42 / 105
前編 第二章「アリスの旅行」
幕間:第三勢力
しおりを挟む
――ジョルネイダ公国。
世界の南西に位置する国である。
西にはアッサルホルト山が高くそびえ立ち、大陸と砂丘を見下ろしている。
そう、ジョルネイダには砂丘が存在する。南のほぼ半分以上は砂丘と化しており、それによる影響は多大なものである。
年々国の面積が砂によって埋め尽くされ、居住可能の地域が年を重ねるごとに減少している。
それだというのに砂丘の地域では、砂に適応した魔物が生まれる。
人間は住む場所を追われる一方、魔物たちはそれに適応して変化している。人も順応出来る暇もないまま、住む場所だけが奪われていく。
なんと言ってもその砂は、アリ=マイアに存在する国にも影響を及ぼしている。
海のように広い河川を超えて砂丘の砂が飛んできては、アリ=マイアの国々に砂嵐として害をなす。
つまるところジョルネイダは、各国から嫌われている国とも言えよう。
そしてそんなジョルネイダは、勇者の生まれたパルドウィン王国に毎年毎年喧嘩を売って戦争を起こしている。
それはもちろん生きるため。
領地を得て国民が生き延びるために、奪いに行くのだ。
だが残念なことに、パルドウィン王国が今も健在ということは、ジョルネイダが負け続けているということ。
ラストルグエフ夫妻とヨース一族、そして新たに生まれた勇者達。
それらがジョルネイダの希望を打ち砕いている。
当然ながらパルドウィンの人間も、己の生活と命、国民からの期待もある。そうやすやすと国を明け渡せるはずもないのだ。
「集まったか」
「ギリギリですが……」
「そうか。では始めろ」
「はい」
ジョルネイダ公国のすべてを決める場所。
そこは大公であるテオフィル・ル・シャプリエの屋敷である。
その地下である巨大な空間には、国の端から端まで駆けずり回って探しだした、大量の魔術師達でひしめき合っていた。
床には既に描かれた魔術陣があり、これから起こるであろう出来事の強大さを物語っているようだった。
「皆のもの! 位置に!」
テオフィルの右腕であるオーレリアン・ボーリューが叫ぶと、魔術師達はゾロゾロと動き始めた。
それぞれが決められた位置に立って、次の指示を待っている。
ただ待っているだけではない、表情はみな重たかった。この仕事は国の存亡に関わる重大なことである。
なんと言っても自分の命をもかけた大きな儀式だ。
命を全ての魔力を捧げて始める儀式。本当に成し得るかすらもわからないものではあったが、ジョルネイダの人間にとっては最早――藁にもすがる思いなのだ。
ジョルネイダ公国は、伝説とも言われる勇者召喚儀式を行うつもりだった。
そのためには膨大な魔力が必要なのだ。だから国を東奔西走してかき集めた魔術師達を、この場に立たせている。
みなが命を掛けて行う儀式だと理解している。それだけ国は逼迫した状態だった。
「なぁ。なぁって、お前」
「……」
「黙って死ぬだなんて寂しいだろ。まだ位置に着けてないやつもいるし、ちょっと話そうぜ」
「……何だよ」
魔術師はまだ全員所定の場所に、辿り着けていないものもいる。最初に移動が完了してしまった男は暇を持て余していたようで、残りの短い人生を語らいたいと話した。
話しかけられた男も、不服ながらそれに応える。
あと暫くすれば尽きる命なのだから、ここで拒もうが関係のないことだった。
「俺は遠方の村から来たんだ。せっかくならもっと都市を見て回りたかったなぁ」
「そうか。俺はこの首都出身だ」
「へえ! 生きて会えたら案内してほしかったぜ」
「今ここで言うことじゃないだろ……」
何がしたかっただなんてここで語ったところでもう遅いのだ。選ばれてしまった時点で、それを断らなかった時点で死が待っている。
最初の公国からの儀式の誘いを断る、という選択肢もあった。
だがそれは結局、滅びゆくだけの国を待つだけという選択肢だ。
男なのであればいずれ戦争のために徴兵させられるだろう。だから早かれ遅かれ国のために死ぬのは決まりきったことだ。
ジョルネイダが毎年、戦争で負けているのは誰もが知っている。
負けて人口が減っているお陰で、なんとかやり繰りできているのだ。むしろ国は土地を奪うためではなく、人を減らすために戦争しているのではないだろうかと噂されるくらいだ。
「そんなにやりたいことがあるなら、何故断らなかった? 国を出るという選択肢もあるだろ」
「家族も故郷も砂に飲み込まれちまったからなぁ」
「……あ」
「気にすんな! これでみんなの元へ行けると思えば、辛くなんてないから」
「……そうだな」
二人は結構話し込んでいるが、上から咎められることはない。それは寛大だからというのではなく、純粋に魔術陣の立ち位置に苦戦しているからだ。
百人近い人間がここにはひしめき合っていて、事前に立ち位置を伝えていたものの実際やってみると違う。
最初に説明を受けたときは、地図のような大きな図面で説明をされた。
だが今のように床に書かれた魔術陣の上に立ってくれとなると、どこがどこだか分からなくなる者が現れてくるのだ。
その調整に時間がかかってしまい、二人の会話をとやかく言われることがなかった。
「お前は?」
「……俺、は、家族――肉親はいる。多分な。孤児院で育った」
「あー……」
「ははっ、この際どうでもいいか。俺はな、里親に殴られたりしてたんだ。時々魔術を使って小金を稼いでなんとかしのいでたけど、どうもしんどくて」
「なんか悪いな、聞いちゃって……」
「いいさ。お互い、今日で死ぬ」
そう言って大臣らの方を顎でさせば、魔術師達が全て指定された位置に立っていた。
これから死ぬというのに男達には絶望も感じられない。
否、元々この国にはたいして期待もしていないし、希望も抱いていなかったからだろう。
人はいずれ死ぬし、それが早くなっただけ。
早熟といえば聞こえは良いかもしれないが、これは諦めだ。
「位置についたな」
「ええ、大公。……では、大公から一言」
「そうだな……」
テオフィルが前に出る。これから死にゆく者たちに投げる言葉は、何が正しいのか。
それはテオフィルにもオーレリアンにもわからない。
それでも――この儀式が成功するかもわからないのに、集まってくれた者たちに何か言葉を投げねばならない。
謝罪か、哀れみか。それとも長としての義務感からか。
「今日集まってくれたみなに感謝する。中には十代の若者もいるだろう。……謝罪などはしない。ここにいる時点で、覚悟をして来ていると私は思っている」
魔術師達は無理矢理、連れてこさせたのではない。細かい文書を渡して誓約書を書かせたわけではないが、強制して連行したわけではないのだ。
断ろうと思えば断れる頼みだった。
どちらを選んでも、滅びゆくジョルネイダとともにあることは変わりない。
もちろん逃げることだってあるだろう。ジョルネイダを捨てて、アリ=マイアやパルドウィンに逃げる人間だっている。
公国はそれを追わない。
もはや追うために人員を割けないといったほうが正しいだろう。亡命した平民を追う時間があるのであれば、砂丘の問題をどうすべきかと議論して実行に移したほうが現実的だ。
「だから言わせて貰えるのならば、ありがとう。ジョルネイダ公国のために命を張ってくれて、ありがとう。君達の名前は全てこちらで控えてある。失敗しようが成功しようが、その名前は記念碑に刻まれることだろう。――君達は、国の誇りだ」
「大公様……」
「ル・シャプリエ様……」
テオフィルの演説に感動していたが、儀式の時間は無慈悲にやってくる。
テオフィルが下がるとオーレリアンが前に出た。彼が声を上げれば、儀式のための魔力注入を開始せねばならない。
自身の持つ魔力を全て注ぎ、その生命力をも魔術陣に捧げねばならない。
数十人にも及ぶ魔術師をもってして成し得る儀式――勇者の召喚。
果たして、成功するのか。それとも多数の命と引き換えに、絶望に染まるのか。
「……みなのもの、開始せよ!」
――それは神のみぞ知る。
世界の南西に位置する国である。
西にはアッサルホルト山が高くそびえ立ち、大陸と砂丘を見下ろしている。
そう、ジョルネイダには砂丘が存在する。南のほぼ半分以上は砂丘と化しており、それによる影響は多大なものである。
年々国の面積が砂によって埋め尽くされ、居住可能の地域が年を重ねるごとに減少している。
それだというのに砂丘の地域では、砂に適応した魔物が生まれる。
人間は住む場所を追われる一方、魔物たちはそれに適応して変化している。人も順応出来る暇もないまま、住む場所だけが奪われていく。
なんと言ってもその砂は、アリ=マイアに存在する国にも影響を及ぼしている。
海のように広い河川を超えて砂丘の砂が飛んできては、アリ=マイアの国々に砂嵐として害をなす。
つまるところジョルネイダは、各国から嫌われている国とも言えよう。
そしてそんなジョルネイダは、勇者の生まれたパルドウィン王国に毎年毎年喧嘩を売って戦争を起こしている。
それはもちろん生きるため。
領地を得て国民が生き延びるために、奪いに行くのだ。
だが残念なことに、パルドウィン王国が今も健在ということは、ジョルネイダが負け続けているということ。
ラストルグエフ夫妻とヨース一族、そして新たに生まれた勇者達。
それらがジョルネイダの希望を打ち砕いている。
当然ながらパルドウィンの人間も、己の生活と命、国民からの期待もある。そうやすやすと国を明け渡せるはずもないのだ。
「集まったか」
「ギリギリですが……」
「そうか。では始めろ」
「はい」
ジョルネイダ公国のすべてを決める場所。
そこは大公であるテオフィル・ル・シャプリエの屋敷である。
その地下である巨大な空間には、国の端から端まで駆けずり回って探しだした、大量の魔術師達でひしめき合っていた。
床には既に描かれた魔術陣があり、これから起こるであろう出来事の強大さを物語っているようだった。
「皆のもの! 位置に!」
テオフィルの右腕であるオーレリアン・ボーリューが叫ぶと、魔術師達はゾロゾロと動き始めた。
それぞれが決められた位置に立って、次の指示を待っている。
ただ待っているだけではない、表情はみな重たかった。この仕事は国の存亡に関わる重大なことである。
なんと言っても自分の命をもかけた大きな儀式だ。
命を全ての魔力を捧げて始める儀式。本当に成し得るかすらもわからないものではあったが、ジョルネイダの人間にとっては最早――藁にもすがる思いなのだ。
ジョルネイダ公国は、伝説とも言われる勇者召喚儀式を行うつもりだった。
そのためには膨大な魔力が必要なのだ。だから国を東奔西走してかき集めた魔術師達を、この場に立たせている。
みなが命を掛けて行う儀式だと理解している。それだけ国は逼迫した状態だった。
「なぁ。なぁって、お前」
「……」
「黙って死ぬだなんて寂しいだろ。まだ位置に着けてないやつもいるし、ちょっと話そうぜ」
「……何だよ」
魔術師はまだ全員所定の場所に、辿り着けていないものもいる。最初に移動が完了してしまった男は暇を持て余していたようで、残りの短い人生を語らいたいと話した。
話しかけられた男も、不服ながらそれに応える。
あと暫くすれば尽きる命なのだから、ここで拒もうが関係のないことだった。
「俺は遠方の村から来たんだ。せっかくならもっと都市を見て回りたかったなぁ」
「そうか。俺はこの首都出身だ」
「へえ! 生きて会えたら案内してほしかったぜ」
「今ここで言うことじゃないだろ……」
何がしたかっただなんてここで語ったところでもう遅いのだ。選ばれてしまった時点で、それを断らなかった時点で死が待っている。
最初の公国からの儀式の誘いを断る、という選択肢もあった。
だがそれは結局、滅びゆくだけの国を待つだけという選択肢だ。
男なのであればいずれ戦争のために徴兵させられるだろう。だから早かれ遅かれ国のために死ぬのは決まりきったことだ。
ジョルネイダが毎年、戦争で負けているのは誰もが知っている。
負けて人口が減っているお陰で、なんとかやり繰りできているのだ。むしろ国は土地を奪うためではなく、人を減らすために戦争しているのではないだろうかと噂されるくらいだ。
「そんなにやりたいことがあるなら、何故断らなかった? 国を出るという選択肢もあるだろ」
「家族も故郷も砂に飲み込まれちまったからなぁ」
「……あ」
「気にすんな! これでみんなの元へ行けると思えば、辛くなんてないから」
「……そうだな」
二人は結構話し込んでいるが、上から咎められることはない。それは寛大だからというのではなく、純粋に魔術陣の立ち位置に苦戦しているからだ。
百人近い人間がここにはひしめき合っていて、事前に立ち位置を伝えていたものの実際やってみると違う。
最初に説明を受けたときは、地図のような大きな図面で説明をされた。
だが今のように床に書かれた魔術陣の上に立ってくれとなると、どこがどこだか分からなくなる者が現れてくるのだ。
その調整に時間がかかってしまい、二人の会話をとやかく言われることがなかった。
「お前は?」
「……俺、は、家族――肉親はいる。多分な。孤児院で育った」
「あー……」
「ははっ、この際どうでもいいか。俺はな、里親に殴られたりしてたんだ。時々魔術を使って小金を稼いでなんとかしのいでたけど、どうもしんどくて」
「なんか悪いな、聞いちゃって……」
「いいさ。お互い、今日で死ぬ」
そう言って大臣らの方を顎でさせば、魔術師達が全て指定された位置に立っていた。
これから死ぬというのに男達には絶望も感じられない。
否、元々この国にはたいして期待もしていないし、希望も抱いていなかったからだろう。
人はいずれ死ぬし、それが早くなっただけ。
