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11:真夜中のキス
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11:真夜中のキス
『うわ、ナナちゃんお酒くせぇ~。かなり飲んでるな~』
気づいたタカオミは顔をそむけた。
「な、なにしに来たんだ~!? 田舎のはずだろ~」
「エグエグ ずーっと。ずーっと。うち、タカのこと忘れられなくて。ひっくひっく。ずっと好きなの。うぇ~ん」
「お、ぉ、俺らの間は!」
「いゃ~~ もうタカから離れない。愛してるの。今着てるこの服覚えてる?」
ナナはボア付きコートを脱ぎ捨て、見えていた黒いドレスは、冬空にはとんでもなく薄着だった。
「お、覚えてるさ。もちろん。でも、ちょっと落ちつこ水持ってくるから」
落ちたコートを肩にかけてやり椅子に座らせ、鬼の形相で、まだ居座ってる四人に玄関を指さした。
「帰れ…」
「おっととっと~仕事に戻らねば~」
「あ。俺も稽古あったな。じゃ~そいうことで」
「これ、あたしの勘だけど…あの子。妊娠してるかも…イリちゃん…可愛そう…やだやだ、モテモテ君はこれだから…」
背中でシゲミが捨て台詞をはくと、タカオミは。
「んなぁことあるかぁ~~!!!」っと、さらに真っ赤に怒った。
「これ口付けてないから」
眼鏡男も小声で、タカオミにコップとワインボトルをグイッと押すように渡し、四人はすごすごと出て行った。
タカオミは玄関口の壁に額を付け、
『ふぅ~ なんなんだ今日は。こんな時間から、次から次へとぉ~急な来客がぁ~』っと、汗をぬぐった。が、ナナの背中チラッと見て、ふぃに嫌な予感がし外の様子を伺った…。だが、予感は外れ、双子の部屋のドアが閉まるのが見えホッとした。
ナナはハンカチで顔を覆い泣いていて、
「ほら。水置くよ。ここ」
困り顔のタカオミは気付けにワインを一気に飲み干そうとした。が、ナナに奪われ一息に飲まれてしまい、おもむろに立ち上がった彼女はキッチンへ走り、ワインボトルを口飲みしながら戻ってきた…。
ゴクゴクゴクゴポポポ
「プハーーッ
もっろ、きっちぃ酒無いろかぁー? こんらの水じゃ~~ん! ヒヒ… ヒック」
人心地ついたように見えたナナだったが、テーブルに突っ伏しわななきはじめた。
「ひどいろぉ~ タカはあらしの気持ちなんにも分かってなかった。ろんらにしゅきーらったか、うぇーーーーん! 鈍感! ばか男!! れもしゅきぃ~~♪ んふ♪ ちゅーしてーん ヒヒ♪♪」
タカオミは迫ってくるナナの肩を押さえ押し留めた。
「ナナナナナナナちゃん!
君さ!
聞いてくれ!
俺らさ!
…俺らって…
あのさ、
えーっと…
僕らの間って…
何にもなかった! よね!?(強く強調するタカ)
じゃん?
あ!…ナナちゃん。
しかも、ちゃんと彼氏いたよね…」
『木刀持って走り回ってた奴…あいつに何されたか知らないのか~』
タカオミは、田舎で起きた忌まわしい事件を思い起こした。
「あ、あれわぁ~カレチじゃなーぃの。うぇ~~~ん ずっと、ず~~っとあなラが好きラッタ! うち。うち! 家(いえ)飛び出てきた~ ビェ~~ン」
ナナはタカオミの腰にすがり泣きじゃくった。
『ウェーーー! なにそれーー?!』
ナナは酒臭かったが、セミロングの髪から良い香りも漂っていた。それは、イリと同じシャンプーだなと思ったが、泣きそうな顔をナナに見つめられこう言われた。
「妊娠したの…」
『あ~あり得ない! ナイナイナイぞナナ!
あるとすれば?
いや、そんなこと絶対無い…
………
あぁあああああああ!』
衝撃の一言を聞かされてしまったタカオミは、顔面蒼白で目をグルグル回し泡を吹いた。そして、ナナに抱かれたまま卒倒し体をピクピク痙攣させた。
『ご、ご懐妊だーーー!
うぉー当たったーーすげーな! なんでわかったん?』
シオンがシゲミに向かいヒソヒソ話した。
『酒臭かったから。飲んだ勢いで来たのかなーっと。 いや、ただのあてずっぽぅだったんだが♪』
『さすが姉♪ でも、僕もシゲミの心をテレパシーで読んでピンッってきてたよ。ふふふ♪』
『あぁ~? シズォ…じゃあ、いつもあたしが思ってること気を利かせて読めよ~』
『あー! そのセリフそっくり返してやる~』
『喧嘩すんな…でも、シゲミの一言が本当になるとは。絵描き! おめでとー♪ これで君もパパだ!」
『でもですねぇ~ いきなり、唐突にあー言われると男は引きまくりですよ~。さーどうするタカオミ君! 勉強! べんきょーっと』
眼鏡男は勉強ノートに、二人の様子を必死で書きとめていた。
『先生さ…あんたけっこう趣味悪いよ?…幾ら今後の作品のためとは言え。あいつらのプライバシー書き写すなんて…』
『え? 覗いてる僕らは正しい行為なのか?
んなわけねー♪』
シズオとシゲミが口を挟んだ。
『…そう思う。が、こればかりはもう止められない僕の”宿命”になりつつあるね。僕は皆さんの生き様に支えられ、作家と言う名の電車に、切符を持たずに次の駅を目指してる知的アウトロー!ですから…』
『眼鏡男は作家で良かったよね。じゃなかったら、今頃~』
『~今頃、誰かんちのベランダで覗き魔して独房だろ♪ 背中に【異常者】ってレッテルはられて。うぷぷぷ~そ~言えば、奥さんとも、それが原因で逃げられたんだよな?』
双子が立て続けに言い、眼鏡男はガクッと肩を落とし、手すりを握りしめ泣いた。
庭側の窓から、四人は鈴なりにタカオミの部屋を覗き見してると、デブ猫がドタドタ走って来た。
フンギャギャギャギャアア!!!!
ワン♪ ワン♪ ワン~♪
「マド。斑点犬に追っかけられとるな」
「この辺りにいたっけ? ん~どっから連れて来た♪」
「ん~この様子だと喧嘩じゃなさそう。惚れられたか~♪」
三人が立ち上がって眺めていると、リードを引きずってる飼い主不在の犬はマドを追いかけ、あたりの植木や、板切れやゴミのような物をドチャガチャッかき回し、積もってる雪を散乱させていった。
「グワギャミギャギャーー ミギャーーー」
「ワオーン♪ ハッハッハッ ワワワワワ~~ン♪ ワンワンワン~♪」
「おーっとーナナさん。タカオミ君を介抱し始めましたぞー にしても、綺麗だ♪ 勉強 べんきょ~」
追われてるマドレーヌは眼鏡の頭に飛び乗り、犬も尻尾を振り乱しジャンプしようとしたが、ごついおっさんに激突し跳ね返ってしまった。
「ウギャーーー!」
「キャィーーーン~キャンキャン」
ダルメシアンは顔をぶつけ、あたりを痛い!痛い!と駆け回り、眼鏡男は手すりの隙間に顔を押し込まれもがいた!
「うほ~♪」
「あははははは 面白すぎ♪ ギャッハッハッハ♪」
すると、いきなり罵声が響いた!
「うっせええーーーーー!!!!」
『うわ!』
『こぇ~~』
『近所にこんな怖い人いたっけ?…』
シオンと、シゲミと、シズオは瞬時に首を引っ込めた。
「ゴラァアアア~~~! きんつば! 静かにしろーーー! 煮て食っちまうぞー!」言ったご本人は何故ここに人が居るんだーーーっと、強烈なガンを飛ばした。
「なんだ! お前ら~ぁ~! 何見てやがる!!!!!
あ! ぁぁぁぁぁぁ~ごめんなさ~い。
うちの、きんつばが、うるさく吼え回って後でお仕置きしておきますから~オホホホホ。きんつば。お座り!」
”きんつば”という名のダルメシアン犬は、ご主人様の命令に逆らうことはなくピタッと座り込んだ。飼い主はそれを確認すると、
「あ。これ良かったらどぅぞ~」酒瓶をシオンに渡し、凄い勢いで窓を閉めた。
「………」
シオンは二の句が告げられず、
「うぉーやっと抜けた。死ぬかと思った。イタタタタタ 今のは誰だったんだ?!」眼鏡男がやっと手すりから顔を出すと、三人はその部屋を指さし、
「あんたが綺麗だ、綺麗だと言った”ナナナナナちぁん”だー」と、言った。
「うそ…あの地獄の釜から響くような声が…彼女だったとは~! こ、これは貴重な展開に~ 勉強 べんきょ~」
眼鏡男は怪我してないか、しきりに首を振ったが、メモを取る字はブルブル震えていて、彼の書くノートを少し読んでみると、
[…突然言われたセリフにタカオミは気絶してしまい。
愛しのナナに抱かれ安らかに眠り。
双子の兄弟は引きこもりだったが、昨日以来外へ出てきてうろうろしてる。
ネットでしか生きられない彼らがだ!
そして、美しき酒乱のナナ出現もきっと、マドレーヌの魔法ではないかと僕は密かに思っている…]と、書きなぐってあった。
「…あの子、もしやレディースって言われる特殊なバイカー? ちょ~びびったー」
シオンが貰ったワインボトルを引っ繰り返すと、雫が地面に垂れた。
「うひょー こりゃ面白くなりそうだなぁ~♪」シズオが言うと、
「妊娠宣言の後は酒乱大爆発~♪」
シゲミは天を仰ぎ大げさな身振りをし、ひさしの上に飛び乗ったデブ猫は下の様子ジーッと伺っていた。
『うわ、ナナちゃんお酒くせぇ~。かなり飲んでるな~』
気づいたタカオミは顔をそむけた。
「な、なにしに来たんだ~!? 田舎のはずだろ~」
「エグエグ ずーっと。ずーっと。うち、タカのこと忘れられなくて。ひっくひっく。ずっと好きなの。うぇ~ん」
「お、ぉ、俺らの間は!」
「いゃ~~ もうタカから離れない。愛してるの。今着てるこの服覚えてる?」
ナナはボア付きコートを脱ぎ捨て、見えていた黒いドレスは、冬空にはとんでもなく薄着だった。
「お、覚えてるさ。もちろん。でも、ちょっと落ちつこ水持ってくるから」
落ちたコートを肩にかけてやり椅子に座らせ、鬼の形相で、まだ居座ってる四人に玄関を指さした。
「帰れ…」
「おっととっと~仕事に戻らねば~」
「あ。俺も稽古あったな。じゃ~そいうことで」
「これ、あたしの勘だけど…あの子。妊娠してるかも…イリちゃん…可愛そう…やだやだ、モテモテ君はこれだから…」
背中でシゲミが捨て台詞をはくと、タカオミは。
「んなぁことあるかぁ~~!!!」っと、さらに真っ赤に怒った。
「これ口付けてないから」
眼鏡男も小声で、タカオミにコップとワインボトルをグイッと押すように渡し、四人はすごすごと出て行った。
タカオミは玄関口の壁に額を付け、
『ふぅ~ なんなんだ今日は。こんな時間から、次から次へとぉ~急な来客がぁ~』っと、汗をぬぐった。が、ナナの背中チラッと見て、ふぃに嫌な予感がし外の様子を伺った…。だが、予感は外れ、双子の部屋のドアが閉まるのが見えホッとした。
ナナはハンカチで顔を覆い泣いていて、
「ほら。水置くよ。ここ」
困り顔のタカオミは気付けにワインを一気に飲み干そうとした。が、ナナに奪われ一息に飲まれてしまい、おもむろに立ち上がった彼女はキッチンへ走り、ワインボトルを口飲みしながら戻ってきた…。
ゴクゴクゴクゴポポポ
「プハーーッ
もっろ、きっちぃ酒無いろかぁー? こんらの水じゃ~~ん! ヒヒ… ヒック」
人心地ついたように見えたナナだったが、テーブルに突っ伏しわななきはじめた。
「ひどいろぉ~ タカはあらしの気持ちなんにも分かってなかった。ろんらにしゅきーらったか、うぇーーーーん! 鈍感! ばか男!! れもしゅきぃ~~♪ んふ♪ ちゅーしてーん ヒヒ♪♪」
タカオミは迫ってくるナナの肩を押さえ押し留めた。
「ナナナナナナナちゃん!
君さ!
聞いてくれ!
俺らさ!
…俺らって…
あのさ、
えーっと…
僕らの間って…
何にもなかった! よね!?(強く強調するタカ)
じゃん?
あ!…ナナちゃん。
しかも、ちゃんと彼氏いたよね…」
『木刀持って走り回ってた奴…あいつに何されたか知らないのか~』
タカオミは、田舎で起きた忌まわしい事件を思い起こした。
「あ、あれわぁ~カレチじゃなーぃの。うぇ~~~ん ずっと、ず~~っとあなラが好きラッタ! うち。うち! 家(いえ)飛び出てきた~ ビェ~~ン」
ナナはタカオミの腰にすがり泣きじゃくった。
『ウェーーー! なにそれーー?!』
ナナは酒臭かったが、セミロングの髪から良い香りも漂っていた。それは、イリと同じシャンプーだなと思ったが、泣きそうな顔をナナに見つめられこう言われた。
「妊娠したの…」
『あ~あり得ない! ナイナイナイぞナナ!
あるとすれば?
いや、そんなこと絶対無い…
………
あぁあああああああ!』
衝撃の一言を聞かされてしまったタカオミは、顔面蒼白で目をグルグル回し泡を吹いた。そして、ナナに抱かれたまま卒倒し体をピクピク痙攣させた。
『ご、ご懐妊だーーー!
うぉー当たったーーすげーな! なんでわかったん?』
シオンがシゲミに向かいヒソヒソ話した。
『酒臭かったから。飲んだ勢いで来たのかなーっと。 いや、ただのあてずっぽぅだったんだが♪』
『さすが姉♪ でも、僕もシゲミの心をテレパシーで読んでピンッってきてたよ。ふふふ♪』
『あぁ~? シズォ…じゃあ、いつもあたしが思ってること気を利かせて読めよ~』
『あー! そのセリフそっくり返してやる~』
『喧嘩すんな…でも、シゲミの一言が本当になるとは。絵描き! おめでとー♪ これで君もパパだ!」
『でもですねぇ~ いきなり、唐突にあー言われると男は引きまくりですよ~。さーどうするタカオミ君! 勉強! べんきょーっと』
眼鏡男は勉強ノートに、二人の様子を必死で書きとめていた。
『先生さ…あんたけっこう趣味悪いよ?…幾ら今後の作品のためとは言え。あいつらのプライバシー書き写すなんて…』
『え? 覗いてる僕らは正しい行為なのか?
んなわけねー♪』
シズオとシゲミが口を挟んだ。
『…そう思う。が、こればかりはもう止められない僕の”宿命”になりつつあるね。僕は皆さんの生き様に支えられ、作家と言う名の電車に、切符を持たずに次の駅を目指してる知的アウトロー!ですから…』
『眼鏡男は作家で良かったよね。じゃなかったら、今頃~』
『~今頃、誰かんちのベランダで覗き魔して独房だろ♪ 背中に【異常者】ってレッテルはられて。うぷぷぷ~そ~言えば、奥さんとも、それが原因で逃げられたんだよな?』
双子が立て続けに言い、眼鏡男はガクッと肩を落とし、手すりを握りしめ泣いた。
庭側の窓から、四人は鈴なりにタカオミの部屋を覗き見してると、デブ猫がドタドタ走って来た。
フンギャギャギャギャアア!!!!
ワン♪ ワン♪ ワン~♪
「マド。斑点犬に追っかけられとるな」
「この辺りにいたっけ? ん~どっから連れて来た♪」
「ん~この様子だと喧嘩じゃなさそう。惚れられたか~♪」
三人が立ち上がって眺めていると、リードを引きずってる飼い主不在の犬はマドを追いかけ、あたりの植木や、板切れやゴミのような物をドチャガチャッかき回し、積もってる雪を散乱させていった。
「グワギャミギャギャーー ミギャーーー」
「ワオーン♪ ハッハッハッ ワワワワワ~~ン♪ ワンワンワン~♪」
「おーっとーナナさん。タカオミ君を介抱し始めましたぞー にしても、綺麗だ♪ 勉強 べんきょ~」
追われてるマドレーヌは眼鏡の頭に飛び乗り、犬も尻尾を振り乱しジャンプしようとしたが、ごついおっさんに激突し跳ね返ってしまった。
「ウギャーーー!」
「キャィーーーン~キャンキャン」
ダルメシアンは顔をぶつけ、あたりを痛い!痛い!と駆け回り、眼鏡男は手すりの隙間に顔を押し込まれもがいた!
「うほ~♪」
「あははははは 面白すぎ♪ ギャッハッハッハ♪」
すると、いきなり罵声が響いた!
「うっせええーーーーー!!!!」
『うわ!』
『こぇ~~』
『近所にこんな怖い人いたっけ?…』
シオンと、シゲミと、シズオは瞬時に首を引っ込めた。
「ゴラァアアア~~~! きんつば! 静かにしろーーー! 煮て食っちまうぞー!」言ったご本人は何故ここに人が居るんだーーーっと、強烈なガンを飛ばした。
「なんだ! お前ら~ぁ~! 何見てやがる!!!!!
あ! ぁぁぁぁぁぁ~ごめんなさ~い。
うちの、きんつばが、うるさく吼え回って後でお仕置きしておきますから~オホホホホ。きんつば。お座り!」
”きんつば”という名のダルメシアン犬は、ご主人様の命令に逆らうことはなくピタッと座り込んだ。飼い主はそれを確認すると、
「あ。これ良かったらどぅぞ~」酒瓶をシオンに渡し、凄い勢いで窓を閉めた。
「………」
シオンは二の句が告げられず、
「うぉーやっと抜けた。死ぬかと思った。イタタタタタ 今のは誰だったんだ?!」眼鏡男がやっと手すりから顔を出すと、三人はその部屋を指さし、
「あんたが綺麗だ、綺麗だと言った”ナナナナナちぁん”だー」と、言った。
「うそ…あの地獄の釜から響くような声が…彼女だったとは~! こ、これは貴重な展開に~ 勉強 べんきょ~」
眼鏡男は怪我してないか、しきりに首を振ったが、メモを取る字はブルブル震えていて、彼の書くノートを少し読んでみると、
[…突然言われたセリフにタカオミは気絶してしまい。
愛しのナナに抱かれ安らかに眠り。
双子の兄弟は引きこもりだったが、昨日以来外へ出てきてうろうろしてる。
ネットでしか生きられない彼らがだ!
そして、美しき酒乱のナナ出現もきっと、マドレーヌの魔法ではないかと僕は密かに思っている…]と、書きなぐってあった。
「…あの子、もしやレディースって言われる特殊なバイカー? ちょ~びびったー」
シオンが貰ったワインボトルを引っ繰り返すと、雫が地面に垂れた。
「うひょー こりゃ面白くなりそうだなぁ~♪」シズオが言うと、
「妊娠宣言の後は酒乱大爆発~♪」
シゲミは天を仰ぎ大げさな身振りをし、ひさしの上に飛び乗ったデブ猫は下の様子ジーッと伺っていた。
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