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3.聖女に会おう、まずはそれから
何もない部屋
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小説の中では、聖女の自室や廊下やダイニングなど、聖女が使ったであろう施設についての描写は、色や材質、見える景色まで描写が細かかったが、カサブランカの自室に関する情報も特に書かれていなかった。
てっきり聖女の部屋と同じように、可愛らしくも豪華な家具が置かれた、居心地の良い部屋なんだろうなと思っていた。
だから、案内された部屋を見て、私は絶句した。
(なっ……何も……ない!?)
真っ白な壁に真っ赤な絨毯。
ここまでは、廊下や他の部屋とほぼ一緒。
ただ、それだけなのだ。
私の現世の部屋には、100均で買い揃えた可愛いインテリア雑貨や、クレーンゲームで手に入れたゲームの推しキャラぬいぐるみが所狭しと並んでいる。
そして何より本!漫画!ゲーム!!!
まさに、人生に欠かせない宝の山がたくさんあった。
そんな部屋に慣れ切った人間にとって、カサブランカの自室というのは衝撃だった。
(ミニマリストもびっくりだよ……)
本当に何もない。
本棚も、机も椅子も、クローゼット1つない。
あるのはベッドだけ。
「それでは、時間になりましたらお迎えに参ります」
アザレアが会釈をして去っていこうとする。
その動きに無駄がないことから、いつものことなのだろう。
「待っ……ちなさい」
「……はい?」
「……何時まで?」
「……は?」
「あの……何時まで私はここにいればいいの!……かしら?」
見たところ時計もない。
すでに窓の外は白く光っているので、お昼ちょっと前くらいだろう。
「カサブランカ様?何時……というのは?」
「え?」
「一体どういう意味ですか?」
何を馬鹿な事を言っているんだ……と言いたげなのがありありと伝わってくる。
そういえば、小説の中では正式な時間の表現はなかった気がする……。
もう1度カサブランカの記憶を辿り、近しい言葉を見つけた。
「いつまで、私はここにいれば良いのかしら」
「いつまで……と言われましても、いつものように……エディ王子の準備が整い次第……としか申し上げられませんが……」
(ですよね……)
私はもう1度、カサブランカの記憶を辿ってみる。
いつの間にかベッドで眠りについていたカサブランカを、アザレアが起こし、準備をしてから伽の間に行く。
それは、夕方かもしれないし、夜かもしれない。
日によって違う。
その条件を、カサブランカは知らされていない。
でも、その法則性を、私は、知っている。
「今日、エディ王子は何か公務があるのかしら?」
「何故そんなことを聞くんですか?」
「あー……えーと……」
(この場合、何て言おうか……。あ……)
カサブランカの……伽を始めたばかりの頃に、エディ王子に言った言葉が、すごく合いそうだったので、私も言ってみた。
「少しでも、伽の時間で王子を癒したいのです」
と。
カサブランカがこれを言った時は
「お前に何が分かる?」
とエディ王子はカサブランカをあざけ笑うだけ。
そしてそのままベッドに押し倒し、エディ王子主導で事が始まっていたのだが……。
アザレアは、少し考えてはいたが
「今日は外交もなし、城で雑務をこなすだけ……とお伺いしております」
「そう、ありがとう」
私は、にやけそうになる顔を必死で抑えながら、カサブランカっぽくお礼を言ってみた。
……こういう話し方、自分が言うとムズムズする。
「それでは、私はもう下がります。どうぞ睡眠をお取りください」
アザレアはそう言って、逃げるように去っていった。
あの逃げ方は、一体誰から逃げようとしているのか。
カサブランカ?
それとも……私?
てっきり聖女の部屋と同じように、可愛らしくも豪華な家具が置かれた、居心地の良い部屋なんだろうなと思っていた。
だから、案内された部屋を見て、私は絶句した。
(なっ……何も……ない!?)
真っ白な壁に真っ赤な絨毯。
ここまでは、廊下や他の部屋とほぼ一緒。
ただ、それだけなのだ。
私の現世の部屋には、100均で買い揃えた可愛いインテリア雑貨や、クレーンゲームで手に入れたゲームの推しキャラぬいぐるみが所狭しと並んでいる。
そして何より本!漫画!ゲーム!!!
まさに、人生に欠かせない宝の山がたくさんあった。
そんな部屋に慣れ切った人間にとって、カサブランカの自室というのは衝撃だった。
(ミニマリストもびっくりだよ……)
本当に何もない。
本棚も、机も椅子も、クローゼット1つない。
あるのはベッドだけ。
「それでは、時間になりましたらお迎えに参ります」
アザレアが会釈をして去っていこうとする。
その動きに無駄がないことから、いつものことなのだろう。
「待っ……ちなさい」
「……はい?」
「……何時まで?」
「……は?」
「あの……何時まで私はここにいればいいの!……かしら?」
見たところ時計もない。
すでに窓の外は白く光っているので、お昼ちょっと前くらいだろう。
「カサブランカ様?何時……というのは?」
「え?」
「一体どういう意味ですか?」
何を馬鹿な事を言っているんだ……と言いたげなのがありありと伝わってくる。
そういえば、小説の中では正式な時間の表現はなかった気がする……。
もう1度カサブランカの記憶を辿り、近しい言葉を見つけた。
「いつまで、私はここにいれば良いのかしら」
「いつまで……と言われましても、いつものように……エディ王子の準備が整い次第……としか申し上げられませんが……」
(ですよね……)
私はもう1度、カサブランカの記憶を辿ってみる。
いつの間にかベッドで眠りについていたカサブランカを、アザレアが起こし、準備をしてから伽の間に行く。
それは、夕方かもしれないし、夜かもしれない。
日によって違う。
その条件を、カサブランカは知らされていない。
でも、その法則性を、私は、知っている。
「今日、エディ王子は何か公務があるのかしら?」
「何故そんなことを聞くんですか?」
「あー……えーと……」
(この場合、何て言おうか……。あ……)
カサブランカの……伽を始めたばかりの頃に、エディ王子に言った言葉が、すごく合いそうだったので、私も言ってみた。
「少しでも、伽の時間で王子を癒したいのです」
と。
カサブランカがこれを言った時は
「お前に何が分かる?」
とエディ王子はカサブランカをあざけ笑うだけ。
そしてそのままベッドに押し倒し、エディ王子主導で事が始まっていたのだが……。
アザレアは、少し考えてはいたが
「今日は外交もなし、城で雑務をこなすだけ……とお伺いしております」
「そう、ありがとう」
私は、にやけそうになる顔を必死で抑えながら、カサブランカっぽくお礼を言ってみた。
……こういう話し方、自分が言うとムズムズする。
「それでは、私はもう下がります。どうぞ睡眠をお取りください」
アザレアはそう言って、逃げるように去っていった。
あの逃げ方は、一体誰から逃げようとしているのか。
カサブランカ?
それとも……私?
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