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8.神から与えられたのは、罰と……
このセックスは、何かが違う
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「どうだ……?」
「何が……」
「気分は、晴れたか……?」
「んー……」
私とエディ王子は、お互い天井を向いたまま会話を始めた。
「体はスッキリしてるけど……」
「そうか、俺もだ……」
「そっか……でも……」
私はこの時、思い出していた。
恋人は作らないけど、セフレはいると言っていた同僚のことを。
後腐れもなく、快楽だけを追いかけ続けられるからこそ貴重な存在で、そういう存在がいるおかげで自分は肉食獣のように戦えるのだと。
セックスという行為は、病気や妊娠さえ防ぐことができれば、中途半端なスポーツよりよっぽどストレス発散にとても良いものだと、その人は言った。
けれど。
「何かが違うよね……」
私はボソリと言った。
「違うって……?」
「エディ王子はさ、カシーだと思ってこの体を抱くようにしてるでしょ?」
「……それは……」
「いいよ、分かってる。王子は、カシーが大好きだもん。むしろ、早く2人が心からの気持ちいいセックスができるようになればいいと思ってる」
そのためには、早くカシーの心を探さなくてはいけないのだけれど。
「でも私はさ……なんか、虚しい」
「え?」
「心と体がバラバラになってる気がするからかな。違うって、思っちゃった」
「…………すまない」
「王子が謝ることじゃない。私が、むしろ強制したんだからセクハラで訴えられても仕方がない」
「セクハラ?」
「……今度、詳しく話すね……」
私は、ふうっと大きなため息をついた。
その瞬間、涙が溢れた。
そして、その涙をエディ王子は指で拭ってくれた。
「ありがとう」
「いや……これくらいしかできないから……」
「十分だよ」
今は。
彼が、私本人に愛情をくれることはない。
むしろ、そんな日が来ないことを祈ってる。
それくらい、私はカサブランカと目の前の綺麗な少年が結ばれることを祈ってる。
これが本心。
でも、やはり寂しいのは事実。
(もしも、私だけを愛してくれる人に処女を貰ってもらえてたら、違うんだろうな……)
考えてもどうしようもないことを考えてしまった私は、ブルブルと頭を横に振ってから、全く別の話題に切り替えようと思った。
寂しさを別の何かで上書きすれば、一時的にでも忘れられると思ったから。
「そういえばさ、王子」
「なんだ」
「どうして、私のところにきたの?」
「え?」
「まだ、魔の暴走が始まってるわけじゃないから……セックスしに来たわけじゃないでしょう?」
「ああ……それは……」
「何?歯切れが悪い」
「いや、何だか今のお前に言うのは悪い気がして……」
「そこまで言われると余計に気になるんですけど」
「そういうものなのか?」
「うむ」
エディ王子は、うーんと唸ってから
「実は、ランカには話しておきたいと思ってたことがあるんだ」
と言葉を続けた。
「何?それ」
「母上とノアのことだ」
「何が……」
「気分は、晴れたか……?」
「んー……」
私とエディ王子は、お互い天井を向いたまま会話を始めた。
「体はスッキリしてるけど……」
「そうか、俺もだ……」
「そっか……でも……」
私はこの時、思い出していた。
恋人は作らないけど、セフレはいると言っていた同僚のことを。
後腐れもなく、快楽だけを追いかけ続けられるからこそ貴重な存在で、そういう存在がいるおかげで自分は肉食獣のように戦えるのだと。
セックスという行為は、病気や妊娠さえ防ぐことができれば、中途半端なスポーツよりよっぽどストレス発散にとても良いものだと、その人は言った。
けれど。
「何かが違うよね……」
私はボソリと言った。
「違うって……?」
「エディ王子はさ、カシーだと思ってこの体を抱くようにしてるでしょ?」
「……それは……」
「いいよ、分かってる。王子は、カシーが大好きだもん。むしろ、早く2人が心からの気持ちいいセックスができるようになればいいと思ってる」
そのためには、早くカシーの心を探さなくてはいけないのだけれど。
「でも私はさ……なんか、虚しい」
「え?」
「心と体がバラバラになってる気がするからかな。違うって、思っちゃった」
「…………すまない」
「王子が謝ることじゃない。私が、むしろ強制したんだからセクハラで訴えられても仕方がない」
「セクハラ?」
「……今度、詳しく話すね……」
私は、ふうっと大きなため息をついた。
その瞬間、涙が溢れた。
そして、その涙をエディ王子は指で拭ってくれた。
「ありがとう」
「いや……これくらいしかできないから……」
「十分だよ」
今は。
彼が、私本人に愛情をくれることはない。
むしろ、そんな日が来ないことを祈ってる。
それくらい、私はカサブランカと目の前の綺麗な少年が結ばれることを祈ってる。
これが本心。
でも、やはり寂しいのは事実。
(もしも、私だけを愛してくれる人に処女を貰ってもらえてたら、違うんだろうな……)
考えてもどうしようもないことを考えてしまった私は、ブルブルと頭を横に振ってから、全く別の話題に切り替えようと思った。
寂しさを別の何かで上書きすれば、一時的にでも忘れられると思ったから。
「そういえばさ、王子」
「なんだ」
「どうして、私のところにきたの?」
「え?」
「まだ、魔の暴走が始まってるわけじゃないから……セックスしに来たわけじゃないでしょう?」
「ああ……それは……」
「何?歯切れが悪い」
「いや、何だか今のお前に言うのは悪い気がして……」
「そこまで言われると余計に気になるんですけど」
「そういうものなのか?」
「うむ」
エディ王子は、うーんと唸ってから
「実は、ランカには話しておきたいと思ってたことがあるんだ」
と言葉を続けた。
「何?それ」
「母上とノアのことだ」
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