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ダンジョン発生

一方その頃日本は(2)

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順調に進んでいくかと思われたが徐々に問題点が浮上してきた。

最初のほうは目新しさからか登録、講習をした人間が次から次へとダンジョンへ向かっていったが半年程が経過した10月ごろには20万人いた最初期の利用者が5万人を下回っていた。
もちろん半年が経過する間も新規の発行は続けており、ライセンスカードの所持者は増加している。しかし全体を見渡しても恒常的に攻略する人はそこまで多くない。加えていうならば、ダンジョンセンターの各地方の増設によりライセンスカードの発行は加速したが、戦闘が必然のダンジョン攻略ではやはり筋力の衰えを感じる40代以降は登録に前向きでなく、最近では新しいウッドライセンスも4月頃の勢いでは発行されなくなってきた。

このままでは新しいエネルギー源として期待がかかっている魔石の供給が間に合わず、仮に魔石の利用を開始してもいずれ停止してしまうことは明白であった。

政府としてもそのような事態は避けたく、改善を試みるがどうしようもない理由があった。
それは魔石の買取価格。

レベル1ダンジョンの魔石から利用できるエネルギー量から算出した魔石の価値は500円ほど。

ダンジョンに潜る以上はそれ相応の準備をすることが大切だと言われている中、装備はレンタル品のみで1回5000円。ダンジョンはどこにでもある訳ではなく、全国で50個しかないためそこまでの交通費もかかる。

現在ライセンスカードは20歳以上とされており、所持者の多くは仕事をしているため仕事返上でダンジョンへ向かうことはなく、行きたい人は休日に集中する。
そしてモンスターといえど都合よくポンポンと現れるわけでもない。
また、なにより人々が期待していたスキル所持者が一向に現れなかったのも理由のひとつであると言える。

いろいろなことが重なった結果人々は、想像と違う、とだんだん離れていった。

政府も20歳以上の年齢制限を引き下げようと保護者の同意無しでは高校卒業と同じ18歳、同意ありでは高校入学の15歳から適用しようとしたが、当然反発も大きく来年度次の4月まで決定は延期された。

このまま打つ手なしと思われたがクリスマス直前の12月のある日、事態は急変する。

まず1つ目。各国にそれぞれ50個あるレベル1ダンジョンをすべてクリアした最初の国が出たこと。

次に2つ目はその結果スキルカードの出現がシステムから公言されたこと。

最後に3つ目はレベル2ダンジョンが現れると予告されたこと、である。

最初に全てのダンジョンをクリアした国とはアメリカのことであった。アメリカはダンジョンセンターの増設時にライセンスカードの登録うんぬんをいち早くおこなったためか良いスタートダッシュがきれた結果となった。もちろん勝敗があるものではないのでいちばん早かったからどうということはない。

そしてスキルカードの出現についてはレベル2ダンジョンが関係する。このダンジョンはスキル保持者のみが入れる仕様になっているようでいずれ出現すると予告されるこのダンジョンに向けて今あるレベル1ダンジョンを攻略する人が増える要因となった。

余談だが、ダンジョンが攻略された場合すなわちダンジョンコアが入手された場合でもダンジョン自体は崩壊することはないことがわかっており、ダンジョンコアを狙いに行くことをダンジョン攻略、魔石等を探し求めることをダンジョン探索という。

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