4 / 26
美剣士魚丸(ととまる)
しおりを挟む
逗留中の身の回りの世話を駒だけにさせたいと三笠屋女将お繁に申し出た若衆は、越中の国神鶴藩元小姓頭片岡魚丸頼矩と宿帳に記載されていた。
「道理で…あんな美少年、歌舞伎役者でも無いかぎりそうそう拝めるもんじゃないよ」
その噂はあっという間に三笠屋内に広まった。
「さぞや…あっちの具合も格別なんだろうぜっ」
「くぅ…いっぺんでいいから手合わせしてみてぇもんだぜ」
「寝ぼけた事言ってんじゃねぇや 元お小姓頭っていやあお殿様のあっちの方のお世話もしたってはずだぁ おらっちちのこ汚ねえ竿なんざ、おっ立てようもんならたちまち地獄へ真っ逆さまよ」
くわばら‥くわばら
手代達の噂話しに遊女に成れそうもない暗愚(あんぐう)な下女達も加わり、その日は男色の話しで持ち切りだった。
駒は片岡魚丸に付き従い今朝まで弥比古と暮らしていたと言ってもいい離れ座敷に入った。
「ふうん…店構えも女将も下の下だがこの離れ座敷はいい佇まいだ。」
魚丸(ととまる)は主間の上座にゆっくりと進んで行く。
駒は後から畳の縁を踏まないように用心しながらついてゆき
「お客さまぁ…あの…羽織りを」
「ん?」
魚丸は振り返ると
「いいのだよお駒さん。私の事は自分でするから、お駒さんはお駒さんで、しなければならない事があるはずでしょう?」
魚丸がニコニコと笑う。
お駒は魚丸の笑顔に今まで感じた事が無いほど胸が高鳴った。
「それから、私は片岡魚丸…さかなまると書いて‘ととまる’と読みます…」
「さかな? とと?」
駒はまだ漢字を知らない。やっといろはを覚えた所だった。
魚丸は駒の前で着替え始めながら、
「では、夕餉が済んだらお駒さんに漢字をお教えいたしましょうか…」
話しながら綺麗な顔とは裏腹な逞しく発達した筋肉質の身体を現す。後ろ向きになると褌の紐が小さく堅そうな尻の割れ目にそって菊座を隠している。
両方の肩甲骨の間から尻の割れ目まで脊椎が真っすぐにおりて左右均等に背筋が発達し、なだらかな稜線が美しく映る。
駒は抜けるような白い肌としまった臀部から目を離す事ができない。
駒は、大人の男の身体は皆、父親や弥比古と同じだと思っていた。
けれど、魚丸はまるで男の身体には見えなかった。若い女のように透けるほど肌が白く、身体には男なら誰しもが生えているはずの毛が無い。
駒が不思議そうに見ている視線を感じた魚丸が、くるりと駒の方に向きなおった。魚丸の胸は肉が盛り上がり淡い桃色の乳輪その中央のやや赤みを帯た小さな乳首が駒の目の前に現れる。
「お駒さん、なにか私の身体におかしな所がありますか」
魚丸の妖しく魅惑的な笑顔に駒は、どぎまぎとしながら目が泳ぐ。
「お駒さんが裸を見たいのならば私は一向に構いませんが、今から褌を締め直しますよ…」
駒は戸惑いながら…思いきって聞いてみた。
「あのう…」
正座して膝の上の握られた小さな拳に力が入る。
「何ですか」
魚丸の両手が腹の六割れの下の臍にある結び目にかかっていた。
「お客さん、男のなりしてるけど…おんなみてぇに真っ白で毛がねぇ…んだもの…」
「お駒さんは、どっちだと思っていますか?」
魚丸の顔は少年らしい悪戯っ子のような笑顔に戻る。
駒の方は真剣に悩む所だ。
身体に黒い毛が無く裸は萩姉ちゃんに負けないくらい白く透き通っている。胸は丸くはないが自分よりは出ていると駒は思っていた。
しかし、腰巻きでは無く褌を締めている。
「お駒さん、一緒に湯治場へいきませんか…そうすれば私が男か女か分かるでしう」
「湯治場は…女将さんが許してくれない…」
駒は湯治場に行く事は、はなから無理と諦めていた。
炭焼き小屋で親子三人、慎ましやかに暮らしていたころの事が、つい昨日の事のように思いだす。
通称地獄谷と呼ばれる硫黄が湧き出している谷の近くの岩場に温泉があった。
冬眠しない獣は極寒の真冬には、温泉場に集まりこの時ばかりは、お互いの存在を認め争わない不思議な場所だった。
傷を癒す効果もあり、傷ついた獣まで集まって湯に浸かっていた。
駒も岩場のいで湯で父や母と、遠巻きに猿が気持ちよさ気にお湯に浸かっている姿に何度も出くわした。
ケモノでも気持ちがいいのは人と同じだと学んだ。
たまに猪なども湯の中で鼻と目だけ出して気持ち良さそうに湯に浸かっている姿をみて、幼心に打ち殺して肉を頂戴するのが申し訳なく思ったりもした。
こうして、駒は自然の中で、命の尊さや山の恵みの有り難さを学んできたのだった。
「大丈夫。私が一緒ならお女将も文句は言いますまい。」
魚丸(ととまる)は褌(ふんどし)には手をかけず、宿の浴衣に着替えた。
「お駒さん、さあ一緒に行きましょう」
魚丸が手を繋ごうと差し出すが駒は俯いたままもじもじと、小さな身体をくねらすばかりだった。
「私に任せなさい。」
魚丸は小さな駒の手を取った。
宿の店表まで出ると若い手代に
「湯治場から帰ったら、夕餉の支度を頼んだよ。」
「へっへぇ…」
若い手代は魚丸に見つめられぽっと頬を染める。
「さっ、お駒さん」
店表にいた奉公人を尻目に魚丸は駒を三笠屋から連れだした。
表通りを歩く事、数軒で湯治場の建物が目に入ってきた。
軒先の暖簾をくぐると視界が奥まで一気に広がった。
間口は狭いが奥に二層二階建ての建物が左右対称に並び建物の間にはずらりと湯殿が並んでいた。
そのほとんどは男女混浴で簡単な立て板で囲われているだけで、屋根も無い。二階の障子窓からは、裸の湯治客を眺める事ができた。
客は部屋から外湯を眺め、混み具合や湯殿の客の様子を確かめて各々好みの外湯に向かう。
ほの暗い蝋燭の光が各部屋の障子を透して揺らめき見る者によっては、入浴後の卑猥な戯れ事を想像させる。
駒は、湯煙漂う温泉宿の活気に目を輝かせ強引に連れて来られたはずが、好奇心に心躍り、握っていた魚丸の手をギュッと握り返した。
魚丸は優しい妖艶な微笑みで小さな駒を見下ろした。
駒は老若男女の湯治客とその間を行き交う三助や湯女の活気に圧倒されていた。
普段でも紅い頬は
益々上気し、 ほぉーっと 、息を吐いた。
部屋は薬効高い温泉で病や傷を癒すために長逗留している客でほぼ満室状態だった。
「お駒さん、この湯屋はねぇ…」
飯盛り女に部屋を案内されながら魚丸は駒に湯治場の温泉の由来を語り聞かせる。
この白鳥(しらとり)の湯は、その昔、遥か北の国より南の地で営巣するために飛来した一羽の白鳥が…長旅途中で羽か脚を痛め飛べなくなった事に由来する。
群れから離れ、たった一羽でまだ誰にも知られていなかったこの温泉で傷を癒し無事に仲間の元に飛び発ったと言い伝えられた伝説が人の口伝てに広まり、今のような賑わいになったと魚丸が物語った。
「お山の温泉場にも獣が集まってくるんだぁ…おらぁ猿と一緒に湯に浸かった事もあるよ…」
駒は魚丸に笑顔で初めて自分の話しをした。
魚丸は愛おしげに駒を見つめる。
…なんと愛らし
い姫様だ‥‥
案内されたのは、囲い湯が付いた二間続きの部屋だった。
案内した女とは別の飯盛り女が男浴衣と童浴衣を籠に入れ運んできた。
茶瓶と湯呑みを座卓に置くと「ごゆっくり」と挨拶して出ていく。
駒は障子を開けて階下の湯殿で湯治客の男女が裸で屈託なく楽しんでいる姿を眺めていた。
「お駒さん、浴衣に着替えてお湯に入りに行きましょうか…」
魚丸の誘いに素直に従いお駒は黙って頷いた。
魚丸は素直に従う駒の絣(かすり)の着物の簡単に結ばれた帯を解く。
華奢な駒の躯から着物を剥ぐと菱形の粗末な腹かけ一枚で後は何も身に付けていない。
首と腰の紐を解くと幼児特有の柔らかそうな躯が魚丸の目の前であらわになった。
…ビクッと一瞬魚丸の躯が動く。
きめの細かい柔らかな幼児の肌触りに魚丸の若い陰茎が意に沿わぬ反応を始めた。
魚丸は何食わぬ顔で、
「お駒さん、外湯にしますか、それとも囲い湯がいいですか」
と、言いながら駒に浴衣を着せてやる。
「あのぉ、おらぁ大勢居るお湯がいい…」
駒の視線は窓の外に向いている。
「わかりました。では、参りましょうか。」
浴衣を粋に着こなし小さな童の手を引く眉目麗しい若
衆の姿に、外湯に向かう湯治客はもとより三助、湯女にいたるまで皆がため息混じりに視線を向ける。
湯女などは、
「お侍さまぁ、風呂上がりに御用はございませんかぁ…」
と、淫らな誘いをかけてきた。
江戸時代、湯屋といえば、出会い茶屋よろしく自由な性の社交場でもあった。
自由奔放な江戸時代の庶民は湯屋の二階で気に入った者同士、男女に限らずすぐに睦合う事が日常的に行われていた。
周りの視線を集めながら魚丸と駒はこの湯治場で一番広い 不動の湯に着くと、
「さあ、お駒さん入りましょう」
魚丸が下腹で締めた帯に手をかける。
混浴の湯舟の男女が滅多に拝めない眉目秀麗な若衆の裸見たさに客の視線が魚丸の躰一つに集中している。
魚丸は見せびらかすかのようにゆるりと帯を解き始める。
「よっ、若衆っ 焦らすんじゃねぇぞっ」
「早くお前さんの立派な竿を見せとくれっ」
湯煙の先から野次や掛け声が飛ぶ。
妖しく微笑む魚丸の躯から浴衣が床に落ちるとまばゆいばかりの透き通る白い肌が表れた。
「った、たまんねぇ」
「抱かせろぉ―」
そんな下品な野次も魚丸の耳には届かない。
白い下帯を外すと、
素っ頓狂な黄色い声が白鳥の湯治場に響き近くの外湯から何事かと人が集まってきた。
お駒は祭りにでも来たかのような騒ぎに驚きながらも、子供心に魚丸が美しすぎて、人々を惑わしている事を知った。
「お駒さん…さあ」
… 魚丸は屈み駒の浴衣を脱がせると軽々と抱き上げた。
二人の肌が触れ合った途端、魚丸の細くしなやかな筋肉の稜線に象られた躯に似合わない股間の陰茎は、醜い青筋を立て見る間に天を仰ぎだした。
おお―っ
あれぇ―っ
「こっこりゃあ 稀に見る宝刀だよ」
「綺麗な顔して恐ろしいほどの長竿だな…」
「あの長竿、一度で良いからあたいのアソコをほじってくれないかねぇ」
「おめぇみてぇなおかめっ若い旦那のほうでお断りさぁ」
「あの若衆…何とか物にしてぇもんだ」
片手で駒を抱き上げもう片方の手で半立ちの陰茎を軽く掴んで客の視線から隠す。
魚丸は、勝手な野次馬を無視して駒を抱いたままゆっくりと湯に浸かった。
乳白に濁った滑らかでやや熱い湯が皮膚を心地好くひりひりと刺激する。
「ふあぁ…熱いよぉ」
湯に浸かるなり駒が魚丸の身体にしがみつく。
病を癒す湯として名高いこの源泉は高温で大量に湧出している。
毎日湯を溜めて一定の温度まで下げてから湯治客に供しているが童の駒の皮膚を刺激するには充分な熱さだった。
魚丸の身体に密着している所は湯があたらない為幾分刺激も和らぐ。
駒の身体は熱い湯に浸かり、じっとりと汗が滲みだす。
顔が真っ赤に上気してきた。
「お駒さん、少しお湯から上がって体を冷ましてはどうですか。長湯は毒ですよ」
魚丸に優しく諭され駒はそれに従い湯から上がると裸で水場まで駆け出す。
魚丸は半身だけを湯に浸して駒の姿を目で追っていた。
遠目に水場で数人の童どもが楽しげに歓声を上げて遊んでいる。
駒がその童達の中に馴染めるか気になるところだった。
「ごめなさいよっ、ちょっと邪魔するよ」…
示し合わせたかのように魚丸の左右から屈強な躯の遊び人らしい風体の男二人が近づいて来た。
両人とも背中から肩、着物の袖口に隠れる腕まで鮮やかな彫り物で躯を飾っていた。
魚丸は全く意に反さず一瞬ちらりと流し目で男を見るがすぐに駒を目で追う。
「兄さん、おいら達と遊ばないかい」
そう言うと右側の男がゆっくりと湯の中に身体を沈め、魚丸の手首を掴んだ。
そして強引に己の肉棒に持っていった。
「さあ黙って扱きなっ」
魚丸の耳元で凄む。
やれやれ…
左側の男は、
「俺はたっぷり兄さんを可愛がってやるよっ」
そう言うと、湯の中でだらりと萎えた魚丸の肉棒を掴み、待てしばしなく扱きだす。
あっ ぅぅぅ
綺麗な面(おもて)の眉間に苦悶の皺がよる。
魚丸は視線を駒から逸らす事なく男二人の凌辱に身を任せた。
「兄さん、ったくぅゾクゾクするほど色っぽいさねぇ」
左側の男は魚丸の肉棒の硬さと浮き出る太い血管を手の平で感じながらゆっくりと上下に扱き上げていく。
人差し指で肉棒の先端の亀頭の形を確かめる。
「くぅ…」
敏感な先端は人差し指でなぞられただけでも反応し手の平の中で反り返った。
湯舟の淵で妖しくうごめく三人にいち早く気がついた遊び女がそっと近づいて来た。
魚丸は左側の男の手淫を何とかかわしながら、右側の男の手に余る太竿の先端の傘の開いた大きな頭を五本の指先を駆使して翻弄した。
「くぅ…たまんねぇ篦棒(べらぼう)に上手ぇ、手こきじゃねぇかぁっ」
男は湯舟の淵に背中を当ててのけ反りだす。
(何だかんだと…大袈裟な男だ…早漏の役立たたずめっ)
魚丸はやや興ざめして右の男をさっさと果てさせてやろうと思った矢先、
熟れた年増の遊び女が厭らしく唇を半開きにしてのけ反り返る右側の男に勝手に跨がった。
‥おっとっ大胆な年増女だな…
男の太い肉棒の頭を弄んでいた魚丸の手にぞわっとごわついた女の陰毛が触った。
瞬間 挿入の邪魔にならない様にさっと手を引っ込めると…
‥妙な病気を頂戴しそうだ‥‥
ここの温泉は強い酸性のため皮膚病や細菌性の感染症などに効能がある薬湯と立て看板に書かれてる。
‥ なるほどな 白鳥の傷も治るわけか‥
女はニヤつきながらゆっくりと腰を沈め悦に入っていく。
「おまえさんっ いい太竿をお持ちじゃねぇか、あたしにもちょっとばかり味あわせておくれな」
のけ反り返って寸前で果てようかとしていた太い肉棒がぬめる女の肉壷の中にずぶりと入った。
男は自分の魔羅の塩梅が変わった事に気付き目を見開く。
「くっそぉっ 婆ぁっ その汚いけつを退けやがれぇ―っ」
男がガバッと立ち上がり女は仰向けに湯の中に放り出された。
魚丸の肉棒を扱いていた左側の男が驚いて魚丸のそれを放した。
‥やれ面白くもない奴らよ…全く興ざめだな―‥‥
魚丸は急速に萎えた己の股間の一物を手ぬぐいで隠してその場を立ち上がった。
湯の中で慌てる男二人と女に向かって
「馬鹿めらが…」
小さく呟くと三人を一瞥して駒の遊ぶ水場に向かう。
その光景を一部始終見ていた湯治客から三人の男女に失笑の声が起こった。
「くそっ 色小姓っ待ちやがれっ」
面目を潰された男が魚丸を追いかけ背後から襲い掛かる。
「煩い蝿どもだなぁ…」
屈強な男の腕が魚丸の肩に届くか届かぬか、一瞬 目にも止まらぬ速さで大きな男の躯が宙を反転し魚丸の眼前に仰向けに倒れた。
白目を剥いて呆然と天を向く男を見下げた魚丸が
「兄さん、自慢の太い魔羅から子種を蒔く前に小便が漏れていますよ」
‥あはははは‥
魚丸は大の字にひっくり返った男を見下し、何もなかったかのように振る舞うと、楽しげに遊ぶ駒の元に向かう。
「よ―――っ千両役者ぁっ」
にわか‘大向う’が現れ掛け声が飛んだ。
華奢な色男が屈強な入れ墨のやくざ者を懲らしめる。
まるで歌舞伎でも見物しているような場面に出くわした湯治客が興奮しておお声を張り上げたのだ。
浴場全体から万雷の拍手喝采が沸き上がった。
「道理で…あんな美少年、歌舞伎役者でも無いかぎりそうそう拝めるもんじゃないよ」
その噂はあっという間に三笠屋内に広まった。
「さぞや…あっちの具合も格別なんだろうぜっ」
「くぅ…いっぺんでいいから手合わせしてみてぇもんだぜ」
「寝ぼけた事言ってんじゃねぇや 元お小姓頭っていやあお殿様のあっちの方のお世話もしたってはずだぁ おらっちちのこ汚ねえ竿なんざ、おっ立てようもんならたちまち地獄へ真っ逆さまよ」
くわばら‥くわばら
手代達の噂話しに遊女に成れそうもない暗愚(あんぐう)な下女達も加わり、その日は男色の話しで持ち切りだった。
駒は片岡魚丸に付き従い今朝まで弥比古と暮らしていたと言ってもいい離れ座敷に入った。
「ふうん…店構えも女将も下の下だがこの離れ座敷はいい佇まいだ。」
魚丸(ととまる)は主間の上座にゆっくりと進んで行く。
駒は後から畳の縁を踏まないように用心しながらついてゆき
「お客さまぁ…あの…羽織りを」
「ん?」
魚丸は振り返ると
「いいのだよお駒さん。私の事は自分でするから、お駒さんはお駒さんで、しなければならない事があるはずでしょう?」
魚丸がニコニコと笑う。
お駒は魚丸の笑顔に今まで感じた事が無いほど胸が高鳴った。
「それから、私は片岡魚丸…さかなまると書いて‘ととまる’と読みます…」
「さかな? とと?」
駒はまだ漢字を知らない。やっといろはを覚えた所だった。
魚丸は駒の前で着替え始めながら、
「では、夕餉が済んだらお駒さんに漢字をお教えいたしましょうか…」
話しながら綺麗な顔とは裏腹な逞しく発達した筋肉質の身体を現す。後ろ向きになると褌の紐が小さく堅そうな尻の割れ目にそって菊座を隠している。
両方の肩甲骨の間から尻の割れ目まで脊椎が真っすぐにおりて左右均等に背筋が発達し、なだらかな稜線が美しく映る。
駒は抜けるような白い肌としまった臀部から目を離す事ができない。
駒は、大人の男の身体は皆、父親や弥比古と同じだと思っていた。
けれど、魚丸はまるで男の身体には見えなかった。若い女のように透けるほど肌が白く、身体には男なら誰しもが生えているはずの毛が無い。
駒が不思議そうに見ている視線を感じた魚丸が、くるりと駒の方に向きなおった。魚丸の胸は肉が盛り上がり淡い桃色の乳輪その中央のやや赤みを帯た小さな乳首が駒の目の前に現れる。
「お駒さん、なにか私の身体におかしな所がありますか」
魚丸の妖しく魅惑的な笑顔に駒は、どぎまぎとしながら目が泳ぐ。
「お駒さんが裸を見たいのならば私は一向に構いませんが、今から褌を締め直しますよ…」
駒は戸惑いながら…思いきって聞いてみた。
「あのう…」
正座して膝の上の握られた小さな拳に力が入る。
「何ですか」
魚丸の両手が腹の六割れの下の臍にある結び目にかかっていた。
「お客さん、男のなりしてるけど…おんなみてぇに真っ白で毛がねぇ…んだもの…」
「お駒さんは、どっちだと思っていますか?」
魚丸の顔は少年らしい悪戯っ子のような笑顔に戻る。
駒の方は真剣に悩む所だ。
身体に黒い毛が無く裸は萩姉ちゃんに負けないくらい白く透き通っている。胸は丸くはないが自分よりは出ていると駒は思っていた。
しかし、腰巻きでは無く褌を締めている。
「お駒さん、一緒に湯治場へいきませんか…そうすれば私が男か女か分かるでしう」
「湯治場は…女将さんが許してくれない…」
駒は湯治場に行く事は、はなから無理と諦めていた。
炭焼き小屋で親子三人、慎ましやかに暮らしていたころの事が、つい昨日の事のように思いだす。
通称地獄谷と呼ばれる硫黄が湧き出している谷の近くの岩場に温泉があった。
冬眠しない獣は極寒の真冬には、温泉場に集まりこの時ばかりは、お互いの存在を認め争わない不思議な場所だった。
傷を癒す効果もあり、傷ついた獣まで集まって湯に浸かっていた。
駒も岩場のいで湯で父や母と、遠巻きに猿が気持ちよさ気にお湯に浸かっている姿に何度も出くわした。
ケモノでも気持ちがいいのは人と同じだと学んだ。
たまに猪なども湯の中で鼻と目だけ出して気持ち良さそうに湯に浸かっている姿をみて、幼心に打ち殺して肉を頂戴するのが申し訳なく思ったりもした。
こうして、駒は自然の中で、命の尊さや山の恵みの有り難さを学んできたのだった。
「大丈夫。私が一緒ならお女将も文句は言いますまい。」
魚丸(ととまる)は褌(ふんどし)には手をかけず、宿の浴衣に着替えた。
「お駒さん、さあ一緒に行きましょう」
魚丸が手を繋ごうと差し出すが駒は俯いたままもじもじと、小さな身体をくねらすばかりだった。
「私に任せなさい。」
魚丸は小さな駒の手を取った。
宿の店表まで出ると若い手代に
「湯治場から帰ったら、夕餉の支度を頼んだよ。」
「へっへぇ…」
若い手代は魚丸に見つめられぽっと頬を染める。
「さっ、お駒さん」
店表にいた奉公人を尻目に魚丸は駒を三笠屋から連れだした。
表通りを歩く事、数軒で湯治場の建物が目に入ってきた。
軒先の暖簾をくぐると視界が奥まで一気に広がった。
間口は狭いが奥に二層二階建ての建物が左右対称に並び建物の間にはずらりと湯殿が並んでいた。
そのほとんどは男女混浴で簡単な立て板で囲われているだけで、屋根も無い。二階の障子窓からは、裸の湯治客を眺める事ができた。
客は部屋から外湯を眺め、混み具合や湯殿の客の様子を確かめて各々好みの外湯に向かう。
ほの暗い蝋燭の光が各部屋の障子を透して揺らめき見る者によっては、入浴後の卑猥な戯れ事を想像させる。
駒は、湯煙漂う温泉宿の活気に目を輝かせ強引に連れて来られたはずが、好奇心に心躍り、握っていた魚丸の手をギュッと握り返した。
魚丸は優しい妖艶な微笑みで小さな駒を見下ろした。
駒は老若男女の湯治客とその間を行き交う三助や湯女の活気に圧倒されていた。
普段でも紅い頬は
益々上気し、 ほぉーっと 、息を吐いた。
部屋は薬効高い温泉で病や傷を癒すために長逗留している客でほぼ満室状態だった。
「お駒さん、この湯屋はねぇ…」
飯盛り女に部屋を案内されながら魚丸は駒に湯治場の温泉の由来を語り聞かせる。
この白鳥(しらとり)の湯は、その昔、遥か北の国より南の地で営巣するために飛来した一羽の白鳥が…長旅途中で羽か脚を痛め飛べなくなった事に由来する。
群れから離れ、たった一羽でまだ誰にも知られていなかったこの温泉で傷を癒し無事に仲間の元に飛び発ったと言い伝えられた伝説が人の口伝てに広まり、今のような賑わいになったと魚丸が物語った。
「お山の温泉場にも獣が集まってくるんだぁ…おらぁ猿と一緒に湯に浸かった事もあるよ…」
駒は魚丸に笑顔で初めて自分の話しをした。
魚丸は愛おしげに駒を見つめる。
…なんと愛らし
い姫様だ‥‥
案内されたのは、囲い湯が付いた二間続きの部屋だった。
案内した女とは別の飯盛り女が男浴衣と童浴衣を籠に入れ運んできた。
茶瓶と湯呑みを座卓に置くと「ごゆっくり」と挨拶して出ていく。
駒は障子を開けて階下の湯殿で湯治客の男女が裸で屈託なく楽しんでいる姿を眺めていた。
「お駒さん、浴衣に着替えてお湯に入りに行きましょうか…」
魚丸の誘いに素直に従いお駒は黙って頷いた。
魚丸は素直に従う駒の絣(かすり)の着物の簡単に結ばれた帯を解く。
華奢な駒の躯から着物を剥ぐと菱形の粗末な腹かけ一枚で後は何も身に付けていない。
首と腰の紐を解くと幼児特有の柔らかそうな躯が魚丸の目の前であらわになった。
…ビクッと一瞬魚丸の躯が動く。
きめの細かい柔らかな幼児の肌触りに魚丸の若い陰茎が意に沿わぬ反応を始めた。
魚丸は何食わぬ顔で、
「お駒さん、外湯にしますか、それとも囲い湯がいいですか」
と、言いながら駒に浴衣を着せてやる。
「あのぉ、おらぁ大勢居るお湯がいい…」
駒の視線は窓の外に向いている。
「わかりました。では、参りましょうか。」
浴衣を粋に着こなし小さな童の手を引く眉目麗しい若
衆の姿に、外湯に向かう湯治客はもとより三助、湯女にいたるまで皆がため息混じりに視線を向ける。
湯女などは、
「お侍さまぁ、風呂上がりに御用はございませんかぁ…」
と、淫らな誘いをかけてきた。
江戸時代、湯屋といえば、出会い茶屋よろしく自由な性の社交場でもあった。
自由奔放な江戸時代の庶民は湯屋の二階で気に入った者同士、男女に限らずすぐに睦合う事が日常的に行われていた。
周りの視線を集めながら魚丸と駒はこの湯治場で一番広い 不動の湯に着くと、
「さあ、お駒さん入りましょう」
魚丸が下腹で締めた帯に手をかける。
混浴の湯舟の男女が滅多に拝めない眉目秀麗な若衆の裸見たさに客の視線が魚丸の躰一つに集中している。
魚丸は見せびらかすかのようにゆるりと帯を解き始める。
「よっ、若衆っ 焦らすんじゃねぇぞっ」
「早くお前さんの立派な竿を見せとくれっ」
湯煙の先から野次や掛け声が飛ぶ。
妖しく微笑む魚丸の躯から浴衣が床に落ちるとまばゆいばかりの透き通る白い肌が表れた。
「った、たまんねぇ」
「抱かせろぉ―」
そんな下品な野次も魚丸の耳には届かない。
白い下帯を外すと、
素っ頓狂な黄色い声が白鳥の湯治場に響き近くの外湯から何事かと人が集まってきた。
お駒は祭りにでも来たかのような騒ぎに驚きながらも、子供心に魚丸が美しすぎて、人々を惑わしている事を知った。
「お駒さん…さあ」
… 魚丸は屈み駒の浴衣を脱がせると軽々と抱き上げた。
二人の肌が触れ合った途端、魚丸の細くしなやかな筋肉の稜線に象られた躯に似合わない股間の陰茎は、醜い青筋を立て見る間に天を仰ぎだした。
おお―っ
あれぇ―っ
「こっこりゃあ 稀に見る宝刀だよ」
「綺麗な顔して恐ろしいほどの長竿だな…」
「あの長竿、一度で良いからあたいのアソコをほじってくれないかねぇ」
「おめぇみてぇなおかめっ若い旦那のほうでお断りさぁ」
「あの若衆…何とか物にしてぇもんだ」
片手で駒を抱き上げもう片方の手で半立ちの陰茎を軽く掴んで客の視線から隠す。
魚丸は、勝手な野次馬を無視して駒を抱いたままゆっくりと湯に浸かった。
乳白に濁った滑らかでやや熱い湯が皮膚を心地好くひりひりと刺激する。
「ふあぁ…熱いよぉ」
湯に浸かるなり駒が魚丸の身体にしがみつく。
病を癒す湯として名高いこの源泉は高温で大量に湧出している。
毎日湯を溜めて一定の温度まで下げてから湯治客に供しているが童の駒の皮膚を刺激するには充分な熱さだった。
魚丸の身体に密着している所は湯があたらない為幾分刺激も和らぐ。
駒の身体は熱い湯に浸かり、じっとりと汗が滲みだす。
顔が真っ赤に上気してきた。
「お駒さん、少しお湯から上がって体を冷ましてはどうですか。長湯は毒ですよ」
魚丸に優しく諭され駒はそれに従い湯から上がると裸で水場まで駆け出す。
魚丸は半身だけを湯に浸して駒の姿を目で追っていた。
遠目に水場で数人の童どもが楽しげに歓声を上げて遊んでいる。
駒がその童達の中に馴染めるか気になるところだった。
「ごめなさいよっ、ちょっと邪魔するよ」…
示し合わせたかのように魚丸の左右から屈強な躯の遊び人らしい風体の男二人が近づいて来た。
両人とも背中から肩、着物の袖口に隠れる腕まで鮮やかな彫り物で躯を飾っていた。
魚丸は全く意に反さず一瞬ちらりと流し目で男を見るがすぐに駒を目で追う。
「兄さん、おいら達と遊ばないかい」
そう言うと右側の男がゆっくりと湯の中に身体を沈め、魚丸の手首を掴んだ。
そして強引に己の肉棒に持っていった。
「さあ黙って扱きなっ」
魚丸の耳元で凄む。
やれやれ…
左側の男は、
「俺はたっぷり兄さんを可愛がってやるよっ」
そう言うと、湯の中でだらりと萎えた魚丸の肉棒を掴み、待てしばしなく扱きだす。
あっ ぅぅぅ
綺麗な面(おもて)の眉間に苦悶の皺がよる。
魚丸は視線を駒から逸らす事なく男二人の凌辱に身を任せた。
「兄さん、ったくぅゾクゾクするほど色っぽいさねぇ」
左側の男は魚丸の肉棒の硬さと浮き出る太い血管を手の平で感じながらゆっくりと上下に扱き上げていく。
人差し指で肉棒の先端の亀頭の形を確かめる。
「くぅ…」
敏感な先端は人差し指でなぞられただけでも反応し手の平の中で反り返った。
湯舟の淵で妖しくうごめく三人にいち早く気がついた遊び女がそっと近づいて来た。
魚丸は左側の男の手淫を何とかかわしながら、右側の男の手に余る太竿の先端の傘の開いた大きな頭を五本の指先を駆使して翻弄した。
「くぅ…たまんねぇ篦棒(べらぼう)に上手ぇ、手こきじゃねぇかぁっ」
男は湯舟の淵に背中を当ててのけ反りだす。
(何だかんだと…大袈裟な男だ…早漏の役立たたずめっ)
魚丸はやや興ざめして右の男をさっさと果てさせてやろうと思った矢先、
熟れた年増の遊び女が厭らしく唇を半開きにしてのけ反り返る右側の男に勝手に跨がった。
‥おっとっ大胆な年増女だな…
男の太い肉棒の頭を弄んでいた魚丸の手にぞわっとごわついた女の陰毛が触った。
瞬間 挿入の邪魔にならない様にさっと手を引っ込めると…
‥妙な病気を頂戴しそうだ‥‥
ここの温泉は強い酸性のため皮膚病や細菌性の感染症などに効能がある薬湯と立て看板に書かれてる。
‥ なるほどな 白鳥の傷も治るわけか‥
女はニヤつきながらゆっくりと腰を沈め悦に入っていく。
「おまえさんっ いい太竿をお持ちじゃねぇか、あたしにもちょっとばかり味あわせておくれな」
のけ反り返って寸前で果てようかとしていた太い肉棒がぬめる女の肉壷の中にずぶりと入った。
男は自分の魔羅の塩梅が変わった事に気付き目を見開く。
「くっそぉっ 婆ぁっ その汚いけつを退けやがれぇ―っ」
男がガバッと立ち上がり女は仰向けに湯の中に放り出された。
魚丸の肉棒を扱いていた左側の男が驚いて魚丸のそれを放した。
‥やれ面白くもない奴らよ…全く興ざめだな―‥‥
魚丸は急速に萎えた己の股間の一物を手ぬぐいで隠してその場を立ち上がった。
湯の中で慌てる男二人と女に向かって
「馬鹿めらが…」
小さく呟くと三人を一瞥して駒の遊ぶ水場に向かう。
その光景を一部始終見ていた湯治客から三人の男女に失笑の声が起こった。
「くそっ 色小姓っ待ちやがれっ」
面目を潰された男が魚丸を追いかけ背後から襲い掛かる。
「煩い蝿どもだなぁ…」
屈強な男の腕が魚丸の肩に届くか届かぬか、一瞬 目にも止まらぬ速さで大きな男の躯が宙を反転し魚丸の眼前に仰向けに倒れた。
白目を剥いて呆然と天を向く男を見下げた魚丸が
「兄さん、自慢の太い魔羅から子種を蒔く前に小便が漏れていますよ」
‥あはははは‥
魚丸は大の字にひっくり返った男を見下し、何もなかったかのように振る舞うと、楽しげに遊ぶ駒の元に向かう。
「よ―――っ千両役者ぁっ」
にわか‘大向う’が現れ掛け声が飛んだ。
華奢な色男が屈強な入れ墨のやくざ者を懲らしめる。
まるで歌舞伎でも見物しているような場面に出くわした湯治客が興奮しておお声を張り上げたのだ。
浴場全体から万雷の拍手喝采が沸き上がった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
御懐妊
戸沢一平
歴史・時代
戦国時代の末期、出羽の国における白鳥氏と最上氏によるこの地方の覇権をめぐる物語である。
白鳥十郎長久は、最上義光の娘布姫を正室に迎えており最上氏とは表面上は良好な関係であったが、最上氏に先んじて出羽国の領主となるべく虎視淡々と準備を進めていた。そして、天下の情勢は織田信長に勢いがあると見るや、名馬白雲雀を献上して、信長に出羽国領主と認めてもらおうとする。
信長からは更に鷹を献上するよう要望されたことから、出羽一の鷹と評判の逸物を手に入れようとするが持ち主は白鳥氏に恨みを持つ者だった。鷹は譲れないという。
そんな中、布姫が懐妊する。めでたい事ではあるが、生まれてくる子は最上義光の孫でもあり、白鳥にとっては相応の対応が必要となった。
肩越の逢瀬 韋駄天お吟結髪手控
紅侘助(くれない わびすけ)
歴史・時代
江戸吉原は揚屋町の長屋に住む女髪結師のお吟。
日々の修練から神速の手業を身につけ韋駄天の異名を取るお吟は、ふとしたことから角町の妓楼・揚羽屋の花魁・露菊の髪を結うように頼まれる。
お吟は露菊に辛く悲しいを別れをせねばならなかった思い人の気配を感じ動揺する。
自ら望んで吉原の遊女となった露菊と辛い過去を持つお吟は次第に惹かれ合うようになる。
その二人の逢瀬の背後で、露菊の身請け話が進行していた――
イラストレーター猫月ユキ企画「花魁はなくらべ その弐」参加作。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
大奥~牡丹の綻び~
翔子
歴史・時代
*この話は、もしも江戸幕府が永久に続き、幕末の流血の争いが起こらず、平和な時代が続いたら……と想定して書かれたフィクションとなっております。
大正時代・昭和時代を省き、元号が「平成」になる前に候補とされてた元号を使用しています。
映像化された数ある大奥関連作品を敬愛し、踏襲して書いております。
リアルな大奥を再現するため、性的描写を用いております。苦手な方はご注意ください。
時は17代将軍の治世。
公家・鷹司家の姫宮、藤子は大奥に入り御台所となった。
京の都から、慣れない江戸での生活は驚き続きだったが、夫となった徳川家正とは仲睦まじく、百鬼繚乱な大奥において幸せな生活を送る。
ところが、時が経つにつれ、藤子に様々な困難が襲い掛かる。
祖母の死
鷹司家の断絶
実父の突然の死
嫁姑争い
姉妹間の軋轢
壮絶で波乱な人生が藤子に待ち構えていたのであった。
2023.01.13
修正加筆のため一括非公開
2023.04.20
修正加筆 完成
2023.04.23
推敲完成 再公開
2023.08.09
「小説家になろう」にも投稿開始。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる