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ダンジョン発生

準備は着々と(1)

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世間がダンジョンやらお正月やら入学試験やらで賑やかになってきた1月中旬。

冬休み明けたこの頃になると受験生は志望校の最終調整のための面談を行う。
マコトも担任の先生とクラスでの様子や部活動のこと、最近あった出来事といった世間話をし、話は進路のことへ移った。

「竹林くん、本当に通信学校でいいの?あなたの成績は全然悪くない、むしろかなり上位よ。この前の模試だってクラスで3番目、学年でも11番目。家計の事情で苦しいからバイトができる高校が良いというのは聞いているわ。でも私立高校で特待生制度を利用して授業料を減らすという選択肢もあるし、シンプルな奨学金制度もある。高校生活のメインを学業にしないのは先生としては心配ね。」

先生なりいろいろ調べてくれたのか、数枚の資料が机の上に並べられている。

「いや、まぁ、先生のご心配はごもっともです。ただなんというか、やりたいことができちゃって。多少のお金も稼ぎながらその準備が進められたらなと。」

「なにかのプロを目指しているの?でも部活は書道部で、ほかに外部でやっていたとは聞いてないけど…まさか最近話題のダンジョン関係?」

「はい。」

先生は信じられないという顔でマコトを見た。

「何事にも挑戦することは素晴らしいことだけど正直に言って賛成することはできないわ。なにより先が不透明だし、そんな未開拓な場所に高校生から備えるべきじゃないと思う。でも親御さんも納得しているなら先生から強く言うことはできないわね。」

「…がんばります。」

「…竹林くんもしかしなくても、まだ親御さんに話してないのね?早くいってきなさい!」

「うす、ありがとうございました~。」

マコトは動揺を見逃してくれなかった先生から逃げるように面談室から出ていった。

とはいえ、マコトはダンジョンに挑むことについては親から反対されるとは思っていない。もちろん簡単にいくとも思ってないが、何がなんでも行かさないというほど猛反発はされないと読んでいる。

事実、下校後礼子に面談の報告ついでにダンジョンに挑ませてほしいと伝えたところ、あっさりと許可され逆にマコトが困惑したほどだった。むしろ礼子は違ったことで驚いた様子でマコトが何かをやりたいと言ったのは滅多にないだとか、そういうのに興味があったのかとかなんとか。

ともかく進学先が通信高校と決まれば受験用の勉強をする必要はなく書類を提出し選考を待つのみ。マコトがやることといえばこの1年間続けてきた体力づくりをより熱心に行うことだった。

その内容はランニングがほとんどだが他にも腕立てや腹筋、スクワットも日々ローテーションでこなしている。

ぶっちゃけこれまで運動は学校の体育の授業ぐらいで1年前はたいした距離も走れなかったし、たいした数もこなせなかった。

それを考えれば今ではそこそこ鍛えられたといえるだろう。
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