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18話、私の中の色
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「あそこにするか」
穴に落ちていたゴーレムを助けて、その場から飛び去った約五分後。
どこを見渡せど、ゴーレムが居ない純白の花に覆われた台地。その一角に丁度いい広場を見つけ、そこを目指して高度を下げていく。
地面に足を付けると、先にサニーを『ふわふわ』で下ろして魔法を解除する。布袋を肩に置き、左手に木のカゴを持ち、乗っていた漆黒色の箒を消した。
「着いたぞ」
「うわぁ~っ!」
純白の花びらが舞う風に金色の髪の毛をたなびかせ、青色の瞳を眩く輝かせているサニーが、広場に駆け出していく。
「まわりがずっとしろいっ! うえもずっとあおいっ! わーいっ!」
手を大きく広げながら走り回っているサニーが、ようやく上にも注目してくれた。
名前の由来にもなった、雲一つ無い悠々と佇む青空。それと眩しい笑顔に見立てた、燦々と輝く太陽。
そして、その青空と太陽が見守っている中。二つの存在が朧気に霞む程はしゃいでる、無邪気な笑顔で走り回るサニー。やはりサニーには、青空の下に居る方が似合っているようだ。
「前を向いて走れ、転ぶぞ」
サニーに目を配りつつ、地面に一枚の布を敷いていく私。たぶん転ぶと思うので、予めサニーの体に再度、風魔法である『ふわふわ』をかけておく。
「わーいっ! すごくひろ、わっ!?」
布を敷き終わると同時に、歓喜とは違った声が上がる。驚きを含んだ声を耳にした私は、布に視線を向けながら指を鳴らし、『ふわふわ』を発動させた。
荷物を全て布の上に置いてから、転んでいるであろうサニーに顔を向ける。目線の先には、地面に対して体を垂直にさせ、手をバンザイさせて宙に浮いているサニーの姿があった。
顔をギュッとしている所を見ると、地面に激突する瞬間を未だに待っているのだろうか? そろそろ気付いてもいいはずだが。
「サニー、目を開けてみろ」
「うう~っ……、あれっ?」
やっと自分の体が浮いている事を理解したサニーは、開けた目をぱちくりとさせる。
そのまま私は指招きをし、サニーを私の元まで引き寄せて、目の前にちょこんと正座をさせた。
「だから言っただろ?」
「えへへ、ごめんなさい」
反省の意を示すも、高揚した気持ちの方が勝っているのか、苦笑いの中にワンパクな微笑みが見え隠れしている。
初めての外出なんだ。今日は何を言っても無駄だろうから、好き勝手やらせてやるとしよう。そう諦めて鼻から息を漏らした私は、話を続けた。
「次から気を付けろ。それで、何かしたい事はあるか?」
「おえかきっ!」
質問をしてみれば、サニーはすぐさま右手を高々と挙げ、太陽にも勝るとも劣らない明るい返事をした。
沼地帯にある家に居る時とは、まるで違う反応だ。全ての行動が生き生きとしている。
私はサニーのわがままを叶える為に、布袋から画用紙と色棒を取り出し、サニーに差し出した。
「ほら」
「ありがとっ、ままっ!」
渡した画用紙と色棒を大事そうに抱えたサニーが、満面の笑みでお礼を言う。そのサニーは私の膝元まで歩いて来て、背を向けて私の体に寄り掛かる。
体を密着させてから私に顔を合わせると、満足気にふわっと微笑み、顔を画用紙に戻して青色の棒を手に取った。
この行動は予測していなかった。サニーがピッタリと寄り掛かっているせいで、まったく身動きが出来ない。
絵を描くのに夢中になっている隙を突き、広場だけでも探索したかったのに。
「なんで、わざわざここまで来たんだ?」
問い掛けてみると、サニーは描こうとしていた手を止め、再び私に顔を向ける。
「ままといっしょにいたいからっ」
「動けないんだが」
私は感じたままの不満を漏らし、サニーの両頬を摘んで引っ張った。二歳児ともあってか、肌はぷにぷにとしていて柔らかく、思いの外伸びていく。
「あえ~……」
引っ張っては離し、引っ張っては離しを繰り返す。五回ほど繰り返してから手を離すと、サニーは頬をプクッと膨らませ、怒っている細目で私を睨みつけた。
「む~っ。まま、なにするのっ?」
「特に理由は無い」
「なにそれ、ぶしゅっ」
今度は、膨らんでいるサニーの両頬を手で押した。口を尖らせ、しわくちゃになっている顔を眺めた後、そっと手を離す。するとサニーはまた頬を膨らませたので、すかさず手で押し込んだ。
「まま、やめてよっ」
「もっとやらせてくれ」
「いやっ」
サニーは私のお願いを聞かず、プイッとそっぽを向く。あろう事か私との距離を詰め直し、ぷりぷりとしながら絵を描き始めてしまった。
こうすれば、サニーは嫌気が差して距離を取ると思っていたのだが。一向に離れる気配を見せない。むしろ、先ほどよりも更に密着してくるとは。
ローブの上にも深く乗られてしまったので、体を少しでも動かそうもならば、サニーの邪魔をしてしまうかもしれない。
「……後にするか」
今は広場の探索を諦め、鼻でため息をつきながら肩を落とす私。
やる事が無くなってしまったので、暇潰しにと、そよ風に吹かれて右往左往している花畑に目を移す。
左側を向けば白。正面を向いても白。右側までもが白。背後にも、永遠に白い花畑の景色が広がっている。余計な物は何一つ無い。
「確かに、どこまでもずっと白いな」
数分前にはしゃいでいたサニーの言葉を思い出し、同じ感想を漏らす。目標も目的すらも持たぬまま、ぼーっと景色を眺めたのは、いつ振りぐらいだろうか?
ここ最近で思い当たる節はまったく無い。目を瞑って八十年分の記憶を遡ってみれば、最後の記憶は、目の前には空よりも青が濃い大海原。
そして、隣にはいつも私の心を支えてくれていた、まだ生きている彼が居た。感情に溢れている私の心をくすぐる様な笑顔でいる、とても眩しい彼が。
「……そうか。ここまでのんびりするのは、八十年以上振りなのか」
最早、太古の昔にすら思える懐かしさを覚え、感傷に浸れないまま、白い大海原を前に黄昏ていく。
全ての思考を放棄し、花畑が過去に置いてきた海の景色と重なっていき、宙に舞う花びらが水飛沫にさえ見え始めてきた頃。葉が擦れ合うさざ波を遮る一つの音が、耳に入り込んできた。
「ふっふふ~んふ~んっ、ふ~んふ~んふ~んっ」
「む……」
機嫌を取り戻したサニーの鼻歌が、青い大海原と化した花畑の光景を元に戻し、現を抜かしていた私の意識を、現実へと引き戻していく。
ズレていた意識の時間が、一秒の狂いも無く正常に戻れば、気が付いたら私は口元に手を当てていて、口を大きく広げて息を吸い込んでいた。
「今、私はあくびをしたのか……?」
「ここのおはなさんたち、ままににてるね」
無意識の内にしていた自分の行動に、呆気に取られている最中。サニーが絵を描きながら言う。
「この花が私に似てるだと? どこがだ?」
「えっとね、ままのなかっ」
「私の、中?」
私の中。私の中とは一体なんだ? もしかして、心の事でも言っているのだろうか? もしそうなのであれば、それは間違っている。
自分でも分かっている事だ。私の心は黒い。他の色なんぞいくらでも飲み込んでしまうような、漆黒の闇だ。
他の色なんてありえない。ましてや、黒とは正反対である白。もしお世辞で言っているのであれば、逆効果だ。
だが、黒ではなく白と言ってきたからには、なんかしらの理由があるはず。真意が気になってきたので、聞いてみるとしよう。
「サニー。なんで私の中は白なんだ?」
「だって、ままはやさしいから」
「優しい?」
あまりにも的外れな言葉に、私は疑念に満ちた声で返す。するとサニーは描いている手を止め、私に顔を向け、ニコリと笑った。
「うんっ。ごーれむさんをたすけてくれたんだもん。ままはやさしくて、なかはまっしろだよ」
さも当たり前の様に言うと、サニーは間違いないと確信している笑みを浮かべ、画用紙に顔を戻した。サニーは、私の過去をまったく知らない。
初めて一緒に外へ出て、たまたまゴーレムを助けた場面を見ただけだ。本当の私は、魔物や獣を研究材料としか見ていなく、作業的に凍らせては、その命ごと砕いているというのに。
しかし、そんな私をサニーに見せたくない気持ちもある。目に毒だろうし、サニーを失望させたくない。これで余計に、サニーの目の前で魔物や獣を殺せなくなってしまった。
「……そうか」
ここに来てから何度言ったか忘れた言葉を口にし、空を見上げる。雲一つすら見当たらず、サニーの瞳の様に青く澄んでいる空が、延々とどこまでも広がっていた。
「雲が無い空は、ずっと青いな」
まるで雲の天井に腰を下ろし、地上にある海を見上げている気分にさえなってきた。そんな想像が出来るほど、今は暇を持て余している。
ただ、この暇は退屈じゃない。私の空っぽだった部分を静かに満たしてくれている様な、とても有意義な暇だ。
穴に落ちていたゴーレムを助けて、その場から飛び去った約五分後。
どこを見渡せど、ゴーレムが居ない純白の花に覆われた台地。その一角に丁度いい広場を見つけ、そこを目指して高度を下げていく。
地面に足を付けると、先にサニーを『ふわふわ』で下ろして魔法を解除する。布袋を肩に置き、左手に木のカゴを持ち、乗っていた漆黒色の箒を消した。
「着いたぞ」
「うわぁ~っ!」
純白の花びらが舞う風に金色の髪の毛をたなびかせ、青色の瞳を眩く輝かせているサニーが、広場に駆け出していく。
「まわりがずっとしろいっ! うえもずっとあおいっ! わーいっ!」
手を大きく広げながら走り回っているサニーが、ようやく上にも注目してくれた。
名前の由来にもなった、雲一つ無い悠々と佇む青空。それと眩しい笑顔に見立てた、燦々と輝く太陽。
そして、その青空と太陽が見守っている中。二つの存在が朧気に霞む程はしゃいでる、無邪気な笑顔で走り回るサニー。やはりサニーには、青空の下に居る方が似合っているようだ。
「前を向いて走れ、転ぶぞ」
サニーに目を配りつつ、地面に一枚の布を敷いていく私。たぶん転ぶと思うので、予めサニーの体に再度、風魔法である『ふわふわ』をかけておく。
「わーいっ! すごくひろ、わっ!?」
布を敷き終わると同時に、歓喜とは違った声が上がる。驚きを含んだ声を耳にした私は、布に視線を向けながら指を鳴らし、『ふわふわ』を発動させた。
荷物を全て布の上に置いてから、転んでいるであろうサニーに顔を向ける。目線の先には、地面に対して体を垂直にさせ、手をバンザイさせて宙に浮いているサニーの姿があった。
顔をギュッとしている所を見ると、地面に激突する瞬間を未だに待っているのだろうか? そろそろ気付いてもいいはずだが。
「サニー、目を開けてみろ」
「うう~っ……、あれっ?」
やっと自分の体が浮いている事を理解したサニーは、開けた目をぱちくりとさせる。
そのまま私は指招きをし、サニーを私の元まで引き寄せて、目の前にちょこんと正座をさせた。
「だから言っただろ?」
「えへへ、ごめんなさい」
反省の意を示すも、高揚した気持ちの方が勝っているのか、苦笑いの中にワンパクな微笑みが見え隠れしている。
初めての外出なんだ。今日は何を言っても無駄だろうから、好き勝手やらせてやるとしよう。そう諦めて鼻から息を漏らした私は、話を続けた。
「次から気を付けろ。それで、何かしたい事はあるか?」
「おえかきっ!」
質問をしてみれば、サニーはすぐさま右手を高々と挙げ、太陽にも勝るとも劣らない明るい返事をした。
沼地帯にある家に居る時とは、まるで違う反応だ。全ての行動が生き生きとしている。
私はサニーのわがままを叶える為に、布袋から画用紙と色棒を取り出し、サニーに差し出した。
「ほら」
「ありがとっ、ままっ!」
渡した画用紙と色棒を大事そうに抱えたサニーが、満面の笑みでお礼を言う。そのサニーは私の膝元まで歩いて来て、背を向けて私の体に寄り掛かる。
体を密着させてから私に顔を合わせると、満足気にふわっと微笑み、顔を画用紙に戻して青色の棒を手に取った。
この行動は予測していなかった。サニーがピッタリと寄り掛かっているせいで、まったく身動きが出来ない。
絵を描くのに夢中になっている隙を突き、広場だけでも探索したかったのに。
「なんで、わざわざここまで来たんだ?」
問い掛けてみると、サニーは描こうとしていた手を止め、再び私に顔を向ける。
「ままといっしょにいたいからっ」
「動けないんだが」
私は感じたままの不満を漏らし、サニーの両頬を摘んで引っ張った。二歳児ともあってか、肌はぷにぷにとしていて柔らかく、思いの外伸びていく。
「あえ~……」
引っ張っては離し、引っ張っては離しを繰り返す。五回ほど繰り返してから手を離すと、サニーは頬をプクッと膨らませ、怒っている細目で私を睨みつけた。
「む~っ。まま、なにするのっ?」
「特に理由は無い」
「なにそれ、ぶしゅっ」
今度は、膨らんでいるサニーの両頬を手で押した。口を尖らせ、しわくちゃになっている顔を眺めた後、そっと手を離す。するとサニーはまた頬を膨らませたので、すかさず手で押し込んだ。
「まま、やめてよっ」
「もっとやらせてくれ」
「いやっ」
サニーは私のお願いを聞かず、プイッとそっぽを向く。あろう事か私との距離を詰め直し、ぷりぷりとしながら絵を描き始めてしまった。
こうすれば、サニーは嫌気が差して距離を取ると思っていたのだが。一向に離れる気配を見せない。むしろ、先ほどよりも更に密着してくるとは。
ローブの上にも深く乗られてしまったので、体を少しでも動かそうもならば、サニーの邪魔をしてしまうかもしれない。
「……後にするか」
今は広場の探索を諦め、鼻でため息をつきながら肩を落とす私。
やる事が無くなってしまったので、暇潰しにと、そよ風に吹かれて右往左往している花畑に目を移す。
左側を向けば白。正面を向いても白。右側までもが白。背後にも、永遠に白い花畑の景色が広がっている。余計な物は何一つ無い。
「確かに、どこまでもずっと白いな」
数分前にはしゃいでいたサニーの言葉を思い出し、同じ感想を漏らす。目標も目的すらも持たぬまま、ぼーっと景色を眺めたのは、いつ振りぐらいだろうか?
ここ最近で思い当たる節はまったく無い。目を瞑って八十年分の記憶を遡ってみれば、最後の記憶は、目の前には空よりも青が濃い大海原。
そして、隣にはいつも私の心を支えてくれていた、まだ生きている彼が居た。感情に溢れている私の心をくすぐる様な笑顔でいる、とても眩しい彼が。
「……そうか。ここまでのんびりするのは、八十年以上振りなのか」
最早、太古の昔にすら思える懐かしさを覚え、感傷に浸れないまま、白い大海原を前に黄昏ていく。
全ての思考を放棄し、花畑が過去に置いてきた海の景色と重なっていき、宙に舞う花びらが水飛沫にさえ見え始めてきた頃。葉が擦れ合うさざ波を遮る一つの音が、耳に入り込んできた。
「ふっふふ~んふ~んっ、ふ~んふ~んふ~んっ」
「む……」
機嫌を取り戻したサニーの鼻歌が、青い大海原と化した花畑の光景を元に戻し、現を抜かしていた私の意識を、現実へと引き戻していく。
ズレていた意識の時間が、一秒の狂いも無く正常に戻れば、気が付いたら私は口元に手を当てていて、口を大きく広げて息を吸い込んでいた。
「今、私はあくびをしたのか……?」
「ここのおはなさんたち、ままににてるね」
無意識の内にしていた自分の行動に、呆気に取られている最中。サニーが絵を描きながら言う。
「この花が私に似てるだと? どこがだ?」
「えっとね、ままのなかっ」
「私の、中?」
私の中。私の中とは一体なんだ? もしかして、心の事でも言っているのだろうか? もしそうなのであれば、それは間違っている。
自分でも分かっている事だ。私の心は黒い。他の色なんぞいくらでも飲み込んでしまうような、漆黒の闇だ。
他の色なんてありえない。ましてや、黒とは正反対である白。もしお世辞で言っているのであれば、逆効果だ。
だが、黒ではなく白と言ってきたからには、なんかしらの理由があるはず。真意が気になってきたので、聞いてみるとしよう。
「サニー。なんで私の中は白なんだ?」
「だって、ままはやさしいから」
「優しい?」
あまりにも的外れな言葉に、私は疑念に満ちた声で返す。するとサニーは描いている手を止め、私に顔を向け、ニコリと笑った。
「うんっ。ごーれむさんをたすけてくれたんだもん。ままはやさしくて、なかはまっしろだよ」
さも当たり前の様に言うと、サニーは間違いないと確信している笑みを浮かべ、画用紙に顔を戻した。サニーは、私の過去をまったく知らない。
初めて一緒に外へ出て、たまたまゴーレムを助けた場面を見ただけだ。本当の私は、魔物や獣を研究材料としか見ていなく、作業的に凍らせては、その命ごと砕いているというのに。
しかし、そんな私をサニーに見せたくない気持ちもある。目に毒だろうし、サニーを失望させたくない。これで余計に、サニーの目の前で魔物や獣を殺せなくなってしまった。
「……そうか」
ここに来てから何度言ったか忘れた言葉を口にし、空を見上げる。雲一つすら見当たらず、サニーの瞳の様に青く澄んでいる空が、延々とどこまでも広がっていた。
「雲が無い空は、ずっと青いな」
まるで雲の天井に腰を下ろし、地上にある海を見上げている気分にさえなってきた。そんな想像が出来るほど、今は暇を持て余している。
ただ、この暇は退屈じゃない。私の空っぽだった部分を静かに満たしてくれている様な、とても有意義な暇だ。
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