12 / 60
2章 貴族の生活
11.街へ行こう!
しおりを挟む
ティオをアスタルト領主一家の一員=家族として迎えてから初めての1日が始まった。
「ふわぁ~!」
大きなあくびをかいたリタは隣で寝ているティオの頬を指でツンツンして、起こしていた。
「ティ~オ!朝だよ…起きて…」
ティオは起きる気配はなかったが、まるで何かを振り払うかのように手を振り、その動きがリタの心を燻るのだった。まさに可愛らしい言動をとった為にリタは、面白く感じてしまった。
「うふふ、ティオ~起きないとお姉ちゃんがこちょこちょしちゃうよ~」
「…ん~、あ、ははははは…」
「ん?」
そう言ってティオを擽ろうとしていたが、いきなりティオが笑い始めた。
それもあってか、ティオは目が覚めた。
「ふぁ~!あ、お姉ちゃん…おはよう!」
「…うふふ、おはようティオ…」
「お姉ちゃん…ははは、もうやめて、足くすぐったいよ~」
「え、私…何もしてないけど?」
「え?」
ティオが早々に布団の中を確認すると…
案の定、サティがいた…
「ああ、サティお姉さま…」
「おはよう、リタ…」
リタは慣れたのかもう、驚きもしなくなった。
「おはようございます…お義姉さま…」
「あら、いたの?おはよう…」
「・・・!?」
まだ、認めてなかったのかティオへの態度は冷めていた。
「やっぱり、僕はサティお義姉さまに…」
「泣かないでティオ、お姉さま!ティオを、泣かせないでください!というか…さっきティオに何かしてませんでしたか!?」
「な、何言ってるのよ!でも、リタの足にしては、なんかいつもより綺麗さが違うような…」
「あ、もしかして、さっき僕の足くすぐってたのって…」
「え?」
その場にいる3人は理解した、ティオの足をくすぐっていたのはサティであったと言うことを。
正確には寝ぼけてティオの足に顔を擦り付けていたのである。リタだと、思い込み…。
そして当然の如くサティは両親に怒られ、朝食の為にリタとティオは食堂へと向かった。
「おはようございます、リタ様、ティオ様…」
「お、おは、おはようごじゃまなす!!」
まだ慣れないからかティオは口下手な挨拶をメイドにしてしまった。
「あははは、まだ難しいかな?」
「あ、サイガお兄様、おはようございます」
「おはよ、リタ…」
「お、おはようござます…サイガ義兄しゃん…」
「おはよう…ティオ…」
緊張が増したティオであったものの、朝食を前にした途端に目の色が変わった。
朝食は綺麗に焼けたフレンチトーストで、ティオはそれも幸せそうな笑みを浮かべながら完食した。
朝食は歯磨きを済ませ、リタから今日の予定を聞いた。
「ティオ、これから街へ行きましょう!」
「街?」
「うん、家の領土から少し離れた場所に大きな街があるの…そこにはね、いろんなお店があるんだよ!」
「お店?美味しいもの食べられるお店もある?」
「うん!今日はティオの為にお買い物したいの!ランチもどこかで食べよ!」
「わぁ~い!!美味しいもの~!!」
「美味しいもの」という言葉に釣られたのか、ティオの瞳はまたも輝いていた。
馬車の準備が済み、リタとティオも馬車に乗り街へ向かった。
馬車から見える景色はティオにとっては未知の体験であった為、釘付けになった感じに覗き込んでいた。
道には領民が畑仕事をしている人や世間話をしている人達などで溢れていて賑やかだった。そして、リタもそんな領民に挨拶をすると、皆もリタに挨拶を返していく。
「皆さ~ん、今日もお疲れ様で~す!」
「おう!リタ様、今日はお出掛けかい?」
「はい!街へ!」
「リタ様~!家の野菜、お父様は喜んでくれたか~?」
「は~い!あの家の野菜は絶品だと好評でした~!」
「リタ様~!この前は家の子のお相手ありがとうございました~!」
「いえいえ!また遊びに行きますから!」
リタの人望の多さを知ったティオ。だが、少しもやもやな気もした。
「お姉ちゃんって、結構有名なんだね…」
「そこまでじゃないよ、領主の娘ですもの…いつもお父様が領民の事を想って色々とやってくれていて、私はそのお手伝いをしているだけだから!」
「色々?」
父親は領民の畑仕事を手伝ったり、仕入れにくる商人との仲介、様々な事をしている人だと知ったティオは関心を持つ。
そんな話をしている内に既に2人は街に着いたのだった。
「ふわぁ~!」
大きなあくびをかいたリタは隣で寝ているティオの頬を指でツンツンして、起こしていた。
「ティ~オ!朝だよ…起きて…」
ティオは起きる気配はなかったが、まるで何かを振り払うかのように手を振り、その動きがリタの心を燻るのだった。まさに可愛らしい言動をとった為にリタは、面白く感じてしまった。
「うふふ、ティオ~起きないとお姉ちゃんがこちょこちょしちゃうよ~」
「…ん~、あ、ははははは…」
「ん?」
そう言ってティオを擽ろうとしていたが、いきなりティオが笑い始めた。
それもあってか、ティオは目が覚めた。
「ふぁ~!あ、お姉ちゃん…おはよう!」
「…うふふ、おはようティオ…」
「お姉ちゃん…ははは、もうやめて、足くすぐったいよ~」
「え、私…何もしてないけど?」
「え?」
ティオが早々に布団の中を確認すると…
案の定、サティがいた…
「ああ、サティお姉さま…」
「おはよう、リタ…」
リタは慣れたのかもう、驚きもしなくなった。
「おはようございます…お義姉さま…」
「あら、いたの?おはよう…」
「・・・!?」
まだ、認めてなかったのかティオへの態度は冷めていた。
「やっぱり、僕はサティお義姉さまに…」
「泣かないでティオ、お姉さま!ティオを、泣かせないでください!というか…さっきティオに何かしてませんでしたか!?」
「な、何言ってるのよ!でも、リタの足にしては、なんかいつもより綺麗さが違うような…」
「あ、もしかして、さっき僕の足くすぐってたのって…」
「え?」
その場にいる3人は理解した、ティオの足をくすぐっていたのはサティであったと言うことを。
正確には寝ぼけてティオの足に顔を擦り付けていたのである。リタだと、思い込み…。
そして当然の如くサティは両親に怒られ、朝食の為にリタとティオは食堂へと向かった。
「おはようございます、リタ様、ティオ様…」
「お、おは、おはようごじゃまなす!!」
まだ慣れないからかティオは口下手な挨拶をメイドにしてしまった。
「あははは、まだ難しいかな?」
「あ、サイガお兄様、おはようございます」
「おはよ、リタ…」
「お、おはようござます…サイガ義兄しゃん…」
「おはよう…ティオ…」
緊張が増したティオであったものの、朝食を前にした途端に目の色が変わった。
朝食は綺麗に焼けたフレンチトーストで、ティオはそれも幸せそうな笑みを浮かべながら完食した。
朝食は歯磨きを済ませ、リタから今日の予定を聞いた。
「ティオ、これから街へ行きましょう!」
「街?」
「うん、家の領土から少し離れた場所に大きな街があるの…そこにはね、いろんなお店があるんだよ!」
「お店?美味しいもの食べられるお店もある?」
「うん!今日はティオの為にお買い物したいの!ランチもどこかで食べよ!」
「わぁ~い!!美味しいもの~!!」
「美味しいもの」という言葉に釣られたのか、ティオの瞳はまたも輝いていた。
馬車の準備が済み、リタとティオも馬車に乗り街へ向かった。
馬車から見える景色はティオにとっては未知の体験であった為、釘付けになった感じに覗き込んでいた。
道には領民が畑仕事をしている人や世間話をしている人達などで溢れていて賑やかだった。そして、リタもそんな領民に挨拶をすると、皆もリタに挨拶を返していく。
「皆さ~ん、今日もお疲れ様で~す!」
「おう!リタ様、今日はお出掛けかい?」
「はい!街へ!」
「リタ様~!家の野菜、お父様は喜んでくれたか~?」
「は~い!あの家の野菜は絶品だと好評でした~!」
「リタ様~!この前は家の子のお相手ありがとうございました~!」
「いえいえ!また遊びに行きますから!」
リタの人望の多さを知ったティオ。だが、少しもやもやな気もした。
「お姉ちゃんって、結構有名なんだね…」
「そこまでじゃないよ、領主の娘ですもの…いつもお父様が領民の事を想って色々とやってくれていて、私はそのお手伝いをしているだけだから!」
「色々?」
父親は領民の畑仕事を手伝ったり、仕入れにくる商人との仲介、様々な事をしている人だと知ったティオは関心を持つ。
そんな話をしている内に既に2人は街に着いたのだった。
68
お気に入りに追加
186
あなたにおすすめの小説
アルゴノートのおんがえし
朝食ダンゴ
ファンタジー
『完結済!』【続編製作中!】
『アルゴノート』
そう呼ばれる者達が台頭し始めたのは、半世紀以上前のことである。
元来アルゴノートとは、自然や古代遺跡、ダンジョンと呼ばれる迷宮で採集や狩猟を行う者達の総称である。
彼らを侵略戦争の尖兵として登用したロードルシアは、その勢力を急速に拡大。
二度に渡る大侵略を経て、ロードルシアは大陸に覇を唱える一大帝国となった。
かつて英雄として名を馳せたアルゴノート。その名が持つ価値は、いつしか劣化の一途辿ることになる。
時は、記念すべき帝国歴五十年の佳節。
アルゴノートは、今や荒くれ者の代名詞と成り下がっていた。
『アルゴノート』の少年セスは、ひょんなことから貴族令嬢シルキィの護衛任務を引き受けることに。
典型的な貴族の例に漏れず大のアルゴノート嫌いであるシルキィはセスを邪険に扱うが、そんな彼女をセスは命懸けで守る決意をする。
シルキィのメイド、ティアを伴い帝都を目指す一行は、その道中で国家を巻き込んだ陰謀に巻き込まれてしまう。
セスとシルキィに秘められた過去。
歴史の闇に葬られた亡国の怨恨。
容赦なく襲いかかる戦火。
ーー苦難に立ち向かえ。生きることは、戦いだ。
それぞれの運命が絡み合う本格派ファンタジー開幕。
苦難のなかには生きる人にこそ読んで頂きたい一作。
○表紙イラスト:119 様
※本作は他サイトにも投稿しております。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界生活研修所~その後の世界で暮らす事になりました~
まきノ助
ファンタジー
清水悠里は先輩に苛められ会社を辞めてしまう。異世界生活研修所の広告を見て10日間の研修に参加したが、女子率が高くテンションが上がっていた所、異世界に連れて行かれてしまう。現地実習する普通の研修生のつもりだったが事故で帰れなくなり、北欧神話の中の人に巻き込まれて強くなっていく。ただ無事に帰りたいだけなのだが。
ゲームの世界に堕とされた開発者 ~異世界化した自作ゲームに閉じ込められたので、攻略してデバックルームを目指す~
白井よもぎ
ファンタジー
河井信也は会社帰りに、かつての親友である茂と再会する。
何年か振りの再会に、二人が思い出話に花を咲かせていると、茂は自分が神であると言い出してきた。
怪しい宗教はハマったのかと信也は警戒するが、茂は神であることを証明するように、自分が支配する異世界へと導いた。
そこは高校時代に二人で共同制作していた自作ゲームをそのまま異世界化させた世界だという。
驚くのも束の間、茂は有無を言わさず、その世界に信也を置いて去ってしまう。
そこで信也は、高校時代に喧嘩別れしたことを恨まれていたと知る。
異世界に置いてけぼりとなり、途方に暮れる信也だが、デバックルームの存在を思い出し、脱出の手立てを思いつく。
しかしデバックルームの場所は、最難関ダンジョン最奥の隠し部屋。
信也は異世界から脱出すべく、冒険者としてダンジョンの攻略を目指す。
道の先には……(僕と先輩の異世界とりかえばや物語)
神山 備
ファンタジー
「道の先には……」と「稀代の魔術師」特に時系列が入り組んでいるので、地球組視点で改稿しました。
僕(宮本美久)と先輩(鮎川幸太郎)は営業に出る途中道に迷って崖から落下。車が壊れなかのは良かったけど、着いた先がなんだか変。オラトリオって、グランディールって何? そんな僕たちと異世界人マシュー・カールの異世界珍道中。
※今回、改稿するにあたって、旧「道の先には……」に続編の「赤ちゃんパニック」を加え、恋愛オンリーの「経験値ゼロ」を外してお届けします。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
わたし異世界でもふもふ達と楽しく過ごします! もふもふアパートカフェには癒し系もふもふと変わり者達が生活していました
なかじまあゆこ
ファンタジー
空気の読めない女子高生満里奈が癒し系のもふもふなや変わり者達が生活している異世界にトリップしてしまいました。
果たして満里奈はもふもふ達と楽しく過ごせるのだろうか? 時に悩んだりしながら生活していく満里奈。
癒しと笑いと元気なもふもふスローライフを目指します。
この異世界でずっと過ごすのかそれとも?
どうぞよろしくお願いします(^-^)/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる