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7.呪われしアルストメリー
私が体験しているこれは、決して良作のフィクションにはなりえない現実だ
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(普通に怖すぎなんですけどっ……!?)
富士山の麓近くにある、某幽園地のお化け屋敷は、最初の避難口で速攻で逃げ出すくらいには、私は怖がりだ。
いつもだったら、こんな廊下の先にホラー映画のシチュエーションを想像して、飛び込むのを躊躇うだろう。
だが、今は違う。
「きゃあああああ!!!」
もはや、ホラーが迫ってるのだ。
想像ではなく、現実に。
だから、想像の恐怖のことなど気にしている気持ちの余裕など、ありはしない。
「呪われろ……呪われろ……」
「助けてえええええ!!!」
カサブランカの肉体は、確かに美しい声をしている。
ただし、中身が違えば、こうも残念な声になってしまうのだ。
きっと、こういう人は世の中たくさんいるのだろう。
私は走った。
とにかく走った。
裸足で、所々に石ころが転がっていることを踏んでみて始めてわかると言うくらい、何も見えない廊下を、とにかく走った。
そうしてようやく、ほのかな灯りらしきものが見えた。
(助かった……!)
この世界の誰もが今信じられないというのに、いざ自分がピンチの時は、誰でもいいから人の気配があるだけで、救われた気持ちになる……そんな面白い現象が自分の心の中で起きていた。
「くそおおお!!」
私は、筋肉痛も恐れず、中学生時代以来の全速力の駆け足をした。
そうして、私が探していた灯りの元もまた、私が先ほどまでいた部屋と同じように、木の扉に鉄格子が小さくはまっている部屋。
きっとこの鉄格子は、中を確認するためのものなのだろう。
だけど、中を確認なんて悠長なことは言っていられない。
「開けて!!!」
と叫び、同時に私は扉を蹴った。
今度も、簡単に蹴破ることができた。
シロアリにでも食われていたように、扉はすっかすかだったから。
それからすぐ、私は思いも寄らない人がそこにいることはが分かった。
ノア、プルメリア、もしくは教会の子供たち。
そのいずれかはいるだと、当たり前のように思っていた。
それ以外の人間がいるという選択肢は、頭の中に存在すらしていなかった。
良作のフィクションは、大体、ある程度は視聴者が一定レベルまでは想定できるように作られているものだ。その上で、想定の中でちょっとしたサプライズをしかける。
それが、気持ちの良いどんでん返しの正体だ。
だから、私が体験しているこれは、決して良作のフィクションにはなりえない現実だ。
まさか、目の前にエディ王子が鎖に繋がれた状態で吊るされているなんて……誰が思う?
富士山の麓近くにある、某幽園地のお化け屋敷は、最初の避難口で速攻で逃げ出すくらいには、私は怖がりだ。
いつもだったら、こんな廊下の先にホラー映画のシチュエーションを想像して、飛び込むのを躊躇うだろう。
だが、今は違う。
「きゃあああああ!!!」
もはや、ホラーが迫ってるのだ。
想像ではなく、現実に。
だから、想像の恐怖のことなど気にしている気持ちの余裕など、ありはしない。
「呪われろ……呪われろ……」
「助けてえええええ!!!」
カサブランカの肉体は、確かに美しい声をしている。
ただし、中身が違えば、こうも残念な声になってしまうのだ。
きっと、こういう人は世の中たくさんいるのだろう。
私は走った。
とにかく走った。
裸足で、所々に石ころが転がっていることを踏んでみて始めてわかると言うくらい、何も見えない廊下を、とにかく走った。
そうしてようやく、ほのかな灯りらしきものが見えた。
(助かった……!)
この世界の誰もが今信じられないというのに、いざ自分がピンチの時は、誰でもいいから人の気配があるだけで、救われた気持ちになる……そんな面白い現象が自分の心の中で起きていた。
「くそおおお!!」
私は、筋肉痛も恐れず、中学生時代以来の全速力の駆け足をした。
そうして、私が探していた灯りの元もまた、私が先ほどまでいた部屋と同じように、木の扉に鉄格子が小さくはまっている部屋。
きっとこの鉄格子は、中を確認するためのものなのだろう。
だけど、中を確認なんて悠長なことは言っていられない。
「開けて!!!」
と叫び、同時に私は扉を蹴った。
今度も、簡単に蹴破ることができた。
シロアリにでも食われていたように、扉はすっかすかだったから。
それからすぐ、私は思いも寄らない人がそこにいることはが分かった。
ノア、プルメリア、もしくは教会の子供たち。
そのいずれかはいるだと、当たり前のように思っていた。
それ以外の人間がいるという選択肢は、頭の中に存在すらしていなかった。
良作のフィクションは、大体、ある程度は視聴者が一定レベルまでは想定できるように作られているものだ。その上で、想定の中でちょっとしたサプライズをしかける。
それが、気持ちの良いどんでん返しの正体だ。
だから、私が体験しているこれは、決して良作のフィクションにはなりえない現実だ。
まさか、目の前にエディ王子が鎖に繋がれた状態で吊るされているなんて……誰が思う?
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