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7.呪われしアルストメリー

魂の核

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「肉体の……最後……って……」

やはり私は死んでしまっているのだ。
現実で見せられると、くるものがある。
あっけない肉体との別れ。
食べたらすぐに太るとか、生きている間には散々文句を言っていたけれど、いざ肉体が無くなってしまうと……喪失感がすごい。
私である証がどこかへ行ってしまった気がした。

「そして……」

ステラと名乗ったカサブランカは、次に私の胸の中身を指差した。

「今ここにいるあなたは、あなたという人生の歴史が刻み込まれた、心です」
「心……」

(それは……幽霊みたいなものだろうか?)

ところが、ステラと名乗ったカサブランカはさらに続けて真上を指した。
それは、真っ白い光そのもの。
球体かどうかも、よくわからない。
何故なら、それがとても眩しすぎるから。

「最後に、もう1つ……私たちが私たちとして存在するために必要なものがあります」
「存在?」
「はい」

ステラと名乗ったカサブランカは、今度は自分の胸の中心に手を当てた。

「私たちは、魂の核と呼ばれるものを持っています」
「魂の……核……」
「はい。かつて宇宙という存在が生まれ、空間という概念が生まれた際、物質ができ、生き物が生まれました。生き物は魂の入れ物として機能し、魂は入れ物を交換しながら経験を積み上げてきたと言われております」

(……思ったより壮大すぎる話すぎて、相槌すらできない)

とりあえず、聞いていることだけは伝えるべく、頷きだけは合間合間で行ってみた。
ステラと名乗ったカサブランカも、私が理解できていない事に気づいているのかもしれない……手振り身振りを使って、必死に伝えようとしてくれていた。

「魂の核は、死を繰り返してもなお残り続けるものと言われており、今あなたが見ている私は、その核の部分なのです」

(ん……?)

ここでようやく、私の中から疑問が出てきてくれた。

「魂の核と……心は……違うものなの?」
「魂の核は、経験値の積み上げ。心は……感情の積み上げと申し上げた方が正しいでしょうか……」
「なるほど?」

ここで、自分なりに消化するために、身近でわかりやすい例がないか頭の中を探ってみた。
経験値……と言われて真っ先に思いつくのは、子供の頃から親しんでいたゲーム。
モンスターを集めたり、育成しながらストーリーを進めていくもので、私は推しキャラの育成が特に好きだった。
そこでは、確か……モンスターの性格とスキルの数値は連動しているが、経験値そのものは性格関係なく着実に積み重ねられた……という記憶がある。
あれと、同じ事だろうか?
であれば、何となく分かったかもしれない。

「つまり……私もその……魂の核があって……それが上にあるってこと?」
「いえ、今あなたの中には魂の核と心の両方があります。上に行くのは、死した後、役割を終えて肉体と心を完全に分解してからだと……本来なら言われています。だからこそ、あなたの心には、しっかりと魂の核が存在しており、肉体さえ存在すれば、安定した、あなたという存在として生きていられるのです」

ステラと名乗ったカサブランカは、今度は私の額を指差した。

「カサブランカの肉体に宿ったあなたという魂が、あなたという人格を失わないでいたのは、これが理由なのです」
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