2 / 23
プロローグ
衝撃の日(1)
しおりを挟む
1年の始め。1月1日。この日は竹林家、中川家にとってしばらく忘れられない日になるに違いなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「本当にすみませんでした。」」
ここは竹林家の玄関。大の大人が2人揃って土下座をしている。
2人は竹林 大輔と中川 道助。それぞれの家の大黒柱だ。お金を稼いで家族が暮らせるように頑張っているはずだった。
「ねぇ借金ってどういう事よ。」
一方、土下座をしている男たちの前で立っている女性がいる。こちらも2人。もちろんそれぞれの妻で名前を竹林 礼子、中川 友美という。
いま問いかけた方が礼子。腕を組んで壁によしかかっている。
「あなたもう少し詳しく話してちょうだい。」
そして礼子に比べて少し柔らかい雰囲気を醸しだしているのが友美だ。
「あの、母さんおせち…。」
玄関からリビングまでの廊下は真っ直ぐで、廊下とリビングを繋ぐ扉に1人の男の子が頭をのぞかせていた。竹林 マコト この物語の主人公だ。
「広斗の家で食べてくれる?新年早々少し大輔と話さないといけないことができたの。」
マコトへ向けて話しているが体は今もなお土下座している男たちへ向いていた。
「兄さんのところで?でも兄さんこっちに向かっているって連絡『2度言わせない!』」
マコトの言葉にかぶせた声は大きく、広くない廊下に響いた。
マコトは扉を閉めて、持っていたスマホを耳にあてる。
「そういう事だから兄さんよろしく。」
通話相手は竹林 広斗。既に出たとおりマコトの兄で大学3年生。学校はそう遠くないが入学時から一人暮らしを始めていた。
『はぁ…母さんだいぶキレてるね。なんでこんなことになったのやら。とりあえず今から引き返すよ。家、何回も来たことあるし場所は分かるよね?』
「大丈夫、覚えているよ。部屋番号は703だったかな。」
スマホを耳と肩で挟み、両手で器用におせちを風呂敷に包みなおしていく。
『正解。一応マンションのロビーで待っとくよ。ところで結衣ちゃんは?』
結衣ちゃんとは中川家の次女で高校2年生。マコトと広斗の幼なじみだ。ちなみに長女の芽衣は広斗と同い年で、こちらは大学に進学せずアルバイトなどをしている。
「まだ来てないからおめかししているかも。ん、おせちとお餅の準備できた。着替えたら出るからまたね。」
はいよ、という声とともに通話を終了しスマホをおいた。
そして昨日畳んだばかりの服から適当に選び着替えていく。
(うし、準備完了。そうだアレをやっておこう。)
スマホを忘れずにズボンのポケットに入れ、おせちを包んだ風呂敷を両手で持ち、市販のお餅を入れた手さげ袋を肩に掛ける。
廊下への扉を開けると玄関に4人はおらず、礼子の大きい声が2階から聞こえ既に移動していたことがわかった。
「いってきます。」
マコトは靴を履き小さくボソッとそう呟くと玄関を出て、隣の中川家へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「本当にすみませんでした。」」
ここは竹林家の玄関。大の大人が2人揃って土下座をしている。
2人は竹林 大輔と中川 道助。それぞれの家の大黒柱だ。お金を稼いで家族が暮らせるように頑張っているはずだった。
「ねぇ借金ってどういう事よ。」
一方、土下座をしている男たちの前で立っている女性がいる。こちらも2人。もちろんそれぞれの妻で名前を竹林 礼子、中川 友美という。
いま問いかけた方が礼子。腕を組んで壁によしかかっている。
「あなたもう少し詳しく話してちょうだい。」
そして礼子に比べて少し柔らかい雰囲気を醸しだしているのが友美だ。
「あの、母さんおせち…。」
玄関からリビングまでの廊下は真っ直ぐで、廊下とリビングを繋ぐ扉に1人の男の子が頭をのぞかせていた。竹林 マコト この物語の主人公だ。
「広斗の家で食べてくれる?新年早々少し大輔と話さないといけないことができたの。」
マコトへ向けて話しているが体は今もなお土下座している男たちへ向いていた。
「兄さんのところで?でも兄さんこっちに向かっているって連絡『2度言わせない!』」
マコトの言葉にかぶせた声は大きく、広くない廊下に響いた。
マコトは扉を閉めて、持っていたスマホを耳にあてる。
「そういう事だから兄さんよろしく。」
通話相手は竹林 広斗。既に出たとおりマコトの兄で大学3年生。学校はそう遠くないが入学時から一人暮らしを始めていた。
『はぁ…母さんだいぶキレてるね。なんでこんなことになったのやら。とりあえず今から引き返すよ。家、何回も来たことあるし場所は分かるよね?』
「大丈夫、覚えているよ。部屋番号は703だったかな。」
スマホを耳と肩で挟み、両手で器用におせちを風呂敷に包みなおしていく。
『正解。一応マンションのロビーで待っとくよ。ところで結衣ちゃんは?』
結衣ちゃんとは中川家の次女で高校2年生。マコトと広斗の幼なじみだ。ちなみに長女の芽衣は広斗と同い年で、こちらは大学に進学せずアルバイトなどをしている。
「まだ来てないからおめかししているかも。ん、おせちとお餅の準備できた。着替えたら出るからまたね。」
はいよ、という声とともに通話を終了しスマホをおいた。
そして昨日畳んだばかりの服から適当に選び着替えていく。
(うし、準備完了。そうだアレをやっておこう。)
スマホを忘れずにズボンのポケットに入れ、おせちを包んだ風呂敷を両手で持ち、市販のお餅を入れた手さげ袋を肩に掛ける。
廊下への扉を開けると玄関に4人はおらず、礼子の大きい声が2階から聞こえ既に移動していたことがわかった。
「いってきます。」
マコトは靴を履き小さくボソッとそう呟くと玄関を出て、隣の中川家へ向かった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ダンジョンシーカー
サカモト666
ファンタジー
高校生の武田順平はある日、不良少年の木戸翔太や幼馴染の竜宮紀子らと共に、「神」の気まぐれによって異世界へと召喚されてしまう。勇者としてのチート召喚――かと思いきや、なぜか順平だけが村人以下のクズステータス。戦闘もできない役立たずの彼は、木戸らの企みによって凶悪な迷宮に生贄として突き落とされてしまった。生還率ゼロの怪物的迷宮内、絶体絶命の状況に半ば死を覚悟した順平だったが、そこで起死回生の奇策を閃く。迷宮踏破への活路を見出した最弱ダンジョンシーカーが、裏切り者達への復讐を開始した――
異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。
暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる