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6.想定外だった彼の想い
伽を守る義務
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「……んっ……はぁ……」
さっきまで顔面蒼白にしていたメイドが、何故か俺がこぼした水の上に横たわり、苦しそうに息を吐いていた。
病気と違うとわかったのは、そのメイドが自分の胸を自分で弄っていたから。
「……お目汚し、失礼いたしました。このメイドの処理は私にお任せください」
ゴードンは無常な声で言い放つ。
メイドは何か言いたげな様子だったが、喘ぐ吐息に負けていた。
伽の最中のカシーのように。
「お分かりになりましたか?」
「は?」
「この聖なるお水は、まさに伽のためには必要不可欠なもの。伽成功を祈る気持ちが込められているのです」
(祈る気持ちだけで……女1人がこんな状態になるわけないだろう……!)
「……俺は……こんなものを飲まされていたというのか?」
気づかないうちに、毎晩……。
……気持ち悪い。
しかも、こんな水を、一体誰が用意できると言うんだ……!
ゴードン?
いや、この男にはそんなものを用意できるはずがない。
誰だ……?
父上?
それとも妃か……?
まさか…………………。
「……拒否する」
「はい?」
「普通の水を用意しろ」
「それはなりません」
「何故だ」
「必要なことだからです」
「何故それが必要なのだ」
「そう決まっているからです」
「誰がそう言った?」
「はるか昔から、決まっていることなのです」
会話が噛み合わない。
対話ができない。
都度思っていたことだったけれど、俺はゴードンと話す時は、生物と話している気にはとてもなれなかった。
まるで、一方的に知識を与えてくる書物と話しているような気分にすらなった。
「とにかく、俺は飲まない……!」
ゴードンが手にしている水差しを奪おうと、手を伸ばすと
「なりません!!!」
ゴードンが強い口調で、王子の俺を怒鳴りつけ、聖水を庇う体制になった。
「……おい……誰に向かって口聞いている?……俺は……王子だぞ?この国の」
「そうだとしても、私にはこの伽を守る義務がございます」
「伽を守る義務……だと?」
その後、ゴードンの口から信じられないような言葉が出た。
「もし万が一、この聖水を失い、伽が失敗した場合……お二人の命が即座に失われるかもしれないのです」
さっきまで顔面蒼白にしていたメイドが、何故か俺がこぼした水の上に横たわり、苦しそうに息を吐いていた。
病気と違うとわかったのは、そのメイドが自分の胸を自分で弄っていたから。
「……お目汚し、失礼いたしました。このメイドの処理は私にお任せください」
ゴードンは無常な声で言い放つ。
メイドは何か言いたげな様子だったが、喘ぐ吐息に負けていた。
伽の最中のカシーのように。
「お分かりになりましたか?」
「は?」
「この聖なるお水は、まさに伽のためには必要不可欠なもの。伽成功を祈る気持ちが込められているのです」
(祈る気持ちだけで……女1人がこんな状態になるわけないだろう……!)
「……俺は……こんなものを飲まされていたというのか?」
気づかないうちに、毎晩……。
……気持ち悪い。
しかも、こんな水を、一体誰が用意できると言うんだ……!
ゴードン?
いや、この男にはそんなものを用意できるはずがない。
誰だ……?
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まさか…………………。
「……拒否する」
「はい?」
「普通の水を用意しろ」
「それはなりません」
「何故だ」
「必要なことだからです」
「何故それが必要なのだ」
「そう決まっているからです」
「誰がそう言った?」
「はるか昔から、決まっていることなのです」
会話が噛み合わない。
対話ができない。
都度思っていたことだったけれど、俺はゴードンと話す時は、生物と話している気にはとてもなれなかった。
まるで、一方的に知識を与えてくる書物と話しているような気分にすらなった。
「とにかく、俺は飲まない……!」
ゴードンが手にしている水差しを奪おうと、手を伸ばすと
「なりません!!!」
ゴードンが強い口調で、王子の俺を怒鳴りつけ、聖水を庇う体制になった。
「……おい……誰に向かって口聞いている?……俺は……王子だぞ?この国の」
「そうだとしても、私にはこの伽を守る義務がございます」
「伽を守る義務……だと?」
その後、ゴードンの口から信じられないような言葉が出た。
「もし万が一、この聖水を失い、伽が失敗した場合……お二人の命が即座に失われるかもしれないのです」
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