26 / 57
生意気な新入生
しおりを挟む月に一度、1年の演奏は披露されて。
玲奈達2年は、聞いていた。
少しは上達してるようだが、イマイチパットしなかった。
「おーい ドラム テンポ悪かったよ。 ギターも5回ミスしていたしね。4月の新入生の部員加入の時は弾いてもらうからね。ボーカルもしっかり、うちの麗奈みたいにマイクパフォーマンスしなさいよ。」
「あすか先輩、あれは無理ですよ。麗奈先輩凄すぎるから。」
「あそこまでとは言わないけどね。クリスマスライブ無口だったでしょ?メンバー紹介・挨拶なんか、ちゃんとしなさいよね。麗奈はメンバー紹介忘れちゃってる時あるけどね。」
4人が4人共、どこにでもいる真面目そうな中2の女子なのに。
ステージに上がると、別人になるのが後輩は不思議だった。
後輩達も、学祭とか商店街でのクリスマスライブを見ていて。
この部に入ったものも、多いのだが。
4月まで、4回の演奏と聞いていたが。
伸びしろが、あまりなかった。
まぁ、自分達がそれだけ後輩よりも伸びていて。
物足りなさを、感じてるのは事実だった。
後輩が1日1伸びるなら、麗奈達は5~10伸びているのだから。
仕方ないので、勧誘の時2曲演奏することにした。
みんな指導を受けているので、クリスマスの頃よりも良い音を響かせていた。
特に、リズムは正しく刻まれていた。
ある日の事、いつもの様に新垣の家でボイストレーニングをしている最中。
麗奈のジーンズの股間が、濡れてきていた。
練習で気が付かなかった、優もやっと気が付き。
練習を辞めて、自室に連れて行った。
「麗奈ちゃん、初めてなの?」
「なんか、漏らしちゃったのかしら?ごめんなさい。」
「違うわよ、女の子になったのよ。初潮ね。待っててね。もう麗奈ちゃんだったらとっくに過ぎてたと思ったけど、恥ずかしがらないで、ズボンとパンツ脱いで。」
優の前でズボンを脱ぐと、赤い血に染まったショーツを見てびっくりしたが脱いでいた。
「ちょっと、拭くわね。最初だからナプキンがいいわね。これ使ってない生理用パンツね。サニタリーショーツって言うから、買って置くと良いわよ。これ新品だから初潮祝にプレゼントね。ズボンは、私のスエット履きなさいね。こっちの汚れたのは袋に入れておくから、帰りに持って帰ってね。」
「すいません。脇毛とかの処理はお姉ちゃんに教えてもらったんですけど・・・・・」
「あら、最初は脇毛よりも初潮の方が早いのにね。麗奈ちゃんは少し遅いから、もっと身長も伸びるわよ。今、155くらいでしょ?」
「はい それくらいです。」
2人は袋を持って、部屋から出てくると吾郎が練習の為待っていた。
優は吾郎に話しかけて、少し体調が悪いから後は自宅で練習させるように言った。
「しょうがないな。体調管理くらいしとけよな。俺の愛弟子がバンドの足引っ張ったなんてなったら、笑いものだからな。家で練習しとけよ。」
「はい、すいません。明日からがんばります。」
麗奈は袋を抱えて、ギターを背負って帰っていった。
吾郎も本職ではないが、シンセの扱いはできるのでボイトレの間は吾郎が見ていた。
「あら、葉月ちゃんも出てきちゃったの。麗奈ちゃん帰ったわよ。」
「え 体調悪いんですか? 」
「麗奈ちゃん、遅ればせながらやっと女の子になったのよ。葉月ちゃんは早かったでしょ?」
「私は小6くらいでしたね。それにしても、麗奈遅すぎね。」
「まぁ、内緒にしておいてあげてね。本人もびっくりしてたから今日は帰したけどね。お母さんに言うように言ったけど、言えるのかしらね。」
葉月の練習はそれから、2時間続けられていた。
麗奈はいつもより早く帰宅して、風呂に入った。
汚れたジーンズとショーツを、洗っていた。
もちろん、借りてきたスエットのズボンをも洗った。
まぁ、袋の中にナプキンを入れてくれてあったので交換したが。
どこに捨てればいいのかわからず、そのまま部屋に持ち帰っていた。
姉の茉莉子は、この頃帰りは11時ころで。
それまでは、予備校で勉強をしていた。
身体の調子が悪いのではないので、部屋でギターの練習をしていた。
母が帰ってきて、8時に夕食を3人で食べた。
片付けを終え、弟の幸平が部屋にもどると。
母に話しがあると、リビングで話しをした。
「お母さん、実は。新垣さんの家でね。血出ちゃったの。」
「鼻血かい?練習のやりすぎだろうね。」
「えっと、初潮って言うんだって。奥さんに全部お世話してもらったの。家に帰ったらお母さんに話す様に言われたから。」
「あら、やっと麗奈も女の子になったのね。お姉ちゃんも遅かったけど中1だったからね。今、ナプキンしてるんだよね?最初は周期がまばらだから気をつけないとね。学校でなることもあるからね。新しい生理用パンツとナプキンは持っていないとね。」
「ナプキンってどこに捨てるの?普通にゴミ箱でいいのかな?」
「うちのトイレにも汚物入れあるでしょ?あそこに入れるんだよ。学校にもあるはずだからね。明日は、最初だからわからないけど、2日目って多いからね。5個くらい持っていって頻繁に交換するといいわよ。無くなったら、多分保健室にもあるからね。」
「そんなに交換するんだね。」
「そうよ。人それぞれ、出る出血量も変わってくるからね。麗奈達は、ライブとかあるから大変だろうけどね。重なったら苦労するよ。イライラしたりもするしね。ひどい人はお腹も痛くなるし、頭も痛くなるからね。まぁ、今回はそんなことないと思うけどね。もし、ひどかったら一緒に産婦人科に行ってあげるからね。」
「ありがとう おかあさん。お姉ちゃんもいないし、だれにも相談できなかったから。」
「あんたは、あまり話しをしてくれないからね。生理の時、ナプキン交換しないと臭いからね。気をつけなさいよ。明日、帰りにショーツ買ってきてあげるからね。Sでいいわよね。」
部屋に戻り、隠してあったナプキンをトイレの汚物入れに入れていた。
母は、新垣の家に電話してお礼を言っていた。
その日も練習と勉強をして、いつものように、0時には寝ていた。
次の日は、少し頭が痛く腹痛もして食欲はなかった。
鞄にそのまま5個くらいのナプキンを入れて登校しようとすると、茉莉子が来て。
「ほら、丸出しだと衛生面でもよくないしみんなにバレちゃうわよ。」
小さなナプキン用のポーチを、手渡してくれた。
「ありがとう お姉ちゃん。」
鞄からナプキンを取り出し、ポーチに入れると鞄にしまった。
ピンクの可愛いポーチだった。
この日は、授業も集中できなく。
珍しく部活でも、2箇所ミスをしていた。
「おい 麗奈。どうしたんだよ。あんたらしくないよ。こんな所ミスするなんて。」
葉月は知っていたので、麗奈をかばい。
「まぁまぁ、麗奈もロボットじゃないんだから、ミスすることもあるわよ。」
なんとか1回目の生理は乗り切ったが、新垣にもこれまで以上に怒られていた。
3日ほどで、生理も終わったのでよかったのだが。
再び集中して、勉強や練習に打ち込んでいた。
桜の蕾も大きく膨らみかけたこの4月。
新たな新入生が、入学式を迎えていた。
校門や、クラス振り分けの掲示板の前。
1年の教室までの通路で、チラシを配っていた。
各自手書きで、様々なチラシが出来ていた。
絶対書くものは、決まっていた。
【軽音部へようこそ】【活動内容・夏の祭典・学園祭・クリスマスライブ】
【音楽好きな者来たれ!】【放課後音楽室へ】
文字だけ書いてる人もいれば、イラストを入れてる人もいた。
去年は4人で配ったが、今年は13人で早く配れていた。
3年はそれぞれサポートに付き、声を出していた。
こんな時、頼りにならないのはやはり麗奈だったが・・・・・
2年も知ってるので、仕方ないと思った。
授業が終わると、すぐに音楽室に向いスタンバイを始めた。
早く音を出して、1年の意識を向ける必要があったからだった。
2年に演奏をさせて、3年は聞きにきてくれた1年を誘導していた。
「おい ヘボくないか? あれならおれでもできるぜ。」
「ここの軽音って良いって聞いてたけど、耳障りよね。」
まぁ、2年の実力ならこんなものであろうと思った。
あすかは前に立って、1年の見学を歓迎していた。
「はーい 新入生の中でなんか楽器弾ける人いるかしら??」
4人ほど、手が上がっていた。
「あら、4人はバンドでも組んでたのかしら?」
「半年前からですよ。でも、もっと上手いですよ。」
「よーーし 今日は、特別に弾かせてあげようーーーーー 楽器は借りてね。」
ギター2 ベース ドラムの 構成だった。
「用意できたかな? 2曲どうぞーーー」
ONE OK ROCK、玲奈達は聞いたことのない曲だったが、男子らしく迫力があった。
みんな拍手をしていた。
「すごいわね。言うだけあるわね。私達聞いたことないわ。 でも、コピーできちゃったけどね。歌は無理だけど、演奏ならできるわよ。」
「ってか、こんなヘボなら入らないし。」
「まぁ、聞いていきなさいよ。他人の演奏聞くのもいいでしょ?」
「みんなコピーできた? 麗奈は2曲できてるわよね? 彩香は? OK?」
「はーーい」
「じゃ、適当に、シンセはいれちゃってね アドリブでいいからね。」
4人はセッティングすると、演奏を始めていた。
女子なのに迫力ある正確なリズムを刻むドラム・ベースもアレンジして弾き始めていた。
シンセは、みんなの音を拾って色々な音を出していた。
圧巻はギターだった。
間奏ではソロを長く弾いていて、1年を魅了していた。
2曲終わり。
「こんなものでしょ? この曲って。私達も1年半しかやってないけどね。やる気の問題なのよ。2年は、まだ楽しむ段階に入ってないだけね。他人の批判はいいけどね。もっと自分を磨くといいわよ、1年坊主!!!! 入れてやってもいいけどね。練習次第で、夏の祭典に出れるか決まるからね。他のみんなも、今からやれば上手くなるわよ。私達もやり始めたのは1年の9月からでしたのでね。毎日練習してますから、いつでも見学にきてくださいねー。最後、オリジナルで今日は終了。」
ボーカルが付き、普段の演奏をするとより一層バンドは輝いて見えてきた。
なんせ、麗奈の透き通る声と音域・声量なのであるから。
音楽室には、続々と1年が駆けつけてきていた。
間奏では速弾きをしたりして、今回はベースのソロもあった。
歓声と拍手が巻き起こり、今日は終了していた。
2週間後の部活期限まで、何人が入部するのかはわからなかった。
さっきの4人の男子は、自慢してたが。
鼻をへし折られて、後ろで聞いていた。
結局、今年も8人が入部してきていた。
未経験者ばかりで、去年と同じ楽器選びからだった。
4人なので、シンセは必要なかったが。
それでも、1人シンセ希望がいた。
後は、ベースが2人とギター5人だった。
相談して、歌の審査とリズム感の審査を行っていた。
振り分けられて、2人はドラムに回っていた。
2年に、教えさせていた。
これからは、2年がもっと頑張らなければいけないのだから。
そんな学校とは別に、帰宅すると4人はレッスンに通っていた。
もう、気がつけば4月だった。
夏までは、後4ヶ月である。
後、4ヶ月しかないのだと。
みんな必死に、練習をし始めていた。
今年は受験もあり、忙しかった。
新垣の家で3時間・家で3時間、勉強をすると2時になっていた。
それでも、テスト前だからと言って練習は欠かせないので。
普段から勉強をやっておかないと、内申や偏差値が到達しないであろう。
あすかも、あれから毎日練習と勉強を始めていて成績も上がっていた。
まぁ、あすかの場合。
今までやってなかったので、上がるのは当然だったが。
たまに来る生理はとても辛く、母と婦人科で受診を受けた。
鎮静剤かピルを勧められて、ピルの服用をし始めていた。
最初は、生理と同じ様に頭痛とかもあり吐き気もあったが。
2週間もすると、収まった。
姉の茉莉子も、無事音大に合格して。
家を出ていき、一人暮らしを始めていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
ターゲットは旦那様
ガイア
ライト文芸
プロの殺し屋の千草は、ターゲットの男を殺しに岐阜に向かった。
岐阜に住んでいる母親には、ちゃんとした会社で働いていると嘘をついていたが、その母親が最近病院で仲良くなった人の息子とお見合いをしてほしいという。
そのお見合い相手がまさかのターゲット。千草はターゲットの懐に入り込むためにお見合いを承諾するが、ターゲットの男はどうやらかなりの変わり者っぽくて……?
「母ちゃんを安心させるために結婚するフリしくれ」
なんでターゲットと同棲しないといけないのよ……。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる