し出す匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「キスしていいか?」
頭の上から控え目に先生のお願いが響く。
「だめ…髭面は嫌 キスしないっ」
次に先生が起こす行動を予測して俯き 抵抗して見せた。先生の前では何の効果も無いとわかっていても…つい意地の悪い態度で先生を確かめたくなる。
「許さないっ キスさせろよ…」
何のことはない、先生は直ぐ俺様に豹変し、強引に私の顎を持ち上げ唇を啄み始めた。
「…ぁ…ん」
見た目は、ゴワついた印象の黒い髭も、適度に伸びているとチクチクしない。私の皮膚をソフトに撫でる。先生の弾力ある唇が 私を麻痺させ、舌の侵入を簡単に許してしまった。
唇を合わせながら先生の左手が私のパジャマのボタンを手際よく外しにかかった。一つ 二つ…二人の唾液が混ざり合う口の中で舌を絡めては、時々吸われ…私の淫らな女自身が目覚めてきた。私が朦朧となっている隙に先生は、ブラトップの肩紐を二の腕まで引き下げた。
「厭ぁ…はず…かしい…」
私の躯を知り尽くしている先生は
「気持ちいいか… ん?」
エッチな言葉で責めてくる。
「…凄くいい」
(だっ、だめだよ…先生 まだ )
「黒崎さん失礼しますっ」
病室の扉がスルスルと開いた。
「あっ、あっ、ちょっと待てっ! 待ってくれぇっ、いっ、今 取り込み中だっあ」
先生は慌ててケットを私の体に被せ、素早く入口まで行くと、訪問者を食い止めにかかった。
「黒崎ぃ!」
黄色い声の主は、リノ先生…! 私は、ケットを被ったまま、はだけた胸元のパジャマのボタンを必死で留める。
「っ…リノかっ…いきなりぃ!何だっ…お前っ入って来るなよ」
先生は平静を装うが…
「黒崎ぃ…シャツの胸元が乱れてるけど…まさか…ねぇ やっと無菌から解放されたミチルさんと…」
私は入口で交わしている二人の際どい会話に耳を澄ます。
「おまえっ。相変わらず最低だなっ…すこしは学習しろっ!たくぅ…うぜー奴」
先生はバンっと足元にあったパイプ椅子を蹴飛ばした。
(…ああぁ)
思いやられる。
「誰がぁーっ!最低女だって言うのよっ…あんたなんかに言われたくないわっ! だいたいさぁ 新婚早々重態の妻をほったらかしにしておいて…さっ、自分勝手もいいとこだわっ! 最低なのはどっちよっ」
(リノ先生っ それ以上言ったらヤバい…よ)
「くっ…そっ 、お前に言われ無くても…マズッたと思っているよ」
先生の声にいつもの勢いがない…。
(嘘ぉっ…先生が反省してる)
「解ってりゃいいのよ!…解ってりゃね! 宗方がさ、話しがあるってさ」
(むっ宗方ぁ! 呼び捨てって…どう言う…事!?)
「俺は…もう決めている」
「先生っ…二人で話してないで 私にも説明してよぉ…何を決めてるの?」
私は焦れて不満を口にした。
先生は、リノ先生の目の前だという事も構わずに、私を肩先から力強く抱き寄せた。 耳元に唇を寄せて優しく囁く。
「お前が何と言おうが、一緒に暮らすっ! 退院したらそのままアメリカへ連れて行くから…」
「せっ、先生…無茶言わないで…」
言葉とは裏腹に、私の体の中の全ての血液が勢いよく循環を始めた…全身に温かい血が巡る。 この一瞬 だけ 弱々しかった私の中のキラー細胞が 息を吹き返した。
「無茶でも、何でも暮らす。 もうお前無しでは…ムリだ! 傍に置いておかないと、ヒヤヒヤさせられっぱなしだろ」
私は声にだして返事ができず、ただ頷くばかりだった。
(…生きなくては! 生まれてくる私達の子供の為にも…この手で 先生の血を受け継いだ子供を 育てたい!)
