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158話、これが、夢じゃなければいいのに
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「む?」
誰かが教会へ来たようだ。一瞬、とある期待で鼓動が高鳴ってしまったけど。たぶん、参拝しに来た人だろう。本当であれば、留守番をしている私が、参拝しに来た人の対応をするべき所なのだが。
どうせ私は、もうすぐ目が覚めてしまい、ここから居なくなる存在だ。なので無視をして、天井の絵画を見ていたい。……けど、誰が来たのか、やはり気になる。横目でチラッと確認するだけなら―――。
「あれ?」
誰が来たのか横目を流し、すぐに天井へ戻そうとした視線が、ゆっくりと扉に移っていく。教会内の薄暗さに目が慣れてしまっていたせいで、視線が釘付けになった扉からは、目を瞑りたくなるほどの強烈な逆光を放っている。
その逆光の中に佇む、長さが異なるぼやけた二つの影。一つは、大人ぐらいの背丈。もう一つは、五歳の体になった私より少し長い。すぐに落ち着きを取り戻した私の鼓動が、再び強く脈を打つ。
「……ま、まさか」
注目している逆光の明るさに慣れてきて、漆黒を纏っていた影が、薄っすらと色付いていく。
片や、純白の司祭服。片や、私が『似合ってるね』と何度も褒めた事がある、探索や採取時に適した黒の子供服。
「……嘘だろ? もしかして……」
ぼやけた二つの影に、ハッキリとした輪郭が宿っていく。純白の司祭服を着た人は、白よりの金色で、首辺りまで伸びている長髪。
黒い子供服を着た子は、また直さないで出掛けたのか。寝ぐせがピョンと飛び出した黒い中髪。まだそれらしか見れていないのに、私の視界がだんだんぼやけていった。
「ピースと、レムさん……?」
私の視界は、二人の影を中心に捉えている。なのに、周りの景色だけが勝手に動き出していく。長椅子の背もたれが、急に高くなり。背もたれが右側へ流れていき、赤い絨毯が敷かれた身廊へ出た。
そして、左右に長椅子のある景色が背後へ動き出し、その場に佇む二人の影が近づいてきた。
「ピース! レムさんっ!!」
無意識の内に無我夢中で叫ぶと、レムさんの透き通った金色の瞳が。ピースの柔らかな黒い瞳が、私に向いてきた。
まだ、私の声が二人に届く。私はまだ、この場所から存在が消えていない。もしかしたら、間に合うかもしれない!
……頼む、頼むよ。まだ目を覚まさないでくれ! 夢でもいい、幻でも構わないから。私にもう一度だけ、あの温もりを、あの声を―――。
「どうしたんだい、アカシック? 急に叫んだりして……、おっと」
走る速度を緩めず、右側に居た黒い子供服を着た影に突進し。顔に軽い衝撃を感じたと思ったら、視界がいきなり闇に染まった。
間に合った? それとも一歩遅かった? どっちだ? 分からない。顔が何かと密着しているけど、動かして確認するのが怖い。もし、間に合わずに起きてしまっていたら……。
けど、なんだか懐かしい匂いがする。これは、私が大好きだった匂いだ。それに、何かを強く抱き締めているような感覚がする。
私が幼少期の頃、つい甘えたくてわがままを言い、毎日のように何度も味わってきた感覚だ。まさか、もしかして……。
「かなり強くぶつかってきたけど……。アカシック、痛くなかったかい?」
闇の中から聞こえてきた、私を心配する声。私の耳と心をくすぐり、どんな時だって私を安心させてくれた声だ。やっぱり、間に合って―――。
「あっ、ああ……、ああっ……!」
恐る恐る仰いだ、視界の中。きょとんとしていながらも、私と顔が合うや否や。逆光を浴びつつもふわりと微笑んでみせてくれた、ピースの顔があった。
「……ピース、ピースだ。ピースが、居る……!」
「僕? ああ、採った薬草を入れるカゴを忘れちゃってね。だから、一回戻って来たんだ」
「まさか、二人して忘れてしまうだなんて。私もうっかりしていました」
ピースの笑みを見ている視界が、大洪水を起こして水面が張っていく最中。溺れた視界の外から、また私の鼓動を強く殴り付ける声が聞こえてきた。
「れ、レムさんも、居るぅ……!」
顔を動かしたせいで、溜った涙が零れて少しだけ晴れた視線の先。私とピースを育ててくれた神父様であり、父親でもある『レム』さんが、暖かな微笑みを見せていた。
「ピースさんだけ、森で待っていてもらう訳にはいきませんからね。私も一緒に帰って―――」
「レムさん! なんで……、なんでいきなり消えちゃったんだよ!」
「―――ん? いきなり消えたって、何の事でしょう?」
「何の事って! 私とピースが『タート』に移り住んだら、教会ごと居なくなっちゃったじゃんか! なんで、なんでなの!? せめて、理由だけでも教えてほしかった……」
感情の抑制が効かなくなり、今までずっと知りたかった理由を問い詰めるも、レムさんは困り顔になり、首を小さく傾げるばかり。
だんまりを決め込んでいるので、更に追撃しようとした矢先。私の頭に何かが触れ、ゆっくりと動き出した。まさかピースが、私の頭を撫でてくれている?
「アカシック。この通り、レムさんは僕達と一緒に居るし、教会も消えてないよ。また眠っちゃって、悪い夢でも見てたんじゃないのかい?」
「……夢?」
「そう、とびっきりに悪い夢さ。大丈夫。僕達は、ちゃんとここに居るよ。だから、一旦落ち着いて」
夢。そうだ。目の前に居るピースとレムさんは、本物の二人じゃない。私の記憶が作り出した幻に過ぎないんだ。だから、今から十五年後に起きる出来事を話しても、通じる訳がない。
これは夢なんだ。……夢なのに、私の頭を撫でてくれているピースの手から、私の一番大好きな暖かさを感じるし。ピースを抱き締めている部分からも、陽の光よりも心地よい温もりがある。
これは本当に夢なのか? ピースの言う通り、今までの出来事が悪い夢じゃなかったのか? 今この瞬間が、私にとっての現実じゃないのか? そうであってほしい。
……あってほしかったのに。もう、私の腕が透けていてほとんど見えない。ピースを抱き締めている感覚も、だんだん薄れてきた。心なしか、瞼が重くなってきたような気がする。
ここは、現実世界じゃない。あと少ししたら、現実世界で寝ている私が目を覚まし、ピース達ごと消えてしまう夢の中なんだ。
「ピース……、レムさん……」
目を覚ませば、また、ピースやレムさんと離れ離れになってしまう。私の声や想いや感情が、また届かなくなってしまう。二人の笑顔が、見れなくなってしまう。
「嫌だ……。また会えなくなっちゃうなんて、嫌だよぉ……」
「可哀想に、体がこんなに震えてる。相当怖い夢を見たんだね」
そう私をなだめてくれているピースが、自分でも震えているのか分かっていない私の体を、もっと強く抱き締めてくれた。
あまり時間が無い。まだ話したい事や、やり残した事が山ほどあるというのに。私は、限られた時間の中で何をすればいい?
みんなと一緒に、笑いながら食事をしたい。みんなと寄り添い合って、中身の無い会話をして笑い転げたい。みんなと一緒にお風呂に入って、体と心を暖めながら笑い合いたい。
ピースと一緒の布団に入って、ピースの温もりを感じながら眠りに就きたい。二人の声を、満足するまで聞いていたい。二人の笑顔を、ずっと見ていたい。
もっと二人に甘えたいし、もっと私を抱き締めてほしいし、もっともっと頭を撫でて―――。
「レムさん、ピースと引っ付いて!」
「ピースさんと? こうですか?」
突然の指示ながらも、レムさんはすぐに応えてくれて、司祭服を着た体を隙間なくピースに付けてくれた。
そのまま私は、ピースの体を抱き締めていた左手を離し、体を少しだけ左へ移動させ。レムさんの体を抱き締めながら、二人の体が密着している部分に顔を埋めた。
「レムさんも、私の頭を撫でて!」
「私もですか?」
「そう! ピースも、もっと撫でて!」
「大丈夫だよ。アカシックが満足するまで、ずっとやっててあげるよ」
目をギュッと瞑り、潤った闇しか見えなくなるも。頭の左右から、大きさが異なる感触がし出した。二人共、私の頭を優しく撫でてくれている。
数十秒あるかすら分からない時間の中で、私が後悔を残さずに目覚める方法。それは、二人に甘える事だ。もう、九十年以上も我慢してきたんだ。今日ぐらい子供に戻って、目一杯、二人に甘えてもいいよね……?
