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第三章 異変
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九条が言った。
「えっ!?何かわかったのかい?」
葵は呆れて言った。
「僕を誰だと思っているのです?何も考えずに、ただ散歩をしていたとでも?」
五月が言った。
「えっ!そうじゃないの?」
葵は言った。
「心外ですね……」
有紀が言った。
「話してくれ……葵…」
葵は言った。
「まぁ、糸口と言える程かは、わかりませんが……。まず3つの施設…植物館、芸術館に教会……。では、この中で仲間外れはどれでしょう?」
五月が言った。
「何よ……いきなりクイズ?まあいいわ……私はわかってたわ……それは…」
皆が見守る中、五月は答えた。
「植物館よっ!」
葵が言った。
「何故です?」
五月は得意気に言った。
「勘よっ!か・んっ!」
葵は呆れて言った。
「そうですか……。まぁ僕の考えは違いますけど…」
五月は口を尖らせて言った。
「なによっ!」
有紀が言った。
「教会……教会か……。教会にあって、二つの施設に無いのは……それは浮遊している『球』……。そして、二つの施設にあって、教会に無いのは…『芸術性』…」
葵が言った。
「さすがは有紀さん……ご名答……。つまり教会が三つの施設で唯一異なる建造物であり、言い方を変えれば……二つの施設を繋ぐ『中心』とも言えます」
歩が言った。
「だとしたら…どうなる?」
「つまり、植物館と芸術館に共通するものがあるはず…」
九条が言った。
「それはなんなんだい?」
葵はサラリと言った。
「それは、わかりません」
五月が噛み付いた。
「なによっ!偉そうに言っておいてっ!」
歩が言った。
「まぁまぁ……五月ちゃん……落ち着いて…」
五月が葵に襲いかかろうとした時に、上の階から、陸と赤塚、亜美と愛が戻ってきた。
陸が言った。
「五月ちゃん……凄い形相だけど、どうしたの?」
五月は慌てて、体勢を戻して頭をかいた。
「いえっ……なんでも……はははっ!…」
亜美が言った。
「騒がしい人ね…」
九条が赤塚に言った。
「赤塚さん……落ち着きましたか?」
赤塚が言った。
「ええ……まだ夢じゃないかと思うところもありますが……。これらはいったい?」
陸が言った。
「まぁ、長期休暇だと思えば……気は楽っすよ…」
亜美も陸に賛同した。
「そうですよ、こんな機会めったに無いですから……皆で楽しみましょっ」
赤塚は苦笑いしながら言った。
「はぁ……そうですね、そう思う事にします」
九条が言った。
「とにかく明日は二人の歓迎会だね…」
陸が言った。
「いいっすね…」
歩が愚痴った。
「料理作る身にもなってよ……。俺…コックじゃないんだぜ…」
有紀が歩に言った。
「お前は料理でも一日中作っていろ……。その方が平和でいい…」
歩は頭を抱えた。
「あのなぁ、有紀…お前…」
愛が歩を宥める。
「まぁまぁ、歩さん……私も手伝いますから…」
五月が葵に言った。
「ねぇねぇ、やっぱあの二人……いい感じじゃない?」
葵は不思議そうに言った。
「何を言っているんです?…そんなことより、あなたも料理を手伝ったらどうですか?カメラをぶら下げて僕をストーキングするより、よっぽどいいですよ…」
五月は激昂した。
「あんたねぇっ!ストーカーじゃ無いって、何度言ったら…」
九条が宥める。
「五月ちゃん落ち着いてっ!」
皆が集まり、ガヤガヤしだして、話どころでは無くなってしまった。
皆で賑やかに語らい、時間が過ぎていった。
……三日目…午前……
葵は目を覚まし、洗面所で顔を洗っている。
昨夜はあれから少し皆と語らい、それぞれ部屋に戻り就寝した。
もうすぐ朝の集合時間だ。
「今日は間に合いそうだ…」
葵はそう呟くと、部屋を出て食堂へ向かった。
あの記憶喪失の女性は食堂に来ているだろうか?
そんな事を考えつつ葵は向かった。
食堂に入ると祥子と五月、愛……それに記憶喪失の女性がテーブルを囲い何か話している。
その様子を九条と歩が見ている。
葵は九条と歩に話し掛けた。
「おはようございます…」
葵に気付いた歩は嫌味を言ってみた。
「おはよう、珍しく早いじゃん」
葵は淡々と答えた。
「また協調性が無いと、誰かさんに言われますから…」
九条が言った。
「いや、規則正しい生活は大切な事だよ」
すると 葵は女性陣を指差し、言った。
「何をやってるんです?」
歩が言った。
「彼女のアダ名を考えてるんだとさ…」
「アダ名……ですか……」
「そっ、呼び名が無いと不便だと…」
「確かに……不便です……」
九条が感動して言った。
「良い事だよ……。皆で仲間を想う……素晴らしいじゃないか…」
歩は呆れて立ち上がった。
「何言ってんだ……。葵君、トーストでいい?」
「ええ……それにしても歩さん、すっかりコックですね」
「勘弁してよ」
そう言って歩は厨房へ言った。
すると五月が声を上げた。
「いいんじゃないですか、それで…」
愛も言った。
「そうね、イメージにも合うわ…」
祥子が言った。
「ベタだけど…いいかしら?…」
女性が言った。
「私…なんでも……。あ、ありがとう…」
それらの様子を見て九条が言った。
「どうやら決まったようだね」
「そのようです…」
すると葵と九条の方に五月が来た。
「呼び名が決まりました」
少しもったいぶって、五月は呼び名を言った。
「マリアさんです」
九条はキョトンとして言った。
「マリア…」
葵は肩肘で、顎を支えて言った。
「誰の提案ですか?祥子さんですか?」
祥子が言った。
「よくわかったわね……。私よ、考えたのは……。清楚なイメージにピッタリでしょ?」
葵は言った。
「そうですね……イメージにも合いますし、複雑でもないので、バランスも良いです…」
「あなたにそう言ってもらえると……嬉しいわ。月島君」
「それはどうも……」
九条が感動して言った。
「よかったじゃないかっ!これで晴れて彼女も僕たちの仲間だ……。さっそく皆に紹介しよう……もう皆も集まる…」
その後九条が、陸と亜美、赤塚と有紀に、率先して紹介したのは言うまでもない。
「えっ!?何かわかったのかい?」
葵は呆れて言った。
「僕を誰だと思っているのです?何も考えずに、ただ散歩をしていたとでも?」
五月が言った。
「えっ!そうじゃないの?」
葵は言った。
「心外ですね……」
有紀が言った。
「話してくれ……葵…」
葵は言った。
「まぁ、糸口と言える程かは、わかりませんが……。まず3つの施設…植物館、芸術館に教会……。では、この中で仲間外れはどれでしょう?」
五月が言った。
「何よ……いきなりクイズ?まあいいわ……私はわかってたわ……それは…」
皆が見守る中、五月は答えた。
「植物館よっ!」
葵が言った。
「何故です?」
五月は得意気に言った。
「勘よっ!か・んっ!」
葵は呆れて言った。
「そうですか……。まぁ僕の考えは違いますけど…」
五月は口を尖らせて言った。
「なによっ!」
有紀が言った。
「教会……教会か……。教会にあって、二つの施設に無いのは……それは浮遊している『球』……。そして、二つの施設にあって、教会に無いのは…『芸術性』…」
葵が言った。
「さすがは有紀さん……ご名答……。つまり教会が三つの施設で唯一異なる建造物であり、言い方を変えれば……二つの施設を繋ぐ『中心』とも言えます」
歩が言った。
「だとしたら…どうなる?」
「つまり、植物館と芸術館に共通するものがあるはず…」
九条が言った。
「それはなんなんだい?」
葵はサラリと言った。
「それは、わかりません」
五月が噛み付いた。
「なによっ!偉そうに言っておいてっ!」
歩が言った。
「まぁまぁ……五月ちゃん……落ち着いて…」
五月が葵に襲いかかろうとした時に、上の階から、陸と赤塚、亜美と愛が戻ってきた。
陸が言った。
「五月ちゃん……凄い形相だけど、どうしたの?」
五月は慌てて、体勢を戻して頭をかいた。
「いえっ……なんでも……はははっ!…」
亜美が言った。
「騒がしい人ね…」
九条が赤塚に言った。
「赤塚さん……落ち着きましたか?」
赤塚が言った。
「ええ……まだ夢じゃないかと思うところもありますが……。これらはいったい?」
陸が言った。
「まぁ、長期休暇だと思えば……気は楽っすよ…」
亜美も陸に賛同した。
「そうですよ、こんな機会めったに無いですから……皆で楽しみましょっ」
赤塚は苦笑いしながら言った。
「はぁ……そうですね、そう思う事にします」
九条が言った。
「とにかく明日は二人の歓迎会だね…」
陸が言った。
「いいっすね…」
歩が愚痴った。
「料理作る身にもなってよ……。俺…コックじゃないんだぜ…」
有紀が歩に言った。
「お前は料理でも一日中作っていろ……。その方が平和でいい…」
歩は頭を抱えた。
「あのなぁ、有紀…お前…」
愛が歩を宥める。
「まぁまぁ、歩さん……私も手伝いますから…」
五月が葵に言った。
「ねぇねぇ、やっぱあの二人……いい感じじゃない?」
葵は不思議そうに言った。
「何を言っているんです?…そんなことより、あなたも料理を手伝ったらどうですか?カメラをぶら下げて僕をストーキングするより、よっぽどいいですよ…」
五月は激昂した。
「あんたねぇっ!ストーカーじゃ無いって、何度言ったら…」
九条が宥める。
「五月ちゃん落ち着いてっ!」
皆が集まり、ガヤガヤしだして、話どころでは無くなってしまった。
皆で賑やかに語らい、時間が過ぎていった。
……三日目…午前……
葵は目を覚まし、洗面所で顔を洗っている。
昨夜はあれから少し皆と語らい、それぞれ部屋に戻り就寝した。
もうすぐ朝の集合時間だ。
「今日は間に合いそうだ…」
葵はそう呟くと、部屋を出て食堂へ向かった。
あの記憶喪失の女性は食堂に来ているだろうか?
そんな事を考えつつ葵は向かった。
食堂に入ると祥子と五月、愛……それに記憶喪失の女性がテーブルを囲い何か話している。
その様子を九条と歩が見ている。
葵は九条と歩に話し掛けた。
「おはようございます…」
葵に気付いた歩は嫌味を言ってみた。
「おはよう、珍しく早いじゃん」
葵は淡々と答えた。
「また協調性が無いと、誰かさんに言われますから…」
九条が言った。
「いや、規則正しい生活は大切な事だよ」
すると 葵は女性陣を指差し、言った。
「何をやってるんです?」
歩が言った。
「彼女のアダ名を考えてるんだとさ…」
「アダ名……ですか……」
「そっ、呼び名が無いと不便だと…」
「確かに……不便です……」
九条が感動して言った。
「良い事だよ……。皆で仲間を想う……素晴らしいじゃないか…」
歩は呆れて立ち上がった。
「何言ってんだ……。葵君、トーストでいい?」
「ええ……それにしても歩さん、すっかりコックですね」
「勘弁してよ」
そう言って歩は厨房へ言った。
すると五月が声を上げた。
「いいんじゃないですか、それで…」
愛も言った。
「そうね、イメージにも合うわ…」
祥子が言った。
「ベタだけど…いいかしら?…」
女性が言った。
「私…なんでも……。あ、ありがとう…」
それらの様子を見て九条が言った。
「どうやら決まったようだね」
「そのようです…」
すると葵と九条の方に五月が来た。
「呼び名が決まりました」
少しもったいぶって、五月は呼び名を言った。
「マリアさんです」
九条はキョトンとして言った。
「マリア…」
葵は肩肘で、顎を支えて言った。
「誰の提案ですか?祥子さんですか?」
祥子が言った。
「よくわかったわね……。私よ、考えたのは……。清楚なイメージにピッタリでしょ?」
葵は言った。
「そうですね……イメージにも合いますし、複雑でもないので、バランスも良いです…」
「あなたにそう言ってもらえると……嬉しいわ。月島君」
「それはどうも……」
九条が感動して言った。
「よかったじゃないかっ!これで晴れて彼女も僕たちの仲間だ……。さっそく皆に紹介しよう……もう皆も集まる…」
その後九条が、陸と亜美、赤塚と有紀に、率先して紹介したのは言うまでもない。
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