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7.呪われしアルストメリー

あなたが大好きなカサブランカを取り戻すために

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アルフィーは、知っているのだ。
ステラとカサブランカが直接話すことなど、本来はあり得ない現象であることを。
ということは、彼にはきっとこれを告げるだけで、バレてしまうかもしれない。
私が、カサブランカの心と魂ではないことを。
体以外、全くの別人だということを。
それをアルフィーに知られることのメリットとデメリットは、まだ私の頭の中では計算できていない。
だけど、ステラの名前を出した途端、アルフィーは自我を取り戻したかのようだった。
私がステラと会話した内容を、アルフィーに伝えたとしたら、何かが変わるかもしれない。
そんな期待が私の中で膨らんだ。

(でも……)

ちらりと、私は背後を見た。
エディ王子が、怪訝な表情で私……ではなくカサブランカを見ている。
彼が求めているのは私ではなく、カサブランカ。
そしてエディ王子は私をカサブランカであると当たり前のように認識している。
そんな彼の目の前で。
私は今、彼の当たり前を粉々に崩そうとしている。

(どうしたものかな……)

空気を読めない王子。
可哀想な程、カサブランカを求めてしまう王子。
私としては、そんな彼の想いを、私が、成就してあげることができたら……と、思ったことも、ゼロではない。
だけど何度考えても、私の心も魂も、カサブランカではないのだ。
だから、私が、エディ王子の想いに応えてしまうのは……やはり違うと、思ってしまうのだ。
私は、ごちゃごちゃしかけた思考をまとめるために、一回頬を思いっきり自分で殴る。

「何をしたんだ!カシー!?」

ごめんね、エディ王子。
あなたの大好きなカサブランカの体を痛めつけて。
だけど……これは、あなたが大好きなカサブランカを取り戻すために、私が立ち上がるために必要な儀式なのだ。

(さて……始めようか……)

私は、たまった唾をごくりと飲み込んでから、次の言葉をアルフィーに投げつけた。
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