「黒崎っ!あんた、バカ? だいたい初めから、物分かりがよすぎって 思ってたわ…始めから 彼女をアメリカに連れていけば良かったのよ!全く、中途半端な事して!」
リノ先生のどや顔がかわいい。
「うっせぇ」
先生は子供みたいにふて腐れる。
( ほんと、この二人 仲がいい)
「威勢のいい声が廊下まで聞こえてるよ…笠原先生」
音も無く宗方先生が現れた。
「シっ、シンジっ入ってくるなら言ってよねっ」
「全くだっ、宗方先生…人が悪いなぁ、」
黒崎先生が照れる。
…
「冗談はさておき、先日の骨髄検査ね~ 良い結果でした。心配なGVHDですが、今のところは、免疫抑制の効果もでていますよ、この分なら…後一、二週間の内に一次退院してみますか?…」
「退院…!」
私は黒崎先生の顔を見た。
「但し、しばらく血液検査が定期的に必要です、一週間に一度の通院をして頂きます」
「せっ、先生…ミチルが退院できるなら、アメリカに連れて帰りたい…向こうで治療できませんか?」
「黒ちゃん…気持ちはわからないでもないが、まだ時期早尚では…と僕は思ってますがね」
宗方先生の表情が曇る。
「感染ですね…」
黒崎先生もその点の対応策を考えていた。
「その通りです…せめて移植半年は、用心したいのです」
私の検査データをタブレットで確認しながら黒崎先生の申し出に否定的な見解を伝えた。
「先生がそういうと思って、向こうでミチルの担当医をクラリス.ファイン博士にお願いしています…香川タカシも協力は惜しまないと…」
(かっ香川君! 先生を説得するって言ったのに…)
「…そうは言っても、主治医の立場では “はいそうですか”と認める事はできませんよ。 ミチルさんがアメリカを選ぶなら話しは別ですが…」
宗方先生と黒崎先生が私を見る。
「んっもぉ!! 二人ともぉ結論を彼女に委ねないでよっ」
(リノ先生…)
「だいたいさぁっ アメリカだからシンジの免疫抑制剤も承認されたんでしょ! 日本なんかまだ治験段階だよっ!黒崎がプライド捨ててお嫁さんを迎えに来たんだよっ シンジっ 」
「…そうでした 二人のバックにホワイト先生もついている…たしか」
宗方先生は私のアメリカ行きに理解を示してくれた。
……………
こんなやり取りがあったにも係わらず、結局私は黒崎先生とアメリカに帰ることはできなかった。 宗方先生が退院前検査だけは譲らなかった。 検査が立て込み許可が下りたのは9月の末。 先生は先に帰国した黒崎先生と、頻繁に連絡を取って 私の退院後をMSW(医療社会福祉士)顔負けの在宅コーディネートをしてくれていた。
「お前の退院が伸びたおかげで、こっちの受け入れも準備万端だっ」
先生は自信ありげに準備の詳細を タブレットの画面から語りだす。
退院の許可が下りた日に、私は発熱した。 いつものことだが運が悪い。 宗方先生は、動かして悪化させては命にかかわると退院を取り消した。 そして早く呼び寄せアメリカで治療を受けさせたいと焦れる黒崎先生に丁寧に説明する。
「黒ちゃん、焦って今、ミチルさんを長時間飛行機に乗せるのは感心しない…」
「…」
先生は医師として 宗方先生の言う事が至極当然だと判ってはいても、
( あいつと離れるんじゃなかった…一緒に連れてくれば良かった…っ、)
アメリカと日本 遠く離れていては他人に委ねるより仕方がない事に焦り、ひどく後悔していた。 当の私は、学業を当分断念する事にした。どう考えても先の見通しが立ちそうにない。
T大学に退学届を郵送した。
(もう…日本で大学に戻る事はない…)
ふと、そんな気がした。
私の体にとって発熱が、どれ程危険な事なのか、わかっていたが その恐さに蓋をして新しい家族とのアメリカでの暮らしに望みを託した。
私の中の不安をうやむやにするために…
退屈な入院生活が長引くわたしに、先生がいつになくこまめに連絡をよこしだす。
(どうしたんだろ 新学期だというのに、余程暇なのかな)
先生はステファニーと言う優秀な女性秘書を雇ったと伝えてきた。
(女っ…何で!女の人なのよっ)
そして新居は11部屋もある大学近くシリコンバレーの閑静な住宅街。
日系企業も多く、日本人も沢山暮らしているらしく、先生の送ってくる動画には、東洋系の子供達が公園で楽しげに遊んでいる姿も映っている。 代理母のクリスティンのお腹がいよいよ張り出してきた動画も送られてきた。
『ミチルぅー お腹の赤ちゃんは凄く元気。 私の体に毎日ボクサーのようなパンチを繰り出すのよ。 その度におっぱいがブルンと跳ね上がったり、お腹の形が変形するの。 きっと早くママの顔が見たいのよ! ミチルっ 貴女に会える日をお腹にいる貴女の赤ちゃんと楽しみに待っています』
(…予定日まであと1ヶ月ー)
加えて…新居には他にも同居人がいた。
9月から先生の助手として働いている香川君…
「せっ先生っ! 何で、香川君が同居なのよっ⁉︎ 信じられないっ!」
11月を目前に私の体調はずっと安定していた。
「よく頑張りましたね、もう大丈夫でしょう…退院です。」
「宗方先生っ、有り難うございますっ」
待ちに待った退院許可だった。
「後で師長から退院後の説明を受けて下さい…僕からは、ファイン先生に診療情報を送っておきますから…アメリカに行く前に歯科検診と皮膚科検診…それと婦人科の検診を受けて頂きます…それで…今回の入院は終わりです」
私は入院中に各診療科のメディカルチェックと歯の治療を済ませ、叔母の迎えで退院した。
約半年ぶりの叔母の家。
風呂場での記憶も曖昧に思いだされる。
「ミチルちゃん、荷物はあらかたヒカルさんの所に送ったからっ」
「うん」
「それからっ 貴女のお友達から何度か電話があったのよ…私から事情は言ってますよっ…」
「うん…」
叔母は私に構わずテキパキと家事をこなしていく。
「貴女のお父さんに連絡しているんだけど、 “まかせた”しか言わないのよったくぅ…あの子ったら……本当 弱虫なんだからっ 小さい時から怖がりでっ」
叔母は洗濯物を取り込むため庭先へ向かおうとした。 目の前を素通りする瞬間、私は、叔母の華奢な腰に両腕を回し背中に頭をくっつけた。
「叔母さん…今まで…本当にありがとう」
涙が溢れだす。
叔母の背中も微かに震えている。 お腹に回した私の手を冷たい手の平で撫でながら
「こちらこそ…子供のいない私達夫婦に子育ての楽しさを味あわせてくれて…ありがとね」
「…叔父さんには迷惑のかけっぱなしだったよね、静かな暮らしを私達親子のせいで邪魔されて…」
「いいの、いいの その台詞はツヨシからあの人に言ってもらうから!
さあっさ、 泣いている暇なんてないですよ 貴女、今夜の飛行機で発つ事になってるんだからっ」
「ええっ! そんな急に! 聞いてないよぉ…」
「そうなんだけど、どうしても付き添うミチコさんの都合がつかないらしくてね…もうすぐミチコさんがお迎えに来るからっ 貴女も用意してっ」
「…」
……………
私とミチコさんは 羽田から深夜サンフランシスコへ発った。
朝目覚めた時、私は生まれ変わっていると信じたい。 9時間後には、サンフランシスコに降り立っている。
医局に現れた三ヶ月ぶりの黒崎先生。
相変わらず黒髪をオールバックに撫でつけたスタイルは変わらないが、頬から下は手入れの行き届いた髭で覆われ、益々、厳つい風貌に変わっていた。 仕立てのよいスーツが先生の体の稜線に沿って隙間なくフィットして完璧なファッションセンスが光る。 看護師や医療クラーク、 秘書達も6月に教授が代わると、全員入れ替わり 医局員も新しい教授の取り巻きに替わっていた。
新しい教授は、黒崎先生が抜けた後、異例の講師からの原先生が就任していた。
「久しぶり 邪魔するよ…」
「黒崎っ先生ぇ!」