早熟といえば聞こえは良いかもしれないが、これは諦めだ。
「位置についたな」
「ええ、大公。……では、大公から一言」
「そうだな……」
テオフィルが前に出る。これから死にゆく者たちに投げる言葉は、何が正しいのか。
それはテオフィルにもオーレリアンにもわからない。
それでも――この儀式が成功するかもわからないのに、集まってくれた者たちに何か言葉を投げねばならない。
謝罪か、哀れみか。それとも長としての義務感からか。
「今日集まってくれたみなに感謝する。中には十代の若者もいるだろう。……謝罪などはしない。ここにいる時点で、覚悟をして来ていると私は思っている」
魔術師達は無理矢理、連れてこさせたのではない。細かい文書を渡して誓約書を書かせたわけではないが、強制して連行したわけではないのだ。
断ろうと思えば断れる頼みだった。
どちらを選んでも、滅びゆくジョルネイダとともにあることは変わりない。
もちろん逃げることだってあるだろう。ジョルネイダを捨てて、アリ=マイアやパルドウィンに逃げる人間だっている。
公国はそれを追わない。
もはや追うために人員を割けないといったほうが正しいだろう。亡命した平民を追う時間があるのであれば、砂丘の問題をどうすべきかと議論して実行に移したほうが現実的だ。
「だから言わせて貰えるのならば、ありがとう。ジョルネイダ公国のために命を張ってくれて、ありがとう。君達の名前は全てこちらで控えてある。失敗しようが成功しようが、その名前は記念碑に刻まれることだろう。――君達は、国の誇りだ」
「大公様……」
「ル・シャプリエ様……」
テオフィルの演説に感動していたが、儀式の時間は無慈悲にやってくる。
テオフィルが下がるとオーレリアンが前に出た。彼が声を上げれば、儀式のための魔力注入を開始せねばならない。
自身の持つ魔力を全て注ぎ、その生命力をも魔術陣に捧げねばならない。
数十人にも及ぶ魔術師をもってして成し得る儀式――勇者の召喚。
果たして、成功するのか。それとも多数の命と引き換えに、絶望に染まるのか。
「……みなのもの、開始せよ!」
――それは神のみぞ知る。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね
いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。
しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。
覚悟して下さいませ王子様!
転生者嘗めないで下さいね。
追記
すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。
モフモフも、追加させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
カクヨム様でも連載を始めました。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました
黎
ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。
そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。
家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。
*短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。
マヨマヨ~迷々の旅人~
雪野湯
ファンタジー
誰でもよかった系の人に刺されて笠鷺燎は死んだ。(享年十四歳・男)
んで、あの世で裁判。
主文・『前世の罪』を償っていないので宇宙追放→次元の狭間にポイッ。
襲いかかる理不尽の連続。でも、土壇場で運良く異世界へ渡る。
なぜか、黒髪の美少女の姿だったけど……。
オマケとして剣と魔法の才と、自分が忘れていた記憶に触れるという、いまいち微妙なスキルもついてきた。
では、才能溢れる俺の初クエストは!?
ドブ掃除でした……。
掃除はともかく、異世界の人たちは良い人ばかりで居心地は悪くない。
故郷に帰りたい気持ちはあるけど、まぁ残ってもいいかなぁ、と思い始めたところにとんだ試練が。
『前世の罪』と『マヨマヨ』という奇妙な存在が、大切な日常を壊しやがった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる