292 / 455
7.呪われしアルストメリー
新しい呼び名
しおりを挟む
「おい、時間と空間を司る魔人」
背後から、アルフィーに声をかけられて気づいた。
「あの……私を呼ぶとき、毎回それ言うんですか?」
「それ、とは……?」
「時間と空間を司る魔人って……」
毎回、ひらがなで合計17文字を、私を呼ぶごとにこの人は言うのか。
「お前のことに決まってるだろう」
「いや、そうじゃなくて」
「じゃあなんだ」
「……毎回、それ言うの?」
「それ?」
「私を呼ぶ時に、時間と空間を司る魔人って……」
「それ以外、なんと呼べばいいんだ?」
(確かに)
一応、今まではカサブランカのフリをしていたから、カサブランカと呼ばれ、反応もできるようにした。
だけど、ここにいる2名には、中身は違う人物であるとカミングアウト済み。
それに……カサブランカが好きでたまらない人間の前で「カサブランカと呼んでください」とか言おうものなら、ブーイングが飛んでくるだろう。
(それなら……)
「ランカと、呼んでくれませんか?」
「ランカ……だと?」
「はい、ランカで」
「ふむ……」
(や、やっぱまずいだろうか……)
アルフィーだけでなくエディ王子まで考え始めた。
何故、そんなに難しい顔をしているのだろう。
「では、ランカと呼ばせてもらおう」
「は、はい」
考える時間はとてもとても長かったが、結果的にアルフィーからはまずOKを貰った。
問題は……。
「あのぉ……王子……何か問題でも……」
「いや……待て……」
(何を待つと言うのか)
「その名前……どこかで……」
「え?」
「いや、なんでもない。気のせいかもしれないし」
(何なんだ……?)
「……お前のことを、ランカと呼べばいいのか」
エディ王子が、確認をするように言ってくる。
「……大丈夫?」
エディ王子の表情は、すごく嫌そうだった。
エディ王子は苦笑いしながら
「見た目はこんなにもカシーなのに、違う名を呼ばないといけないと思うとな」
「あ……」
エディ王子が言いたいことが分かった気がした。
私は、ポンっとエディ王子の肩を叩きながら
「そのために、あなたにも頑張ってもらうから」
と、エディ王子に声をかけてから、もう1度アルフィーの方を見た。
「それで、何ですか?」
「何、とは?」
「私に話しかけた理由」
「ああ、それのことなんだが……」
アルフィーが指差したのは、私の右手にあるブツだった。
「っ!?」
「お前は、何故そんなものを持っている」
(まずい……)
アルフィーのような実直な男にとって、こういう性的な道具は刺激が強すぎるかもしれない。
もしくは、そう言うものを持っている女のことを、見下す可能性も十分ある。
自分は楽しいものを持っているにも関わらず。
そういう男は結構多かった。
前世基準では。
「これはですねーペンもどきと言いますか」
男のアソコに酷似しているものをペンという表現でしか誤魔化せない、自分の語彙力が悲しくて死にたくなった。
既に死んでいるし、幽霊みたいなものだけど。
「いや……そうではなく……」
「え?」
「それから、魔人の力を感じるのだが」
背後から、アルフィーに声をかけられて気づいた。
「あの……私を呼ぶとき、毎回それ言うんですか?」
「それ、とは……?」
「時間と空間を司る魔人って……」
毎回、ひらがなで合計17文字を、私を呼ぶごとにこの人は言うのか。
「お前のことに決まってるだろう」
「いや、そうじゃなくて」
「じゃあなんだ」
「……毎回、それ言うの?」
「それ?」
「私を呼ぶ時に、時間と空間を司る魔人って……」
「それ以外、なんと呼べばいいんだ?」
(確かに)
一応、今まではカサブランカのフリをしていたから、カサブランカと呼ばれ、反応もできるようにした。
だけど、ここにいる2名には、中身は違う人物であるとカミングアウト済み。
それに……カサブランカが好きでたまらない人間の前で「カサブランカと呼んでください」とか言おうものなら、ブーイングが飛んでくるだろう。
(それなら……)
「ランカと、呼んでくれませんか?」
「ランカ……だと?」
「はい、ランカで」
「ふむ……」
(や、やっぱまずいだろうか……)
アルフィーだけでなくエディ王子まで考え始めた。
何故、そんなに難しい顔をしているのだろう。
「では、ランカと呼ばせてもらおう」
「は、はい」
考える時間はとてもとても長かったが、結果的にアルフィーからはまずOKを貰った。
問題は……。
「あのぉ……王子……何か問題でも……」
「いや……待て……」
(何を待つと言うのか)
「その名前……どこかで……」
「え?」
「いや、なんでもない。気のせいかもしれないし」
(何なんだ……?)
「……お前のことを、ランカと呼べばいいのか」
エディ王子が、確認をするように言ってくる。
「……大丈夫?」
エディ王子の表情は、すごく嫌そうだった。
エディ王子は苦笑いしながら
「見た目はこんなにもカシーなのに、違う名を呼ばないといけないと思うとな」
「あ……」
エディ王子が言いたいことが分かった気がした。
私は、ポンっとエディ王子の肩を叩きながら
「そのために、あなたにも頑張ってもらうから」
と、エディ王子に声をかけてから、もう1度アルフィーの方を見た。
「それで、何ですか?」
「何、とは?」
「私に話しかけた理由」
「ああ、それのことなんだが……」
アルフィーが指差したのは、私の右手にあるブツだった。
「っ!?」
「お前は、何故そんなものを持っている」
(まずい……)
アルフィーのような実直な男にとって、こういう性的な道具は刺激が強すぎるかもしれない。
もしくは、そう言うものを持っている女のことを、見下す可能性も十分ある。
自分は楽しいものを持っているにも関わらず。
そういう男は結構多かった。
前世基準では。
「これはですねーペンもどきと言いますか」
男のアソコに酷似しているものをペンという表現でしか誤魔化せない、自分の語彙力が悲しくて死にたくなった。
既に死んでいるし、幽霊みたいなものだけど。
「いや……そうではなく……」
「え?」
「それから、魔人の力を感じるのだが」
0
お気に入りに追加
569
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる