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8.神から与えられたのは、罰と……

本当に知るべきなのはたった1つでいい

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(色々なことがありすぎて、話飛んでるんだよなぁ……)

特に、アザレアの体に入った経験は、強烈すぎた。
いろんな記憶がぐちゃぐちゃになって……まさに、記憶酔い状態と言っても過言じゃない。……そんな病気があるのかは、知らないけど。

(……あ……そうだ……)

アザレアといえば、記憶の中でカサブランカから受け取っていたではないか。猛毒の水差しを。そして、それをエディ王子に飲ませるように指示を出されていたではないか。

(もしかして、ノアさんが言った、エディ王子に関係があるかもっていうのは、そのこと……?)

何故カサブランカが、エディ王子にそんなことをしたのか。
その理由は、私が持つ脳には、ない。
ちらりとノアさんを見てみると、ニコニコと私の答えを待っている。
そして私は知っている。その笑顔の裏には

「分からないって泣きついて土下座しておねだりしてくれないかな」

と言う心の声が存在することを。

(こ、これは一旦おいておこう……)

ノアさんは、追々何か話すと言っていた。
その時まで待つことにしよう。
そして次に、アルフィーが言っていたことを思い出した。


この体の細胞は、我々のような霊魂を吸着する、他の体とは違う特徴がある。
1度吸着したら、コツをつかまないと魔人でさえ霊魂を剥がすことは難しい。

そんな風に、霊を司る魔人の体の特徴について語っていた。
そして同時にこうも言っていた。
負荷がかかり過ぎている。
もう、ほとんど時間がないかもしれない、と。

「あ」

そして、さらにもう1個大事なことがあったではないか。

魔人に選ばれた体が壊れると、お前らがわざわざ俺を目覚めさせてまでやろうとしていることが、数百年先までできなくなる。

確かに、アルフィーはそう言った。
一体、アルフィーは何のことを言っていたんだ?
彼の記憶の中で、魔人の始まりのことは学んだ。
正直想像よりずっとえぐかった。
事実は小説よりも奇なりとはよくぞ言ったものだ。
そして、そんな事実の波に押されて、肝心な内容を聞きそびれていた可能性が高い。

(まあ、忘れてる可能性も十分あるけど)

私は、ノアさんに、とりあえず覚えている範囲のことは説明した。

「アザレアの体が、特別な体で霊を吸着しやすいけど、なんか、負荷がかかりすぎてて……危ないかも知れなくて……」

(日本語下手かよ自分。子供の方がもっとまともに話がでくるぞ)

「それで確か……」
「アルフィー……あいつは、こう言っただろう?アザレアの体が壊れたら、僕たちがやろうとしていることは数百年先までできなくなるって……」

(また、あいつって言った……)

まだ、スルーはしたい。
時が来たら聞くべきなのかも知れないが、今聞いたら、ようやく思い出してきた重要事項がまた吹っ飛びそうなので、とりあえずできる限りはスルーしておきたい。

「…………その、やろうとしていることってどう言う意味か聞いてもいいんですか?」


色々聞くたびに、情報が抜ける。
それくらい、この魔については情報過多と言っても過言ではない。
まだ解決できていないものもたくさんある。
私は今、何を解決すべきで何を捨てるべきか、その判断すら見誤っている気がしてならない。

そんな私の考えを、ノアさんは見抜いたのだろう。

「全部を理解する必要はない。本当に知るべきなのはたった1つでいい」
「たった、1つ?」
「君に求めているのは、他の魔人がどうなったかでも、アザレアの体があとどれくらいもつのかを知ることじゃない」

(だったら、余計な情報を入れないでほしい)

でも気になるから、後で絶対解決ToDOリスト作ってやる、と私は思った。
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