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鐘技怪異談W❸巻【完結】

122話「昼きのこ※閲覧注意」

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「1」

 ーー「鐘技家」ーー

 ぐつぐつと煮込む鍋。
 鐘技家の夕飯はきのこ鍋だった。
 えのき、しいたけ、えりんげなどなど種類は豊富にあった。
 そんな夕飯時にも鐘技家では怪異談を語るのであった。

 ーーーーーー。

「山崎さん。ここに山菜ありますよ?」

「おお!流石、田中さんだな。山の事なら詳しいですな」

 わしは山崎武雄、68歳。
 定年退職後、年金暮らしのわしの趣味として仕事の合間にやれなかったセカンドライフを楽しんだ。
 今日は山の所有権ある田中さんと一緒に山菜を取りに行ってる。
 ここの山は山菜のほかに松茸や木苺やアケビなどなんでも揃っていた。
 だからわしと田中さんはたまに山に入って山菜など採っていた。
 そしてわしらは十分山菜を摘んだ後、各自帰宅することになった。

「2」

「ただいま」

「おかえりなさい。あなたお風呂でもつかりなさいな」

 妻、三重子が玄関先に出迎えてくれた。

「いや。その前に山菜を洗っておいてからするわ」

「では、お着替え浴室に置いときますからね」

 わしは大量に積もれた山菜の籠を台所に山菜を取り出しむかい洗う。
 と、しばらく洗っていると何か違和感がした。
 と、よく見ると何やら腕に小さなきのこがついてたようだ。
 ふむ。珍しいしめじと似てるようじゃが自分の腕に生えるなんて気味が悪いから、その場でむしり取って生ゴミに捨てた。
 その後、しばらく風呂に浸かっているとそこからぷかぷかと小さなキノコが浮かんでいたのでわしはそのキノコをかき集めて、風呂上がりにまた生ゴミに捨てた。
 わしはその晩寝ていたが何やら身体中ムズムズしてこぞばゆかった。
 そして途中、わしは夜中に起きてトイレで用を済ます時にもまだ身体中ムズムズしていた。

「三」

 次の日は日曜日だったわしは朝早く目覚めたが、身体がだるかったのでわしは顔洗ってそのまま再び、また寝た。
 そして次に起きた時間帯は昼過ぎだった。
 居間に来ると三重子もすでに起きて洗濯物を干していた。そしてわしを見た途端パニックになって持っていた洗濯物を落としてしまった。

「あなた!?どうしたのその顔??」

 顔?一体わしの顔を何じゃろか?と洗面所に向かい鏡を確認してわしは悲鳴をあげる。
 顔全体に小さなつぶつぶの無数にきのこが張り付いていたからだ。
 そして思わず一気に服を脱ぐと至るところにヒルのようなきのこがべたりとくっついていた。
 わしはそのきのこを一気にはがしていく。
 妻が心配してわしを様子見に来た。

「大丈夫?あなた?」

 わしはそれを見て悲鳴をあげた。
 妻の顔も無数にきのこが貼り付いてたからだ。
 わしは慌てて外に出ようとすると。

「お届けモノでーす」

「ヒッ!?」

 玄関の外にいた宅配の配達員も顔にきのこが貼り付いていた。
 わしはどこまでも逃げ続けていた。
 至るところにきのこが貼り付いていたからだ。
 まるでストーカーのようにきのこが張り巡らされていた。
 と、そこに車に衝突してわしは一気に意識が飛んだ。

「四」

「あなた!あなた!起きてください。いつまで寝てるんですか?」

「?ん……ここは夢か」

 わしはどうやら夢を見ていたようだ。
 三重子の顔も普通だった。

「もうすぐ昼ですからね。さっさと顔を洗ってくださいね」

 三重子に嫌味に言われてわしはベッドから降りて顔を洗いに洗面所に向かう。
 洗面所に向かうとわしの顔は普通だった。
 しかし、何やらムズムズしていた。
 特に身体中からムズムズするのであるからわしはキノセイだろうと伸びたヒゲを電機カミソリで剃っていく。
 そしてまだ剃り残しを見てわしは石鹸で顔をにつけて剃刀で剃り残しを剃っていく。
 その後、わしは歯磨きをする。

「ふむ、髪の毛も伸びてきたようだな。床屋行くか」

 わしは洗面を済ました後昼に三重子の用意されたカレーピラフを食べた後、床屋に向かう。
 そしてわしが床屋で散髪で昼寝していると、店員が肩が叩かれてどうやら散髪が終わったみたいなので目を覚ますと写る自分自身の髪の毛は全てきのこで出来ていた。そして切られた髪の毛の代わりにたくさんの細いきのこが落ちていた。
 どうやら、わしの悪夢はまだ続いてるようだ。

 ーーーーーー。

「お嬢。朝ですよ……!?」

 黒岩がなかなか起きない友紀を起こしにくると、友紀の顔元に細いきのこが貼り付いていた。

「どうしたんだい?ひ……!?」

「当主!?」

 当主名美が気を失って倒れそうになる。
 実はこっそりと名美がイタズラで寝静まる晩友紀の顔にきのこを貼り付けたよるモノだった。
 この後、機嫌を損ねた友紀にたい焼きをご馳走して機嫌を直してくれた。


 昼きのこ   完
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