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第二章 南へ
50.お礼
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とある一行が歩いていく。
するとにぎやかな通りのざわめきが、不審そうなざわめきに変わる。通りは人にあふれているのだが、次々と人が避けていって一行のための広々とした道ができあがっていく。
「……ミゼアスさん、俺……恥ずかしい……」
俯きながら一行の先頭を行くフィオンがぼそっと漏らす。
「だって、僕はこの町のことはよく知らないから、きみに案内してもらわないと」
堂々と顔を上げたまま、ミゼアスが答える。手には縄が握られており、その先には顔に袋を被った半裸の男がいた。
縄は男の首が終着点だ。男の顔には空気穴が開けられただけの袋が被せられているため、誰かはわからない。肉付きのあまりよくない、貧相な上半身を晒している。
「ここをまっすぐ行けば、警備兵の詰め所なんで……俺、もう帰っていいですか?」
「だめに決まっているだろう。僕はこの男に礼をすると言ったんだ。先導者がいないと、華々しくならないよ」
「いや……これって礼なんですか?」
不審そうにフィオンが問いかけてくる。
男は何も言葉を発さず、ただミゼアスに引かれ続けていた。おとなしくついてくるということは、この礼に満足しているという証だろう。
「こうやって、引っ立てられて見世物にされているんだよ。興奮するだろう。しかも顔は隠しているから、正体がばれることもない。安全なところから、ぞくぞくする快感を味わえるんだ。最高じゃないか。……まあ、さすがに全裸というわけにはいかなかったから、その分はちょっと差っ引かないといけないか」
全裸で顔だけ袋で隠すのが最良だろうが、さすがにそれはためらわれた。こんな普通の町中では、縄を引くミゼアスが変態扱いされてしまうだろう。
「……俺、その世界、よくわかりません……」
するとにぎやかな通りのざわめきが、不審そうなざわめきに変わる。通りは人にあふれているのだが、次々と人が避けていって一行のための広々とした道ができあがっていく。
「……ミゼアスさん、俺……恥ずかしい……」
俯きながら一行の先頭を行くフィオンがぼそっと漏らす。
「だって、僕はこの町のことはよく知らないから、きみに案内してもらわないと」
堂々と顔を上げたまま、ミゼアスが答える。手には縄が握られており、その先には顔に袋を被った半裸の男がいた。
縄は男の首が終着点だ。男の顔には空気穴が開けられただけの袋が被せられているため、誰かはわからない。肉付きのあまりよくない、貧相な上半身を晒している。
「ここをまっすぐ行けば、警備兵の詰め所なんで……俺、もう帰っていいですか?」
「だめに決まっているだろう。僕はこの男に礼をすると言ったんだ。先導者がいないと、華々しくならないよ」
「いや……これって礼なんですか?」
不審そうにフィオンが問いかけてくる。
男は何も言葉を発さず、ただミゼアスに引かれ続けていた。おとなしくついてくるということは、この礼に満足しているという証だろう。
「こうやって、引っ立てられて見世物にされているんだよ。興奮するだろう。しかも顔は隠しているから、正体がばれることもない。安全なところから、ぞくぞくする快感を味わえるんだ。最高じゃないか。……まあ、さすがに全裸というわけにはいかなかったから、その分はちょっと差っ引かないといけないか」
全裸で顔だけ袋で隠すのが最良だろうが、さすがにそれはためらわれた。こんな普通の町中では、縄を引くミゼアスが変態扱いされてしまうだろう。
「……俺、その世界、よくわかりません……」
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