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4.王子の葛藤
ただ待つだけ
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突如として変わった俺の世界は、悪意に満ちていた。
「所詮、あの女の息子だから、その程度のことしかできないのね」
俺が、失敗をする度に、なじる女がいた。
飽きもせず、俺の顔を見るたびに繰り返される言葉の数々は、俺の心を抉るものばかり。
それを止めてくれる者は、誰もいない。
皆、それを見て見ぬふりをするだけ。
その代わり、父親は……会いに行けば、優しくしてくれたのだが……。
でも王として忙しくしているらしい父親と会えるのは、月に1回か2回あればいい方。
そんな俺の、変わってしまった日常というのは……朝起きれば、まずはどんなにまずいご飯でも、無理矢理食べさせられることから始まる。
それからすぐ、まずは学んでは怒られる。
次に、魔法の訓練をしては怒られる。
武術の練習をしては怒られる。
そして社交の練習をしては怒られる。
夕方にはまた、まずいご飯を食べさせられて、何もない真っ暗闇の中で無理矢理眠ることを強制される。
あのテストの前までは、ちょっとしたおしゃべりをして、笑い合うことも多かったのに、今ではゴードンやメイド達は、淡々と職務をこなすだけ。
今の彼らは、人形のように感情がまるで見えない。
今、喜んでいるのか、悲しんでいるのか。
声や仕草、表情で、分かったはずだった。
少なくとも……もう会わせてもらえなくなった母親については、わかりやすすぎる程だった。
それが、まるで今、分からない。
誰のも。
そんな中、強い怒りなのか、憎しみなのか分からない、トゲのような感情を次々とぶつけてくる女が、あのテストの日から急に俺の前に現れたのだった。
父親の妻……つまり、正妃という立場だというその女は、俺の決められたつまらない1日1日の中に、必ずと言っていいほど俺のところに来ては
「あんな女の子供の癖に」
と怒りの感情をぶつけてきたかと思えば
「あの女にできて、どうして私は……」
と急に泣き喚かれたことも少なくない。
(どうして、こんなことを言われないといけないの?)
息つく暇もないほど1日を終えて、1人で寝るようになってしまったベッドの中で俺はいつも隠れるように泣いた。
それから、会えなくなった母親が歌ってくれた子守唄を、自分のために歌い、無理矢理夢の中に落ちる。
そうして時が過ぎるのを、ただただ待つだけ。
でも、そんな俺が、ただ待つだけだとしても、楽しみにしている日ができた。
「所詮、あの女の息子だから、その程度のことしかできないのね」
俺が、失敗をする度に、なじる女がいた。
飽きもせず、俺の顔を見るたびに繰り返される言葉の数々は、俺の心を抉るものばかり。
それを止めてくれる者は、誰もいない。
皆、それを見て見ぬふりをするだけ。
その代わり、父親は……会いに行けば、優しくしてくれたのだが……。
でも王として忙しくしているらしい父親と会えるのは、月に1回か2回あればいい方。
そんな俺の、変わってしまった日常というのは……朝起きれば、まずはどんなにまずいご飯でも、無理矢理食べさせられることから始まる。
それからすぐ、まずは学んでは怒られる。
次に、魔法の訓練をしては怒られる。
武術の練習をしては怒られる。
そして社交の練習をしては怒られる。
夕方にはまた、まずいご飯を食べさせられて、何もない真っ暗闇の中で無理矢理眠ることを強制される。
あのテストの前までは、ちょっとしたおしゃべりをして、笑い合うことも多かったのに、今ではゴードンやメイド達は、淡々と職務をこなすだけ。
今の彼らは、人形のように感情がまるで見えない。
今、喜んでいるのか、悲しんでいるのか。
声や仕草、表情で、分かったはずだった。
少なくとも……もう会わせてもらえなくなった母親については、わかりやすすぎる程だった。
それが、まるで今、分からない。
誰のも。
そんな中、強い怒りなのか、憎しみなのか分からない、トゲのような感情を次々とぶつけてくる女が、あのテストの日から急に俺の前に現れたのだった。
父親の妻……つまり、正妃という立場だというその女は、俺の決められたつまらない1日1日の中に、必ずと言っていいほど俺のところに来ては
「あんな女の子供の癖に」
と怒りの感情をぶつけてきたかと思えば
「あの女にできて、どうして私は……」
と急に泣き喚かれたことも少なくない。
(どうして、こんなことを言われないといけないの?)
息つく暇もないほど1日を終えて、1人で寝るようになってしまったベッドの中で俺はいつも隠れるように泣いた。
それから、会えなくなった母親が歌ってくれた子守唄を、自分のために歌い、無理矢理夢の中に落ちる。
そうして時が過ぎるのを、ただただ待つだけ。
でも、そんな俺が、ただ待つだけだとしても、楽しみにしている日ができた。
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