乙女ゲームの中へ悪役令嬢として転生したのに、聖女様だと勘違いされています。

にとこん@Vtuber

文字の大きさ
上 下
15 / 19

攻略編 3-7

しおりを挟む
しばらく歩き聖堂にたどり着くと、レオは真剣な表情で言った。
「聖女様、聖堂の中に入る前にこれを。」
そう言ってレオが渡してきたのはブレスレットだった。
「これは?」(何かしら?)私は不思議に思って尋ねた。
「このブレスレットには先ほど僕の魔力を込めました。だからもし何かあった時は使ってください。」
(なるほど……そういうことね)
私が頷くと、彼は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「ありがとうございます!」(やっぱり聖女様は優しいな……)
「いえ、こちらこそありがとうございます。」
(ふふっ、可愛いわね……)
私は微笑みながらお礼を言うと聖堂の中に入った。そしてレオは外で待っていると言ったので一人で中に入ったのだった。
中に入ると、祭壇の前に跪いて祈りを捧げている一人の女性の姿が目に映った。
(綺麗な人ね……)私がそう思っていると、その女性はこちらに気づいた様子で立ち上がりこちらに近づいてきた。そして私の前で立ち止まり言った。
「聖女様ですね?」(やはりこの方が聖女様……)
「はい、そうです。」私が答えると、彼女は優しい笑みを浮かべて言った。
「お待ちしておりました。私はこの聖堂の司祭を務めておりますアネットと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
私は頭を下げて言った。
「こちらこそよろしくお願いします。」
(それにしても綺麗な人ね……それに優しそうだわ……)
私がそう思っていると、アネットは微笑んで言った。
「聖女様、どうかなさいましたか?」
「いえ……とてもお綺麗な方だなと思いまして……」
私がそう言うとアネットは驚いた表情を浮かべた後で言った。
「ふふっ、ありがとうございます。」
(あら?なんだか嬉しそうね)私は不思議に思ったが特に気にしないことにした。そして本題に入ることにした。
「あの……実はお願いがありまして……」
(さて……どう切り出したものか……)私が悩んでいると、アネットの方から提案してきた。
「聖女様、よろしければ中でお話しいたしませんか?」
私は頷いて言った。
「はい、よろしくお願いします。」
(良かった……)
私が安堵しているとアネットが微笑みながら言った。
「ふふっ、緊張なさらなくても大丈夫ですよ。」
(あら?顔に出ていたかしら……?)私が不思議に思っているとアネットは言った。
「聖女様はとても可愛らしい方ですね。」
(え……?どういうことかしら?)私が戸惑っていると彼女は続けた。
「どうかなさいましたか?」(何か変なことを言ってしまったのかしら?)「いえ……その……可愛らしいなんて言われたことがなくて……」
(それに聖女様だなんて……)私がそう言うと彼女は微笑みながら言った。
「ふふっ、そうでしたか。」アネットは頷くと続けて言った。
「それでは行きましょうか?」私は頷いてから言った。
「はい!」
(やっぱり優しい人みたいね)私はそう思いながら彼女の後について行ったのだった。そして聖堂の奥にある部屋に案内されると、そこには大きなテーブルと椅子があった。「聖女様、こちらにお座りください。」アネットはそう言って椅子を引いてくれたので私はお礼を言ってから座った。そして彼女も向かい側の席に座ると、私に尋ねてきた。
「それで、お願いというのは?」(何かしら?)私が口を開く前に彼女は言った。
「まずはお茶でもいかがですか?」
(あら……?気を遣わせてしまったみたいね……)私は微笑んで言った。
「ありがとうございます。」
(ふふっ、やっぱり優しい人ね)私がそう思っていると彼女は嬉しそうに微笑んで言った。
「どういたしまして。」
そしてアネットは部屋を出ていくと、しばらくしてからティーポットやカップを持って戻ってきた。それからお茶を淹れてくれたのでお礼を言ってから一口飲んだところでアネットが尋ねてきた。
「聖女様、どうかなさいましたか?」アネットが心配そうに尋ねてきた。
私はハッとして慌てて言った。
「いえ……すみません。」
(いけないわ……ついボーッとしてしまったみたい……)私が反省していると彼女は微笑んで言った。
「謝らなくて大丈夫ですよ。」そして続けて言った。
「それに聖女様は私たちのために頑張ってくださっているのですから、もっと自信を持ってください。」
そもそも聖女様じゃないんだけど、大丈夫なのかなっていう不安があるんだよね。ちょっと場所もアウェーっていうか。
まぁ、今はそんなこと考えている場合じゃないわね。
「ありがとうございます。相談したいことがありまして。」
「なんでしょうか。」
「私は、聖女の力を使いすぎてしまい弱まってしまったように思います。なんとか元に戻す方法...できれば人助けのために元よりも強くなりたいのですが方法がわからなくて困っております。」私がそう言うと、アネットは少し考えてから言った。
「聖女様の力が弱まってしまった原因として考えられるのは……やはり力を酷使されていることだと思います。」
(やっぱりそうだよね)私は頷いて言った。
「はい、私もそう思います。」
するとアネットは微笑んで言った。
「では、一度聖堂に行って祈りを捧げましょう。」
「わかりました。」そして私たちは聖堂に向かったのだった。
(それにしても綺麗な建物ね……)
「お祈りが終わりましたら、聖堂の奥の部屋にいらしてください。」
「はい、わかりました。」(よし!頑張るぞ!)
アネットが補足で教えてくれた。
「聖女様、魔力の流れを意識するようにしてくださいね。」
(魔力の流れ……?どういうことかしら?)私は不思議に思ったがとりあえず頷いておいた。
聖堂に入ると、私は早速お祈りを始めた。
(どうかお願いします……)
「聖女様、魔力の流れを意識してください。」アネットの声が聞こえた気がしたが、私は気にせず集中した。すると不思議な感覚がした。
(これが魔力の流れ……?)
「聖女様、そのまま魔力を放出してください。」またアネットの声が聞こえた気がしたので言われた通りにやってみることにした。すると体から何かが流れ出ていくような感覚があった。そしてそれと同時に力が漲ってくるような気がしたのだった。「聖女様、そのまま続けてください。」
(わかったわ)私は頷くとさらに集中した。すると徐々に力が戻ってくるような気がした。そしてしばらくすると完全に元に戻った気がしたのだった。
「聖女様、お疲れ様でした。」アネットの声が聞こえてきて目を開けると彼女は微笑んで言った。
「良かったですね、魔力が戻りさらに浄化されました。」
(本当によかった……)私が安堵していると、アネットが言った。
「これでもう大丈夫だと思います。ですが念のために奥へお越しください。」
「はい、ありがとうございます」
そして私は奥の部屋へと案内されたのだった。
(それにしても不思議な感じだったわね……)
私がそう思っていると、アネットが話しかけてきた。
「聖女様、もしよろしければ今後のためにも魔力の流れをもっと意識してみてください。そうすればきっと今よりも強くなることができるはずですから。」
(なるほど……そういうことなのね)私は頷いて言った。
「わかりました!頑張ってみます!」
それからしばらく休憩した後で、聖堂の奥へ向かい事を終えた。
その後、私たちは聖堂を出たのだった。
「聖女様、お疲れ様でした。」アネットが微笑みながら言った。
「ありがとうございました!」私がお礼を言うと彼女は微笑んで言った。
「いえ、こちらこそありがとうございます。」
(ふふっ、やっぱり優しい人ね)私はそう思いながら微笑んだのだった。そして私たちは別れたのだった。
その後、私は休憩用の部屋で休むことにした。
(はぁ……今日は色々あったわね……)そんなことを思いながらベッドに入るとすぐに眠ってしまったのだった。
数分程で目が覚め、レオとの待ち合わせ場所に向かうと、レオは笑顔で出迎えてくれた。
「聖女様、おはようございます!」
(ふふっ、今日も元気ね)私は微笑みながら言った。
「おはよう!レオ。」
そして私たちは無事に用事を済ますことができたので、戻ることにした。(はぁ……疲れたわね……)
「聖女様、大丈夫ですか?」レオが心配そうに尋ねてきた。
「えぇ、大丈夫よ。」私は微笑んで言った。するとレオは安心したように微笑んだ。
私がそう思っていると、ふとあることを思いついたので尋ねてみることにした。
「ねぇ、レオ。一つ聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
私が尋ねると彼は首を傾げてから答えた。
「はい、なんでしょうか?」
「レオはどうして私のために色々してくれるの?」私が尋ねると彼は少し考えてから言った。
「それはもちろん聖女様のことが好きだからですよ!」
(え……!?)私は驚いて固まってしまった。
すると、レオが心配そうに声をかけてきた。
「聖女様?どうかなさいましたか?」
(そうだわ!これは助けてくれたお姉ちゃん的存在に向けた好意だわ……!)私は意を決して言った。
「ありがとう、私もレオのことが好きよ。」
私が微笑みながら言うと、彼は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「本当ですか!?」
「えぇ、もちろんよ。」
「嬉しいです!」
(きっとこれは合ってたわね。良かった……)
*****
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢に転生!?

くも
恋愛
も目が覚めたとき、私はベッドの中にいた。だが、それは見慣れた部屋のベッドではなく、まるでヨーロッパの貴族の宮殿のような豪華な寝室だった。金色の装飾が施された高い天井、手触りの良さそうな刺繍入りのカーテン、ふかふかの羽毛布団――現実離れしている。 「……夢?」 そう呟き、自分の手を見た瞬間、私は違和感を覚えた。白く細い指、そして今まで見たことのないピンク色のネイル。慌てて鏡を探し、部屋の片隅に立て掛けられた全身鏡の前に駆け寄る。映ったのは――私じゃない。 「これ……嘘でしょ?」

冷遇されている令嬢に転生したけど図太く生きていたら聖女に成り上がりました

富士山のぼり
恋愛
何処にでもいる普通のOLである私は事故にあって異世界に転生した。 転生先は入り婿の駄目な父親と後妻である母とその娘にいびられている令嬢だった。 でも現代日本育ちの図太い神経で平然と生きていたらいつの間にか聖女と呼ばれるようになっていた。 別にそんな事望んでなかったんだけど……。 「そんな口の利き方を私にしていいと思っている訳? 後悔するわよ。」 「下らない事はいい加減にしなさい。後悔する事になるのはあなたよ。」 強気で物事にあまり動じない系女子の異世界転生話。 ※小説家になろうの方にも掲載しています。あちらが修正版です。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

初恋は溺愛で。〈一夜だけのはずが、遊び人を卒業して平凡な私と恋をするそうです〉

濘-NEI-
恋愛
友人の授かり婚により、ルームシェアを続けられなくなった香澄は、独りぼっちの寂しさを誤魔化すように一人で食事に行った店で、イケオジと出会って甘い一夜を過ごす。 一晩限りのオトナの夜が忘れならない中、従姉妹のツテで決まった引越し先に、再会するはずもない彼が居て、奇妙な同居が始まる予感! ◆Rシーンには※印 ヒーロー視点には⭐︎印をつけておきます ◎この作品はエブリスタさん、pixivさんでも公開しています

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

処理中です...