医局内に残っていた若い医師達は、ほとんどが黒崎先生の教え子であり、先生に憧れて消化器外科教室に入局した者も少なくなかった。
「先生っ、何時お帰りになられたのですか? 知っていたらお迎えに上がりましたのにっ」
只野先生は弟が入院していた時の病棟担当医だった人で、今は助教となって大学の授業も担当している。
「今回はプライベートな用事だからなぁ…」
先生が、顎に蓄えた髭をぞわぞわとさすりながらニヤついていると、
「黒崎先生っ、お帰りなさい」
原教授が連絡を聞いて教授室から駆け付けてきた。
「教授っ!わざわざお越し頂かなくても、私の方から、ご挨拶に伺おうと思っていましたのに―」
先生は、全くその気が無いくせに、社交辞礼をわざとらしく、口にする。
頼み事は原先生の方にあった。 来年度から定期的にスタ○○○ド大学へ留学生を送りたいと計画していた。
そのために、黒崎先生の力添えは必要不可欠で、この定期的な留学の提携が決まれば…、原先生の学部内の立場もおおいに上がる事になる。 原先生は、口に物が挟まったように口ごもり、黒崎先生の目をまともに見る事が出来ない。 黒崎先生は、わかっていてもけして手を差し延べる事はしなかった。 日本の最高峰の教授が、お人よしでは話しにならない。 場合によっては他人を蹴落としてでも目的を果たさなければ、学生は元より教室員がついては来ない。
(…原先生、頑張って下さいよ)
先生は、心中で応援しつつ 素知らぬふりで医局から血液内科の病棟へ向かった。
先生が帰国しているとは、夢にも思っていなかった。
新年度の九月までには、研究室の立ち上げ準備で アメリカを離れる事など出来るはずもなく、今度の入院中は先生無しで頑張る覚悟でいた。 ずっと隔離状態のまま三ヶ月は過ごしていただろうか…。
香川君がオーストラリアへ帰る前に サンフランシスコの先生に会って いるはずだが、何方からも何の音沙汰もない。
数時間前に、やっと 面会規制も条件が緩和されたところだった。病室は、何時もの個室のまま変わらない。 私は一人で、広い病室は淋しいから多床室がいいとお願いしていたが、聴き入れて貰えなかった。先生の声が聞きたい。タブレットで呼び出しても、返事がない。駄目元で、携帯電話の番号を押してみた。
「ミチル?」
電話越しの低くく、くぐもった声が、耳に心地よく響く。 カリフォルニア州サンフランシスコ 真夜中の筈。…先生は素早く電話に出てくれた。 もう何年も聞いていなかったような懐かしい響きと、逢いたいと思う恋しさで、胸が一杯になりすぐに返事の声を出す事が出来
ない。
「…」
「おいっ 大丈夫か?」
「パソコンに出てよ」
先生の声が私の涙腺を緩める。
… … ……
「悪いっ 手元に無くてな…泣くなよ…」
先生は慌てもせず私が落ち込んでいるのを楽しんでいる。
「バカ…おやじ」
涙が溢れる。声を聞いてしまうと、我慢していた思いがせきをきる。強く抱きしめられたい、先生の匂いに包まれたい。
「おい、おいっ すぐ行くからっ泣かないで待ってろよ」
(すぐ…行くって……何時間かかると思ってるのよっ)
「…」
カッ カッ と看護師の足音が近づいてきた。スライド扉の前で足音が止まった。
「せっ、先生ぇ…電話切る…ズルッ…看護師さ…が…きた…か…ら 、ズズー 早く…来て…よ」
看護師に泣き顔を見られ無いようにケットを被る。扉が開き人が入ってきた気配。 ケットの端で涙を拭う。
「黒崎さん 入りますよ」
きっちり3時間で輸液バッグが空っぽになった。
「点滴を交換しますね~ 後で宗方先生が来られますから…誰か ご家族さんを呼んでもらえますか?」
看護師は、手際よく新しい輸液をセットしていく。
「あ…叔母なら呼べば来てくれると…思いますが、」
「宗方先生から今後の治療について説明があるそうなので、ご家族さんが来られたら、知らせて下さい」
「はぁ…」
(どんな治療?)
