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8.神から与えられたのは、罰と……
誰も私を救おうとはしてくれない
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「なんで、そういうことするの?」
私は、見た目は精悍な顔つきをしているおっさんでもある弟に、怒りと悲しみを投げつけるように責めた。
「あれだけあんたには親たちが気を配ってたのに、結局自殺したの?どれだけあんた親不孝なことしてんのよ!」
言葉だけじゃ気が済まない。
私は、目つきだけは確かに弱々しい弟を思い起こさせる、ホープスターの王に平手をくらわそうとしていた。
ところが、そんな私の手を止める人がいた。
「おやめください」
エディ王子の母親だった。
「あなた様のことは、今日の今日まで知りませんでした。無礼なことをして、申し訳ありませんでした」
「無礼も何も……」
私だって正直今の今ままで知らなかったのだから。
エディ王子の母親のことも。
ホープスターという国があることも。
そして、弟が死に転生していたことも。
「ですが……あなたの弟様でもいらっしゃる王は、私の傷ついた心を癒してくれました。ですからどうぞ、王への怒りをお鎮めいただくことはできませんか?」
そんな風にエディ王子の母親が私に懇願しているのが、まるで理解ができない。
(怒りを鎮める……?)
そんなレベルの話じゃないのだ。
「申し訳ないのですが、エディ王子のお母様」
もう、私がカサブランカ本人ではないとここにいる誰もが知っている前提で、私は私として話す。
「正直、私は今混乱してます。ここは、私がいたはずの世界に無駄にそっくりだし、ノアさんは私が嫌いな上司だったっていうし、おまけに私が世界で一番憎んでいた弟まで、死んだ挙句ここにいて、この国の王として生きてる。そんなことを聞かされ続けて、私はうんざりしてるんです、本当に!」
私はまずエディ王子を睨みつける。
「この世界に飛ばされた瞬間、何故か私はカサブランカとしてエディ王子の伽の儀式に巻き込まれてるし。私はあんなこと、前世でだってしたことなかったのに……!!」
エディ王子が、ぐっと堪えたような表情になったのは分かったが私はそのまま言葉を続ける。
「それに、この世界は私が読んでいた、好きな小説によく似ていたから小説通りかなと思ったら、中身全然違うし、しかも……」
今度睨みつけた相手こそ、きっと今最もぶつけたい相手。
「私をこの世界に誘き出すため?とかよくわからない理由で、こんな気持ち悪い力持った人にいいようにされて、こっちは完全なとばっちりなんですよ!」
ここで抑えないと取り返しがつかなくなる。
そんな口喧嘩があることは私はよく知っている。
その口喧嘩の相手もまた、ここにいるのだから。
それでも、もう抑えきれない。
だって……
「どんなに我慢しても結局、誰も私を救おうとはしてくれないじゃない!!私は、何もできないのに!!被害者なのに!!私が1番、救われたかったのに!!」
こんな、訳がわからない世界から。
魔人から。
そして……このカサブランカの体から。
例えこの魂と心が、カサブランカの体から抜けたら消滅するとしても、今私は救われたい。逃げ出したい。
使命なんかどうでもいいし、神との対決も知らない。
「私は戻りたいのに!死にたくなんかなかったのに!!こんなところにいたくないのに!!ずるい!!みんなずるいよ!!!」
私は、多分前世でもこんなに叫んだことがなかった。
それくらい、押し寄せてくる出来事に私自身が耐えきれなくなっていた。
だから、言語化しないように気を付けていた本音が、まるで火山のように噴き出してしまった。
私は、見た目は精悍な顔つきをしているおっさんでもある弟に、怒りと悲しみを投げつけるように責めた。
「あれだけあんたには親たちが気を配ってたのに、結局自殺したの?どれだけあんた親不孝なことしてんのよ!」
言葉だけじゃ気が済まない。
私は、目つきだけは確かに弱々しい弟を思い起こさせる、ホープスターの王に平手をくらわそうとしていた。
ところが、そんな私の手を止める人がいた。
「おやめください」
エディ王子の母親だった。
「あなた様のことは、今日の今日まで知りませんでした。無礼なことをして、申し訳ありませんでした」
「無礼も何も……」
私だって正直今の今ままで知らなかったのだから。
エディ王子の母親のことも。
ホープスターという国があることも。
そして、弟が死に転生していたことも。
「ですが……あなたの弟様でもいらっしゃる王は、私の傷ついた心を癒してくれました。ですからどうぞ、王への怒りをお鎮めいただくことはできませんか?」
そんな風にエディ王子の母親が私に懇願しているのが、まるで理解ができない。
(怒りを鎮める……?)
そんなレベルの話じゃないのだ。
「申し訳ないのですが、エディ王子のお母様」
もう、私がカサブランカ本人ではないとここにいる誰もが知っている前提で、私は私として話す。
「正直、私は今混乱してます。ここは、私がいたはずの世界に無駄にそっくりだし、ノアさんは私が嫌いな上司だったっていうし、おまけに私が世界で一番憎んでいた弟まで、死んだ挙句ここにいて、この国の王として生きてる。そんなことを聞かされ続けて、私はうんざりしてるんです、本当に!」
私はまずエディ王子を睨みつける。
「この世界に飛ばされた瞬間、何故か私はカサブランカとしてエディ王子の伽の儀式に巻き込まれてるし。私はあんなこと、前世でだってしたことなかったのに……!!」
エディ王子が、ぐっと堪えたような表情になったのは分かったが私はそのまま言葉を続ける。
「それに、この世界は私が読んでいた、好きな小説によく似ていたから小説通りかなと思ったら、中身全然違うし、しかも……」
今度睨みつけた相手こそ、きっと今最もぶつけたい相手。
「私をこの世界に誘き出すため?とかよくわからない理由で、こんな気持ち悪い力持った人にいいようにされて、こっちは完全なとばっちりなんですよ!」
ここで抑えないと取り返しがつかなくなる。
そんな口喧嘩があることは私はよく知っている。
その口喧嘩の相手もまた、ここにいるのだから。
それでも、もう抑えきれない。
だって……
「どんなに我慢しても結局、誰も私を救おうとはしてくれないじゃない!!私は、何もできないのに!!被害者なのに!!私が1番、救われたかったのに!!」
こんな、訳がわからない世界から。
魔人から。
そして……このカサブランカの体から。
例えこの魂と心が、カサブランカの体から抜けたら消滅するとしても、今私は救われたい。逃げ出したい。
使命なんかどうでもいいし、神との対決も知らない。
「私は戻りたいのに!死にたくなんかなかったのに!!こんなところにいたくないのに!!ずるい!!みんなずるいよ!!!」
私は、多分前世でもこんなに叫んだことがなかった。
それくらい、押し寄せてくる出来事に私自身が耐えきれなくなっていた。
だから、言語化しないように気を付けていた本音が、まるで火山のように噴き出してしまった。
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