1 / 1
結婚式直前に「好きな人が出来たから別れてくれ」と言われた元旦那の恋人が男だった。
しおりを挟む
「俺、好きな人が出来たんだ」
「一一は?」
「だから別れてくれ!」
「結婚式まで1週間もないのよ!?冗談でも笑えないわ!」
「冗談なんかじゃない。一目惚れしてしまったんだ……」
アンニュイに言ってるけど、新しく好きな人が出来たから私との結婚式はや~めた!ってこと?
「勝手にしろ!!」
バンッと机を叩いて立ち上がり、早足で部屋を出た。無責任で浮気性な夫なんてこちらから願い下げだ。
◆
結婚式は1人でやるわけにもいかず、全員に諸事情で結婚式はなくなったと断りの手紙を出した。当日のスケジュール表をビリビリに破き、粉々になったゴミを捨てていると「郵便でーす」と声をかけられる。
「はーい」
「郵便でーす」
「わかってるわよ、手紙は?」
「あるけどない」
「はぁ?」
メッセンジャーのこいつは幼なじみのラフィ。郵便物があるのにないとはどういうことだ。
「早く渡して」
「……だって、お前、見たら……」
「……もしかして、元旦那からの手紙?」
「うっ」
「はぁ……私はもう割り切ってるから。ほら早く」
「……ほらよ」
中身を開けてみると、中身は『結婚式の招待状』だった。クシャ、と封筒を握りつぶし、元旦那の幸せそうに笑う顔を想像してさらに腹が立った。
私と別れたあとすぐ結婚式をするのはいいけど、元妻を、それも結婚式直前に別れた元妻を普通結婚式に呼ぶか?頭沸いてんのか?
「お、おい、大丈夫か?」
「……ふふ、ふふふ……そう、そっちがその気なら行ってやろうじゃねぇの」
「お、おう……大丈夫そうなら、よかった……じゃあ俺はこれで……」
ドンッ、床を踏みつける。
ドンッ、ドンッドンッドンッ、ドンドンドンドンドン!
「くっそ!!なんなんだよ!私との結婚はどうでもよくて、別の女と結婚を前提に二股してたっけわけかよ!」
フるなら結婚式1週間切った直前だったからこそ、底辺クズ男だとなんの未練もなく気持ちが割り切れたのかもしれないけど。それでも、それでも他の女との結婚式に招待されるのは嫌だ。どんな顔をして会いに来ると思ってやがるんだ。
「……はぁ、何仕込んでやろうかな……」
◆
「……ってことがあってさぁ!」
「まあまあ、飲み過ぎだよエリー」
「あのクソ野郎の顔、一発殴らないと気が済まない」
「目が座ってるよ……ほんとにしないでね?」
彼は友人のテンドルド。酒場で働いており、ヤケ酒をしに来た私の話に付き合ってくれていた。元旦那の愚痴をひたすら恨みつらみ言っていると、彼の左手にキラリと光るものを見つける。
「テンドルド、指輪なんかしてたっけ?」
「あ、えへへ。僕、今度結婚するんだ」
「えー!おめでとう!なんで言ってくれなかったの!?」
「エリーがそんな状況で言えるわけないじゃん……」
「確かに……」
にへらと笑うテンドルドは心底嬉しそうだった。彼は優しいし、いい人を捕まえてやっと結婚できるのかと友人として嬉しいことこの上ない。
「今日、迎えに来てくれるって言ってたから会っていく?」
「え!会う会う!どんな人か凄い気になる!」
「変な絡み方しないでよね」
「大丈夫!テンドルドの友人ですって挨拶したらもう帰るからさ」
お勘定を先に済ませて、話しながらテンドルドの彼女を待つ。しばらくすると酒が回ってきて眠くなってくるが、テンドルドの彼女に挨拶してから帰らないと……
「テンドルド」
「あ、来た!」
「んぇ?……は?」
「は、なんでお前が……」
「あれ?二人は知り合いだったの?紹介するね、僕の恋人の……」
「いや、私の元旦那……」
「え?」
「え?」
いや、別れられた理由の"好きになった人"って男だったんかーーーい!!
しかもなんならテンドルドって!!招待状をまともに読まずに捨てたせいで、新婦の名前なんて見てなかったけど……いや、いつから男が好きだったんだこいつ……
「ふざけんなーー!!」
「一一は?」
「だから別れてくれ!」
「結婚式まで1週間もないのよ!?冗談でも笑えないわ!」
「冗談なんかじゃない。一目惚れしてしまったんだ……」
アンニュイに言ってるけど、新しく好きな人が出来たから私との結婚式はや~めた!ってこと?
「勝手にしろ!!」
バンッと机を叩いて立ち上がり、早足で部屋を出た。無責任で浮気性な夫なんてこちらから願い下げだ。
◆
結婚式は1人でやるわけにもいかず、全員に諸事情で結婚式はなくなったと断りの手紙を出した。当日のスケジュール表をビリビリに破き、粉々になったゴミを捨てていると「郵便でーす」と声をかけられる。
「はーい」
「郵便でーす」
「わかってるわよ、手紙は?」
「あるけどない」
「はぁ?」
メッセンジャーのこいつは幼なじみのラフィ。郵便物があるのにないとはどういうことだ。
「早く渡して」
「……だって、お前、見たら……」
「……もしかして、元旦那からの手紙?」
「うっ」
「はぁ……私はもう割り切ってるから。ほら早く」
「……ほらよ」
中身を開けてみると、中身は『結婚式の招待状』だった。クシャ、と封筒を握りつぶし、元旦那の幸せそうに笑う顔を想像してさらに腹が立った。
私と別れたあとすぐ結婚式をするのはいいけど、元妻を、それも結婚式直前に別れた元妻を普通結婚式に呼ぶか?頭沸いてんのか?
「お、おい、大丈夫か?」
「……ふふ、ふふふ……そう、そっちがその気なら行ってやろうじゃねぇの」
「お、おう……大丈夫そうなら、よかった……じゃあ俺はこれで……」
ドンッ、床を踏みつける。
ドンッ、ドンッドンッドンッ、ドンドンドンドンドン!
「くっそ!!なんなんだよ!私との結婚はどうでもよくて、別の女と結婚を前提に二股してたっけわけかよ!」
フるなら結婚式1週間切った直前だったからこそ、底辺クズ男だとなんの未練もなく気持ちが割り切れたのかもしれないけど。それでも、それでも他の女との結婚式に招待されるのは嫌だ。どんな顔をして会いに来ると思ってやがるんだ。
「……はぁ、何仕込んでやろうかな……」
◆
「……ってことがあってさぁ!」
「まあまあ、飲み過ぎだよエリー」
「あのクソ野郎の顔、一発殴らないと気が済まない」
「目が座ってるよ……ほんとにしないでね?」
彼は友人のテンドルド。酒場で働いており、ヤケ酒をしに来た私の話に付き合ってくれていた。元旦那の愚痴をひたすら恨みつらみ言っていると、彼の左手にキラリと光るものを見つける。
「テンドルド、指輪なんかしてたっけ?」
「あ、えへへ。僕、今度結婚するんだ」
「えー!おめでとう!なんで言ってくれなかったの!?」
「エリーがそんな状況で言えるわけないじゃん……」
「確かに……」
にへらと笑うテンドルドは心底嬉しそうだった。彼は優しいし、いい人を捕まえてやっと結婚できるのかと友人として嬉しいことこの上ない。
「今日、迎えに来てくれるって言ってたから会っていく?」
「え!会う会う!どんな人か凄い気になる!」
「変な絡み方しないでよね」
「大丈夫!テンドルドの友人ですって挨拶したらもう帰るからさ」
お勘定を先に済ませて、話しながらテンドルドの彼女を待つ。しばらくすると酒が回ってきて眠くなってくるが、テンドルドの彼女に挨拶してから帰らないと……
「テンドルド」
「あ、来た!」
「んぇ?……は?」
「は、なんでお前が……」
「あれ?二人は知り合いだったの?紹介するね、僕の恋人の……」
「いや、私の元旦那……」
「え?」
「え?」
いや、別れられた理由の"好きになった人"って男だったんかーーーい!!
しかもなんならテンドルドって!!招待状をまともに読まずに捨てたせいで、新婦の名前なんて見てなかったけど……いや、いつから男が好きだったんだこいつ……
「ふざけんなーー!!」
3
お気に入りに追加
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄からの絆
岡崎 剛柔
恋愛
アデリーナ=ヴァレンティーナ公爵令嬢は、王太子アルベールとの婚約者だった。
しかし、彼女には王太子の傍にはいつも可愛がる従妹のリリアがいた。
アデリーナは王太子との絆を深める一方で、従妹リリアとも強い絆を築いていた。
ある日、アデリーナは王太子から呼び出され、彼から婚約破棄を告げられる。
彼の隣にはリリアがおり、次の婚約者はリリアになると言われる。
驚きと絶望に包まれながらも、アデリーナは微笑みを絶やさずに二人の幸せを願い、従者とともに部屋を後にする。
しかし、アデリーナは勘当されるのではないか、他の貴族の後妻にされるのではないかと不安に駆られる。
婚約破棄の話は進まず、代わりに王太子から再び呼び出される。
彼との再会で、アデリーナは彼の真意を知る。
アデリーナの心は揺れ動く中、リリアが彼女を支える存在として姿を現す。
彼女の勇気と言葉に励まされ、アデリーナは再び自らの意志を取り戻し、立ち上がる覚悟を固める。
そして――。
やって良かったの声「婚約破棄してきた王太子殿下にざまぁしてやりましたわ!」
家紋武範
恋愛
ポチャ娘のミゼット公爵令嬢は突然、王太子殿下より婚約破棄を受けてしまう。殿下の後ろにはピンクブロンドの男爵令嬢。
ミゼットは余りのショックで寝込んでしまうのだった。
そのまま悪役令嬢についていって大丈夫ですよ。溺愛してくれない貴方と別れるために悪役令嬢と結託したことを彼は知らない
朱之ユク
恋愛
スカーレットは悪役令嬢のアンジェリカに婚約者を取られてしまう。自分よりも美しく、賢く、才能も溢れるアンジェリカに婚約者を取られたスカーレットはさぞ悔しがる、と思いきや、実はスカーレットとアンジェリカは仲が良く、婚約者と別れるためにわざとアンジェリカを好きになってもらうようにしたのだ。
あなたが本当のことに気付くことは無いので、アンジェリカにこっぴどく振られて悲しんでいてください
婚約破棄ですか?では、あなたの幸せ壊させていただきます。
ルー
恋愛
ステライト王国には一つの王立学院がある。そこはステライト王国の貴族は必ず卒業しなければならなく、また留年、退学した者は貴族とは認められず、貴族籍を抹消されるほど重要な所だった。また、学院には四回の夜会がある。夜会と言っても生徒会主催のデビューのための練習ではあるが、とても立派な夜会だった。四回の夜会はそれぞれ春の夜会、夏の夜会、秋の夜会、冬の夜会と呼ばれていた。春の夜会ではサクラが咲く時期に行い、夏は夏休みの前日に行い、秋は紅葉が素晴らしい時期に行い、冬は粉雪が舞い散る時期に行った。その四つの夜会の中でも、特別大切な夜会とされているのが春の夜会だった。学院の卒業式は四月上旬。入学式の一週間ほど前だった。時を同じくして春の夜会がひらかれる。そう、卒業式の前日に、別名卒業パーティーとして・・・。そんな春の夜会でステライト王国の第一王子が婚約者に婚約破棄を叩きつける。
バットエンドは王子様だけです。あわないと思った方はブラウザバックをお願いします。
運命の人は貴方ではなかった
富士山のぼり
恋愛
「パウラ・ ヴィンケル……君との婚約は破棄させてもらう。」
「フレド、何で……。」
「わざわざ聞くのか? もう分かっているだろう、君も。」
「……ご実家にはお話を通されたの?」
「ああ。両親とも納得していなかったが最後は認めてくれた。」
「……。」
「私には好きな女性が居るんだ。本気で愛している運命の人がな。
その人の為なら何でも出来る。」
【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。
まりぃべる
恋愛
私はアイリーン=トゥブァルクと申します。お父様は辺境伯爵を賜っておりますわ。
私には、14歳の時に決められた、婚約者がおりますの。
お相手は、ガブリエル=ドミニク伯爵令息。彼も同じ歳ですわ。
けれど、彼に言われましたの。
「泥臭いお前とはこれ以上一緒に居たくない。婚約破棄だ!俺は、伯爵令息だぞ!ソニア男爵令嬢と結婚する!」
そうですか。男に二言はありませんね?
読んでいただけたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる