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32.貞操の危機2
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「ん……く……っ……!」
やがて身体の奥底から這い上がってくる激流に飲み込まれ、晴人の頭は白く弾けた。
自分でしたときの、擦って気持ちよくなって出すといった、表面的なあっさりしたものとは比べ物にならない。内側からじわじわと悦楽に侵食され、達した後もまだ体内でうねりがやまずに食い散らかされているようだった。
晴人は荒い息をつきながら、ぐったりと身を投げ出す。もし動けたとしても、今なら何もできなかっただろう。
そのため、いつの間にかセイの姿が見えなくなっていることにも気づかなかった。
「神子様……気持ちよかったでしょうか? 次はどうか、わたくしをお救いください」
神殿長の指の動き方が変わった。今までは晴人から快楽を引き出すことだけを考えていたようだったのが、入り口を押し広げる動きになる。
達したばかりでこれ以上の快楽は苦痛になりかねない晴人にとっては、先ほどの動き方よりも楽だった。
しかし、これはつまり貞操を失うときが間近に迫ってきたということだろう。
晴人はゆるやかな快楽が押し寄せる中、このまま流されてもよいのではないかとぼんやり考える。
不本意ながら、気持ちがよい。それにこれほど苦渋に満ちた声で救ってほしいと言い続ける神殿長が哀れだ。このまま流されることで神殿長が救われるのなら、それはそれでよいのではないだろうか。人助けというやつだ。
だが、そこで晴人の中に残ったわずかな理性が頭をもたげる。
聖娼たちは交わりを介して魔素を浄化し、人々を救っている。これは立派なことで、恥ずべきところなどない。晴人が今されていることも、同じようなことではあるだろう。
とはいっても、これは強姦である。聖娼たちは自らの意思で誇りを持って仕事をしていたが、晴人はただ流されているだけだ。
晴人の意思を無視して罠にはめ、こうして組み敷いている神殿長の行為は許されないことだろう。
「……う……うぅ……」
ここで流されてはならない。このような形で貞操を失うのは、やはり嫌だ。
晴人は理性に支配権を委ね、どうにか逃れようともがく。しかし、やはり身体は動かず、口から出るのは意味を成さない呻き声だけだ。
「神子様……本当に申し訳ございません。どうかわたくしを受け入れてくださいませ……」
晴人が精一杯暴れようとしていることが伝わっているのだろう。
神殿長の声はますます悲哀を増していった。こうして強姦されかかっているというのに、晴人の胸は神殿長への同情でわずかに疼く。
「どうか、どうか……受け入れてくださいませ」
何度も懇願を繰り返すが、神殿長は無理やり奪おうとはしない。
その気になれば動けない晴人など、あっさりと貫くことができるだろうが、何故かそうしようとはしなかった。
代わりに、再び快楽が襲ってきた。先ほど内側だけで達してしまったという生涯初の出来事、かつ最高の快楽を生み出した場所を容赦なく責め立てられる。
「んっ……く……ふ……」
抗えない愉悦が全身を蝕んでいく。ほどなくして、晴人は二度目の絶頂を迎えさせられた。
「神子様……」
「や……だ……」
晴人の口から、わずかに意味のある音が発せられた。気だるさに包まれながら、晴人はほんの少しだが身体の自由が戻りつつあることに気づく。
神殿長が小さく息を飲み、ゆっくりと吐き出す音が響いた。
中に埋め込まれたままの指が、またも蠢き出す。苦しさに晴人の目から涙がこぼれた。このまま耐えていれば、そのうち身体の自由が戻るかもしれない。
しかしそこに至るまで、苦しいばかりの快楽を与え続けられるのだろう。それならば、いっそ楽にしてほしかった。
もうあきらめようかと、晴人の心が折れかけたときだった。
激しく扉を叩く音が響き、間をおかずに扉が開かれた。
やがて身体の奥底から這い上がってくる激流に飲み込まれ、晴人の頭は白く弾けた。
自分でしたときの、擦って気持ちよくなって出すといった、表面的なあっさりしたものとは比べ物にならない。内側からじわじわと悦楽に侵食され、達した後もまだ体内でうねりがやまずに食い散らかされているようだった。
晴人は荒い息をつきながら、ぐったりと身を投げ出す。もし動けたとしても、今なら何もできなかっただろう。
そのため、いつの間にかセイの姿が見えなくなっていることにも気づかなかった。
「神子様……気持ちよかったでしょうか? 次はどうか、わたくしをお救いください」
神殿長の指の動き方が変わった。今までは晴人から快楽を引き出すことだけを考えていたようだったのが、入り口を押し広げる動きになる。
達したばかりでこれ以上の快楽は苦痛になりかねない晴人にとっては、先ほどの動き方よりも楽だった。
しかし、これはつまり貞操を失うときが間近に迫ってきたということだろう。
晴人はゆるやかな快楽が押し寄せる中、このまま流されてもよいのではないかとぼんやり考える。
不本意ながら、気持ちがよい。それにこれほど苦渋に満ちた声で救ってほしいと言い続ける神殿長が哀れだ。このまま流されることで神殿長が救われるのなら、それはそれでよいのではないだろうか。人助けというやつだ。
だが、そこで晴人の中に残ったわずかな理性が頭をもたげる。
聖娼たちは交わりを介して魔素を浄化し、人々を救っている。これは立派なことで、恥ずべきところなどない。晴人が今されていることも、同じようなことではあるだろう。
とはいっても、これは強姦である。聖娼たちは自らの意思で誇りを持って仕事をしていたが、晴人はただ流されているだけだ。
晴人の意思を無視して罠にはめ、こうして組み敷いている神殿長の行為は許されないことだろう。
「……う……うぅ……」
ここで流されてはならない。このような形で貞操を失うのは、やはり嫌だ。
晴人は理性に支配権を委ね、どうにか逃れようともがく。しかし、やはり身体は動かず、口から出るのは意味を成さない呻き声だけだ。
「神子様……本当に申し訳ございません。どうかわたくしを受け入れてくださいませ……」
晴人が精一杯暴れようとしていることが伝わっているのだろう。
神殿長の声はますます悲哀を増していった。こうして強姦されかかっているというのに、晴人の胸は神殿長への同情でわずかに疼く。
「どうか、どうか……受け入れてくださいませ」
何度も懇願を繰り返すが、神殿長は無理やり奪おうとはしない。
その気になれば動けない晴人など、あっさりと貫くことができるだろうが、何故かそうしようとはしなかった。
代わりに、再び快楽が襲ってきた。先ほど内側だけで達してしまったという生涯初の出来事、かつ最高の快楽を生み出した場所を容赦なく責め立てられる。
「んっ……く……ふ……」
抗えない愉悦が全身を蝕んでいく。ほどなくして、晴人は二度目の絶頂を迎えさせられた。
「神子様……」
「や……だ……」
晴人の口から、わずかに意味のある音が発せられた。気だるさに包まれながら、晴人はほんの少しだが身体の自由が戻りつつあることに気づく。
神殿長が小さく息を飲み、ゆっくりと吐き出す音が響いた。
中に埋め込まれたままの指が、またも蠢き出す。苦しさに晴人の目から涙がこぼれた。このまま耐えていれば、そのうち身体の自由が戻るかもしれない。
しかしそこに至るまで、苦しいばかりの快楽を与え続けられるのだろう。それならば、いっそ楽にしてほしかった。
もうあきらめようかと、晴人の心が折れかけたときだった。
激しく扉を叩く音が響き、間をおかずに扉が開かれた。
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