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08話「正座おばあさん」

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 その部屋にはおばあさんがいた。
 ただじっと正座するだけど私の方を見てるだけ……。
 その理由は……。
 …………から。


 ジメジメとした梅雨入り住宅路。
 小降りの中、傘を差して下校の帰路へ向かう。
 車の往来さなか水たまりに引っかからないよう避けて通過する。
 その途中、落雷が大きな音を出したので私は落ちませんように祈りながら足早と帰宅するのであった。


「ただいま」
 帰宅すると、濡れた傘をそのまま玄関で乾かす。
 その時にぞわりとする視線が感じた。
 ふと周囲を確認するがそれらしき誰もいなかったから、私はキノセイだと思っていたから。

 でもそれはキノセイじゃなかったから……。

 私の部屋に正座するおばあさんがいたから。


「え?」
 部屋に入ると正座するおばあさんがいた。
 私はその時、困惑していたが親戚か何かかなと思い尋ねてみたが何も反応なかった。
 いや、よく見るとおばあさん自体青白く透けて見えるのだ。
 (もしかして幽霊!?)
 どうやら、私の部屋に取り憑かれたみたいだった。
 怖いというより、何か違和感かなんか少し不気味というか……。
 おばあさんの表情もなんか険しい感じもしたからね。
 追い出すにもどうすればいいのかわからなかったからとりあえずそのまましばらく様子見していた。

 寝静まる前に私は数学の勉強していた。
 そこでも誰かの気配や視線を感じるがそれも正座するおばあさんである。
 (ギチギチギチギチギチギチ)
 それと部屋中になにやら擦れる不快な音が聞こえる。
 それもあのおばあさんのせいなのだろうかと思っていたがやはりキノセイではなかったのだ。
 私自身気づいてなかった。

 2.

 私は寝てる時に急に悪寒がするのである。
 近くに息遣いがする。
 ヒュー、ヒューと呼吸する音。
 それもおばあさんだろうと思っていた。
 その時、私の上に覆い被さるモノで私はハッと目を覚ます。

 ーーその黒い人影のようなモノがいたから。

 私はとっさに悲鳴を湧き上がるとその黒い人影は窓を開けて2階の部屋から外へ飛び出した。

 両親は何事かと私の部屋に駆けつけていた。
 その時部屋には正座おばあさんもいた。

 そのおばあさんの視線には……。

 開けられていた押し入れのふすまを見ていたから。

 後日、わかったことだが黒い人影のようなモノは私のストーカーでその押し入れのふすまに隠れていたようだ。

 ずっと誰も気づかれずにそこにね……。

 3.

 私はあれ以来ふすまの戸がこわくなった。
 正座おばあさんはまだ私の部屋にいた。
 ごくたまにふすまの戸が少し開けられていたから。
 私の恐怖怪談はそこで終わりではなかったから。

 正座おばあさん   完
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