274 / 455
7.呪われしアルストメリー
新たな性的嗜好の目覚め?
しおりを挟む
数十秒、脳内で色々シミュレーションをした結果、私はあえて、どちらも選ばないという選択肢をとった。
正確に言うならば、
「その答えを知りたいなら、私に協力して」
と、この問いそのものを利用することを決めた、の方が正しい。
「なっ……!?」
エディ王子は、こういう返しが来ることは想定外だったのか、顔を真っ赤にしながら
「ふざけるな!!」
と怒鳴ってきた。
現世でいうところの、パワハラ上司になりやすい典型気質かな、と私は推測した。
こういうやつの扱いは、自分の直属の上司で生存権……つまり給料を握られている場合は非常にめんどくさい。
実際、こういうやつの下で働かされた時は、呪いの藁人形を通販で手に入れたくなるくらいには、精神病んだ。
でも、今の私は違う。
この男の生存権よりもっと大事なものを握っているのは……誰だ?
「私に、そんなことを言ってもいいの?」
「なんだと……?」
私は、わざわざ自分で自分の首を絞める体制を取った。
「何をする気だ……!?」
「ねえ……知ってる?」
私は、ぐっと首を絞める手に力をこめたフリをしながら
「この体の主導権、今私が握っちゃってるんだよね、きゃは」
と、エディ王子に状況を理解してもらうようにした。
エディ王子は、空気が読めず、パワハラ気質がある、結婚したくない男に間違いなくランクインするようなタイプだが、それでも頭脳レベルはまあまあ高いのだろう。
瞬時に私の言いたいことを理解したらしく、ぐっと彼が感情的に言おうとした何らかの言葉を飲み込んだ。
私は、ダメ押しに
「この体が大事なんでしょ?じゃあ……私の言うこと聞いてくれたら嬉しいなーあはは」
と言った。
私はそこまで演技は得意ではないので、どこまで自分のセリフで言いたい事が伝わったかは分からないが、エディ王子にはこれだけ伝わったなら勝ちになる。
私に協力しないと、カサブランカは戻ってこないよ。
これは、真実なのだから。
もう1度、私とエディ王子の睨めっこが始まった。
唯一違うのは、今度は圧倒的に私が優位の立場にあること。
エディ王子が、カサブランカの肉体が人質になっている事実をしっかり理解して、私に屈服するか否かを決めるための時間。
「ねえ、どうするの?私に従う?従わない?」
エディ王子が、本当に悔しそうにこちらを見ながら、歯軋りしている。
それを見ながら、私は全く別のことを考えてしまっている。
(あ、なるほど)
私は今まで、どSや女王様と呼ばれる人間の性的嗜好が理解できず、感情移入が難しかった。
でも、今体感している。
「…………お前に従うから、カシーを傷つけるのはやめてくれ……」
エディ王子が、本当に悔しそうに私に頭を下げるのを見た瞬間、強いものを屈服させたという興奮が私を支配する。
ゾクゾクした。
もう1度この喜びを味わいたいと思った。
今の私なら、きっと本物の悪役令嬢認定されても、おかしくない。
正確に言うならば、
「その答えを知りたいなら、私に協力して」
と、この問いそのものを利用することを決めた、の方が正しい。
「なっ……!?」
エディ王子は、こういう返しが来ることは想定外だったのか、顔を真っ赤にしながら
「ふざけるな!!」
と怒鳴ってきた。
現世でいうところの、パワハラ上司になりやすい典型気質かな、と私は推測した。
こういうやつの扱いは、自分の直属の上司で生存権……つまり給料を握られている場合は非常にめんどくさい。
実際、こういうやつの下で働かされた時は、呪いの藁人形を通販で手に入れたくなるくらいには、精神病んだ。
でも、今の私は違う。
この男の生存権よりもっと大事なものを握っているのは……誰だ?
「私に、そんなことを言ってもいいの?」
「なんだと……?」
私は、わざわざ自分で自分の首を絞める体制を取った。
「何をする気だ……!?」
「ねえ……知ってる?」
私は、ぐっと首を絞める手に力をこめたフリをしながら
「この体の主導権、今私が握っちゃってるんだよね、きゃは」
と、エディ王子に状況を理解してもらうようにした。
エディ王子は、空気が読めず、パワハラ気質がある、結婚したくない男に間違いなくランクインするようなタイプだが、それでも頭脳レベルはまあまあ高いのだろう。
瞬時に私の言いたいことを理解したらしく、ぐっと彼が感情的に言おうとした何らかの言葉を飲み込んだ。
私は、ダメ押しに
「この体が大事なんでしょ?じゃあ……私の言うこと聞いてくれたら嬉しいなーあはは」
と言った。
私はそこまで演技は得意ではないので、どこまで自分のセリフで言いたい事が伝わったかは分からないが、エディ王子にはこれだけ伝わったなら勝ちになる。
私に協力しないと、カサブランカは戻ってこないよ。
これは、真実なのだから。
もう1度、私とエディ王子の睨めっこが始まった。
唯一違うのは、今度は圧倒的に私が優位の立場にあること。
エディ王子が、カサブランカの肉体が人質になっている事実をしっかり理解して、私に屈服するか否かを決めるための時間。
「ねえ、どうするの?私に従う?従わない?」
エディ王子が、本当に悔しそうにこちらを見ながら、歯軋りしている。
それを見ながら、私は全く別のことを考えてしまっている。
(あ、なるほど)
私は今まで、どSや女王様と呼ばれる人間の性的嗜好が理解できず、感情移入が難しかった。
でも、今体感している。
「…………お前に従うから、カシーを傷つけるのはやめてくれ……」
エディ王子が、本当に悔しそうに私に頭を下げるのを見た瞬間、強いものを屈服させたという興奮が私を支配する。
ゾクゾクした。
もう1度この喜びを味わいたいと思った。
今の私なら、きっと本物の悪役令嬢認定されても、おかしくない。
0
お気に入りに追加
569
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
転生姫様からの転生は魔術師家系の公爵家
meimei
恋愛
前世は日本人、さらに次の生は姫に生まれ、
沢山の夫や子供達に囲まれた人生だった。
次の生は……目が覚めると小さな手足…うん
赤ちゃんスタートだった。
どうやら魔術師家系の公爵家の末っ子に生まれたみたい!3人の兄達に可愛がられすくすくと
チート魔力、魔法を開花させ!
前世の…夫達も探さなきゃ!!!
みんなどこいるの!!!!
姫様の困ったお家事情の主人公がさらに転生した話しですが、R15にしました(*^^*)
幼児スタートですので宜しくお願い致します!
☆これは作者の妄想による産物です!
登場する、植物、食べ物、動物すべてフィクションになります!
誤字脱字はゆるく流して貰えるとありがたいです♡
幼なじみの親が離婚したことや元婚約者がこぞって勘違いしていようとも、私にはそんなことより譲れないものが1つだけあったりします
珠宮さくら
恋愛
最近、色々とあったシュリティ・バッタチャルジーは何事もなかったように話しかけてくる幼なじみとその兄に面倒をかけられながら、一番手にしたかったもののために奮闘し続けた。
シュリティがほしかったものを幼なじみがもっていて、ずっと羨ましくて仕方がなかったことに気づいている者はわずかしかいなかった。
猫に転生したらご主人様に溺愛されるようになりました
あべ鈴峰
恋愛
気がつけば 異世界転生。
どんな風に生まれ変わったのかと期待したのに なぜか猫に転生。 人間でなかったのは残念だが、それでも構わないと気持ちを切り替えて猫ライフを満喫しようとした。しかし、転生先は森の中、食べ物も満足に食べてず、寂しさと飢えでなげやりに なって居るところに 物音が。
騎士志望のご令息は暗躍がお得意
月野槐樹
ファンタジー
王弟で辺境伯である父を保つマーカスは、辺境の田舎育ちのマイペースな次男坊。
剣の腕は、かつて「魔王」とまで言われた父や父似の兄に比べれば平凡と自認していて、剣より魔法が大好き。戦う時は武力より、どちらというと裏工作?
だけど、ちょっとした気まぐれで騎士を目指してみました。
典型的な「騎士」とは違うかもしれないけど、護る時は全力です。
従者のジョセフィンと駆け抜ける青春学園騎士物語。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃんでした。
実際に逢ってみたら、え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこいー伴侶がいますので!
おじいちゃんと孫じゃないよ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる