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4章 ささやかな日常
53.このおじさん知ってるの?
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クエルトス家のホームパーティーから2日後。
アスタルト一家は無事に邸宅へ帰宅していた。
「ホームパーティー楽しかったな~どうせならテレシーさん達も来てくれれば良かったけど?」
「アギト、テレシーも招待していたみたいだけど…都合が合わなかったんだって…」
「残念…」
残念がるティオをよそに、リタは満足感を露にしていた。
今日、リタとティオは孤児院に遊びに来ていた。
リタはいつものように、孤児である子供達と楽しく遊んでいる中で、ティオはつまんなそうな顔をして外に出ていた。
「む~!また、お姉ちゃん取られちゃった!!ん?」
ムスッとした顔をしている中で、ティオはある光景を目にした。
それは誰かが倒れているところであった。
(何だろう?)
気になって倒れている人物の元へ歩いていくと、それは帽子に小さなローブを纏った無精髭のまさに"おじさん"とも呼べる見た目の男性であった。
「あの…おじさん、大丈夫?」
「ん…あ、悪い坊っちゃん…水くれるか?喉…カラッカラでさ…」
「あ、待っててください…」
ティオは男性にコップに入れた水を渡すと男性もそれを必死な表情ですぐに飲み干すのだった。
よっぽど喉が渇いていた事なのが、ティオは察していた。
しばらくすると、男性は冷静さを取り戻していった。
「わりいな、ありがとよ!なんせここ最近ろくに食事とかしていなかったからさ…」
「おじさん、お金無いんですか?」
男性は冗談を交えたかのような笑顔で答えた。
「いんや、あるにはあるんだが、仕事が忙しくてな…」
「仕事?」
「ああ、俺、仕事が絡むと集中しすぎて食事することも忘れちまうもんだから、ある意味いつも腹すかせ放題なのさ!」
「ええ!食事を忘れちゃうなんてもったいないよ!」
食事が何より大好きなティオからしたら彼の言った事は信じられず驚きを隠せなかった。
「それにしても、お前さんすんげえ格好してんな・・・どっかの貴族のせがれか?」
「あ、僕・・・」
名乗ろうとしたティオであったが、とっさに男性に対して不信感を感じ我に返って冷静に考えていた。
"この男性はもしかしたら悪い人なのかもしれない・・・。"
"仕事って、悪い事をしている事かもしれない・・・。"
そういった怪しさを醸し出していた。
(もしかしたら、この人、この前みたいにお姉ちゃんを誘拐した人と同じ人かもしれない・・・言わないぞ・・・僕も誘拐されちゃう・・・!!)
ティオは黙り込むのだった・・・。
「え?どしたの?」
(言わない!言わない!)
言わないの一転張りで通そうとティオは必死にこらえていたが・・・
「おい、坊主・・・?」
「だあ!!お姉ちゃんに手を出すなあああああああああ!!!」
ボオオオオオ!!
「あんぎゃあああああああああああああああああ!!」
ティオの炎の魔法を、男性はもろに受けてしまった。
そして男性は黒焦げとなり気絶してしまったのだった・・・。
ティオは満足気な表情で自分とリタを守れた達成感を感じていた。
「ティオ!どうしたの?」
「あ!お姉ちゃん!」
ティオの魔法による攻撃に気付いたのか、リタが院から出てきた。
「ティオ、一体何・・・え?」
「お姉ちゃん?」
リタは黒焦げになって倒れている男性を見て驚いていた。
「ええ!?伯父様!?」
「え?伯父様?お姉ちゃん、このおじさん知ってるの?」
ティオは何が何だか分かっておらず、リタに聞くと・・・
「知ってるも何も、この人、お父様のお兄さんのクルト伯父様だけど・・・?ティオ、何かした・・・?」
「・・・・・・・・・・」
ティオは焦っていた。
警戒心を抱いていた相手がまさかのアスタルト家の関係者であった事を知りかなり焦っていた・・・。
アスタルト一家は無事に邸宅へ帰宅していた。
「ホームパーティー楽しかったな~どうせならテレシーさん達も来てくれれば良かったけど?」
「アギト、テレシーも招待していたみたいだけど…都合が合わなかったんだって…」
「残念…」
残念がるティオをよそに、リタは満足感を露にしていた。
今日、リタとティオは孤児院に遊びに来ていた。
リタはいつものように、孤児である子供達と楽しく遊んでいる中で、ティオはつまんなそうな顔をして外に出ていた。
「む~!また、お姉ちゃん取られちゃった!!ん?」
ムスッとした顔をしている中で、ティオはある光景を目にした。
それは誰かが倒れているところであった。
(何だろう?)
気になって倒れている人物の元へ歩いていくと、それは帽子に小さなローブを纏った無精髭のまさに"おじさん"とも呼べる見た目の男性であった。
「あの…おじさん、大丈夫?」
「ん…あ、悪い坊っちゃん…水くれるか?喉…カラッカラでさ…」
「あ、待っててください…」
ティオは男性にコップに入れた水を渡すと男性もそれを必死な表情ですぐに飲み干すのだった。
よっぽど喉が渇いていた事なのが、ティオは察していた。
しばらくすると、男性は冷静さを取り戻していった。
「わりいな、ありがとよ!なんせここ最近ろくに食事とかしていなかったからさ…」
「おじさん、お金無いんですか?」
男性は冗談を交えたかのような笑顔で答えた。
「いんや、あるにはあるんだが、仕事が忙しくてな…」
「仕事?」
「ああ、俺、仕事が絡むと集中しすぎて食事することも忘れちまうもんだから、ある意味いつも腹すかせ放題なのさ!」
「ええ!食事を忘れちゃうなんてもったいないよ!」
食事が何より大好きなティオからしたら彼の言った事は信じられず驚きを隠せなかった。
「それにしても、お前さんすんげえ格好してんな・・・どっかの貴族のせがれか?」
「あ、僕・・・」
名乗ろうとしたティオであったが、とっさに男性に対して不信感を感じ我に返って冷静に考えていた。
"この男性はもしかしたら悪い人なのかもしれない・・・。"
"仕事って、悪い事をしている事かもしれない・・・。"
そういった怪しさを醸し出していた。
(もしかしたら、この人、この前みたいにお姉ちゃんを誘拐した人と同じ人かもしれない・・・言わないぞ・・・僕も誘拐されちゃう・・・!!)
ティオは黙り込むのだった・・・。
「え?どしたの?」
(言わない!言わない!)
言わないの一転張りで通そうとティオは必死にこらえていたが・・・
「おい、坊主・・・?」
「だあ!!お姉ちゃんに手を出すなあああああああああ!!!」
ボオオオオオ!!
「あんぎゃあああああああああああああああああ!!」
ティオの炎の魔法を、男性はもろに受けてしまった。
そして男性は黒焦げとなり気絶してしまったのだった・・・。
ティオは満足気な表情で自分とリタを守れた達成感を感じていた。
「ティオ!どうしたの?」
「あ!お姉ちゃん!」
ティオの魔法による攻撃に気付いたのか、リタが院から出てきた。
「ティオ、一体何・・・え?」
「お姉ちゃん?」
リタは黒焦げになって倒れている男性を見て驚いていた。
「ええ!?伯父様!?」
「え?伯父様?お姉ちゃん、このおじさん知ってるの?」
ティオは何が何だか分かっておらず、リタに聞くと・・・
「知ってるも何も、この人、お父様のお兄さんのクルト伯父様だけど・・・?ティオ、何かした・・・?」
「・・・・・・・・・・」
ティオは焦っていた。
警戒心を抱いていた相手がまさかのアスタルト家の関係者であった事を知りかなり焦っていた・・・。
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