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ex2.愛しさ無限大∞
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熊さんに案内された俺たちの新居を目にして俺は目を見張った。
丸太や木を使用した二階建てのコテージだ。外装はレンガで装飾されててお洒落っぽい。
てっきり洞窟で暮らすと思っていたのに。
俺は口を開きっぱなしにしながら、うろうろと中を見て回る。
一階はダイニングリビングとキッチンとトイレと浴室と物置部屋。あと日向ぼっこに最適なウッドデッキがある。
二階にもトイレと広い内風呂。こちらの風呂には天窓がついていて、二人でお風呂に入りながらキラキラと星が輝く夜空を見れそう。ロマンチックじゃん絶対やろ楽しみ。あとは部屋が二つ。部屋の一つが俺たちの寝室で俺が三人寝られるくらいの大きいベッドがあったのでこちらも夜が楽しみだ。へ、変な意味じゃないからな! ちょっとだけ、期待はしてるけど……なんて。だって俺たち新婚さんだしね、うへへ。
「気に入ったか?」
「あっ、うんっ。すっごく!! お風呂とか楽しみ!」
勢い良く上下に頷く俺に、熊さんは目を細めて俺の頭にそっと手を乗せる。
「嬉しいのは分かったが、そんなに強く首を動かすと痛めるぞ」
「んへへへ。熊さん好きぃ」
俺の心配してくれる熊さん優しい。さすが俺の旦那様!
ぎゅっと抱き着き、肩口で自分の頭をすりすりする。相変わらず熊さんはいい匂いをしている。
「新はそう言って抱き着くのが好きだな」
「熊さんはこうされるの嫌い?」
「いや……。悪くない」
「んへへへ」
悪くないってことは嫌じゃないってことだよね。なら遠慮しなくてもいっかな。
存分に熊さんの匂いを嗅いで満足した俺は、熊さんから離れる。
「そういえばこの家どうしたの? 俺、住むのは洞窟の中だと思ってたよ」
「私も最初は洞窟にしようと思って準備していたんだが、仮契約をしたと聞きつけた友が遊びに来てな。ダメ出しをされた。現代人に洞窟はない、と」
「そ、そっか……」
わぁ、バッサリ切られたね。熊さんと一緒なら俺は別に洞窟でも大丈夫だったけど、お友達さんのアドバイスのおかげで暮らしやすくなったのは感謝しないとかな。特にトイレとお風呂はあると助かるし。
「友には人間の伴侶がいるし、人間には詳しい。家の方が良いという助言を基に私が作った。新に気に入ってもらえて本当に嬉しい」
「熊さん……か、かわ……」
「かわ?」
いつも笑う時は目を細めて口元は少し上げる位なんだけど、照れた時にはにかみながら笑う熊さん可愛すぎる。
可愛さと、俺のことを考えて作ってくれた嬉しさに再び抱き着きたくなったけど、気になったことがあるのでちょっとだけ我慢。
「俺は過ごしやすいけど熊さんは?」
「私、か?」
「そ。この家は広くて木の匂いは自然を感じるけど、今まで住んでいた所と違うだろうし、熊さん的に窮屈だったり落ち着かない思いしてない? あと長時間、人間姿のままで疲れない? 俺の為に色々してくれるのは嬉しいけど、熊さんには無理して欲しくないよ」
片方が我慢を強いられるのは夫婦の関係に亀裂を作ることになるからな。そう言った俺を熊さんはぎゅっと抱きしめてきた。え、抱きしめ? 熊さんから?
初めてのことでめっちゃ動揺してる。
「新が好きだと言って抱き着いてくる気持ちが良く分かった。お前が愛おしい」
「っ! お、ぇあい?」
「確かに今までは殆ど熊の姿でいたのでその姿の方が落ち着くが、人間の姿に変化しても特に疲れたりはしない。家は私も気に入っているし、問題ない」
「そ、っかー。良かったぁ」
熊さんのデレに一瞬日本語がロストしたけど、俺と生活するのに問題なさそうでホッとした。熊さんの言葉にへらっと笑った俺は、何故か熊さんにキスされていた。
急だったので俺、目をばっちり開けちゃってるよ。あ、熊さんも目は開けっぱだ。
「……新」
名前を呼ばれて目を閉じると、再び唇が合わさり、そのままピタリと止まる。多分一分くらいそうしていたと思う。鼻息が時折当たってちょっぴりくすぐったい。唇が離れて目を開くと、熊さんは眉を顰めて首を傾げていた。
もう一度と言われて、目を閉じたらさっきと同じ唇が長く重なったキスをされた。そして離れてまた首を傾げる。
うーん、もしかしてやり方があまり分かってない? 熊さんも俺と同じ童貞なんだろうか。なにそれめっちゃ最高じゃん。俺だけの熊さんって感じして。
「ねぇ、熊さん。俺からもキスしていい?」
「あぁ」
どこかホッとしたような表情で頷いてくれたので、目を閉じて少しだけ口を開いてもらうよう指示した。
まずは軽くバードキスから。
以前ネットの記事で見たんだけど、キスしやすい身長差というのがあるらしい。人間になった熊さんと俺の身長差が十センチ位で、ちょうどそれ位。うん、確かにしやすい。
キスしてから気付いたけど、俺からのキスってこれが初めてじゃないかな。うひゃー、照れるぅ。照れるけど、熊さんに人間同士のやり方教えてあげなきゃ。多分お友達さんに何かしらは聞いたんだろうけど、さっきの様子を見るとよく理解できてないんだと思うんだよね。俺も初めてでうまくいくかは分からないがいい教材で勉強してたから、俺がリードしないと。筆下ろしお姉さん(概念)に俺はなるぜ。
ペロリと唇を舐めたり優しく食むと、俺の腰に回されていた熊さんの手がピクリと動く。
嫌だったかな? と様子を窺うと、熊さんは両目をしっかり開けて俺の様子をじっと見下ろしていた。うびゃぁ。
「く、熊さん。あんま見られると、ちょっと……照れる」
「見ておかないと私も新にしてあげられない。もう一度してくれるか?」
「う、ん。いいよ……」
もう一度同じことをすると熊さんも真似してきた。これで合っているかと目で語りかけてきたので、こくりと頷く。
じゃあ、次は……。舌で舌をつついてみたり吸ってみたり絡めてみると、すぐに真似された。
何度かしていく内にコツをつかんだのか、だんだんと巧みに俺を翻弄していく。熊さんうますぎる。
じゅるっと溢れた唾液を吸われ、唇を離された頃には俺は息も絶え絶えで足ががくがくと震えていた。途中で熊さんが支えてくれたので助かった。
「大丈夫か?」
「ん、だいじょぶ。熊さん上手いね。俺、気持ちよくて腰が抜けかけたよ」
そして勃っちゃった。
熊さんはどうだったかな、ちゃんと気持ちよくなれ――。
「……あ」
着物の前を押し上げるように主張されたものを見て、俺は真っ赤になった。
熊さんを見ると目に熱がこもっていた。俺に欲情してくれてるんだ、嬉しい。
「新のおかげだ。次はどうすればいい?」
「ん……、じゃあベッドに行こう。俺が……色々とえっちなこと教えてあげる」
鳥の囀りの音で目が覚めたら、目の前にイケメンな熊さんの顔があった。朝からかっこいいなぁと見惚れていると、熊さんは横たわったまま目を細めて朝の挨拶をした後に「体は大丈夫か?」と聞いてきた。
大丈夫ってなにが?
首を傾げようと体を動かしたら、激痛が走った。主に首の後ろと腰と股関節がヤバ痛い。
「いっ!!!」
「すまない、やはり痛むか」
「あ、あっ。あーーーっ」
「どうした、新」
急に声を出してうつ伏せて顔を枕に埋めて隠した俺に、熊さんは戸惑ったような声を掛ける。
ごめんね熊さん。でも思い出したんだ、昨日のことを。思い出して、なんだか無性に恥ずかしくなったの。
無知シチュって見てる分には気にならないけど、実際やると難しいよね。最後まで余裕たっぷりで詳しく説明しつつ実践してみせるとか、俺には無理だったよ。
俺に出来たことといえば、拙い説明をしてAVばりに淫語を言って誘ったぐらいだった。
熊さんが優秀過ぎて、俺の教えた拙い行為を巧みに披露してくれて、俺は最終的に喘いでひんひんと鳴いていた。恐るべし熊さん。
獣の習性か、熊さんは四つん這いの体位が好きみたいだった。力強く腰を掴むので、手の跡がくっきりと残ってる。奥をグリグリ突かれるとあまりの気持ち良さに頭がおかしくなりそうで、強い快楽から逃げようと身を捩ったら首を噛まれたし、もっと奥までこじ開けられて鳴かされた。でもそんな雄みが強い熊さんも良い、好きだ。
「新、すまない。やり過ぎてしまった。こんなに無理をさせるつもりはなかったんだ。言い訳をさせてもらえると今の時期は発情期にあたっていてな。いつもは抑えられるんだが、仮契約をした関係もあって我慢が効かなかった」
へぇ、熊さん発情期に入ってたんだ。そしてお嫁さんである俺にはムラムラするの我慢出来なかったって? 俺愛されてるぅ。
今は恥ずかしいという顔よりもデレデレと緩んだ顔をしていて見せられない。え、いつもだって? それ以上にヤバイんだよ。だからもうちょっと落ち着くまで待っててね熊さん。
「やはり嫌だったか? 私の嫁になるのを後悔し始めたか?」
「ちがっいたい!」
沈んだ声に慌てて布団を跳ね除け、体を起こしたところで痛みで再びベッドへうつ伏せに沈んだ。
それでも痛みに耐えて首を動かし、ベッドの縁に座っている熊さんが見えるように顔を固定する。黙ったままの俺に不安になったのかもしれない。
「新、無理はするな」
オロオロして心配する熊さん可愛い。ちょっとだけ痛みが緩和された気がする。
「違うよ、熊さん。嫌じゃなくて嬉しいよ。後悔もしてない。でもさ、昨日のこと思い出すと恥ずかしくて。俺ばっか気持ち良くしてもらったけど熊さんもちゃんと気持ち良くなれたのかな、とか」
「……そうか。今は落ち着いたのか」
「まだです落ち着くまでもうちょっと待っててください」
「あぁ、確かに顔が赤いな」
心配そうな表情は消えて今は穏やかな表情に変わっている。掌で頬を撫でられてちょっとくすぐったいけど、気持ちいいかも。目を閉じて熊さんからのなでなでを堪能する。
「……新」
「なに?」
「私も良かった」
「ぶへっ」
思わず吹いた。目を開けるとどこかいたずらっぽい顔をした熊さんがいた。熊さんでもそういうこと言うんだ。こんな熊さん……
「可愛すぎでしょ。好きぃ」
「あぁ、私も新を愛している」
「あひょう」
「新は恥ずかしがり屋だな」
俺の出た奇声に引くこともなく、熊さんは愛おしそうな目をして笑いかけてくれたので、俺もへらりと笑い返す。
ひーん。熊さんのデレデレ破壊力ぱねぇよ、しゅきぃ。
「熊さん、俺ストレッチ頑張るね」
「ん?」
熊さんが発情期に入ってるということは終わるまではガツガツと求めてくれるってことだろ。ならば準備をしなくては。
セックスには体の柔軟さが大切だと知ったので、これからストレッチしよ! 俺たちの楽しい性活の為に!
丸太や木を使用した二階建てのコテージだ。外装はレンガで装飾されててお洒落っぽい。
てっきり洞窟で暮らすと思っていたのに。
俺は口を開きっぱなしにしながら、うろうろと中を見て回る。
一階はダイニングリビングとキッチンとトイレと浴室と物置部屋。あと日向ぼっこに最適なウッドデッキがある。
二階にもトイレと広い内風呂。こちらの風呂には天窓がついていて、二人でお風呂に入りながらキラキラと星が輝く夜空を見れそう。ロマンチックじゃん絶対やろ楽しみ。あとは部屋が二つ。部屋の一つが俺たちの寝室で俺が三人寝られるくらいの大きいベッドがあったのでこちらも夜が楽しみだ。へ、変な意味じゃないからな! ちょっとだけ、期待はしてるけど……なんて。だって俺たち新婚さんだしね、うへへ。
「気に入ったか?」
「あっ、うんっ。すっごく!! お風呂とか楽しみ!」
勢い良く上下に頷く俺に、熊さんは目を細めて俺の頭にそっと手を乗せる。
「嬉しいのは分かったが、そんなに強く首を動かすと痛めるぞ」
「んへへへ。熊さん好きぃ」
俺の心配してくれる熊さん優しい。さすが俺の旦那様!
ぎゅっと抱き着き、肩口で自分の頭をすりすりする。相変わらず熊さんはいい匂いをしている。
「新はそう言って抱き着くのが好きだな」
「熊さんはこうされるの嫌い?」
「いや……。悪くない」
「んへへへ」
悪くないってことは嫌じゃないってことだよね。なら遠慮しなくてもいっかな。
存分に熊さんの匂いを嗅いで満足した俺は、熊さんから離れる。
「そういえばこの家どうしたの? 俺、住むのは洞窟の中だと思ってたよ」
「私も最初は洞窟にしようと思って準備していたんだが、仮契約をしたと聞きつけた友が遊びに来てな。ダメ出しをされた。現代人に洞窟はない、と」
「そ、そっか……」
わぁ、バッサリ切られたね。熊さんと一緒なら俺は別に洞窟でも大丈夫だったけど、お友達さんのアドバイスのおかげで暮らしやすくなったのは感謝しないとかな。特にトイレとお風呂はあると助かるし。
「友には人間の伴侶がいるし、人間には詳しい。家の方が良いという助言を基に私が作った。新に気に入ってもらえて本当に嬉しい」
「熊さん……か、かわ……」
「かわ?」
いつも笑う時は目を細めて口元は少し上げる位なんだけど、照れた時にはにかみながら笑う熊さん可愛すぎる。
可愛さと、俺のことを考えて作ってくれた嬉しさに再び抱き着きたくなったけど、気になったことがあるのでちょっとだけ我慢。
「俺は過ごしやすいけど熊さんは?」
「私、か?」
「そ。この家は広くて木の匂いは自然を感じるけど、今まで住んでいた所と違うだろうし、熊さん的に窮屈だったり落ち着かない思いしてない? あと長時間、人間姿のままで疲れない? 俺の為に色々してくれるのは嬉しいけど、熊さんには無理して欲しくないよ」
片方が我慢を強いられるのは夫婦の関係に亀裂を作ることになるからな。そう言った俺を熊さんはぎゅっと抱きしめてきた。え、抱きしめ? 熊さんから?
初めてのことでめっちゃ動揺してる。
「新が好きだと言って抱き着いてくる気持ちが良く分かった。お前が愛おしい」
「っ! お、ぇあい?」
「確かに今までは殆ど熊の姿でいたのでその姿の方が落ち着くが、人間の姿に変化しても特に疲れたりはしない。家は私も気に入っているし、問題ない」
「そ、っかー。良かったぁ」
熊さんのデレに一瞬日本語がロストしたけど、俺と生活するのに問題なさそうでホッとした。熊さんの言葉にへらっと笑った俺は、何故か熊さんにキスされていた。
急だったので俺、目をばっちり開けちゃってるよ。あ、熊さんも目は開けっぱだ。
「……新」
名前を呼ばれて目を閉じると、再び唇が合わさり、そのままピタリと止まる。多分一分くらいそうしていたと思う。鼻息が時折当たってちょっぴりくすぐったい。唇が離れて目を開くと、熊さんは眉を顰めて首を傾げていた。
もう一度と言われて、目を閉じたらさっきと同じ唇が長く重なったキスをされた。そして離れてまた首を傾げる。
うーん、もしかしてやり方があまり分かってない? 熊さんも俺と同じ童貞なんだろうか。なにそれめっちゃ最高じゃん。俺だけの熊さんって感じして。
「ねぇ、熊さん。俺からもキスしていい?」
「あぁ」
どこかホッとしたような表情で頷いてくれたので、目を閉じて少しだけ口を開いてもらうよう指示した。
まずは軽くバードキスから。
以前ネットの記事で見たんだけど、キスしやすい身長差というのがあるらしい。人間になった熊さんと俺の身長差が十センチ位で、ちょうどそれ位。うん、確かにしやすい。
キスしてから気付いたけど、俺からのキスってこれが初めてじゃないかな。うひゃー、照れるぅ。照れるけど、熊さんに人間同士のやり方教えてあげなきゃ。多分お友達さんに何かしらは聞いたんだろうけど、さっきの様子を見るとよく理解できてないんだと思うんだよね。俺も初めてでうまくいくかは分からないがいい教材で勉強してたから、俺がリードしないと。筆下ろしお姉さん(概念)に俺はなるぜ。
ペロリと唇を舐めたり優しく食むと、俺の腰に回されていた熊さんの手がピクリと動く。
嫌だったかな? と様子を窺うと、熊さんは両目をしっかり開けて俺の様子をじっと見下ろしていた。うびゃぁ。
「く、熊さん。あんま見られると、ちょっと……照れる」
「見ておかないと私も新にしてあげられない。もう一度してくれるか?」
「う、ん。いいよ……」
もう一度同じことをすると熊さんも真似してきた。これで合っているかと目で語りかけてきたので、こくりと頷く。
じゃあ、次は……。舌で舌をつついてみたり吸ってみたり絡めてみると、すぐに真似された。
何度かしていく内にコツをつかんだのか、だんだんと巧みに俺を翻弄していく。熊さんうますぎる。
じゅるっと溢れた唾液を吸われ、唇を離された頃には俺は息も絶え絶えで足ががくがくと震えていた。途中で熊さんが支えてくれたので助かった。
「大丈夫か?」
「ん、だいじょぶ。熊さん上手いね。俺、気持ちよくて腰が抜けかけたよ」
そして勃っちゃった。
熊さんはどうだったかな、ちゃんと気持ちよくなれ――。
「……あ」
着物の前を押し上げるように主張されたものを見て、俺は真っ赤になった。
熊さんを見ると目に熱がこもっていた。俺に欲情してくれてるんだ、嬉しい。
「新のおかげだ。次はどうすればいい?」
「ん……、じゃあベッドに行こう。俺が……色々とえっちなこと教えてあげる」
鳥の囀りの音で目が覚めたら、目の前にイケメンな熊さんの顔があった。朝からかっこいいなぁと見惚れていると、熊さんは横たわったまま目を細めて朝の挨拶をした後に「体は大丈夫か?」と聞いてきた。
大丈夫ってなにが?
首を傾げようと体を動かしたら、激痛が走った。主に首の後ろと腰と股関節がヤバ痛い。
「いっ!!!」
「すまない、やはり痛むか」
「あ、あっ。あーーーっ」
「どうした、新」
急に声を出してうつ伏せて顔を枕に埋めて隠した俺に、熊さんは戸惑ったような声を掛ける。
ごめんね熊さん。でも思い出したんだ、昨日のことを。思い出して、なんだか無性に恥ずかしくなったの。
無知シチュって見てる分には気にならないけど、実際やると難しいよね。最後まで余裕たっぷりで詳しく説明しつつ実践してみせるとか、俺には無理だったよ。
俺に出来たことといえば、拙い説明をしてAVばりに淫語を言って誘ったぐらいだった。
熊さんが優秀過ぎて、俺の教えた拙い行為を巧みに披露してくれて、俺は最終的に喘いでひんひんと鳴いていた。恐るべし熊さん。
獣の習性か、熊さんは四つん這いの体位が好きみたいだった。力強く腰を掴むので、手の跡がくっきりと残ってる。奥をグリグリ突かれるとあまりの気持ち良さに頭がおかしくなりそうで、強い快楽から逃げようと身を捩ったら首を噛まれたし、もっと奥までこじ開けられて鳴かされた。でもそんな雄みが強い熊さんも良い、好きだ。
「新、すまない。やり過ぎてしまった。こんなに無理をさせるつもりはなかったんだ。言い訳をさせてもらえると今の時期は発情期にあたっていてな。いつもは抑えられるんだが、仮契約をした関係もあって我慢が効かなかった」
へぇ、熊さん発情期に入ってたんだ。そしてお嫁さんである俺にはムラムラするの我慢出来なかったって? 俺愛されてるぅ。
今は恥ずかしいという顔よりもデレデレと緩んだ顔をしていて見せられない。え、いつもだって? それ以上にヤバイんだよ。だからもうちょっと落ち着くまで待っててね熊さん。
「やはり嫌だったか? 私の嫁になるのを後悔し始めたか?」
「ちがっいたい!」
沈んだ声に慌てて布団を跳ね除け、体を起こしたところで痛みで再びベッドへうつ伏せに沈んだ。
それでも痛みに耐えて首を動かし、ベッドの縁に座っている熊さんが見えるように顔を固定する。黙ったままの俺に不安になったのかもしれない。
「新、無理はするな」
オロオロして心配する熊さん可愛い。ちょっとだけ痛みが緩和された気がする。
「違うよ、熊さん。嫌じゃなくて嬉しいよ。後悔もしてない。でもさ、昨日のこと思い出すと恥ずかしくて。俺ばっか気持ち良くしてもらったけど熊さんもちゃんと気持ち良くなれたのかな、とか」
「……そうか。今は落ち着いたのか」
「まだです落ち着くまでもうちょっと待っててください」
「あぁ、確かに顔が赤いな」
心配そうな表情は消えて今は穏やかな表情に変わっている。掌で頬を撫でられてちょっとくすぐったいけど、気持ちいいかも。目を閉じて熊さんからのなでなでを堪能する。
「……新」
「なに?」
「私も良かった」
「ぶへっ」
思わず吹いた。目を開けるとどこかいたずらっぽい顔をした熊さんがいた。熊さんでもそういうこと言うんだ。こんな熊さん……
「可愛すぎでしょ。好きぃ」
「あぁ、私も新を愛している」
「あひょう」
「新は恥ずかしがり屋だな」
俺の出た奇声に引くこともなく、熊さんは愛おしそうな目をして笑いかけてくれたので、俺もへらりと笑い返す。
ひーん。熊さんのデレデレ破壊力ぱねぇよ、しゅきぃ。
「熊さん、俺ストレッチ頑張るね」
「ん?」
熊さんが発情期に入ってるということは終わるまではガツガツと求めてくれるってことだろ。ならば準備をしなくては。
セックスには体の柔軟さが大切だと知ったので、これからストレッチしよ! 俺たちの楽しい性活の為に!
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