11 / 19
攻略編 3-3
しおりを挟む
私はアベル様の部屋をノックした。中から入室の許可の声が聞こえて中に入るとアベル様が出迎えてくれた。
そして部屋の中にあるソファーへ座るよう促された。私が腰を下ろすとアベル様も向かい合うように座った。私は覚悟を決めて口を開いた。「実は……レオン様と約束をしておりました……」
そう切り出すと、アベル様は少し驚いたような表情をした後で言った。
「それはどんな約束だったのですか?」
私は頷くと続けて言った。
「はい……アベル様のことをよろしくと言われました。」
私がそう言うと、アベル様は驚いた表情をした後で複雑な表情になった。そして少し沈黙が続いた後、アベル様は口を開いた。「レティはそれでレオンの事をどう思っているのかい?」
(どう思っているか……?)私はしばらく考えた後に答えた。
「はい……レオン様のことは、とても心優しい方だと思います……」
私は本心を口にした。するとアベル様は少しホッとしたような表情を見せた後に言った。
「そうか……ありがとうレティ。」
(お礼を言われるようなことは何もしておりませんのに...)私が不思議に思っているとアベル様は続けて言った。
「レティ、僕からもお願いがあるんだが聞いてもらえるかな?」
「はい……何でしょうか?」
私が聞き返すとアベル様は真剣な表情で話し始めた。
「実は……僕の病気を治すためにも聖女様の力が必要なんだ。」
「えっ?」
(聖女の力が必要……?)私が驚いていると、アベル様は続けて言った。
「レティの力が必要なんだ。」
「私の力ですか……?」
(そういえば、前にレオン様が言っていたわね……私の力で病が治れば良いと)私は納得して頷いた。そしてふと疑問に思ったことを聞いてみることにした。
「もしかして、レオン様の病気も私の力で治せるのですか?」
そう聞くとアベル様の表情が曇った。そしてしばらく沈黙が続いた後、アベル様は口を開いた。
「それは……まだわからないんだ……」
(え……?)私は驚いて聞き返した。「それはどういうことですか?」
アベル様は少し躊躇っているようだったが、ゆっくりと話し始めた。
「実はレオンの病は僕が発症したものより深刻なんだ……」
(ということは……私とアベル様では症状が違うということですか?)私は色々と考え込んでいるとアベル様は更に話を続けた。
「レオンの病は……一度発症すると完治することが難しいと言われているんだ……」
(そんな……)私は言葉を失った。そしてしばらく沈黙が続いた後、アベル様が口を開いた。
「でも、レティが手伝ってくれればもしかしたら治せるかもしれない。」
私が顔を上げるとアベル様と目が合った。
私は大きく深呼吸をしてから言った。
「私で良ければお手伝いさせてください」
そう答えるとアベル様は嬉しそうに笑って言った。
「ありがとう……レティ。」
「いえ……」
私が答えているとアベル様が言った。
「では早速お願いできるかな?」
「はい……」
「その前に、レオン様より、アベル様のご病気も癒やしてほしいと頼まれました。どちらもお引き受けいたしますので。次は、アベル様の番です。よろしいでしょうか。」
「あぁ...レオン。お前は...。」
アベル様は、珍しく表情を崩していた。
私も力がある限り尽くしたいと考えています。しかし、本当に治せるのでしょうか?私は不安に思いながらも頷いた。そしてアベル様の方を見て言った。
「それでは、目を瞑っていただけますか?」
するとアベル様は頷いて目を瞑った。私はその姿を見て言った。
「いきます……」すると私の体が光輝き始めた。
「すごいな……キミの力は本当に。」アベル様は思わずといった様子で呟いた。
すると私の周りから光が溢れて部屋中が明るくなった。そしてしばらくすると光が消えた。私はホッと安堵のため息をついた後、アベル様に問いかけた。
「お加減はいかがですか?」
「あぁ……少し体が軽くなった気がするよ……」
そう言うとアベル様は立ち上がって部屋の中を歩き始めた。その様子を見て私は安心したような表情を浮かべた後で言った。
「良かったです。」
「レティのおかげだよ……ありがとう。」
アベル様は私に微笑みかけると、再び私の方を見た。そして私の頬に触れると真剣な眼差しで言った。
「レティ……これからも僕の側に居てくれるかい?」
「はい」私は迷わず答えると頷いた。するとアベル様はホッとしたような表情を見せた後で言った。
「そうか……良かった……」そしてアベル様は優しい表情を浮かべると続けて言った。
「レティ、今日は色々と疲れただろう?そろそろ部屋に戻った方が良いんじゃないかな?」
確かにそうですね……私は頷くとお礼を言った。
「はい……ではこれで失礼します。」
「うん、おやすみ。」
「おやすみなさい。」アベル様は優しく微笑むと私の頭を撫でてくれた。そして私が部屋から出るまで見送ってくれた。
(ありがとうございます……アベル様)
心の中でお礼を言うと、私は自室へ戻ったのだった。
*****
そして部屋の中にあるソファーへ座るよう促された。私が腰を下ろすとアベル様も向かい合うように座った。私は覚悟を決めて口を開いた。「実は……レオン様と約束をしておりました……」
そう切り出すと、アベル様は少し驚いたような表情をした後で言った。
「それはどんな約束だったのですか?」
私は頷くと続けて言った。
「はい……アベル様のことをよろしくと言われました。」
私がそう言うと、アベル様は驚いた表情をした後で複雑な表情になった。そして少し沈黙が続いた後、アベル様は口を開いた。「レティはそれでレオンの事をどう思っているのかい?」
(どう思っているか……?)私はしばらく考えた後に答えた。
「はい……レオン様のことは、とても心優しい方だと思います……」
私は本心を口にした。するとアベル様は少しホッとしたような表情を見せた後に言った。
「そうか……ありがとうレティ。」
(お礼を言われるようなことは何もしておりませんのに...)私が不思議に思っているとアベル様は続けて言った。
「レティ、僕からもお願いがあるんだが聞いてもらえるかな?」
「はい……何でしょうか?」
私が聞き返すとアベル様は真剣な表情で話し始めた。
「実は……僕の病気を治すためにも聖女様の力が必要なんだ。」
「えっ?」
(聖女の力が必要……?)私が驚いていると、アベル様は続けて言った。
「レティの力が必要なんだ。」
「私の力ですか……?」
(そういえば、前にレオン様が言っていたわね……私の力で病が治れば良いと)私は納得して頷いた。そしてふと疑問に思ったことを聞いてみることにした。
「もしかして、レオン様の病気も私の力で治せるのですか?」
そう聞くとアベル様の表情が曇った。そしてしばらく沈黙が続いた後、アベル様は口を開いた。
「それは……まだわからないんだ……」
(え……?)私は驚いて聞き返した。「それはどういうことですか?」
アベル様は少し躊躇っているようだったが、ゆっくりと話し始めた。
「実はレオンの病は僕が発症したものより深刻なんだ……」
(ということは……私とアベル様では症状が違うということですか?)私は色々と考え込んでいるとアベル様は更に話を続けた。
「レオンの病は……一度発症すると完治することが難しいと言われているんだ……」
(そんな……)私は言葉を失った。そしてしばらく沈黙が続いた後、アベル様が口を開いた。
「でも、レティが手伝ってくれればもしかしたら治せるかもしれない。」
私が顔を上げるとアベル様と目が合った。
私は大きく深呼吸をしてから言った。
「私で良ければお手伝いさせてください」
そう答えるとアベル様は嬉しそうに笑って言った。
「ありがとう……レティ。」
「いえ……」
私が答えているとアベル様が言った。
「では早速お願いできるかな?」
「はい……」
「その前に、レオン様より、アベル様のご病気も癒やしてほしいと頼まれました。どちらもお引き受けいたしますので。次は、アベル様の番です。よろしいでしょうか。」
「あぁ...レオン。お前は...。」
アベル様は、珍しく表情を崩していた。
私も力がある限り尽くしたいと考えています。しかし、本当に治せるのでしょうか?私は不安に思いながらも頷いた。そしてアベル様の方を見て言った。
「それでは、目を瞑っていただけますか?」
するとアベル様は頷いて目を瞑った。私はその姿を見て言った。
「いきます……」すると私の体が光輝き始めた。
「すごいな……キミの力は本当に。」アベル様は思わずといった様子で呟いた。
すると私の周りから光が溢れて部屋中が明るくなった。そしてしばらくすると光が消えた。私はホッと安堵のため息をついた後、アベル様に問いかけた。
「お加減はいかがですか?」
「あぁ……少し体が軽くなった気がするよ……」
そう言うとアベル様は立ち上がって部屋の中を歩き始めた。その様子を見て私は安心したような表情を浮かべた後で言った。
「良かったです。」
「レティのおかげだよ……ありがとう。」
アベル様は私に微笑みかけると、再び私の方を見た。そして私の頬に触れると真剣な眼差しで言った。
「レティ……これからも僕の側に居てくれるかい?」
「はい」私は迷わず答えると頷いた。するとアベル様はホッとしたような表情を見せた後で言った。
「そうか……良かった……」そしてアベル様は優しい表情を浮かべると続けて言った。
「レティ、今日は色々と疲れただろう?そろそろ部屋に戻った方が良いんじゃないかな?」
確かにそうですね……私は頷くとお礼を言った。
「はい……ではこれで失礼します。」
「うん、おやすみ。」
「おやすみなさい。」アベル様は優しく微笑むと私の頭を撫でてくれた。そして私が部屋から出るまで見送ってくれた。
(ありがとうございます……アベル様)
心の中でお礼を言うと、私は自室へ戻ったのだった。
*****
10
お気に入りに追加
361
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
呪われ令嬢、王妃になる
八重
恋愛
「シェリー、お前とは婚約破棄させてもらう」
「はい、承知しました」
「いいのか……?」
「ええ、私の『呪い』のせいでしょう?」
シェリー・グローヴは自身の『呪い』のせいで、何度も婚約破棄される29歳の侯爵令嬢。
家族にも邪魔と虐げられる存在である彼女に、思わぬ婚約話が舞い込んできた。
「ジェラルド・ヴィンセント王から婚約の申し出が来た」
「──っ!?」
若き33歳の国王からの婚約の申し出に戸惑うシェリー。
だがそんな国王にも何やら思惑があるようで──
自身の『呪い』を気にせず溺愛してくる国王に、戸惑いつつも段々惹かれてそして、成長していくシェリーは、果たして『呪い』に打ち勝ち幸せを掴めるのか?
一方、今まで虐げてきた家族には次第に不幸が訪れるようになり……。
★この作品の特徴★
展開早めで進んでいきます。ざまぁの始まりは16話からの予定です。主人公であるシェリーとヒーローのジェラルドのラブラブや切ない恋の物語、あっと驚く、次が気になる!を目指して作品を書いています。
※小説家になろう先行公開中
※他サイトでも投稿しております(小説家になろうにて先行公開)
※アルファポリスにてホットランキングに載りました
※小説家になろう 日間異世界恋愛ランキングにのりました(初ランクイン2022.11.26)
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる