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7.呪われしアルストメリー

2つ目の疑問

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……こんな仮説を急に立てるのは、乱暴だ。
突拍子もない考察は、論理的ではない。
上司から、散々いびられ続けたではないか。
だけど、この考えに至ったのは、私個人の思考だけではない。

カサブランカの体にいるからこそ、こんな発想が出てきたのだ。
ごく、自然に。
本の中に人が閉じ込められている、という現象を見てから。

そして……2つ目の疑問。
それこそがまさに、カサブランカ。

アルストメリーの歴史の話を聞いている時、ノアもプルメリアも、顔色を特に変えていなかった。
きっと、あの2人は知っていたのだろう。
だから淡々と、話が進んだ。
でも……私の中には、そんな情報はどこにもない。
カサブランカの脳の記憶は、確かに読み取ることができるにも関わらず。

(単に、カサブランカが教わらなかっただけ?)

カサブランカは魔人の1人とのこと。
プルメリアも、ノアも、カサブランカが魔人である、ということを知っている。
この2人は……何故、知っていた?
どうしてカサブランカは、自分が魔人であることを……知らなかった?

……だめだ。答えが分からない。
現実をそのまま、正しいものとして受け入れるのが、1番楽なのかもしれない。

「もう無理ぃ……」

私は目を瞑った。
眠れなくても、こうすることで疲れが取れるのだと、会社の先輩が教えてくれていたのを思い出したから。

(考えるのって、しんどい……)

よく読んでいたミステリー小説では、推理をする探偵や刑事は、いつでもどこでも考えてばかりいた。
私に、考える仕事は向いてないな……と、本気で思ってしまう。

(そういえば……)

ふと、急に脳の中に映像が入ってきた。
疲れた時はノアが入れてくれたハーブティーを飲んでいる様子。
きっとこれは、カサブランカのエピソード記憶。
香りも味も、ありありと覚えている。
それから、ハーブティーを飲んだ後に行われた、秘密の行為も……。

(うわあああああ!!何を考えてるんだ!)

私は、脳のイメージを振り払うようにジタバタした。

「んんっ……」

アザレアが、嫌そうな顔をしたので

「ごっ、ごめんなさい……!」

小声で謝ると、そっと立ち上がり、アザレアの側から離れて室内を歩き始めた。

考えるときは、意外と歩き回りながらの方が良いとも、聞いたことがあったから。

そして、再び考えた。
1番考えやすいところから。

「ノアは……カサブランカに、何も言わなかったのだろうか?」
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