18 / 36
11-5:真夜中のキス
しおりを挟む
11-5:真夜中のキス
かなり前に目覚めていたイリ最愛の彼、
タカオミは天井にいつの間にか開いた穴を、
ずーっと見つめていた。
今にも、その穴の闇へ消えそうな気配だったが、
僅かなともし火のような気力だけで考え悩んでいた…。
…足元には、プリントアウトされた写真と、
メモが散らかり、後頭部は腫れズキズキ疼いていた…。
『”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”コドモ”コドモ”コドモ”ダレ?”ダレノ?”
”オレ”オレノ”オレノコ”
うわぁあああああああ!!!
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
シニタイ………。
鬼! 悪魔!! 悪夢のナナ!
な、名前すら言いたくも無い!
”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”
な、なんで、俺の部屋にゴムがあるのかやっと分かった…。
ナナはナナがあいつは、寝室に忍び込んで来てたんだ…。
参上の印に置いて行ったんだぁああああ!!!
さすが、レディース! やることが外道!
そして、そして、そして…
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
俺の貞操は…
操が…
奪われた…
ナナに!!!
”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”
うわぁああああああ~!!!
シニタイ……!
いったいこの先、俺どーなる?
ヒカルさんの話に乗って海外逃亡!
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
………
イリを置いて行けない!
でも、でも、でも、公開しないと約束した”絵”…』
タカオミはメモの内容を思い出した。文面は…こう、書かれていた…。
|惣領タカオミ様
|君に幸あれと思う今日この頃。
|もうお分かりですね?
|ナナちゃんとの情事を最愛のあの子に、
|ばらされたく無かったら。
|指二本で手を打とう!
|(黒いドレスのナナちゃんの絵は。なんとでもなるよね?)
|あ、もちろんこれは、こちらがお支払できる
|最上位作家クラスへのギャランティだとお考え下さい。
|良いお話だと思われますが?
|モチロン。トリミングとかはするから、
|任せて安心♪
|劇団コンソメスープ所属劇団員
|シオンより
『どうすりゃいいんだぁ~~~!!
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
イリ~~~!!
ア・イ・シ・テ・ル~~~!』
頭の中を同じ言葉が、ぐるぐ~る渦巻くタカオミは、
天井の穴を見つめたまま、滝のような汗を流していた…。
*
イリたちは学校からの帰り、
カナのマンションで引越しの打ち合わせしようと歩いていた。
「引越しつっても、着る物とか。
マンガとか、マンガとか。マンガとマンガ!
マンガ位しかないな~簡単に済みそうだ。ギャハ」
ミサキが言うと、
「マンガばっかり~ あはは」
カナはニコニコしていた。
「しょうがにゃぃ奴…
しょだねぇ~~ 家具も何もかも揃ってるホテルみたいなものだし。
ごはんの材料は生活費決めてみなでやりくり~
お米は任しといて♪」
アヤンの家は米問屋なので、幾らでも美味しいのを提供してくれそうだった。
「そうそう。
言い忘れてたけど不動産屋さんから連絡があって、
最上階に住む人が一人決まったって」
カナが言いだした。
「最上階の部屋だけ誰かに賃すの? ほんとの管理人だ。カナちゃま」
ミサキが言った。
「まさか~ 管理人は無理よぉ。
パパがね管理人さん候補何人か見つけたらしくて、
今度の日曜、私が面接して選ばないといけないみたいなの…
こんなの初めてだから、今から緊張するぅ~」
「ほほぉ~ 皆で面接手伝うか?
あなた帰っていいよ。
はぃ! 次の方どうぞ~とか。おもろそう♪」
ミサキがふざけると、
「駄目よ遊びじゃないんだから」
「そうそう」
カナとアヤンがたしなめた。
「へいへい…
しっかし、こいつ。ほんっと嬉しそうだよな~」
ミサキはイリの顔の前で、手を左右に早く振ったり、ゆっくり振ったりした。
「うふふ~♪ うふぅ~♪ キャハ♪ うふふふふふ♪ ふぅ~♪ あは♪♪♪」
イリは学校を出てからずっとニコニコニヤニヤし目も、頭の上も体全部から、
ハートマークがフワフワ浮いていた。
「ラブラブモード全開中~♪」
アヤンが言うと、
「誰かを好きになるって素敵ですわ~ つんつん♪」
カナがイリのほっぺをつつくと、ハートマークが飛び出した♪
「何おっしゃいますやら。
カナにはれっきとした許婚(いいなずけ)がいるじゃーん。
御曹司がっ! 名前なんだったっけ?
お金持ちは、もっとお金持ちになる定めか~」
ミサキはうらやましそうだった。
「明王タケルさん…。
でも、親同士が勝手に決めた相手なだけだし。
と~ってもお忙しい方だから、ほとんど逢えてないし…」
「ご令嬢には般ピーのあたしらには理解不能~なお悩みがありゅの。
ストレートに突っ込まにゃい」
アヤンはカナの様子に気づいて言った。
「スマン! スマン! 悪気は無い~」
ペコペコするミサキだった。
かなり前に目覚めていたイリ最愛の彼、
タカオミは天井にいつの間にか開いた穴を、
ずーっと見つめていた。
今にも、その穴の闇へ消えそうな気配だったが、
僅かなともし火のような気力だけで考え悩んでいた…。
…足元には、プリントアウトされた写真と、
メモが散らかり、後頭部は腫れズキズキ疼いていた…。
『”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”ばらすよ?”
”コドモ”コドモ”コドモ”ダレ?”ダレノ?”
”オレ”オレノ”オレノコ”
うわぁあああああああ!!!
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
シニタイ………。
鬼! 悪魔!! 悪夢のナナ!
な、名前すら言いたくも無い!
”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”
な、なんで、俺の部屋にゴムがあるのかやっと分かった…。
ナナはナナがあいつは、寝室に忍び込んで来てたんだ…。
参上の印に置いて行ったんだぁああああ!!!
さすが、レディース! やることが外道!
そして、そして、そして…
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
俺の貞操は…
操が…
奪われた…
ナナに!!!
”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”
うわぁああああああ~!!!
シニタイ……!
いったいこの先、俺どーなる?
ヒカルさんの話に乗って海外逃亡!
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
………
イリを置いて行けない!
でも、でも、でも、公開しないと約束した”絵”…』
タカオミはメモの内容を思い出した。文面は…こう、書かれていた…。
|惣領タカオミ様
|君に幸あれと思う今日この頃。
|もうお分かりですね?
|ナナちゃんとの情事を最愛のあの子に、
|ばらされたく無かったら。
|指二本で手を打とう!
|(黒いドレスのナナちゃんの絵は。なんとでもなるよね?)
|あ、もちろんこれは、こちらがお支払できる
|最上位作家クラスへのギャランティだとお考え下さい。
|良いお話だと思われますが?
|モチロン。トリミングとかはするから、
|任せて安心♪
|劇団コンソメスープ所属劇団員
|シオンより
『どうすりゃいいんだぁ~~~!!
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
”妊娠しちゃった”
”ばらすよ?”
イリ~~~!!
ア・イ・シ・テ・ル~~~!』
頭の中を同じ言葉が、ぐるぐ~る渦巻くタカオミは、
天井の穴を見つめたまま、滝のような汗を流していた…。
*
イリたちは学校からの帰り、
カナのマンションで引越しの打ち合わせしようと歩いていた。
「引越しつっても、着る物とか。
マンガとか、マンガとか。マンガとマンガ!
マンガ位しかないな~簡単に済みそうだ。ギャハ」
ミサキが言うと、
「マンガばっかり~ あはは」
カナはニコニコしていた。
「しょうがにゃぃ奴…
しょだねぇ~~ 家具も何もかも揃ってるホテルみたいなものだし。
ごはんの材料は生活費決めてみなでやりくり~
お米は任しといて♪」
アヤンの家は米問屋なので、幾らでも美味しいのを提供してくれそうだった。
「そうそう。
言い忘れてたけど不動産屋さんから連絡があって、
最上階に住む人が一人決まったって」
カナが言いだした。
「最上階の部屋だけ誰かに賃すの? ほんとの管理人だ。カナちゃま」
ミサキが言った。
「まさか~ 管理人は無理よぉ。
パパがね管理人さん候補何人か見つけたらしくて、
今度の日曜、私が面接して選ばないといけないみたいなの…
こんなの初めてだから、今から緊張するぅ~」
「ほほぉ~ 皆で面接手伝うか?
あなた帰っていいよ。
はぃ! 次の方どうぞ~とか。おもろそう♪」
ミサキがふざけると、
「駄目よ遊びじゃないんだから」
「そうそう」
カナとアヤンがたしなめた。
「へいへい…
しっかし、こいつ。ほんっと嬉しそうだよな~」
ミサキはイリの顔の前で、手を左右に早く振ったり、ゆっくり振ったりした。
「うふふ~♪ うふぅ~♪ キャハ♪ うふふふふふ♪ ふぅ~♪ あは♪♪♪」
イリは学校を出てからずっとニコニコニヤニヤし目も、頭の上も体全部から、
ハートマークがフワフワ浮いていた。
「ラブラブモード全開中~♪」
アヤンが言うと、
「誰かを好きになるって素敵ですわ~ つんつん♪」
カナがイリのほっぺをつつくと、ハートマークが飛び出した♪
「何おっしゃいますやら。
カナにはれっきとした許婚(いいなずけ)がいるじゃーん。
御曹司がっ! 名前なんだったっけ?
お金持ちは、もっとお金持ちになる定めか~」
ミサキはうらやましそうだった。
「明王タケルさん…。
でも、親同士が勝手に決めた相手なだけだし。
と~ってもお忙しい方だから、ほとんど逢えてないし…」
「ご令嬢には般ピーのあたしらには理解不能~なお悩みがありゅの。
ストレートに突っ込まにゃい」
アヤンはカナの様子に気づいて言った。
「スマン! スマン! 悪気は無い~」
ペコペコするミサキだった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
天ヶ崎高校二年男子バレーボール部員本田稔、幼馴染に告白する。
山法師
青春
四月も半ばの日の放課後のこと。
高校二年になったばかりの本田稔(ほんだみのる)は、幼馴染である中野晶(なかのあきら)を、空き教室に呼び出した。
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
窓を開くと
とさか
青春
17才の車椅子少女ー
『生と死の狭間で、彼女は何を思うのか。』
人間1度は訪れる道。
海辺の家から、
今の想いを手紙に書きます。
※小説家になろう、カクヨムと同時投稿しています。
☆イラスト(大空めとろ様)
○ブログ→ https://ozorametoronoblog.com/
○YouTube→ https://www.youtube.com/channel/UC6-9Cjmsy3wv04Iha0VkSWg
アマツバメ
明野空
青春
「もし叶うなら、私は夜になりたいな」
お天道様とケンカし、日傘で陽をさえぎりながら歩き、
雨粒を降らせながら生きる少女の秘密――。
雨が降る日のみ登校する小山内乙鳥(おさないつばめ)、
謎の多い彼女の秘密に迫る物語。
縦読みオススメです。
※本小説は2014年に制作したものの改訂版となります。
イラスト:雨季朋美様
漫才部っ!!
育九
青春
漫才部、それは私立木芽高校に存在しない部活である。
正しく言えば、存在はしているけど学校側から認められていない部活だ。
部員数は二名。
部長
超絶美少女系ぼっち、南郷楓
副部長
超絶美少年系ぼっち、北城多々良
これは、ちょっと元ヤンの入っている漫才部メンバーとその回りが織り成す日常を描いただけの物語。
夏休み、隣の席の可愛いオバケと恋をしました。
みっちゃん
青春
『俺の隣の席はいつも空いている。』
俺、九重大地の左隣の席は本格的に夏休みが始まる今日この日まで埋まることは無かった。
しかしある日、授業中に居眠りして目を覚ますと隣の席に女の子が座っていた。
「私、、オバケだもん!」
出会って直ぐにそんなことを言っている彼女の勢いに乗せられて友達となってしまった俺の夏休みは色濃いものとなっていく。
信じること、友達の大切さ、昔の事で出来なかったことが彼女の影響で出来るようになるのか。
ちょっぴり早い夏の思い出を一緒に作っていく。
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる