[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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初ノ花怪異談Z【完結】

07話「うすのろ魔女」

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「1」

ーー「????」ーー

 もうすでに紙が「ろ」だ。
 だ、大丈夫だよね。
(ぶわん)
 ひっ!?現れた。
 でも、大丈夫だから。この紙をーー。
 ーーーーーーー。
 ……………。

 ーー「202×年09月25日」ーー

 暑い真夏明けの季節の到来。
 少し肌寒くなってきたと感じて僕含む通行人も防寒具を着こんでるのを珍しくない。
 僕は地味な学生服に赤いマフラーを首にかけていた。
 そうそう、僕の名前は野花手鞠てまりだよ。歳は15。よろしくね♪。
 さて、僕は学校終わりにすぐこれからちょっとした小学校六年生の同窓会があるので向かうところだ。
 丁度、近くの公園前に待ち合わせしてる彼女がいるのでそこに寄り道してから向かうよ。
 え?いやいや!恋人関係ないから!!もう、からかわないでくれるかな?
 彼女の名前は八木さんだよ。八木楓さん。
 そうそう。彼女は最近〇〇を身につけるようになったからね。
 んー?なんでかって??僕にもよくわからないだけどね。
 ま、本人に聞いてもはぐらかすしさー。
 それよりも怪異談聴いてくれるかな?
 うんうん♪僕が初めて最初体験した怪異談だよ。
 あれは、転校生初日に土地勘がわからない僕は帰宅最中にーー。
 ーーーー。

「2」

ーー「四年前」ーー

「手鞠ちゃん。さようなら」
「……うん。さようなら」

 転校初日、土地勘や右も左もわからない僕は一人でまっすぐ帰宅に向かう最中だった。
(ボワン)
 僕の目の前にそいつが現れたのだ。
 何やら白の埴輪のような仮面を身につけた黒のフードを着込んでいた。
 そいつはじっと僕を見つめている。
 怖いというより、なんだろうという不気味さを感じていたが目を離したスキにそいつはいつのまにか消えていた。

 ーー「野花手鞠の部屋」ーー

 帰宅した夕飯後僕は少し気になってこの石山県のオカルトサイトや都市伝説をパソコンテレビに調べていた。
 すると気になる古い記事の見出しがあった。
「うすのろ魔女の呪い?」
 なんでもこの呪いをかかると魂が抜けられるとかという類いだった。
 僕はそんなもん迷信だなと信じてなくてそのままパソコンテレビを閉じた。
 でもまさか、僕がこのうすのろ魔女の呪いをかかってるなんて思ってなかった……。

ーー「通学路」ーー

「おはよー。手鞠ちゃん♪」
「……うん。おはよう」
 最初にうすのろ魔女を目撃してから頻繁に現れるようになった。
 怖くなった僕はうすのろ魔女に関することをネットサーフィンして調べたが古い記事しか出てこなく、そのまま放置すると魂が取られる情報しが出て来なかった。
「どうしたの?手鞠ちゃん」
「ううん。なんでもないから……」
 新しく出来た友人の声にも入らず僕の頭の中にはあのうすのろ魔女しか頭に入ってなかった。

 ーー「野花小学校6年2組」ーー

「かーちゃん?どーすんだよ?部活」
「……」
 私はあさっての方向見ながら、たそがれている。
 私はカイダンセイバーズの発端は友人1人であるサトシを救出するために立ち上げた部活だが解散危機にある。ただ、いまさらもう用件済んだことだし、そろそろ解散しても良さそうな気がする。
 私はふと皆に解散を告げようとした時にふと、学校の図書館に借りてきたのか怪異談の本をどっさりと積み上げてる彼女が目に入った。
「?……何かしら」
 なぜか、その子はそわそわして落ちつかない様子だった。
 私はその子が終始気になり、皆に重大なことを言いそびれてしばらく忘れるほどあの子がずっと気になっていた。
 そんな子を見ていたら、放課後になってしまった。
 一体なにかしらね?

「3」

 僕は早速学校の図書館で借りてきた怪異談本からうすのろ魔女に関する記述を探り当てた。
 どうやら、うすのろ魔女から魂を抜き取りを防ぐには露店のおばあさんから御守りを買うことらしいと聞いて早速それらしき付近に辺りでそのおばあさんから御守りを買った。500円という痛い出費だが背には変えれなかった。
 そして丁度、うすのろ魔女に出会うたびに御守りにある紙に書かれてある「う・す・の・ろ」の順に紙を燃やしていく。
 火をつけるライターはお父さんから拝借したものだ。
 大丈夫だ。これで解放されるんだと。
 僕は最後の紙の「ろ」を燃やそとした瞬間意識が飛んだ。
 その時、一瞬僕をにらみつける彼女が何やらスマホンでかざしていた。
 しばらくして意識が取り戻すときに燃やそうとした紙が彼女によって破り捨てられていた。


 僕が目を覚ました頃には赤い夕焼けだった。
「気づいた?」
 そこの頭の中に柔らかいモノ感触があった。
 そして目の前に彼女が覗いてた。
 そっか。僕あの世なんだな。
 おやすみなさい……。
 ……。
 いだだだだだだ。
 思いきり頬をつねられた。
 いだい。

 ーー「数分後」ーー

「ええーー!?あのまま紙を燃やそうとしたら魂抜き取られてたの!?」
「そうよ。あなた自殺願望に見えてなかったから、しばらく様子見てたけどバカバカしいにもほどあるわ」
 なんかご立腹ようだな。
「あれ?でもなんでうすのろ魔女にそう言う記述なかっただろう?」
「それはね。うすのろ魔女に為せる魔術よ。まず相手にそういう認識させてうすのろ魔女に関する都合の悪い情報はシャットダウンさせるわけね」
「なるほど~。どうりでネットサーフィンしても古い記事しか見つけられなかったのか」
 僕は納得したが彼女は逆上して両肩をがっしりと掴む。
 痛いんだけど?
「……あなた、なぜうすのろ魔女が世間に呼ばれてるか知ってる?」
「え?それは、薄くて呪われる魔女だから?」
 何故かギシギシとみっちり肩を食い込んでいて痛いだけど。
「半分正解。あなたのような、みたいな人物だけ引っかかるから次第にそう呼ばれたのよ!!あなたなぜ相談しないの!?このうすのろ魔女はとうの昔からいるありふれた観光名所と知られるほど石山県の間では有名なオカルトよ!!あなたくどくど」
 うん。なるほど~。でも説教垂れる前に両肩外して欲しいだけどな~。
 結局、彼女八木楓さんから、長い間説教垂れて心配なった僕を保護者として付き添うようになった。なんだかんだ彼女、世話好きタイプだからね。今はもう、お互い仲の良い姉妹のような友人だね。楓と僕の誕生日や血液型も一緒だし、好みまで似てるからびっくりしたよ。当然嫌いな食べ物まで似ているから驚くべきほど瓜二つだからね。
 え?いやいや生き別れの双子姉妹じゃないから!?本当だってば。
 あははは。
 ーーーー。 


 丁度、夕焼けの赤い時間帯。
 ちょっとした同窓会の帰り道に久しぶりにうすのろ魔女を目撃した。
 当然僕はムシしてそのまま通過するが、ずいぶんとうんざりするほどしつこいほど頻繁に現れてきたからね。
 このうすのろ魔女から見てると僕はやはりうすのろまぬけなのかなぁ。
 と、まぁ久しぶり再会する懐かしむ友人かのように見えたうすのろ魔女に対して僕に微笑んでるような気がしたけど、僕の恐怖怪異談はまだ続いていた。
 
 そのうすのろ魔女はケタケタと音を出しながら笑っている。
「な、なに?」
 僕も正直なんなのかわからない。うすのろ魔女を呪いを解けてから、あの後ネット調べていたがこのような記述はなかった。

「手鞠!!」

 僕の名前を呼んだのは、僕の親友八木楓だ。
「こいつどーなってるの?」
 と、うすのろ魔女はケタケタと笑い出してるのように身体全体を傾きだしている。
「時間ないわよ。今から向かうわよ!!」
「え?え?どこに!?」
 楓は僕の腕を引っ張り出してどこかに連れてかれた。

「4」

「あなたは正しかった」
「え?どういうこと?」
「すぐにわかるわ」
 楓が連れてくる場所は昔露店で御守り買ったおばあさんの店だった。
「あれ?ここは」
「おや?いらっしゃい。……久しぶりだね、お嬢ちゃん」
「あ、憶えていたんですか?おばあさん」
 おばあさんは軽く会釈すると僕も会釈する。
「おばあさま、うすのろ魔女に効く御守りあるかしら?」
「ああ。あるよ」と、その御守りを渡した。
「いやいや!?その御守り「いいから!!あなたは黙ってて」はい」
 話が遮れてしまった。
「おばあさまいくら?」
「640円だよ」
 と、楓はさりげなく財布から小銭を取り出して支払う。なんか値上げしてるし、ここも物価上昇の波ががががががが。
「いくわよ手鞠」
「あ、うん」
 用件を済んだ楓は僕を連れてどこかへ向かった。

 ーー「????」ーー

 (ボワン)
「ひっ!?現れたけどどうするの?」
「この御守りから紙全部出しなさい」
「うん」と、楓に言われた通りにうすのろ魔女の御守りからうすのろと頭文字4枚取り出す。
「出したよ。これをどうするの?」
 すると、楓が取り出したのはライターだった。
「これ全て燃やしなさい!」
「えー!?そんなことしたから僕、魂抜けられちゃうよ!?」
「いいから、早くしなさい!!」
「ううう。わかったよ」
 僕は魂が抜けられるよりかは、楓の強い蛇に睨まれた感じで僕はその恐怖を感じて全てうすのろの紙を燃やした。
「お父さん、お母さん、この親不孝の僕を許してください。アーメン」
 これで思い残すことないと思っていたが、、、

「グゲゲゲ!!」

 (あれ?うすのろ魔女が苦しんでるぞ?一体どういうことなんだろう?)

 そのうすのろ魔女はしばらくすると忽然とパァンと身体こど風船のように破裂して消失した。

「これで一件落着ね」

 楓はなぜか安堵していた。


「ええーー!?僕のやり方は間違ってなかったの?」
「ごめんなさい。私も密かにうすのろ魔女の呪いにかかってたの」
「マジか……」
 うすのろ魔女の呪いはどうやら対象人物が広く認知しやすいらしい。なので楓が止めてくれなければ僕はあのまま無事に助かったらしいのだった。
「でも、どうしてわかったの、うすのろ魔女にかかってることに」
 楓はフッと笑った。
「それはあなたのおかげよ。あなた披露したじゃない怪異談を」
 どうやら、僕のうすのろ魔女の怪異談を披露したから、記憶に蘇り正しいうすのろ魔女の対処方法を思い出したらしい。ちなみに当時楓が間違った対処方法はネット上にあったデマ情報をまんまと引っかかった奴らしい。やっぱり僕より楓がうすのフグッ!?
「……それ以上言わないで」
 と、楓の強い忠告に僕は従った。この時、僕と楓だけの2人の秘密としてみんなに黙ることにした。で、結局御守りの値段は僕が半分320円を支払うことで落ちついた。
 ん?なんか騙されてる感じがするけど。
 え?僕はうすのろまぬけじゃないことはじゅうぶん承知したでしょ?……たぶん。
 と、楓と一緒に帰るときにやけに機嫌がよかったのはキノセイだろうか。

 うすのろ魔女  完
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