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6.想定外だった彼の想い
最後の伽
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ノアが、グラスに口をつけようとした時、俺はそのグラスを無理やり奪った。
「……寝言は寝てから言えよ……ノア……」
「嘘だと思うのかい?」
「お前が嘘を使わなかった日があるなら、逆に知りたいね」
「ははは。僕は……君に信頼されてないようだね……本当に……」
「そうしたのは、お前自身だろう!」
何かを俺が言えば、ノアがするりと交わす。
そんな応酬、これまでどれだけあっただろう。
きっとノアにとって、俺の心の中など容易に覗けるのだろう。
だから次々と、俺を抉れる言葉を放つことができる。
でも、俺はノアの企みがちっとも読めない。
だから、きっと俺なんかの言葉は……行動は……こいつにかすり傷1つつけることが、できていないのかもしれない……。
「おや……?大人しくなったね、エディ。……どうしたの……?」
「…………うるさい、黙れ…………」
「ふーん。まあいいか。そしたら、これもついでに教えてあげようか」
ノアは、俺の耳元で、生温かい息を吹きかけながらこう言った
。
「君にとっては、人生最後のカサブランカとの伽だ」
「何を企んでるんだ!!おい、ノア!!」
だがノアは、俺の問いかけには応えない。
「今日のカサブランカは……きっと君とのセックスを全力で楽しんでくれるだろうね。そう、僕がさっき調教してあげたからね。君のために」
「なっ……!?」
あの後、またカシーが……こいつに触れられた……!?
「……最高の演出だろう?きっと今日の伽は、君にとって忘れられないものになるはずだからね。それが僕から君への……プレゼントさ」
それからノアは、俺が持っているグラスの聖水をぺろりとなめた。
「味わいがまるでない水だね。……まるで、君のようだ。カサブランカも、さぞ今日君から解放されたら喜ぶだろうね」
その声を残して、ノアがまた消えていた。
いつもそうだった。
いつも……あいつは……俺を絶望の淵に叩き落としていく。
這いあがろうとしても、その度に土を、石を、そして岩を上から投げつけられて、また落とされる。
俺の心も、堕ちていく。
そこで俺は、嘘か本当か分からない、ゴードンの言葉を思い出した。
「伽が失敗すれば、即座に俺たちは死ぬ」
という。
嘘とか、本当とか、もうどうでもいい。
……カシーがあいつのものになるのだとしたら、いっそ。
いっそ本当にしてしまおうか。俺の手で。
俺は、手につかんでいるグラスを、思いっきり叩きつけて、粉々にしてやった。
「……寝言は寝てから言えよ……ノア……」
「嘘だと思うのかい?」
「お前が嘘を使わなかった日があるなら、逆に知りたいね」
「ははは。僕は……君に信頼されてないようだね……本当に……」
「そうしたのは、お前自身だろう!」
何かを俺が言えば、ノアがするりと交わす。
そんな応酬、これまでどれだけあっただろう。
きっとノアにとって、俺の心の中など容易に覗けるのだろう。
だから次々と、俺を抉れる言葉を放つことができる。
でも、俺はノアの企みがちっとも読めない。
だから、きっと俺なんかの言葉は……行動は……こいつにかすり傷1つつけることが、できていないのかもしれない……。
「おや……?大人しくなったね、エディ。……どうしたの……?」
「…………うるさい、黙れ…………」
「ふーん。まあいいか。そしたら、これもついでに教えてあげようか」
ノアは、俺の耳元で、生温かい息を吹きかけながらこう言った
。
「君にとっては、人生最後のカサブランカとの伽だ」
「何を企んでるんだ!!おい、ノア!!」
だがノアは、俺の問いかけには応えない。
「今日のカサブランカは……きっと君とのセックスを全力で楽しんでくれるだろうね。そう、僕がさっき調教してあげたからね。君のために」
「なっ……!?」
あの後、またカシーが……こいつに触れられた……!?
「……最高の演出だろう?きっと今日の伽は、君にとって忘れられないものになるはずだからね。それが僕から君への……プレゼントさ」
それからノアは、俺が持っているグラスの聖水をぺろりとなめた。
「味わいがまるでない水だね。……まるで、君のようだ。カサブランカも、さぞ今日君から解放されたら喜ぶだろうね」
その声を残して、ノアがまた消えていた。
いつもそうだった。
いつも……あいつは……俺を絶望の淵に叩き落としていく。
這いあがろうとしても、その度に土を、石を、そして岩を上から投げつけられて、また落とされる。
俺の心も、堕ちていく。
そこで俺は、嘘か本当か分からない、ゴードンの言葉を思い出した。
「伽が失敗すれば、即座に俺たちは死ぬ」
という。
嘘とか、本当とか、もうどうでもいい。
……カシーがあいつのものになるのだとしたら、いっそ。
いっそ本当にしてしまおうか。俺の手で。
俺は、手につかんでいるグラスを、思いっきり叩きつけて、粉々にしてやった。
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