けど、そろそろ時間切れみたいだ。白い闇が、黒い闇を下から塗り替え始めている。きっと、私の顔まで消えかかっているのだろう。
もう、二人分の温もりが感じられない。大好きな二人の匂いもしない。私の頭を撫でてくれていた、二人分の感触が遠ざかっていく。白い闇が、黒い闇を全て塗り潰していく。
『これが、夢じゃなければいいのに……』
直の声なのか、心の声なのかすら判別出来ない私の声が、辺りに反響していった。その反響音が途切れる前に、『ええ、同感です』という、レムさんの相槌が聞こえたような気がした。
誰かが教会へ来たようだ。一瞬、とある期待で鼓動が高鳴ってしまったけど。たぶん、参拝しに来た人だろう。本当であれば、留守番をしている私が、参拝しに来た人の対応をするべき所なのだが。
どうせ私は、もうすぐ目が覚めてしまい、ここから居なくなる存在だ。なので無視をして、天井の絵画を見ていたい。……けど、誰が来たのか、やはり気になる。横目でチラッと確認するだけなら―――。
「あれ?」
誰が来たのか横目を流し、すぐに天井へ戻そうとした視線が、ゆっくりと扉に移っていく。教会内の薄暗さに目が慣れてしまっていたせいで、視線が釘付けになった扉からは、目を瞑りたくなるほどの強烈な逆光を放っている。
その逆光の中に佇む、長さが異なるぼやけた二つの影。一つは、大人ぐらいの背丈。もう一つは、五歳の体になった私より少し長い。すぐに落ち着きを取り戻した私の鼓動が、再び強く脈を打つ。
「……ま、まさか」
注目している逆光の明るさに慣れてきて、漆黒を纏っていた影が、薄っすらと色付いていく。
片や、純白の司祭服。片や、私が『似合ってるね』と何度も褒めた事がある、探索や採取時に適した黒の子供服。
「……嘘だろ? もしかして……」
ぼやけた二つの影に、ハッキリとした輪郭が宿っていく。純白の司祭服を着た人は、白よりの金色で、首辺りまで伸びている長髪。
黒い子供服を着た子は、また直さないで出掛けたのか。寝ぐせがピョンと飛び出した黒い中髪。まだそれらしか見れていないのに、私の視界がだんだんぼやけていった。
「ピースと、レムさん……?」
私の視界は、二人の影を中心に捉えている。なのに、周りの景色だけが勝手に動き出していく。長椅子の背もたれが、急に高くなり。背もたれが右側へ流れていき、赤い絨毯が敷かれた身廊へ出た。
そして、左右に長椅子のある景色が背後へ動き出し、その場に佇む二人の影が近づいてきた。
「ピース! レムさんっ!!」
無意識の内に無我夢中で叫ぶと、レムさんの透き通った金色の瞳が。ピースの柔らかな黒い瞳が、私に向いてきた。
まだ、私の声が二人に届く。私はまだ、この場所から存在が消えていない。もしかしたら、間に合うかもしれない!
……頼む、頼むよ。まだ目を覚まさないでくれ! 夢でもいい、幻でも構わないから。私にもう一度だけ、あの温もりを、あの声を―――。
「どうしたんだい、アカシック? 急に叫んだりして……、おっと」
走る速度を緩めず、右側に居た黒い子供服を着た影に突進し。顔に軽い衝撃を感じたと思ったら、視界がいきなり闇に染まった。
間に合った? それとも一歩遅かった? どっちだ? 分からない。顔が何かと密着しているけど、動かして確認するのが怖い。もし、間に合わずに起きてしまっていたら……。
けど、なんだか懐かしい匂いがする。これは、私が大好きだった匂いだ。それに、何かを強く抱き締めているような感覚がする。
私が幼少期の頃、つい甘えたくてわがままを言い、毎日のように何度も味わってきた感覚だ。まさか、もしかして……。
「かなり強くぶつかってきたけど……。アカシック、痛くなかったかい?」
闇の中から聞こえてきた、私を心配する声。私の耳と心をくすぐり、どんな時だって私を安心させてくれた声だ。やっぱり、間に合って―――。
「あっ、ああ……、ああっ……!」
恐る恐る仰いだ、視界の中。きょとんとしていながらも、私と顔が合うや否や。逆光を浴びつつもふわりと微笑んでみせてくれた、ピースの顔があった。
「……ピース、ピースだ。ピースが、居る……!」
「僕? ああ、採った薬草を入れるカゴを忘れちゃってね。だから、一回戻って来たんだ」
「まさか、二人して忘れてしまうだなんて。私もうっかりしていました」
ピースの笑みを見ている視界が、大洪水を起こして水面が張っていく最中。溺れた視界の外から、また私の鼓動を強く殴り付ける声が聞こえてきた。
「れ、レムさんも、居るぅ……!」
顔を動かしたせいで、溜った涙が零れて少しだけ晴れた視線の先。私とピースを育ててくれた神父様であり、父親でもある『レム』さんが、暖かな微笑みを見せていた。
「ピースさんだけ、森で待っていてもらう訳にはいきませんからね。私も一緒に帰って―――」
「レムさん! なんで……、なんでいきなり消えちゃったんだよ!」
「―――ん? いきなり消えたって、何の事でしょう?」
「何の事って! 私とピースが『タート』に移り住んだら、教会ごと居なくなっちゃったじゃんか! なんで、なんでなの!? せめて、理由だけでも教えてほしかった……」
感情の抑制が効かなくなり、今までずっと知りたかった理由を問い詰めるも、レムさんは困り顔になり、首を小さく傾げるばかり。
だんまりを決め込んでいるので、更に追撃しようとした矢先。私の頭に何かが触れ、ゆっくりと動き出した。まさかピースが、私の頭を撫でてくれている?
「アカシック。この通り、レムさんは僕達と一緒に居るし、教会も消えてないよ。また眠っちゃって、悪い夢でも見てたんじゃないのかい?」
「……夢?」
「そう、とびっきりに悪い夢さ。大丈夫。僕達は、ちゃんとここに居るよ。だから、一旦落ち着いて」
夢。そうだ。目の前に居るピースとレムさんは、本物の二人じゃない。私の記憶が作り出した幻に過ぎないんだ。だから、今から十五年後に起きる出来事を話しても、通じる訳がない。
これは夢なんだ。……夢なのに、私の頭を撫でてくれているピースの手から、私の一番大好きな暖かさを感じるし。ピースを抱き締めている部分からも、陽の光よりも心地よい温もりがある。
これは本当に夢なのか? ピースの言う通り、今までの出来事が悪い夢じゃなかったのか? 今この瞬間が、私にとっての現実じゃないのか? そうであってほしい。
……あってほしかったのに。もう、私の腕が透けていてほとんど見えない。ピースを抱き締めている感覚も、だんだん薄れてきた。心なしか、瞼が重くなってきたような気がする。
ここは、現実世界じゃない。あと少ししたら、現実世界で寝ている私が目を覚まし、ピース達ごと消えてしまう夢の中なんだ。
「ピース……、レムさん……」
目を覚ませば、また、ピースやレムさんと離れ離れになってしまう。私の声や想いや感情が、また届かなくなってしまう。二人の笑顔が、見れなくなってしまう。
「嫌だ……。また会えなくなっちゃうなんて、嫌だよぉ……」
「可哀想に、体がこんなに震えてる。相当怖い夢を見たんだね」
そう私をなだめてくれているピースが、自分でも震えているのか分かっていない私の体を、もっと強く抱き締めてくれた。
あまり時間が無い。まだ話したい事や、やり残した事が山ほどあるというのに。私は、限られた時間の中で何をすればいい?
みんなと一緒に、笑いながら食事をしたい。みんなと寄り添い合って、中身の無い会話をして笑い転げたい。みんなと一緒にお風呂に入って、体と心を暖めながら笑い合いたい。
ピースと一緒の布団に入って、ピースの温もりを感じながら眠りに就きたい。二人の声を、満足するまで聞いていたい。二人の笑顔を、ずっと見ていたい。
もっと二人に甘えたいし、もっと私を抱き締めてほしいし、もっともっと頭を撫でて―――。
「レムさん、ピースと引っ付いて!」
「ピースさんと? こうですか?」
突然の指示ながらも、レムさんはすぐに応えてくれて、司祭服を着た体を隙間なくピースに付けてくれた。
そのまま私は、ピースの体を抱き締めていた左手を離し、体を少しだけ左へ移動させ。レムさんの体を抱き締めながら、二人の体が密着している部分に顔を埋めた。
「レムさんも、私の頭を撫でて!」
「私もですか?」
「そう! ピースも、もっと撫でて!」
「大丈夫だよ。アカシックが満足するまで、ずっとやっててあげるよ」
目をギュッと瞑り、潤った闇しか見えなくなるも。頭の左右から、大きさが異なる感触がし出した。二人共、私の頭を優しく撫でてくれている。
数十秒あるかすら分からない時間の中で、私が後悔を残さずに目覚める方法。それは、二人に甘える事だ。もう、九十年以上も我慢してきたんだ。今日ぐらい子供に戻って、目一杯、二人に甘えてもいいよね……?
けど、そろそろ時間切れみたいだ。白い闇が、黒い闇を下から塗り替え始めている。きっと、私の顔まで消えかかっているのだろう。
もう、二人分の温もりが感じられない。大好きな二人の匂いもしない。私の頭を撫でてくれていた、二人分の感触が遠ざかっていく。白い闇が、黒い闇を全て塗り潰していく。
『これが、夢じゃなければいいのに……』
直の声なのか、心の声なのかすら判別出来ない私の声が、辺りに反響していった。その反響音が途切れる前に、『ええ、同感です』という、レムさんの相槌が聞こえたような気がした。
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