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7.呪われしアルストメリー

同志たち

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美味しい朝ごはんの後に、香りが良いお茶、そしてサクサクのクッキーを堪能してまったりしてしまった。

「ふふふ。カサブランカ様に喜んでいただけたなら何よりですわ」
「え、じゃあこのクッキーも……」
「ふふ」

何ということでしょう。
この聖女様は小麦を使って人を幸せにする力をお持ちのようです。
………感想が、ラノベのタイトルっぽくなってしまった。
しっかりと甘いものを補給したのもあり、どうにか頭が働き始めた。

「プル……?」
「はい、何でしょう?」
「そろそろ、本題に入ってもらっても……?」
「ああ、そうですわね。すっかり忘れてましたわ」

(忘れないで!?天然か!?天然なのかこの聖女は!?)

そう言えば。
小説の中の聖女も、なかなかの天然っぷりだったな……ということを思い出した。

プルメリアが、パンパンパンと手を3回叩くと、ノアやアザレアと話をしていた子供たちが、さっと食堂から出ていった。

「な、何?」
「ふふふ。これからは、大人の時間ですわ」
「お、大人の時間……」

教会にいる子供たちは、見たところ1番上の年齢っぽい子で10歳前後っぽい。
それに比べて、残っているノア、アザレア、そしてプルメリアはそれよりは上だとは思うけれど……。

「つ、つかぬことを聞きますが」
「何ですか?カサブランカ様」
「皆様のご年齢は……」

私が聞こうとすると、全員が全員、何でそんな事をこいつは聞くんだろう、という顔をした。

「え……あの……」

私の戸惑いを察したのか

「ふふふ。カサブランカ様、面白いですわね」
「え?」
「ノア様、カサブランカ様は成人の条件をご存じないのかしら?」

プルメリアがノアに尋ねる。
ノアは笑顔で首を横に振るだけ。

(な、何だ……?その微笑みの意味は……?)

私は視線をノアに向ける。
ノアは私とわざと視線を合わせないようにしているのか、ちっとも視線が噛み合わない。
プルメリアは、ふう、とため息をついてから

「仕方がありませんわね。カサブランカ様のお育ちを考えれば、知らなくても不思議はないですもの」
「それより、プルメリア様?カサブランカ様にお話をして差し上げなくてもよろしいんですか?」

おずおずと、アザレアが会話に入ってきてくれた。

(ありがとうアザレア……!)

感謝の気持ちを込めてアザレアに視線を向けると、アザレアは気まずそうに私から目線を逸らしてしまった。

「そうですわね。いけませんね、うっかり話が脱線してしまうのは、私の悪い癖ですわね」

そう言えば、そういう女子結構多いな……。
私も好きな事を話すと、途端に本題からずれてしまう。
聖女様も、普通の人間っぽいところがあるんだな。
なんて呑気に考えてしまった。
が、まったり微笑ましいことを考えていられたのもこの時だけだった。

「では、私たちのことをきちんとご紹介しなくてはね。カサブランカ様?」
「はい」
「私たちのこと、どう思います?」
「え、ど、どう思いますって……」

(この聖女様、話しかけ方が本当に突拍子もないな!)

「お友達…………というわけでは…………?」

あえて無難な言葉にしてみたが

「アザレアなら歓迎ですが、ノアなんか冗談じゃないですわ」

(酷い言われよう……!?)

ノアを見ると、何かを諦めたような微笑みをしていた。

「では……皆様は一体……」

ここで、ノアとアザレア、そしてプルメリアがそれぞれ身につけていたあるものを見せた。

それは、各々の首に隠していたであろう、小さな赤い宝石。
そこには同じ柄が彫られている。
まるで、鷲のような大型の鳥のようだと、思った。

「私たちは、ある目的を共有し、共に闘っている同士ですの」
「ある……目的?」
「そうですわ。そして、その目的のためにはカサブランカ様、あなたの中に眠る力が必要ですの」

プルメリアは、私に近づいたかと思うとぎゅっと私の手を掴んできた。

「その目的って……一体……」

何となく、分かった気がする。
私が、どこからここに来たのか。
この人たちが、どうして私がいた場所から私をここまで連れてきたのか。
私の目の動きをじっと観察していたプルメリアが、ふっと、笑った。

「あなたを選んで良かった……」
「え?」
「聡明なカサブランカ様。お察しの通りですわ」

(お察し……ということは……)

「私たちは、この国の王政を倒すという目的のために集まった、同志なのです」
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