…不安と心配が入り混じる。
「わざわざ叔母さんを呼ぶ必要は無いだろう…」
「えっ! エェー 先生ぇぇ?」
看護師の背後から髭を蓄えて恐面に、研きをかけた先生が姿を現した。 看護師は、“ ヒャッ ”と小さな悲鳴に近い驚きの声を上げたが、すぐにしかめつらしく所定の作業を終わらせると、
「あのぉ…ご家族さんですか?」
先生の方を見ないようにしながら 私に尋ねてきた。 私はすぐに返事をせず、看護師の背後に突っ立たまま、睨みを効かせている先生を見た。 無精髭ならまだ見慣れているが、わざと頬から下に髭をはやした顔は好きになれない。 先生の表情の変化も確かめられない。
「主人です…宗方先生の説明は、夫と一緒に聞ききますと伝えて下さい」
「わかりました」
看護師は…先生を無視したままそそくさと病室を出て行ってしまった。
「なんだっ、愛想のない礼儀知らずな 看護師だな…」
……………
(髭面に恐面、ダークスーツじゃ、敬遠されるよ…先生っ)
二人っきりになると言葉は要らなかった。
先生は私を懐に招き入れ、私の頭に唇を落とし私も先生だけが醸し出す匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「キスしていいか?」
頭の上から控え目に先生のお願いが響く。
「だめ…髭面は嫌 キスしないっ」
次に先生が起こす行動を予測して俯き 抵抗して見せた。先生の前では何の効果も無いとわかっていても…つい意地の悪い態度で先生を確かめたくなる。
「許さないっ キスさせろよ…」
何のことはない、先生は直ぐ俺様に豹変し、強引に私の顎を持ち上げ唇を啄み始めた。
「…ぁ…ん」
見た目は、ゴワついた印象の黒い髭も、適度に伸びているとチクチクしない。私の皮膚をソフトに撫でる。先生の弾力ある唇が 私を麻痺させ、舌の侵入を簡単に許してしまった。
唇を合わせながら先生の左手が私のパジャマのボタンを手際よく外しにかかった。一つ 二つ…二人の唾液が混ざり合う口の中で舌を絡めては、時々吸われ…私の淫らな女自身が目覚めてきた。私が朦朧となっている隙に先生は、ブラトップの肩紐を二の腕まで引き下げた。
「厭ぁ…はず…かしい…」
私の躯を知り尽くしている先生は
「気持ちいいか… ん?」
エッチな言葉で責めてくる。
「…凄くいい」
(だっ、だめだよ…先生 まだ )
「黒崎さん失礼しますっ」
病室の扉がスルスルと開いた。
「あっ、あっ、ちょっと待てっ! 待ってくれぇっ、いっ、今 取り込み中だっあ」
先生は慌ててケットを私の体に被せ、素早く入口まで行くと、訪問者を食い止めにかかった。
「黒崎ぃ!」
黄色い声の主は、リノ先生…! 私は、ケットを被ったまま、はだけた胸元のパジャマのボタンを必死で留める。
「っ…リノかっ…いきなりぃ!何だっ…お前っ入って来るなよ」
先生は平静を装うが…
「黒崎ぃ…シャツの胸元が乱れてるけど…まさか…ねぇ やっと無菌から解放されたミチルさんと…」
私は入口で交わしている二人の際どい会話に耳を澄ます。
「おまえっ。相変わらず最低だなっ…すこしは学習しろっ!たくぅ…うぜー奴」
先生はバンっと足元にあったパイプ椅子を蹴飛ばした。
(…ああぁ)
思いやられる。
「誰がぁーっ!最低女だって言うのよっ…あんたなんかに言われたくないわっ! だいたいさぁ 新婚早々重態の妻をほったらかしにしておいて…さっ、自分勝手もいいとこだわっ! 最低なのはどっちよっ」
(リノ先生っ それ以上言ったらヤバい…よ)
「くっ…そっ 、お前に言われ無くても…マズッたと思っているよ」
先生の声にいつもの勢いがない…。
(嘘ぉっ…先生が反省してる)
「解ってりゃいいのよ!…解ってりゃね! 宗方がさ、話しがあるってさ」
(むっ宗方ぁ! 呼び捨てって…どう言う…事!?)
「俺は…もう決めている」
「先生っ…二人で話してないで 私にも説明してよぉ…何を決めてるの?」
私は焦れて不満を口にした。
先生は、リノ先生の目の前だという事も構わずに、私を肩先から力強く抱き寄せた。 耳元に唇を寄せて優しく囁く。
「お前が何と言おうが、一緒に暮らすっ! 退院したらそのままアメリカへ連れて行くから…」
「せっ、先生…無茶言わないで…」
言葉とは裏腹に、私の体の中の全ての血液が勢いよく循環を始めた…全身に温かい血が巡る。 この一瞬 だけ 弱々しかった私の中のキラー細胞が 息を吹き返した。
「無茶でも、何でも暮らす。 もうお前無しでは…ムリだ! 傍に置いておかないと、ヒヤヒヤさせられっぱなしだろ」
私は声にだして返事ができず、ただ頷くばかりだった。
(…生きなくては! 生まれてくる私達の子供の為にも…この手で 先生の血を受け継いだ子供を 育てたい!)
「黒崎っ!あんた、バカ? だいたい初めから、物分かりがよすぎって 思ってたわ…始めから 彼女をアメリカに連れていけば良かったのよ!全く、中途半端な事して!」
リノ先生のどや顔がかわいい。
「うっせぇ」
先生は子供みたいにふて腐れる。
( ほんと、この二人 仲がいい)
「威勢のいい声が廊下まで聞こえてるよ…笠原先生」
音も無く宗方先生が現れた。
「シっ、シンジっ入ってくるなら言ってよねっ」
「全くだっ、宗方先生…人が悪いなぁ、」
黒崎先生が照れる。
…
「冗談はさておき、先日の骨髄検査ね~ 良い結果でした。心配なGVHDですが、今のところは、免疫抑制の効果もでていますよ、この分なら…後一、二週間の内に一次退院してみますか?…」
「退院…!」
私は黒崎先生の顔を見た。
「但し、しばらく血液検査が定期的に必要です、一週間に一度の通院をして頂きます」
「せっ、先生…ミチルが退院できるなら、アメリカに連れて帰りたい…向こうで治療できませんか?」
「黒ちゃん…気持ちはわからないでもないが、まだ時期早尚では…と僕は思ってますがね」
宗方先生の表情が曇る。
「感染ですね…」
黒崎先生もその点の対応策を考えていた。
「その通りです…せめて移植半年は、用心したいのです」
私の検査データをタブレットで確認しながら黒崎先生の申し出に否定的な見解を伝えた。
「先生がそういうと思って、向こうでミチルの担当医をクラリス.ファイン博士にお願いしています…香川タカシも協力は惜しまないと…」
(かっ香川君! 先生を説得するって言ったのに…)
「…そうは言っても、主治医の立場では “はいそうですか”と認める事はできませんよ。 ミチルさんがアメリカを選ぶなら話しは別ですが…」
宗方先生と黒崎先生が私を見る。
「んっもぉ!! 二人ともぉ結論を彼女に委ねないでよっ」
(リノ先生…)
「だいたいさぁっ アメリカだからシンジの免疫抑制剤も承認されたんでしょ! 日本なんかまだ治験段階だよっ!黒崎がプライド捨ててお嫁さんを迎えに来たんだよっ シンジっ 」
「…そうでした 二人のバックにホワイト先生もついている…たしか」
宗方先生は私のアメリカ行きに理解を示してくれた。
……………
こんなやり取りがあったにも係わらず、結局私は黒崎先生とアメリカに帰ることはできなかった。 宗方先生が退院前検査だけは譲らなかった。 検査が立て込み許可が下りたのは9月の末。 先生は先に帰国した黒崎先生と、頻繁に連絡を取って 私の退院後をMSW(医療社会福祉士)顔負けの在宅コーディネートをしてくれていた。
「お前の退院が伸びたおかげで、こっちの受け入れも準備万端だっ」
先生は自信ありげに準備の詳細を タブレットの画面から語りだす。
退院の許可が下りた日に、私は発熱した。 いつものことだが運が悪い。 宗方先生は、動かして悪化させては命にかかわると退院を取り消した。 そして早く呼び寄せアメリカで治療を受けさせたいと焦れる黒崎先生に丁寧に説明する。
「黒ちゃん、焦って今、ミチルさんを長時間飛行機に乗せるのは感心しない…」
「…」
先生は医師として 宗方先生の言う事が至極当然だと判ってはいても、
( あいつと離れるんじゃなかった…一緒に連れてくれば良かった…っ、)
アメリカと日本 遠く離れていては他人に委ねるより仕方がない事に焦り、ひどく後悔していた。 当の私は、学業を当分断念する事にした。どう考えても先の見通しが立ちそうにない。
T大学に退学届を郵送した。
(もう…日本で大学に戻る事はない…)
ふと、そんな気がした。
私の体にとって発熱が、どれ程危険な事なのか、わかっていたが その恐さに蓋をして新しい家族とのアメリカでの暮らしに望みを託した。
私の中の不安をうやむやにするために…
退屈な入院生活が長引くわたしに、先生がいつになくこまめに連絡をよこしだす。
(どうしたんだろ 新学期だというのに、余程暇なのかな)
先生はステファニーと言う優秀な女性秘書を雇ったと伝えてきた。
(女っ…何で!女の人なのよっ)
そして新居は11部屋もある大学近くシリコンバレーの閑静な住宅街。
日系企業も多く、日本人も沢山暮らしているらしく、先生の送ってくる動画には、東洋系の子供達が公園で楽しげに遊んでいる姿も映っている。 代理母のクリスティンのお腹がいよいよ張り出してきた動画も送られてきた。
『ミチルぅー お腹の赤ちゃんは凄く元気。 私の体に毎日ボクサーのようなパンチを繰り出すのよ。 その度におっぱいがブルンと跳ね上がったり、お腹の形が変形するの。 きっと早くママの顔が見たいのよ! ミチルっ 貴女に会える日をお腹にいる貴女の赤ちゃんと楽しみに待っています』
(…予定日まであと1ヶ月ー)
加えて…新居には他にも同居人がいた。
9月から先生の助手として働いている香川君…
「せっ先生っ! 何で、香川君が同居なのよっ⁉︎ 信じられないっ!」
11月を目前に私の体調はずっと安定していた。
「よく頑張りましたね、もう大丈夫でしょう…退院です。」
「宗方先生っ、有り難うございますっ」
待ちに待った退院許可だった。
「後で師長から退院後の説明を受けて下さい…僕からは、ファイン先生に診療情報を送っておきますから…アメリカに行く前に歯科検診と皮膚科検診…それと婦人科の検診を受けて頂きます…それで…今回の入院は終わりです」
私は入院中に各診療科のメディカルチェックと歯の治療を済ませ、叔母の迎えで退院した。
約半年ぶりの叔母の家。
風呂場での記憶も曖昧に思いだされる。
「ミチルちゃん、荷物はあらかたヒカルさんの所に送ったからっ」
「うん」
「それからっ 貴女のお友達から何度か電話があったのよ…私から事情は言ってますよっ…」
「うん…」
叔母は私に構わずテキパキと家事をこなしていく。
「貴女のお父さんに連絡しているんだけど、 “まかせた”しか言わないのよったくぅ…あの子ったら……本当 弱虫なんだからっ 小さい時から怖がりでっ」
叔母は洗濯物を取り込むため庭先へ向かおうとした。 目の前を素通りする瞬間、私は、叔母の華奢な腰に両腕を回し背中に頭をくっつけた。
「叔母さん…今まで…本当にありがとう」
涙が溢れだす。
叔母の背中も微かに震えている。 お腹に回した私の手を冷たい手の平で撫でながら
「こちらこそ…子供のいない私達夫婦に子育ての楽しさを味あわせてくれて…ありがとね」
「…叔父さんには迷惑のかけっぱなしだったよね、静かな暮らしを私達親子のせいで邪魔されて…」
「いいの、いいの その台詞はツヨシからあの人に言ってもらうから!
さあっさ、 泣いている暇なんてないですよ 貴女、今夜の飛行機で発つ事になってるんだからっ」
「ええっ! そんな急に! 聞いてないよぉ…」
「そうなんだけど、どうしても付き添うミチコさんの都合がつかないらしくてね…もうすぐミチコさんがお迎えに来るからっ 貴女も用意してっ」
「…」
……………
私とミチコさんは 羽田から深夜サンフランシスコへ発った。
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