18 / 50
第一章 裏切りと『力の試練』
第18話 〜宿敵〜
しおりを挟む
周囲に赤いオーラが噴き出し、サラと一体化する。
それによって動体視力が向上し、狼王ボルト・アポカリプリスの攻撃を見切れるようになった。
狼王ボルト・アポカリプスが目に見えるギリギリの速度で爪を振り下ろしてくる。
それを紙一重で交わしてから反撃をした。
”多重詠唱”
「炎精霊魔法”炎槍”」
空間に5本の炎の槍を生成し、それらを全て同時に狼王ボルト・アポカリプスへ放出する。
しかし、それらは狼王ボルト・アポカリプリスにかすり傷一つ負わせることができなかった。
炎の槍があいつの速さについていけてないんだな。
狼王ボルト・アポカリプスは、周囲に白銀のオーラをどんどん貯めて、爆発的なエネルギーを蓄えている。
本能的な感覚で分かる。
次にくる攻撃は今の俺では防げないことを。
かといって、諦めるわけにもいかない。
「顕現せよ!ミュータント」
『ライム……任せて……』
「闇精霊魔法”喰らう黒空間”」
直後、俺が精霊魔法を使ったのと同じタイミングで狼王ボルト・アポカリプスが集めたエネルギーを稲妻に変換して俺に放った。
しかし、それは俺には当たらず、俺の目の前で消滅した。
ミューの”喰らう黒空間”はある一定の量だけ魔法を吸収することができる。
それによって稲妻の魔法を吸収したのだ。
だが、俺が狼王ボルト・アポカリプスの攻撃を防いだところで形勢は逆転しない。
俺の攻撃は狼王ボルト・アポカリプスに当たらない。どうしたらいいんだ……
今も狼王ボルト・アポカリプスは俺に稲妻を放ち続けている。
このままだと、敵の魔力切れより先に俺の黒空間が破壊されてしまうだろう。
(サラ、”炎槍”より速い魔法はないのか?)
(奥義の”炎拳”は”炎槍”より速いけど、あれは一回しか使えないよ?)
(マジか……)
多分、狼王ボルト・アポカリプスは”炎拳”一発では倒せない。
俺がそのことに頭を抱えていると、ミューが声をかけてきた。
『ライム……あいつの動きを……止めたいの?』
「ああ。でも、そんなことできるのか?」
『……一応できるよ。……ライムも……私と契約したから……知ってるはず……』
”多重詠唱”
「もしかして……闇精霊魔法”底なしの闇”、炎精霊魔法”炎槍”」
狼王ボルト・アポカリプスにデバフをかけ動きを鈍化させてから、そこへ無数の炎の槍を放つ。
狼王ボルト・アポカリプスはデバフの影響で炎の槍を避けきれなかった。
当たった炎の槍が爆発し、周囲を煙が包み込む。
やがて煙が晴れると、そこにはダメージを負った様子の全くない狼王ボルト・アポカリプリスがいた。
……冗談だろ、あれでもダメなのか?
そう思った次の瞬間、俺の目の前にある黒空間が稲妻に耐えきれなくなったのか砕け散った。
直後、俺に稲妻の雨が降り注ぐ。
いくつもの稲妻が俺の体を焼き貫いていった。
「……ッ!?」
『……ライム!』
(……ライムくん!)
ミューとサラが俺を心配して声をあげる。
「ミュー大丈夫だよ」
(サラも、俺は大丈夫だから)
「炎精霊魔法”炎鳥の血”」
今は炎精霊魔法を使うだけで何とかなるぐらいの傷だが、この状態が続けば恐らく俺も長くは持たないだろう……
必死に打開策を考える。
今もなお、狼王ボルト・アポカリプスは白銀のオーラを蓄えている。
次にあれが放たれたら流石の俺も耐えられないだろう。
そこで俺は一つの奇策を思いついた。
そして、心の中でサラに尋ねる。
(サラ一つ聞きたいんだけど、俺の固有スキル”借用”って一人の精霊だけにしか出来ないのかな?)
(分からない。けど、力が強大になりすぎて暴走したり、体が破裂する可能性はあるね)
(なるほどな)
(もしかしてライムくんやる気なの?)
(ああ)
(ダメだよ!危険すぎる)
(でも、今のままだったらおそらく俺は次の攻撃を受けきれずに死ぬ)
(……)
(サラ、俺は何もせずに死ぬぐらいなら、ベストを尽くして後悔なく死ぬ方がいいと思う)
(……もう!分かったよ!ボクもライムくんに賭けてあげる)
(ありがとう)
サラとの会話を終え、俺はミューと向きあう。
「ミュー、今のままだったら、絶対にあいつに勝てない」
『うん……』
「だから、俺に力を貸してほしい」
ミューに頭を下げる。
『うん……もちろんいいよ……私は……いつでもライムの味方……』
ミューは俺の頬に手を当てて、俺の顔を上げさせてからにっこりと微笑んだ。
優しく慈愛に満ちたミューの目と俺の目がばっちりと合う。
その視線に導かれるように、ミューに顔を近づけ優しく唇を重ねた。
そして心の中で唱えた。
(”借用”)
それによって動体視力が向上し、狼王ボルト・アポカリプリスの攻撃を見切れるようになった。
狼王ボルト・アポカリプスが目に見えるギリギリの速度で爪を振り下ろしてくる。
それを紙一重で交わしてから反撃をした。
”多重詠唱”
「炎精霊魔法”炎槍”」
空間に5本の炎の槍を生成し、それらを全て同時に狼王ボルト・アポカリプスへ放出する。
しかし、それらは狼王ボルト・アポカリプリスにかすり傷一つ負わせることができなかった。
炎の槍があいつの速さについていけてないんだな。
狼王ボルト・アポカリプスは、周囲に白銀のオーラをどんどん貯めて、爆発的なエネルギーを蓄えている。
本能的な感覚で分かる。
次にくる攻撃は今の俺では防げないことを。
かといって、諦めるわけにもいかない。
「顕現せよ!ミュータント」
『ライム……任せて……』
「闇精霊魔法”喰らう黒空間”」
直後、俺が精霊魔法を使ったのと同じタイミングで狼王ボルト・アポカリプスが集めたエネルギーを稲妻に変換して俺に放った。
しかし、それは俺には当たらず、俺の目の前で消滅した。
ミューの”喰らう黒空間”はある一定の量だけ魔法を吸収することができる。
それによって稲妻の魔法を吸収したのだ。
だが、俺が狼王ボルト・アポカリプスの攻撃を防いだところで形勢は逆転しない。
俺の攻撃は狼王ボルト・アポカリプスに当たらない。どうしたらいいんだ……
今も狼王ボルト・アポカリプスは俺に稲妻を放ち続けている。
このままだと、敵の魔力切れより先に俺の黒空間が破壊されてしまうだろう。
(サラ、”炎槍”より速い魔法はないのか?)
(奥義の”炎拳”は”炎槍”より速いけど、あれは一回しか使えないよ?)
(マジか……)
多分、狼王ボルト・アポカリプスは”炎拳”一発では倒せない。
俺がそのことに頭を抱えていると、ミューが声をかけてきた。
『ライム……あいつの動きを……止めたいの?』
「ああ。でも、そんなことできるのか?」
『……一応できるよ。……ライムも……私と契約したから……知ってるはず……』
”多重詠唱”
「もしかして……闇精霊魔法”底なしの闇”、炎精霊魔法”炎槍”」
狼王ボルト・アポカリプスにデバフをかけ動きを鈍化させてから、そこへ無数の炎の槍を放つ。
狼王ボルト・アポカリプスはデバフの影響で炎の槍を避けきれなかった。
当たった炎の槍が爆発し、周囲を煙が包み込む。
やがて煙が晴れると、そこにはダメージを負った様子の全くない狼王ボルト・アポカリプリスがいた。
……冗談だろ、あれでもダメなのか?
そう思った次の瞬間、俺の目の前にある黒空間が稲妻に耐えきれなくなったのか砕け散った。
直後、俺に稲妻の雨が降り注ぐ。
いくつもの稲妻が俺の体を焼き貫いていった。
「……ッ!?」
『……ライム!』
(……ライムくん!)
ミューとサラが俺を心配して声をあげる。
「ミュー大丈夫だよ」
(サラも、俺は大丈夫だから)
「炎精霊魔法”炎鳥の血”」
今は炎精霊魔法を使うだけで何とかなるぐらいの傷だが、この状態が続けば恐らく俺も長くは持たないだろう……
必死に打開策を考える。
今もなお、狼王ボルト・アポカリプスは白銀のオーラを蓄えている。
次にあれが放たれたら流石の俺も耐えられないだろう。
そこで俺は一つの奇策を思いついた。
そして、心の中でサラに尋ねる。
(サラ一つ聞きたいんだけど、俺の固有スキル”借用”って一人の精霊だけにしか出来ないのかな?)
(分からない。けど、力が強大になりすぎて暴走したり、体が破裂する可能性はあるね)
(なるほどな)
(もしかしてライムくんやる気なの?)
(ああ)
(ダメだよ!危険すぎる)
(でも、今のままだったらおそらく俺は次の攻撃を受けきれずに死ぬ)
(……)
(サラ、俺は何もせずに死ぬぐらいなら、ベストを尽くして後悔なく死ぬ方がいいと思う)
(……もう!分かったよ!ボクもライムくんに賭けてあげる)
(ありがとう)
サラとの会話を終え、俺はミューと向きあう。
「ミュー、今のままだったら、絶対にあいつに勝てない」
『うん……』
「だから、俺に力を貸してほしい」
ミューに頭を下げる。
『うん……もちろんいいよ……私は……いつでもライムの味方……』
ミューは俺の頬に手を当てて、俺の顔を上げさせてからにっこりと微笑んだ。
優しく慈愛に満ちたミューの目と俺の目がばっちりと合う。
その視線に導かれるように、ミューに顔を近づけ優しく唇を重ねた。
そして心の中で唱えた。
(”借用”)
0
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説
妻を寝取ったパーティーメンバーに刺殺された俺はもう死にたくない。〜二度目の俺。最悪から最高の人生へ〜
橋本 悠
ファンタジー
両親の死、いじめ、NTRなどありとあらゆる`最悪`を経験し、終いにはパーティーメンバーに刺殺された俺は、異世界転生に成功した……と思いきや。
もしかして……また俺かよ!!
人生の最悪を賭けた二周目の俺が始まる……ってもうあんな最悪見たくない!!!
さいっっっっこうの人生送ってやるよ!!
──────
こちらの作品はカクヨム様でも連載させていただいております。
先取り更新はカクヨム様でございます。是非こちらもよろしくお願いします!
転生王子 だらだら過ごすが偶にやる気を出す
佐原
ファンタジー
面倒臭がり屋な主人公のアルフレッドは、転生しても変わらず引きこもった生活を続けていた。
巷ではダラけ王子と呼ばれるが、王宮では違いかなりのキレ者と思われている。それでも性格は治るはずもなくダラけ続ける王子として王宮に居座る。
歳を重ねるにつれて面倒事がやってきて、どんどん優秀さをみんなに示して行くのであった。
『ダラけるためなら、帝国を潰すよ!だってこの王国は僕を養ってくれる国だからね!!』
投稿時間は17時です。ストックが有るまでは毎日投稿します!!
感想は誤字脱字のご報告、作品の感想、この作品面白よ!という紹介など色々お待ちしております。なんでも受け止めます!!
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる