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65話、朝が弱すぎる死霊使いと、未来の約束
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ファートが私の家に泊まる事になった後。今宵は騒がしくなると予想していたが、案外そうでもなかった。
『騒がしい』という単語の意味を具現化させたような存在であるファートが、終始アルビスの肩や腰を揉んでいたので、逆に静かにしていた。
アルビスがハーブティーを嗜んでいる時も。サニーに絵を描かれている間にも。体が骨なので飲み食い出来るはずもなく、もちろん夕飯を食べている時にも。
その間アルビスは、満更でもない表情をしていた。むしろ、いつもより穏やかだったかもしれない。五百年以上も生きている事だし、体中が凝っていたのだろう。
そしてそのファートは、アルビス達が帰宅してからも、実に大人しくしていた。仕舞いには絵本を取り出し、率先してサニーに語り聞かせていた。
私も例の絵本を探すべく、最後まで読み通してみたのだが……。ここで二つの不可解な問題を見つけてしまった。
一つ目。幼少期だった頃の記憶と、忘れていた決心を思い出させてくれて、サニーを私の娘として迎え入れる切っ掛けを作ってくれた絵本。
厳密に言うと魔法具の一種で、私が触ると『孤児の魔女と人間』という絵本に変わる魔法具が、隠していた場所から無くなっていた。
隠した場所は、絵本専用の本棚ではなく、私の魔法の研究資料をしまい込んである本棚だ。一番上の段に隠したはずなので、サニーの手は届かない。
ヴェルインやアルビスもそう。私の私物には一切触らないし、近くにある研究資料に埃がかぶっていたので、掃除をされた形跡もない。
私も、あの魔法具を隠してから一度も触っていないので……。とどのつまり、独りでに消えてしまったのだ。
が、サニーは『孤児の魔女と人間』の内容をある程度覚えていたので、やはり魔法具は存在していた事になる。私も当時の出来事を鮮明に覚えているしな。
なので、無くなってしまった原因が余計に分からない。皆目見当がつかないので、迷宮入りの謎になってしまった。これについては後日、文字通り家の中を全て捜索してみよう。
二つ目。サニーが言っていた『イフリート』『シルフ』『レム』。この三人の精霊の名前が載っている絵本は、結局のところ見つからなかった。
サニー曰(いわ)く、表紙に題名は無く、絵本全体は純白のこと。しかし、その情報を頼りに再び探してみたものの、やはり見つける事は出来なかった。
……気になる。親に見捨てられた私とピースを拾ってくれて、愛情を込めて育ててくれた神父様『レム』さんと名前が被っている、光の精霊『レム』の顔を。そして、一体どういう人物なのかと。
やはりこちらも、魔法具と共に捜索を続けてみよう。もしかしたら、ひょんな所から出でくるかもしれないしな。
「ファート、起きろ。そろそろ行くぞ」
「ひゃっ、眩ちい……」
いつまで経っても起きる様子がなかったので、中から寝息が聞こえてくる木箱の蓋を開けてみれば。窓から差し込む朝日に起こされたファートが、瞑っていた無い目をもっと瞑った。
普段、鉄の棺の中で寝ているので、『狭くて暗い場所』で寝たいというファートの願いを叶えるべく、木箱の中に入れたのだが……。こいつの寝起き姿は、ちょっと活きがいい白骨死体にしか見えない。
その生きた白骨死体であるファートが、四つん這いでのそのそと木箱から出て来ては、眼光が灯っていない寝ぼけ眼を指で擦る。
「ん~っ……、どこに行くんだよぉ~……?」
「どこって、海だ。忘れたのか? お前も一緒に行って、海岸で希少な骨を探すんだろ?」
「ファートさん、起きて起きてっ」
早く海を見に行きたいのか、二度寝しそうなファートの固い頬をぺちぺちと叩くサニー。
しかし、その可愛げな目覚ましも無駄に終わり、ファートの体が力無く床に突っ伏していく。
「ファーストレディさん……。我の体に縄を括り付けて、連れてってはくれませんか……?」
「本当に眠たそうだな。朝は弱いのか?」
「我は人間の時から、昼夜逆転生活をしてたからなぁ……。弱いどころの騒ぎじゃないぞ……、むしろ弱点だ……」
「弱点」
不老不死の死霊使い『ファート』は、元々は人間である。迫害の地に来た理由は、元を辿れば私とほぼ同じ。法外な死霊の秘術を行うべく、軽い気持ちで訪れたらしい。
なので、前準備をまったくせずに針葉樹林地帯を通っていたら、大量の魔物に襲撃され、健闘しながらも瀕死になり。自身の体に術をかけ、綺麗な状態でアンデッド化する予定だったはずが、誤ってスケルトン化してしまったとのこと。
それからは魔物の脅威に怯えつつ、針葉樹林地帯で真新しい人骨を漁っては、砂漠地帯で見つけた神殿で、日々秘術の研究に勤しんでいる。
「ったく。本当に、体に縄を括り付けいいんだな?」
「はい、それでお願いします……」
最早ピクリとも動かず、寝る体勢に入っているファート。本人から許可を得られたので、さっさと括り付けてしまおう。
壁の隅にある木箱の蓋を『ふわふわ』で開け、中に入っている縄を浮かし、風魔法で手頃な長さに切断。そのまま短い方を、私の手元に招き寄せた。
「体に直接括り付けていいのか?」
「ローブの上からの方が、好ましいです……」
「ローブの上からだな、分かった」
「お手を煩わしぇて、しゅみましぇん……。ぐぅ……」
ファートの声が、だんだんと弱々しく掠れてきたかと思えば。体に縄を括り付ける前に寝てしまった様だ。まあ、騒がれるよりかはマシか。
安らかな寝息を立てているファートの体に『ふわふわ』をかけ、私の腰辺りまで浮かせる。肋骨がある部分に縄を括り付けると心もとないと思い、腹の部分に括り付ける事にした。
ローブの上から括り付けると、どうやらそこには背骨しかなかったようで。縄を一度回しただけでは弱いと察し、追加で三度回す。
最後に片結びをすれば終わりだ。後は外に出て、召喚した箒に括り付ければ完了である。
「ファートさん、『ふわふわ』されながら寝ちゃってるね。すごく気持ちよさそうな顔をしてるや」
「確かに。寝るのが好きなんだろう」
サニーにも悟られるほど幸せそうな表情で、たまに体をビクンとさせて寝ている。急に動かれると驚いてしまうから、正直やめてほしい。
「さてと……。それじゃあサニー、そろそろ行くか」
「行くっ! ねえお母さん、今日は海に行くんだよね?」
「そうだ。絵本で何度も見た事があるだろ?」
「うんっ。池や湖よりも、ずっとずっと広い場所だよね!」
「そうだ、合ってる」
ダメ元で知らない事を願いつつ聞いてみるも、サニーは即答で海の特徴も交えて説明し、ふわりと笑う。
三百冊以上も絵本を読んでいれば、流石に海は知っているか。となると、今日はサニーの質問攻めは、きっと無いだろうな。非常に残念だ。
肩を小さく落とした私は、掴んでいた縄を一旦離し、持って行く物の最終確認をする。画用紙と色棒が入った布袋。昼食用の野菜を挟んだパン。
今日は大事な役割を果たす、新しく購入した大きめの一枚布。そして精霊の泉の水と、細かい氷が入っている容器。それらが入っている布袋を左肩に下げ、ファートを括り付けている縄を掴み、空いている右手をサニーに差し出した。
するとサニーは、待ってましたと言わんばかりに私の右手を握りしめた途端、何を思ったのか。青い上目遣いを私に見せつけてきた。
「お母さんの手、ちょっと小さくなった?」
「いや、サニーが大きくなったんだ。その内、私と同じぐらいの背丈になるだろ」
「私、もっと大きくなるんだ。もしお母さんと同じぐらいの大きさになったら、お母さんをギュッてしたいな」
年相応の願いを口からこぼし、健気な笑みを浮かべるサニー。
『ギュッ』というのは、私の体を抱きしめるという意味なのだろう。あと六、七年も時を重ねれば、サニーは私と近い身長になり、立ったままギュッとされるのか。悪くない、すごく楽しみだ。
「なら、その時が来たら、私が先にサニーをギュッとしてやろう」
「えーっ、やだっ! 私が先にするんだもんっ!」
「いーや、私が先にやる」
ちょっとイジワルな口調で言ってみれば、怒ったサニーの頬がプクッと膨らむも、「あっ」という言葉を漏らし、再び笑顔に戻った。
「じゃあ、同時にギュッてしよっ!」
「同時か。分かった、そうしよう」
「絶対だからね! 約束だよ?」
「ああ、約束だ」
即答したものの、嘘をついてしまったので、左胸がチクリと痛んだ。だまして悪いな、サニー。隙を突き、私が先にギュッとしてやる。これは決定事項だ。絶対にやる。
六、七年後か。そう遠くない未来だ。あっという間に来るだろう。その未来の約束を脳裏に焼き付けた私は、サニーと共に扉を開け、外へ出ていった。
『騒がしい』という単語の意味を具現化させたような存在であるファートが、終始アルビスの肩や腰を揉んでいたので、逆に静かにしていた。
アルビスがハーブティーを嗜んでいる時も。サニーに絵を描かれている間にも。体が骨なので飲み食い出来るはずもなく、もちろん夕飯を食べている時にも。
その間アルビスは、満更でもない表情をしていた。むしろ、いつもより穏やかだったかもしれない。五百年以上も生きている事だし、体中が凝っていたのだろう。
そしてそのファートは、アルビス達が帰宅してからも、実に大人しくしていた。仕舞いには絵本を取り出し、率先してサニーに語り聞かせていた。
私も例の絵本を探すべく、最後まで読み通してみたのだが……。ここで二つの不可解な問題を見つけてしまった。
一つ目。幼少期だった頃の記憶と、忘れていた決心を思い出させてくれて、サニーを私の娘として迎え入れる切っ掛けを作ってくれた絵本。
厳密に言うと魔法具の一種で、私が触ると『孤児の魔女と人間』という絵本に変わる魔法具が、隠していた場所から無くなっていた。
隠した場所は、絵本専用の本棚ではなく、私の魔法の研究資料をしまい込んである本棚だ。一番上の段に隠したはずなので、サニーの手は届かない。
ヴェルインやアルビスもそう。私の私物には一切触らないし、近くにある研究資料に埃がかぶっていたので、掃除をされた形跡もない。
私も、あの魔法具を隠してから一度も触っていないので……。とどのつまり、独りでに消えてしまったのだ。
が、サニーは『孤児の魔女と人間』の内容をある程度覚えていたので、やはり魔法具は存在していた事になる。私も当時の出来事を鮮明に覚えているしな。
なので、無くなってしまった原因が余計に分からない。皆目見当がつかないので、迷宮入りの謎になってしまった。これについては後日、文字通り家の中を全て捜索してみよう。
二つ目。サニーが言っていた『イフリート』『シルフ』『レム』。この三人の精霊の名前が載っている絵本は、結局のところ見つからなかった。
サニー曰(いわ)く、表紙に題名は無く、絵本全体は純白のこと。しかし、その情報を頼りに再び探してみたものの、やはり見つける事は出来なかった。
……気になる。親に見捨てられた私とピースを拾ってくれて、愛情を込めて育ててくれた神父様『レム』さんと名前が被っている、光の精霊『レム』の顔を。そして、一体どういう人物なのかと。
やはりこちらも、魔法具と共に捜索を続けてみよう。もしかしたら、ひょんな所から出でくるかもしれないしな。
「ファート、起きろ。そろそろ行くぞ」
「ひゃっ、眩ちい……」
いつまで経っても起きる様子がなかったので、中から寝息が聞こえてくる木箱の蓋を開けてみれば。窓から差し込む朝日に起こされたファートが、瞑っていた無い目をもっと瞑った。
普段、鉄の棺の中で寝ているので、『狭くて暗い場所』で寝たいというファートの願いを叶えるべく、木箱の中に入れたのだが……。こいつの寝起き姿は、ちょっと活きがいい白骨死体にしか見えない。
その生きた白骨死体であるファートが、四つん這いでのそのそと木箱から出て来ては、眼光が灯っていない寝ぼけ眼を指で擦る。
「ん~っ……、どこに行くんだよぉ~……?」
「どこって、海だ。忘れたのか? お前も一緒に行って、海岸で希少な骨を探すんだろ?」
「ファートさん、起きて起きてっ」
早く海を見に行きたいのか、二度寝しそうなファートの固い頬をぺちぺちと叩くサニー。
しかし、その可愛げな目覚ましも無駄に終わり、ファートの体が力無く床に突っ伏していく。
「ファーストレディさん……。我の体に縄を括り付けて、連れてってはくれませんか……?」
「本当に眠たそうだな。朝は弱いのか?」
「我は人間の時から、昼夜逆転生活をしてたからなぁ……。弱いどころの騒ぎじゃないぞ……、むしろ弱点だ……」
「弱点」
不老不死の死霊使い『ファート』は、元々は人間である。迫害の地に来た理由は、元を辿れば私とほぼ同じ。法外な死霊の秘術を行うべく、軽い気持ちで訪れたらしい。
なので、前準備をまったくせずに針葉樹林地帯を通っていたら、大量の魔物に襲撃され、健闘しながらも瀕死になり。自身の体に術をかけ、綺麗な状態でアンデッド化する予定だったはずが、誤ってスケルトン化してしまったとのこと。
それからは魔物の脅威に怯えつつ、針葉樹林地帯で真新しい人骨を漁っては、砂漠地帯で見つけた神殿で、日々秘術の研究に勤しんでいる。
「ったく。本当に、体に縄を括り付けいいんだな?」
「はい、それでお願いします……」
最早ピクリとも動かず、寝る体勢に入っているファート。本人から許可を得られたので、さっさと括り付けてしまおう。
壁の隅にある木箱の蓋を『ふわふわ』で開け、中に入っている縄を浮かし、風魔法で手頃な長さに切断。そのまま短い方を、私の手元に招き寄せた。
「体に直接括り付けていいのか?」
「ローブの上からの方が、好ましいです……」
「ローブの上からだな、分かった」
「お手を煩わしぇて、しゅみましぇん……。ぐぅ……」
ファートの声が、だんだんと弱々しく掠れてきたかと思えば。体に縄を括り付ける前に寝てしまった様だ。まあ、騒がれるよりかはマシか。
安らかな寝息を立てているファートの体に『ふわふわ』をかけ、私の腰辺りまで浮かせる。肋骨がある部分に縄を括り付けると心もとないと思い、腹の部分に括り付ける事にした。
ローブの上から括り付けると、どうやらそこには背骨しかなかったようで。縄を一度回しただけでは弱いと察し、追加で三度回す。
最後に片結びをすれば終わりだ。後は外に出て、召喚した箒に括り付ければ完了である。
「ファートさん、『ふわふわ』されながら寝ちゃってるね。すごく気持ちよさそうな顔をしてるや」
「確かに。寝るのが好きなんだろう」
サニーにも悟られるほど幸せそうな表情で、たまに体をビクンとさせて寝ている。急に動かれると驚いてしまうから、正直やめてほしい。
「さてと……。それじゃあサニー、そろそろ行くか」
「行くっ! ねえお母さん、今日は海に行くんだよね?」
「そうだ。絵本で何度も見た事があるだろ?」
「うんっ。池や湖よりも、ずっとずっと広い場所だよね!」
「そうだ、合ってる」
ダメ元で知らない事を願いつつ聞いてみるも、サニーは即答で海の特徴も交えて説明し、ふわりと笑う。
三百冊以上も絵本を読んでいれば、流石に海は知っているか。となると、今日はサニーの質問攻めは、きっと無いだろうな。非常に残念だ。
肩を小さく落とした私は、掴んでいた縄を一旦離し、持って行く物の最終確認をする。画用紙と色棒が入った布袋。昼食用の野菜を挟んだパン。
今日は大事な役割を果たす、新しく購入した大きめの一枚布。そして精霊の泉の水と、細かい氷が入っている容器。それらが入っている布袋を左肩に下げ、ファートを括り付けている縄を掴み、空いている右手をサニーに差し出した。
するとサニーは、待ってましたと言わんばかりに私の右手を握りしめた途端、何を思ったのか。青い上目遣いを私に見せつけてきた。
「お母さんの手、ちょっと小さくなった?」
「いや、サニーが大きくなったんだ。その内、私と同じぐらいの背丈になるだろ」
「私、もっと大きくなるんだ。もしお母さんと同じぐらいの大きさになったら、お母さんをギュッてしたいな」
年相応の願いを口からこぼし、健気な笑みを浮かべるサニー。
『ギュッ』というのは、私の体を抱きしめるという意味なのだろう。あと六、七年も時を重ねれば、サニーは私と近い身長になり、立ったままギュッとされるのか。悪くない、すごく楽しみだ。
「なら、その時が来たら、私が先にサニーをギュッとしてやろう」
「えーっ、やだっ! 私が先にするんだもんっ!」
「いーや、私が先にやる」
ちょっとイジワルな口調で言ってみれば、怒ったサニーの頬がプクッと膨らむも、「あっ」という言葉を漏らし、再び笑顔に戻った。
「じゃあ、同時にギュッてしよっ!」
「同時か。分かった、そうしよう」
「絶対だからね! 約束だよ?」
「ああ、約束だ」
即答したものの、嘘をついてしまったので、左胸がチクリと痛んだ。だまして悪いな、サニー。隙を突き、私が先にギュッとしてやる。これは決定事項だ。絶対にやる。
六、七年後か。そう遠くない未来だ。あっという間に来るだろう。その未来の約束を脳裏に焼き付けた私は、サニーと共に扉を開け、外へ出ていった。
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