37 / 62
ケアンズへ2‥笠原リノの場合
しおりを挟む
笠原先生は、医局を出て 職員棟のエレベーターホールでエレベーターを待つ。黒崎ヒカルの姿を7年ぶりに見た時のときめきが蘇る。
臨床講堂での医学部会議の冒頭。
医学部長兼病院長より 紹介され 壇上に立つ 黒崎ヒカル
見るからに長身でガッチリした上半身。引き締まった腹部から腰 、すらりとした長い脚…男性雑誌から抜けでてきたような姿 。
小顔で八頭身。漆黒の髪は オールバックに丁寧にセットされ、やや甘目のアーチ型の太めの眉、その下の切れ長の一重瞼。
眼差しは厳しく、常人を寄せつけず、絶対的なオーラを漂わせ 、整った鼻筋の下の 厚めのなまめかし唇が、その場の女性を虜にしてしまう。講堂の背後で立見している看護師達からは色っぽいため息が漏れる。早瀬ヒカルは28歳の大学院生時代の論文が認められT大を辞めて フェローでアメリカの大学研究機関に無期限留学した。
突然の留学から7年の月日が経ち、その時、笠原先生は33歳 黒崎先生35歳になっていた。
笠原先生の心は、遠い昔、初めて二人が出会ったころに 飛んでいた。
※※※※※※※※※※※※※※※※
学生時代
医学部3年の時…突然 見知らぬ、いかつい風貌の同級生と名乗る男が 講義に参加しだす。つねに一人で行動し、親しい友人もいそうに無い。たまたま 講義に遅れて入ってきたその、
〝 早瀬 〟と名乗る男が、笠原先生の横に飛び込んできた。
いきなり「わりぃ 紙一枚くれないか…」
笠原先生は 、戸惑いながらもルーズリーフを一枚差し出す。たったその一瞬の出来事で 笠原先生は恋に落ちた。
その後 笠原先生は早瀬と講義が一緒になるように 、取得済みの講義も 再受講する。周囲の事に全く無頓着な、早瀬ヒカルも 毎回講義が重なる笠原リノの事は 覚える。
そのうちに 笠原先生は一途な恋心から、早瀬ヒカルの情報を集める。 3年次に突然現れたのは、二年前に大学を休学して世界中を放浪していたらしいこと。今の彼の暮らしときたら、夜は 予備校の講師
週末は、厚木の駐留米軍相手のバーのマネージャーのアルバイトをしていると、人伝に知った。 余程 苦学して、大学に通っているに 違いないと、病院経営している医師の家庭に生まれ お嬢様育ちの笠原先生は、想像を膨らませる。
当時の早瀬ヒカルの恋人は、歳上の女性米軍将校 ララハート中尉…
4年次にはララとはほぼ同棲状態で、ララが休日の時は大学まで彼女の車 で送り迎えして貰っている。相手が金髪のアメリカ人ともなると、医学部キャンパス内の二人は一躍有名人になる。
ララは時には、学生食堂で早瀬ヒカルと待ち合わせして、二人の熱々ぶりは学生達からの注目の的だった。
この時期には、笠原先生も早瀬ヒカルから「リノ」と、ファーストネームで呼ばれる友人の一人にはなっていた。
この後も、二人の関係は友人のまま卒業を迎える。
早瀬ヒカルは、救命センターへ研修医として勤務しながら、大学院へ進学する。 笠原先生も早瀬ヒカルの跡に続きたかったが…実家の猛反対で 内科の臨床研修医となる。同じ大学病院内にいるのに会えない期間が延々と続く。笠原先生の恋心はどんどん募っていく。
そんな時 早瀬ヒカルの恋人、アメリカ海軍のララ ハート中尉の乗った 米軍輸送機が アフガニスタン上空で 撃墜された。
乗員全員死亡とのニュースが 小さく報道される。
墜落機の乗員の名前までは、日本の報道番組で明らかにはされない。 結婚も考えていた相手に死なれた 早瀬ヒカル。
かねてから 論文が評価されアメリカの大学研究所からの留学の誘いがあった。ララの退役を待って、受けるつもりで保留していた。
失意のまま その誘いを受ける。
T大学医学部附属病院に退職願を出し、大学院も辞めて 一人渡米する。
笠原先生に 相談する事なく… 笠原先生の前から早瀬ヒカルは忽然と姿を消した。
7年後 再会した時には 黒崎ヒカルは新進気鋭の消化器外科准教授。
笠原先生は順当に昇進し 血液免疫疾患内科第二助教。
二人が 久しぶりに相まみえたのは、緊急手術現場だった。
麻酔科医の慢性的な不足が原因で、大学病院の麻酔科医が民間病の手術現場に終日出ずっぱり状態が続き…肝心の大学内の手術に支障をきたしていた。笠原先生は麻酔科の勉強もし、麻酔科医としての
腕前は高い評価を得ているが、あくまでも研究者としてこだわりたかった。救命医や麻酔科医の現場主義に違和感を持っていたため、あえて普段は、麻酔科医としての仕事はしていなかった。
手術場へ 黒崎先生がゆっくり入場してくる頃には、瀕死の患者の麻酔コントロールは笠原先生が的確に行なっていた。
緊急時 麻酔科医が間に合わず、黒崎先生自身で麻酔コントロールをしながらの場面も多々ある。
「今回は 麻酔の方は間に合いましたか…」
黒崎先生の厭味な発言に スタッフもモチベーションが下がる。
手術助手の救命医が血液内科の笠原先生の急遽の応援を説明すると…マスク越しの二人が見つめ合う。
マスク越しの7年ぶりの再会。
“ 久しぶりだな 笠原リノ・・ ”
笠原先生の心臓が張り裂けんばかりに高鳴る。
「笠原先生、応援ありがとうございます。少し手荒いOpeになりそうですが、よろしくお願いします」
黒崎先生が礼儀を正す。
その後の手術の現場は、まるで黒崎先生の独壇場だった。全ての準備が完璧ならば、スタッフは黒崎先生の指示どうりに動くだけ。
しかし、この時の手術は黒崎先生が絶賛した。その一番の立役者は
笠原先生だった。笠原先生の麻酔科医としての瞬時の先読みの判断が、黒崎先生の指示の先を行っている事だった。
度々、黒崎先生は指示する手間を省く事が出来た。その事が 患者の身体にかかる負担は数倍軽くなる。
「Excellent!」 アメリカ帰りの黒崎先生は手術終了後、笠原先生に握手を求める。
「帰国してから、 こんな、ExcitingなOPeは初めてだっ 素晴らしい!」
参加したスタッフからは、誰とは無しに拍手がおこる。
笠原先生は、あの日の手術が今も忘れられない…
手術場から退出する時…背後から黒崎先生が近づき
「リノとセックスしたら超気持ちいいだろうなぁ…」
と、耳元で囁き…追い越していく。
白衣をひるがえし去って行く、黒崎先生の背中を見つめる。
涙が…止まらなかった。
この日以来、黒崎先生の緊急時の手術には、麻酔科医として要請があれば何を置いても参加する。まるで黒崎先生とセックスするように手術場でのエクスタシーを求めて・・・
黒崎先生にも “リノ” との手術は気持ちがいいことを感じてもらうために…
※※※※※※※※※※※※※※※
笠原先生は、2階の准教授以上プライベートルームが並ぶフロアに立つ。突き当たりの左側に行くと、黒崎先生の部屋がある。反対側に曲がり その先の左手奥に宗方先生の部屋がある。扉には 宗方シンジのネームプレート。宗方先生と別れて三年の月日が経つ。今も同じ医局内で 職場の上司と部下という関係での付き合いは 普通に続いている。しかし、笠原先生は、今年の春の異動が 気にかかった。
教授と、准教授に異動は無い。
あるのは、人事権…
扉をノックする。
「入って…」
中から宗方先生の聞き慣れた 低い声、
「失礼します…」笠原先生が入室の挨拶をする。
「!…」
机で 書き物をしていた、宗方先生のペン先が止まる。笠原先生は、まともに宗方先生の顔を見る事が出来ない。医局では普通に接する事が出来るのに…三年前まで 、この部屋で 宗方先生と情事を交わしていたかと思うと …微かに震える。
宗方先生は 黙ったまま俯く 目の前の美しい人の近くまで行くと 軽く肩に手を沿えて、
「どうした…?」低い重みのある声で尋ねた。
二人だけの過去に逆戻りする。宗方先生の声が、 黒崎先生を失った 笠原先生を幾度となく 闇の底から救ってくれた。
(…なのに… 私は、一生叶わない恋のために 目の前の人を振った…
今さら 異動しないですむようにと 、頼む事は出来ない…虫が良すぎる。)
俯いたまま 震えが止まらない。
「どうした?…いつもの君らしくないな…」
宗方先生は、笠原先生の震える肩から手を離し、震える笠原先生の顎をそっと持ち上げ、顔が良く見えるようにする。
目の前には …白髪の混じる髪を無造作に撫で上げた長めの髪 横シワが浅く入っている額。奥二重の瞼、色素の薄い茶色の瞳 …すっきりした鼻筋 口角の締まった唇 全てが三年前の宗方先生と寸分変わらない。
全体的に優しげな細い輪郭 笠原先生が好きな…困ってる先生の表情…
「ん― 、話してみたら…何か困り事があるんだろ?」
目の前の宗方先生の肩に額を傾けてしまう…
笠原先生の 肩をあやすように トントンと軽く叩き、
「さあ 座って、座って 話しを聞こうじゃないか…」
宗方先生に 促されソファーに腰を下ろす。
「相変わらず インスタントしか無くて悪いね」
手際よくインスタントコーヒーを入れ、笠原先生の目の前に出して
勧める穏やかな、宗方先生の笑顔に 落ち着きを取り戻す。
笠原先生は 綾野ミチルの事、これからも担当したい事、そのためには 宗方先生の力添えが必要な事を話す。
今までの経緯を理解した宗方先生は、
「ちょっと ひっかかるな…それが面倒だなあ…さあて、どうしようか…」
宗方先生は落ち着き払って 〝 面倒 〟と言う。
笠原先生は不安げに、何が問題か 頭を巡らせるが見当もつかない。先生の表情を伺いながら、宗方先生が口をひらいた。
「初診が、うちの教授だってのが バッドタイミング 」
宗方先生は、自分の椅子に座り足を組む。眉間に縦皴を寄せ、何やら、考えを巡らせながらインスタントコーヒーを口に運び、一口飲むと…
「あの人さぁ 今度の学部長選挙出る気満々だからさ、身辺整理を始めだすよ きっと…教授が初診して《鉄欠乏性貧血》と誤診した患者が 二外(消化器外科の院内スラング)の 黒ちゃんからの紹介…つまりぃ 学部長選最強ライバルの『 第二外科教授に 誤診の弱みを握られた 』と、考えても不思議じゃないよなぁ~」
(ぁあ…ダメだ 絶体絶命!)
笠原先生は、*都落ちか、島流しの 半分覚悟を決めた。
( *系列病院か、僻地病院への異動のスラング )
「そのために、誤診を誰かの 責任にして、トカゲのシッポをちょん切る事くらいは、朝メシ前だから…」
宗方先生は、指でハサミの真似をする。笠原先生は自分がそのシッポだと悟った。
「黒崎先生から、飛ばされるかもと驚かされました」
「アハハハ― さすが、お見通しだな 」
黒崎先生は、宗方先生が予想した筋書きを先読みしていた。
「まあ…心配しなくていいよっ!君が居なくなったら、僕も楽しみが無くなるからね」
宗方先生が妖しく微笑む…
「先生っ!その言葉信じていいですか?」
宗方先生は、笠原先生を異動候補者リストに載せないと約束をした。
「先生…もう一つだけ、相談があります」
笠原先生は 綾野ミチルから今の状態を 婚約者である黒崎ヒカルに伝えないで欲しいと頼まれている事を話す。
「また、またぁ! そんな面倒臭い事を、約束させられちゃってぇ…
君らしくないなぁ 」
宗方先生は、パソコンを立ち上げながら 綾野ミチルのカルテをググった。
「秘密にするならセキュリティロックかけなきゃ、簡単に患者の情報を検索できるじゃないの…」
宗方先生は 笠原先生にウインクする。
「…んっ‼︎ 決めた。じゃぁさ 、取引しないかい?」
宗方先生は 、笠原先生の不安げな瞳をまっすぐ見ながら条件を出した。
「今夜 、僕に付き合ってくれる約束を、今すぐにしてくれたら、君の心配事は、僕が全て解消してあげる…」
宗方先生は 自信ありげに ニッコリ微笑む。昔から変わっていない、黒崎先生とは違う落ち着きと包容力 。
( 今夜…もし付き合ったら、もう引き返せないかもしれない…)
「先生、どうなさるおつもりですか? 黒崎先生に事実を伝えなかったら 彼の気性を考えると…」
「おい 、おい リノちゃんさぁ、医者の仕事を忘れちゃ困るなぁ」
宗方先生は、どんなに患者に頼まれても 命にかかわる事を、家族に伝えないのはルール違反だと話す。
「じゃあ 黒崎先生には…」 顔を上げて 宗方先生の方を見た。
「で― 今夜 僕に 付き合うかい?」
肝心の話しの核心をはぐらかして、宗方先生は 徐々に意地悪くなっていく。笠原先生は条件を呑んだ。
この人に頼りたいと思う気持ちが、身体を熱くする。
先生は、早瀬ヒカルが、消えてから のめり込んでいたた魅惑的な宗方先生との時間を思い出す。
“僕と一緒になろう…後悔はさせない”
三年前…ホテルのスイートで言われたプロポーズの言葉
宗方先生はニッコリと微笑む。
「じゃ 決まり ! 今から ホテル 予約するから」
笠原先生は電話の受話器を持つ宗方先生の手を制止した。
「綾野ミチル どうするんですか…⁈」
宗方先生は、制止した笠原先生の手を優しく捕まえる。笠原先生を見つめる瞳が妖しくひかる。
「綾野さんは 僕が担当するよ」
「えっ‼︎ 准教授のあなたが⁈ 担当を…」
笠原先生が驚くのも無理はない。通常は、若い医師に経験を積ます意味でも よほどの症例やVIP患者でないかぎり、教授や准教授は患者を担当しない。
「但し、この程度の症例だから 君にメインで動いてもらうよ…君にとっては 一石二鳥だよな? 教授だって、流石に僕を飛ばす訳にいかないだろ? 」
(…黒崎とも関われ 異動も免れる。)
「もちろん君が、病棟担当医だから何も変わらない、変わるとすれば…そうだなぁ~ 、僕が担当する以上 黒ちゃんには 手出し口だしはさせない。彼は全て僕に任せてくれるハズだよ 必ずね、」
そう話す宗方先生の表情には、確固たる自信がみなぎっている。
「 彼には ‘ 幸せに’ なってもらわないと非常に困る 」
宗方先生は、笠原先生を強引に抱きしめ、
「黒ちゃんに うろつかれると 僕のお姫様が 逃げ出してしまうからね…」
甘く囁くと笠原先生の唇を奪った。
宗方先生は、一年のほとんどを ホテルで暮らしていた。自宅は静岡にあり、K大学にいる頃は 東京に住まいを構えていた。そのままK大学で研究を続けて行くつもりでいた。
しかし…
国立大学が大学改革で 法人化される事がきっかけで 大学が自ら経営を考えていかなければならない状況になった。医学部においても 国からの援助だけで研究をつづけられなくなってきた。
産業界 他各界と協力して 目に見えた実績をあげ 、国から援助を引き出さなければ生き残れない厳しい時代に突入した。
T大学も 生き残りをかけて学閥にこだわらず 広く内外から優秀な人材を登用する。今までの 地位に甘んじる事なく 学内改革に着手した。その手始めに、各学部の教授 、准教授 、講師を 学外から 自薦他薦問わず登用する荒療治だった。
K大学の宗方先生や、アメリカで研究していた黒崎先生は、大学改革のために招かれた。学閥の殻を破る事は容易ではなく、出身者以外はよそ者扱いされる厳しい環境だった。そんな厳しい環境にも関わらず 二人とも 就任早々から、文句無しの実績を 挙げていく。
黒崎先生より三年早く 血液内科教室に入局した、宗方先生は 早速 自己免疫疾患での、新しい免疫抑制剤の研究成果を論文で発表するや、大挙して国内外の製薬会社からの新薬の共同開発のオファーがあいついだ。T大学と製薬会社が共同開発した薬を まず、アメリカで臨床応用され、一定の成果が得られたのを受けて、現在は、日本で治験の段階まできている。宗方先生より遅れて、35歳の若さで、消化器外科准教授に抜擢された黒崎先生は 、派手な仕事ぶりで 今ではT大学の看板ドクターである。
この二人に、意見する学内の人間は皆無といっていい。
宗方先生はK大OBを多く排出している親族の反対を押し切る形で、当時から血液内科学では世界トップクラスラボを擁するT大の環境を選んだ。 反対する妻と自宅を 地元静岡に放置したまま、ホテル暮らしを選んでいた。
静岡と行き来するのに便利と 東京駅近くのフォー○ー○ン○でホテル暮らしをしている。笠原先生は 、新しく部屋を取る必要はない、宗方先生が暮らす部屋なら行くと、返事する。
「そう…か、残念 スイートで新年の再開を祝いたかったなあ」
宗方先生の落胆ぶりが子供っぽくて、笠原先生の母性本能をくすぐる。
( 全く変わっていない性格… )
「じゃ、僕の部屋へどうぞ」
「先生その前に…」
笠原先生は 綾野ミチルの今後の見通しを 宗方先生に客観的に診断して貰いたかった。黒崎先生が 綾野ミチルをケアンズへの旅に連れて行きたがっている事も話す。
「 ケアンズね…講演だったな…たしか 」
宗方先生が ニンマリ笑う。
「輸血は、したの?」宗方先生のデータを見る眼は鋭い。
「明日は、土曜日なので週明けに予定しています」
笠原先生が答える。
「ふ~ん----明日 するか?」
「 えっ 明日ですか⁈ 」
宗方先生のいきなりの提案に 少し驚く。
「まあ…、 劇的な改善は 望めないが、この程度なら一定の成果は出ると思うよ 」
宗方先生の豊富な経験から 今なら輸血して安定は得られる。短期間の旅行程度は、十分に行く事が可能だと解説してくれる。これからの見通しについても、彼女の年齢を考慮し骨随移植より免疫療法の方向がより現実的で、妊娠や出産も視野に入れられるだろうと説明してくれた。
笠原先生は、黒崎ヒカルと綾野ミチルの未来に、一筋の光明が射したように感じた。
「明日 僕から黒ちゃんに説明しよう、その時に 紹介して欲しいな 綾野さんに…」
宗方先生はパソコンを閉める。
臨床講堂での医学部会議の冒頭。
医学部長兼病院長より 紹介され 壇上に立つ 黒崎ヒカル
見るからに長身でガッチリした上半身。引き締まった腹部から腰 、すらりとした長い脚…男性雑誌から抜けでてきたような姿 。
小顔で八頭身。漆黒の髪は オールバックに丁寧にセットされ、やや甘目のアーチ型の太めの眉、その下の切れ長の一重瞼。
眼差しは厳しく、常人を寄せつけず、絶対的なオーラを漂わせ 、整った鼻筋の下の 厚めのなまめかし唇が、その場の女性を虜にしてしまう。講堂の背後で立見している看護師達からは色っぽいため息が漏れる。早瀬ヒカルは28歳の大学院生時代の論文が認められT大を辞めて フェローでアメリカの大学研究機関に無期限留学した。
突然の留学から7年の月日が経ち、その時、笠原先生は33歳 黒崎先生35歳になっていた。
笠原先生の心は、遠い昔、初めて二人が出会ったころに 飛んでいた。
※※※※※※※※※※※※※※※※
学生時代
医学部3年の時…突然 見知らぬ、いかつい風貌の同級生と名乗る男が 講義に参加しだす。つねに一人で行動し、親しい友人もいそうに無い。たまたま 講義に遅れて入ってきたその、
〝 早瀬 〟と名乗る男が、笠原先生の横に飛び込んできた。
いきなり「わりぃ 紙一枚くれないか…」
笠原先生は 、戸惑いながらもルーズリーフを一枚差し出す。たったその一瞬の出来事で 笠原先生は恋に落ちた。
その後 笠原先生は早瀬と講義が一緒になるように 、取得済みの講義も 再受講する。周囲の事に全く無頓着な、早瀬ヒカルも 毎回講義が重なる笠原リノの事は 覚える。
そのうちに 笠原先生は一途な恋心から、早瀬ヒカルの情報を集める。 3年次に突然現れたのは、二年前に大学を休学して世界中を放浪していたらしいこと。今の彼の暮らしときたら、夜は 予備校の講師
週末は、厚木の駐留米軍相手のバーのマネージャーのアルバイトをしていると、人伝に知った。 余程 苦学して、大学に通っているに 違いないと、病院経営している医師の家庭に生まれ お嬢様育ちの笠原先生は、想像を膨らませる。
当時の早瀬ヒカルの恋人は、歳上の女性米軍将校 ララハート中尉…
4年次にはララとはほぼ同棲状態で、ララが休日の時は大学まで彼女の車 で送り迎えして貰っている。相手が金髪のアメリカ人ともなると、医学部キャンパス内の二人は一躍有名人になる。
ララは時には、学生食堂で早瀬ヒカルと待ち合わせして、二人の熱々ぶりは学生達からの注目の的だった。
この時期には、笠原先生も早瀬ヒカルから「リノ」と、ファーストネームで呼ばれる友人の一人にはなっていた。
この後も、二人の関係は友人のまま卒業を迎える。
早瀬ヒカルは、救命センターへ研修医として勤務しながら、大学院へ進学する。 笠原先生も早瀬ヒカルの跡に続きたかったが…実家の猛反対で 内科の臨床研修医となる。同じ大学病院内にいるのに会えない期間が延々と続く。笠原先生の恋心はどんどん募っていく。
そんな時 早瀬ヒカルの恋人、アメリカ海軍のララ ハート中尉の乗った 米軍輸送機が アフガニスタン上空で 撃墜された。
乗員全員死亡とのニュースが 小さく報道される。
墜落機の乗員の名前までは、日本の報道番組で明らかにはされない。 結婚も考えていた相手に死なれた 早瀬ヒカル。
かねてから 論文が評価されアメリカの大学研究所からの留学の誘いがあった。ララの退役を待って、受けるつもりで保留していた。
失意のまま その誘いを受ける。
T大学医学部附属病院に退職願を出し、大学院も辞めて 一人渡米する。
笠原先生に 相談する事なく… 笠原先生の前から早瀬ヒカルは忽然と姿を消した。
7年後 再会した時には 黒崎ヒカルは新進気鋭の消化器外科准教授。
笠原先生は順当に昇進し 血液免疫疾患内科第二助教。
二人が 久しぶりに相まみえたのは、緊急手術現場だった。
麻酔科医の慢性的な不足が原因で、大学病院の麻酔科医が民間病の手術現場に終日出ずっぱり状態が続き…肝心の大学内の手術に支障をきたしていた。笠原先生は麻酔科の勉強もし、麻酔科医としての
腕前は高い評価を得ているが、あくまでも研究者としてこだわりたかった。救命医や麻酔科医の現場主義に違和感を持っていたため、あえて普段は、麻酔科医としての仕事はしていなかった。
手術場へ 黒崎先生がゆっくり入場してくる頃には、瀕死の患者の麻酔コントロールは笠原先生が的確に行なっていた。
緊急時 麻酔科医が間に合わず、黒崎先生自身で麻酔コントロールをしながらの場面も多々ある。
「今回は 麻酔の方は間に合いましたか…」
黒崎先生の厭味な発言に スタッフもモチベーションが下がる。
手術助手の救命医が血液内科の笠原先生の急遽の応援を説明すると…マスク越しの二人が見つめ合う。
マスク越しの7年ぶりの再会。
“ 久しぶりだな 笠原リノ・・ ”
笠原先生の心臓が張り裂けんばかりに高鳴る。
「笠原先生、応援ありがとうございます。少し手荒いOpeになりそうですが、よろしくお願いします」
黒崎先生が礼儀を正す。
その後の手術の現場は、まるで黒崎先生の独壇場だった。全ての準備が完璧ならば、スタッフは黒崎先生の指示どうりに動くだけ。
しかし、この時の手術は黒崎先生が絶賛した。その一番の立役者は
笠原先生だった。笠原先生の麻酔科医としての瞬時の先読みの判断が、黒崎先生の指示の先を行っている事だった。
度々、黒崎先生は指示する手間を省く事が出来た。その事が 患者の身体にかかる負担は数倍軽くなる。
「Excellent!」 アメリカ帰りの黒崎先生は手術終了後、笠原先生に握手を求める。
「帰国してから、 こんな、ExcitingなOPeは初めてだっ 素晴らしい!」
参加したスタッフからは、誰とは無しに拍手がおこる。
笠原先生は、あの日の手術が今も忘れられない…
手術場から退出する時…背後から黒崎先生が近づき
「リノとセックスしたら超気持ちいいだろうなぁ…」
と、耳元で囁き…追い越していく。
白衣をひるがえし去って行く、黒崎先生の背中を見つめる。
涙が…止まらなかった。
この日以来、黒崎先生の緊急時の手術には、麻酔科医として要請があれば何を置いても参加する。まるで黒崎先生とセックスするように手術場でのエクスタシーを求めて・・・
黒崎先生にも “リノ” との手術は気持ちがいいことを感じてもらうために…
※※※※※※※※※※※※※※※
笠原先生は、2階の准教授以上プライベートルームが並ぶフロアに立つ。突き当たりの左側に行くと、黒崎先生の部屋がある。反対側に曲がり その先の左手奥に宗方先生の部屋がある。扉には 宗方シンジのネームプレート。宗方先生と別れて三年の月日が経つ。今も同じ医局内で 職場の上司と部下という関係での付き合いは 普通に続いている。しかし、笠原先生は、今年の春の異動が 気にかかった。
教授と、准教授に異動は無い。
あるのは、人事権…
扉をノックする。
「入って…」
中から宗方先生の聞き慣れた 低い声、
「失礼します…」笠原先生が入室の挨拶をする。
「!…」
机で 書き物をしていた、宗方先生のペン先が止まる。笠原先生は、まともに宗方先生の顔を見る事が出来ない。医局では普通に接する事が出来るのに…三年前まで 、この部屋で 宗方先生と情事を交わしていたかと思うと …微かに震える。
宗方先生は 黙ったまま俯く 目の前の美しい人の近くまで行くと 軽く肩に手を沿えて、
「どうした…?」低い重みのある声で尋ねた。
二人だけの過去に逆戻りする。宗方先生の声が、 黒崎先生を失った 笠原先生を幾度となく 闇の底から救ってくれた。
(…なのに… 私は、一生叶わない恋のために 目の前の人を振った…
今さら 異動しないですむようにと 、頼む事は出来ない…虫が良すぎる。)
俯いたまま 震えが止まらない。
「どうした?…いつもの君らしくないな…」
宗方先生は、笠原先生の震える肩から手を離し、震える笠原先生の顎をそっと持ち上げ、顔が良く見えるようにする。
目の前には …白髪の混じる髪を無造作に撫で上げた長めの髪 横シワが浅く入っている額。奥二重の瞼、色素の薄い茶色の瞳 …すっきりした鼻筋 口角の締まった唇 全てが三年前の宗方先生と寸分変わらない。
全体的に優しげな細い輪郭 笠原先生が好きな…困ってる先生の表情…
「ん― 、話してみたら…何か困り事があるんだろ?」
目の前の宗方先生の肩に額を傾けてしまう…
笠原先生の 肩をあやすように トントンと軽く叩き、
「さあ 座って、座って 話しを聞こうじゃないか…」
宗方先生に 促されソファーに腰を下ろす。
「相変わらず インスタントしか無くて悪いね」
手際よくインスタントコーヒーを入れ、笠原先生の目の前に出して
勧める穏やかな、宗方先生の笑顔に 落ち着きを取り戻す。
笠原先生は 綾野ミチルの事、これからも担当したい事、そのためには 宗方先生の力添えが必要な事を話す。
今までの経緯を理解した宗方先生は、
「ちょっと ひっかかるな…それが面倒だなあ…さあて、どうしようか…」
宗方先生は落ち着き払って 〝 面倒 〟と言う。
笠原先生は不安げに、何が問題か 頭を巡らせるが見当もつかない。先生の表情を伺いながら、宗方先生が口をひらいた。
「初診が、うちの教授だってのが バッドタイミング 」
宗方先生は、自分の椅子に座り足を組む。眉間に縦皴を寄せ、何やら、考えを巡らせながらインスタントコーヒーを口に運び、一口飲むと…
「あの人さぁ 今度の学部長選挙出る気満々だからさ、身辺整理を始めだすよ きっと…教授が初診して《鉄欠乏性貧血》と誤診した患者が 二外(消化器外科の院内スラング)の 黒ちゃんからの紹介…つまりぃ 学部長選最強ライバルの『 第二外科教授に 誤診の弱みを握られた 』と、考えても不思議じゃないよなぁ~」
(ぁあ…ダメだ 絶体絶命!)
笠原先生は、*都落ちか、島流しの 半分覚悟を決めた。
( *系列病院か、僻地病院への異動のスラング )
「そのために、誤診を誰かの 責任にして、トカゲのシッポをちょん切る事くらいは、朝メシ前だから…」
宗方先生は、指でハサミの真似をする。笠原先生は自分がそのシッポだと悟った。
「黒崎先生から、飛ばされるかもと驚かされました」
「アハハハ― さすが、お見通しだな 」
黒崎先生は、宗方先生が予想した筋書きを先読みしていた。
「まあ…心配しなくていいよっ!君が居なくなったら、僕も楽しみが無くなるからね」
宗方先生が妖しく微笑む…
「先生っ!その言葉信じていいですか?」
宗方先生は、笠原先生を異動候補者リストに載せないと約束をした。
「先生…もう一つだけ、相談があります」
笠原先生は 綾野ミチルから今の状態を 婚約者である黒崎ヒカルに伝えないで欲しいと頼まれている事を話す。
「また、またぁ! そんな面倒臭い事を、約束させられちゃってぇ…
君らしくないなぁ 」
宗方先生は、パソコンを立ち上げながら 綾野ミチルのカルテをググった。
「秘密にするならセキュリティロックかけなきゃ、簡単に患者の情報を検索できるじゃないの…」
宗方先生は 笠原先生にウインクする。
「…んっ‼︎ 決めた。じゃぁさ 、取引しないかい?」
宗方先生は 、笠原先生の不安げな瞳をまっすぐ見ながら条件を出した。
「今夜 、僕に付き合ってくれる約束を、今すぐにしてくれたら、君の心配事は、僕が全て解消してあげる…」
宗方先生は 自信ありげに ニッコリ微笑む。昔から変わっていない、黒崎先生とは違う落ち着きと包容力 。
( 今夜…もし付き合ったら、もう引き返せないかもしれない…)
「先生、どうなさるおつもりですか? 黒崎先生に事実を伝えなかったら 彼の気性を考えると…」
「おい 、おい リノちゃんさぁ、医者の仕事を忘れちゃ困るなぁ」
宗方先生は、どんなに患者に頼まれても 命にかかわる事を、家族に伝えないのはルール違反だと話す。
「じゃあ 黒崎先生には…」 顔を上げて 宗方先生の方を見た。
「で― 今夜 僕に 付き合うかい?」
肝心の話しの核心をはぐらかして、宗方先生は 徐々に意地悪くなっていく。笠原先生は条件を呑んだ。
この人に頼りたいと思う気持ちが、身体を熱くする。
先生は、早瀬ヒカルが、消えてから のめり込んでいたた魅惑的な宗方先生との時間を思い出す。
“僕と一緒になろう…後悔はさせない”
三年前…ホテルのスイートで言われたプロポーズの言葉
宗方先生はニッコリと微笑む。
「じゃ 決まり ! 今から ホテル 予約するから」
笠原先生は電話の受話器を持つ宗方先生の手を制止した。
「綾野ミチル どうするんですか…⁈」
宗方先生は、制止した笠原先生の手を優しく捕まえる。笠原先生を見つめる瞳が妖しくひかる。
「綾野さんは 僕が担当するよ」
「えっ‼︎ 准教授のあなたが⁈ 担当を…」
笠原先生が驚くのも無理はない。通常は、若い医師に経験を積ます意味でも よほどの症例やVIP患者でないかぎり、教授や准教授は患者を担当しない。
「但し、この程度の症例だから 君にメインで動いてもらうよ…君にとっては 一石二鳥だよな? 教授だって、流石に僕を飛ばす訳にいかないだろ? 」
(…黒崎とも関われ 異動も免れる。)
「もちろん君が、病棟担当医だから何も変わらない、変わるとすれば…そうだなぁ~ 、僕が担当する以上 黒ちゃんには 手出し口だしはさせない。彼は全て僕に任せてくれるハズだよ 必ずね、」
そう話す宗方先生の表情には、確固たる自信がみなぎっている。
「 彼には ‘ 幸せに’ なってもらわないと非常に困る 」
宗方先生は、笠原先生を強引に抱きしめ、
「黒ちゃんに うろつかれると 僕のお姫様が 逃げ出してしまうからね…」
甘く囁くと笠原先生の唇を奪った。
宗方先生は、一年のほとんどを ホテルで暮らしていた。自宅は静岡にあり、K大学にいる頃は 東京に住まいを構えていた。そのままK大学で研究を続けて行くつもりでいた。
しかし…
国立大学が大学改革で 法人化される事がきっかけで 大学が自ら経営を考えていかなければならない状況になった。医学部においても 国からの援助だけで研究をつづけられなくなってきた。
産業界 他各界と協力して 目に見えた実績をあげ 、国から援助を引き出さなければ生き残れない厳しい時代に突入した。
T大学も 生き残りをかけて学閥にこだわらず 広く内外から優秀な人材を登用する。今までの 地位に甘んじる事なく 学内改革に着手した。その手始めに、各学部の教授 、准教授 、講師を 学外から 自薦他薦問わず登用する荒療治だった。
K大学の宗方先生や、アメリカで研究していた黒崎先生は、大学改革のために招かれた。学閥の殻を破る事は容易ではなく、出身者以外はよそ者扱いされる厳しい環境だった。そんな厳しい環境にも関わらず 二人とも 就任早々から、文句無しの実績を 挙げていく。
黒崎先生より三年早く 血液内科教室に入局した、宗方先生は 早速 自己免疫疾患での、新しい免疫抑制剤の研究成果を論文で発表するや、大挙して国内外の製薬会社からの新薬の共同開発のオファーがあいついだ。T大学と製薬会社が共同開発した薬を まず、アメリカで臨床応用され、一定の成果が得られたのを受けて、現在は、日本で治験の段階まできている。宗方先生より遅れて、35歳の若さで、消化器外科准教授に抜擢された黒崎先生は 、派手な仕事ぶりで 今ではT大学の看板ドクターである。
この二人に、意見する学内の人間は皆無といっていい。
宗方先生はK大OBを多く排出している親族の反対を押し切る形で、当時から血液内科学では世界トップクラスラボを擁するT大の環境を選んだ。 反対する妻と自宅を 地元静岡に放置したまま、ホテル暮らしを選んでいた。
静岡と行き来するのに便利と 東京駅近くのフォー○ー○ン○でホテル暮らしをしている。笠原先生は 、新しく部屋を取る必要はない、宗方先生が暮らす部屋なら行くと、返事する。
「そう…か、残念 スイートで新年の再開を祝いたかったなあ」
宗方先生の落胆ぶりが子供っぽくて、笠原先生の母性本能をくすぐる。
( 全く変わっていない性格… )
「じゃ、僕の部屋へどうぞ」
「先生その前に…」
笠原先生は 綾野ミチルの今後の見通しを 宗方先生に客観的に診断して貰いたかった。黒崎先生が 綾野ミチルをケアンズへの旅に連れて行きたがっている事も話す。
「 ケアンズね…講演だったな…たしか 」
宗方先生が ニンマリ笑う。
「輸血は、したの?」宗方先生のデータを見る眼は鋭い。
「明日は、土曜日なので週明けに予定しています」
笠原先生が答える。
「ふ~ん----明日 するか?」
「 えっ 明日ですか⁈ 」
宗方先生のいきなりの提案に 少し驚く。
「まあ…、 劇的な改善は 望めないが、この程度なら一定の成果は出ると思うよ 」
宗方先生の豊富な経験から 今なら輸血して安定は得られる。短期間の旅行程度は、十分に行く事が可能だと解説してくれる。これからの見通しについても、彼女の年齢を考慮し骨随移植より免疫療法の方向がより現実的で、妊娠や出産も視野に入れられるだろうと説明してくれた。
笠原先生は、黒崎ヒカルと綾野ミチルの未来に、一筋の光明が射したように感じた。
「明日 僕から黒ちゃんに説明しよう、その時に 紹介して欲しいな 綾野さんに…」
宗方先生はパソコンを閉める。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
白衣の下 拝啓、先生お元気ですか?その後いかがお過ごしでしょうか?
アーキテクト
恋愛
その後の先生 相変わらずの破茶滅茶ぶり、そんな先生を慕う人々、先生を愛してやまない人々とのホッコリしたエピソードの数々‥‥‥ 先生無茶振りやめてください‼️
人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。
海月いおり
恋愛
昔からプログラミングが大好きだった黒磯由香里は、念願のプログラマーになった。しかし現実は厳しく、続く時間外勤務に翻弄される。ある日、チームメンバーの1人が鬱により退職したことによって、抱える仕事量が増えた。それが原因で今度は由香里の精神がどんどん壊れていく。
総務から産業医との面接を指示され始まる、冷酷な精神科医、日比野玲司との関わり。
日比野と関わることで、由香里は徐々に自分を取り戻す……。
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
イケメン御曹司、地味子へのストーカー始めました 〜マイナス余命1日〜
和泉杏咲
恋愛
表紙イラストは「帳カオル」様に描いていただきました……!眼福です(´ω`)
https://twitter.com/tobari_kaoru
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は間も無く死ぬ。だから、彼に別れを告げたいのだ。それなのに……
なぜ、私だけがこんな目に遭うのか。
なぜ、私だけにこんなに執着するのか。
私は間も無く死んでしまう。
どうか、私のことは忘れて……。
だから私は、あえて言うの。
バイバイって。
死を覚悟した少女と、彼女を一途(?)に追いかけた少年の追いかけっこの終わりの始まりのお話。
<登場人物>
矢部雪穂:ガリ勉してエリート中学校に入学した努力少女。小説家志望
悠木 清:雪穂のクラスメイト。金持ち&ギフテッドと呼ばれるほどの天才奇人イケメン御曹司
山田:清に仕えるスーパー執事
4人の王子に囲まれて
*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。
4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって……
4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー!
鈴木結衣(Yui Suzuki)
高1 156cm 39kg
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。
母の再婚によって4人の義兄ができる。
矢神 琉生(Ryusei yagami)
26歳 178cm
結衣の義兄の長男。
面倒見がよく優しい。
近くのクリニックの先生をしている。
矢神 秀(Shu yagami)
24歳 172cm
結衣の義兄の次男。
優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。
結衣と大雅が通うS高の数学教師。
矢神 瑛斗(Eito yagami)
22歳 177cm
結衣の義兄の三男。
優しいけどちょっぴりSな一面も!?
今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。
矢神 大雅(Taiga yagami)
高3 182cm
結衣の義兄の四男。
学校からも目をつけられているヤンキー。
結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。
*注 医療の知識等はございません。
ご了承くださいませ。
同期に恋して
美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務
高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部
同期入社の2人。
千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。
平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。
千夏は同期の関係を壊せるの?
「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる