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実家の両親

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麗奈達は旅行の次の日から、普段の生活に戻っていた。
施設なども回りたいとのバンドの提案で、あまり大きな音は出せなかった。
いつもは、スピーカーを使わず麗奈はギターと歌を歌っていた。
あすかには、軽く演奏をするように心がける様に事務所から言われた。
アンプやスピーカーは、小さめの物も用意されていた。
麗奈がいつも行ってる施設では大規模で驚いていたが、エンジニアがミキサーで調節して音は押さえらていた。 
福祉施設・老人ホーム色々な場所を回っていた。
足を伸ばして、時には関東の女子刑務所でも演奏をした。
麗奈にとっては、キツイ日々が続いていた。
洋子はみんなの夕飯の支度があるので、純也と共に撮影に出かけていた。
スタイリストとメイクさんにお世話になり、週に2回は撮影をしていた。
洋子には悪かったが、帰ってから遅くに一人で夕飯を頂いていた。

そんな時、4人は事務所に呼ばれて会議室で善人から話しがあった。

「もう、11月になろうとしているけど。今年中に1枚CDを出してもらうことになった。麗奈には苦労させるが、化粧品会社の春用のCM・そしてCD5枚分の制作をして欲しい。計6枚だけど、できるかな?」

「季節とはどうなんですか?それと、化粧品のコンセプトとかわからないと制作のしようがないですから。あちらの気に入った曲はできませんので。」

「ああ そうだな。コンセプトとか色々な資料は貰ってくるよ。それと、5枚は春・初夏・真夏・秋になるかな。取り敢えず考えるのは月なんだよな。4・5・6・7・8・9って感じかな?できれば10も追加してくれると嬉しいんだけどね。」

「難しいよな。麗奈 」

「5月とかは、1番考えやすいんですけどね。新緑なのでね。でも、月毎に考えてみますね。それぞれ2曲ですよね?」

「ああ そうなるな。後は、今回は強行じゃなくってゆっくりと全国ツアーやってもらうから。お前らの要望の美味しい大衆食堂とか食べ物のある場所へな。今回から食事も全部サポートさせてもらうから。これまで、ファミレスで悪かったな。」

「どれくらいで縦断するんですか?」

「6~7ヶ月だな。途中で、故里の夏祭にも出演させてやるから。その時は実家で2日泊まってきてくれ。こんなんでいいかな?」

「すっごく嬉しいですよ。麗奈 泣いちゃうんじゃないのかしらね。家族の券貰えますよね?」

「ああ 勿論だよ。」

4人は喜んでいた。 

「麗奈に頑張ってもらわないと行けないよね。頼ってばかりだけど、頑張ってね。これから食器は私達が洗うからさー それで、許してよね。」

「もう、あすかったら、いいですよ。今まで通りで。」

「ところで、いつも夕飯食べない時あるけど。どうしてなの?」

「旅行の時、聞かされたんですけどね。私、モデルって言ってもショーしか出てなかったんですよね。後、撮影とは全部断ってくれててね。でも、会社大きくするには断るの勿体ないでしょ?だから、本業の合間とかにやってます。」

「そっか そっか それなら、尚更、麗奈に洗わせられないよね。頑張りなよ。私達ももっと練習して麗奈の求める音に近づくからさ。」

「みんな ありがとうございます すいません。」

4人は事務所を後にして、今日の仕事に向かっていた。

善人は、また麗奈に無理な注文をつけてしまったと思った。
後2ヶ月で14曲を作り、完成させなければならないのだから。
まぁ考えている暇はないので、化粧品会社に電話をして今日行くことにしていた。
まぁ多忙を極める麗奈達は、1日3箇所を平気で熟していた。
先輩ミュージシャンとも、親密になり和気あいあいと話しをしていた。
麗奈も、色々な人からギターの手ほどきを受けていた。
みんな麗奈を見ると、必死に先輩に教えを請いていた。
到着してみんなに挨拶・帰りにはお礼と挨拶をして帰っていった。
事務所は、週に1回の休養日を入れていた。
麗奈は美容院とエステに行くので、どうせならとこの頃は全員で出かけていた。
美容院に出かけても、予約とかしてあるので帰宅は3時頃だった。
それからは、みんな部屋で練習をしていた。
麗奈は、曲作りに専念していた。
夕食後はボイトレとギターレッスンを終え、9時から再開していた。

4月は、CMなのでまだ先送りにしていた。
5月はイメージとしては、新緑・薫風とか五月雨のイメージを曲に取り込もう。
6月は深緑・初夏・若葉・梅雨・あじさいなどだろう
7月は盛夏・暑中・木もれ陽など、夏の始まりである。海が頭に浮かんだ、渚。
8月は、やはり常夏・太陽・花火・恋人・花火ここらの季節は得意だった。
9月は凉風・残暑・木陰・恋人との出会い
10月は、紅葉・銀杏並木・お洒落・寄り添いが浮かんできていた。
11月は、深まる紅葉・冬将軍の足音・冬支度があった。
11月中に、麗奈は、14曲の作曲を終えていた。
12月に入ると、歌詞を付けたり編曲を始めてデモまで完成させていた。

その間にも、ライブとモデルの撮影やショーはやっていた。
年末の30日から1月の4日までは、仕事はなかった。
吾郎達に言って実家に帰ると言ったら、快く車を出してくれた。
幸平や茉莉子も帰るので、ワンボックスにしてくれと頼んだら許して貰えた。
純也の運転で、5人は実家に帰っていた。 
純也は、4日の午前中に迎えに来てくれる。
お礼を言って、見送っていた。

5人は一斉に自宅に帰ると、父や母は喜んでいた。
麗奈は部屋にギターを置いて、ゆっくりとリビングでしていた。

「しっかし、すげーよな。麗姉のおかげで、二人共挙式タダだったし。おかげで、新婚旅行ハワイにいけるけどね。ありがとうね。」

「あっちの社長さんがしてくれたことですよ。感謝するなら、社長さんにしないとね。」

「ところで、化粧品のCMも流れたけど。あれって別の歌だったよね。」

「なんか、悪いことして捕まったので急遽渡したんですけどね。音は流れないので、画像見て合う曲探して持ってたら採用されたけどね。レコーディング5日しかなくって。しかも、昼間はライブあったからね。ほとんど、3日で作りましたよ。1日は練習・1日はエンジニアさんの仕事あるのでね。」

「あれ、売れたでしょ?」

「 全く知らないですね。毎日仕事してるから、この頃は、ライブとモデルの撮影もやってるから。」

「大金持ちだね。なんかおごってよね。」

「まぁ、給料変わってないけど、少しなら買えますよ。先日はメンバーに10万ちょっとのバッグをみんなにプレゼントしましたから、残ってるかわからないですけどね。」

「そう言えば、小綺麗になったもんな。ジーンズかショートパンツしか履いてなかったのに。」

「ええ もっと、服装に気をつけろって怒られましたから。」

「麗奈 茉莉子のところとか行ってるの?」

「ええと、今忙しくて。2ヶ月で14曲作りました。後、2曲ですけどね。」

「うわー そんなにつくってどうするんだよ。」

「もう、疲れちゃうわよ。幸平の質問責めには。なんか、月毎にCD出すみたいなので。来年も全国ツアーです。地元の夏祭も入れてくれるそうなので、2日泊まれます。」

「じゃ、麗姉のライブ見てからハワイ行こうかな。な、詩織。」

「そうですね。お姉さんのライブは見たいから、それからでもいいですよ。」

「茉莉子姉は、その時ハワイかな?」

「私達は8月の始めだから、もう帰ってきてるわよ。絶対来てやるからね。」

「じゃ、チケット2日分で6枚づつでいいのかしら?」

「麗奈 お願いするわね。頼んだわよ。」

「ツアーじゃ、今度もファミレス通いなのかな? 可哀想に。」

「今回はそんなハードじゃないみたいです。ちょっとした観光地も寄るみたいですしね。食事も全部会社が手配してくれるそうですから。私達が大衆食堂が良いって言ったら。調べとくって言ってくれましたよ。」

「スターが大衆食堂かよ。笑えるな。」

「美味しかったのよ。サバの味噌煮とか小鉢とかね。」

「やっぱりそういうのが1番だよね。お母さんがいつも作ってくれてたものね。」

「この前、慰安旅行で鬼怒川温泉行ってきましたよ。1泊2日でね。」

「まさか、大浴場に入ったんじゃないでしょうね?」

「3回入りましたよ。みんな寄ってきちゃったけど。次の日の朝、サインするからって許してもらったみたいですよ。」

「普通、有名人入らないだろう。」

「だって、温泉初めてだったから、楽しかったですよ。吾郎さん、二日酔いになっちゃうしね。みんなにからかわれたわよ。」

「麗奈 今でも、吾郎さんとか優さんとか呼んでいるの?ダメですよ。」

「えっと ちゃんと、会社では五郎さんと社長ですけどね。旅行の時はお父さん・お母さんって呼んでました。だって2人のお父さんと2人のお母さん持ってるなんて、私だけでしょ? 自慢したいくらいですよ。まぁ、お父さんは。相変わらずいつも厳しいですけどね。1回ステージの演奏聞いたけど、鳥肌立ちましたよ。」

「そんなに凄いのか?吾郎さん。」

「もう、完璧でしたよ。全部の音が綺麗ですしね。速弾きしても、綺麗な音色奏でてましたよ。追いつけないわよ。」

「まぁ、凡人の耳じゃわからないだろうけどね。凄いものだよね。」

「小学校1年からクラッシクギターで基礎ばかりやったみたいですよ。本当に演奏したのは。中学入ってからみたいですね。基礎が凄いのよね。」

「凄い人は、それなりに努力してるのね。」

「お母さん、今日は夕飯はなんなの?」

「麗奈の好きなハンバーグよ。煮込みハンバーグね。」

「ちょっと、ひいきしてない?私の好きなのは?」

「茉莉子は、また今度ね。今回は、麗奈の大好物ばかりよ。」

「ごめんなさいね。お姉ちゃん。そんな好物ばかりでなくてもいいんですけど・・・・」

「まぁ、いいわ。あの挙式200万以上するしね。ドレスだけだって、150万以上なんだから。」

「そんなにするんですね。結婚式できないわよ。お金貯めとかなきゃ。」

「ほらほら、ご飯にするわよ。みんな手伝ってね。」

「なに麗奈立ち上がっているのよ。なにもできないでしょ?邪魔だから、座ってなさいよね。ねぇ、お母さん。」

「音楽以外できない娘に、しちゃったからね。」

「すいません じゃ、座ってますね。」

7人は夕食を食べ始めていた。 
ダイニングでは、両親と麗奈が食べていて。
リビングで茉莉子達2人と、幸平達2人が食べていた。
麗奈は自室で楽譜を見ながら練習していると、リビングでやるように言われた。

「えっと、まだ最初の練習の段階なので通しで弾けませんよ。いいですか?」

「いいわよ 弾いてて 練習風景を見てるだけだから。」

麗奈は試行錯誤しながら、弾き始めていた。
途中で止まると、再び最初から弾き始めていた。
茉莉子は、麗奈の肩を叩いていた。

「今のところ、間違っていたの?」

「少しチョーキングが長かったですね。違和感あったので。それに、まだ綺麗な音が出て無くって。」

6人は顔を見合わせていた。

「お母さん、この音がまだ綺麗じゃないんですって。どうなってるの?」

「もう、私達が考えてる次元の上を考えて弾いているんでしょうね。売れなくて、すぐに戻ってくると思ってたのにね。」

「だって、CMなんて、7~8本やってるわよ。これって、驚異だわよ。」

「そんなに凄いことなのね?私達もあまりTV見ないですからね。」

「当たり前じゃないの。それに先日まで流れてたCMだって、ポシャった曲の代わりに入れてたけど、断然よかったもの。前のよりもね。」

麗奈は、実家でゆっくりと正月三ヶ日を過ごした。
まぁご飯を食べて、家族の前で練習をしていたのだったが。
4日の朝になると、みんな帰り支度をしていた。
母はみんなのむすびを作っていた、勿論運転手の純也の分もだった。
純也の車が到着すると、母に抱きついていた。

「お父さん・お母さん行ってきます。夏、また泊まりに来ますから。元気でいてくださいね。じゃ、失礼します。」

麗奈達は、マンションを降りて行った。
純也にありがとうと言い、車に乗り込んでいた。

車は、東京を目指して走り出していた。

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