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そして俺は日曜日いつもよりも早く起きて昨日買った服を見た。
昨日3人で一番メンズ服で可愛い…というか俺に似合う服を頑張って選んで決まったこの服…!
俺はそれを着ると鏡の前で自分の姿を見た。
「や、やっぱり唯に頼んで正解だったなぁ~…!」
めっちゃ良い!!!俺に似合ってるかはともかくめっちゃ良い!てか二人が似合ってるって言ってくれたしそこは本当に信用してる!!
俺はまた準備を進めていると気づかない間に家を出る時間になっていた。
「あれ篤、今日どっか行くんだっけ?」
母さんがフライパンを持って玄関に来る。
「昨日言ったじゃん。だから今日お昼大丈夫って」
「そういえばそうだった。ごめんごめん。忘れてたわ」
「んじゃいって」
「あ!ハンカチ持った?お財布は?てかお金ある?もし無いなら…」
「大丈夫!お年玉があるから!てか時間がやばいんだ!行って来ます!」
「いってらっしゃーい」
母さんの声に手を振り玄関を飛び出る。

「ちょっと遅れた…!」
集合場所が見えると俺は目が飛び出た。
な、なんだあれは!!!
そこに立っていたのはこの前のイケメンがよりイケメンになった姿だった。それになんか少しニヤついてるしそれなのに立ち姿はバカほどかっこいいし…!
なんなんだ本当…!
そんな事を思いながら俺は電柱の裏に隠れる。
ど、どうしよう…あんな目立つ人に話しかけるのきついって~…!
「かっこいいね…あの人」
「うん…かっこいい~」
ほら!俺が生まれてから言われた事ない言葉をめっちゃ言われてる!!なんか羨ましい…!!
そんな事を考えているとスマホがぶぶっと音を出す。
「あ」
『大丈夫?時間が遅れてるみたいだけど何かあった?』
俺はハッとしながら時計を見る。
やってしまった。電柱の裏で5分以上過ごしてしまった…!!!
な、なんて返信すれば…!
「おはよう」
そんな事を考えているといつのまにか俺の横に伊織が立っていた。
「い、伊織!!」
「もしかして集合場所言うの間違えてたかな…」
少し不安そうに俺の顔を見る伊織に首がもげるんじゃないかってぐらい横に振る。
「ち、違うんだ!なんかすごい伊織が目立ってたから喋りかけづらくて…!つい電柱の裏に隠れちゃってた…!」
そう言うと伊織は少し笑いながら俺に手を出した。
「なんだ、そんな事だったんだ…。良かった…」
「ご、ごめん」
俺はそう言いながら伊織の手を掴む。
何故か伊織は真っ赤にしながら俺を見る。
「ん?」
「いや…鞄持ってあげようかと…」
「………!!!!」
俺は持っていた鞄を見る。
「か、鞄!!!ご、ごめん!手かと思った!」
俺は真っ赤になるし半泣きだしで焦った。
「ううん。手も繋いで良いなら繋ぎたかったんだ…。嬉しい」
そう言いながらとろけるような笑顔を見せる伊織により俺は顔が赤くなる。
周りでは俺よりも赤い顔をした女の子達が沢山いた。
「それじゃあ行こうか。今日は篤くんに楽しんでもらえるように色々考えて来たんだ。」
そう言われ俺はとにかく頷く。
「あ、そういえば…。」
「?」
「その服とっても似合ってる。可愛い」
俺はその瞬間鼻血が出るんじゃないかってぐらいより顔が赤くなった。
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