上 下
2 / 24

プロローグ

しおりを挟む

鉄格子がはめてある、小さな窓から月の明かりが入り、周りは森のため不気味な風の音が狭い丸い檻の中に入ってくる。


床と壁は石で出来ていて、今の季節は寒い。


鉄格子で出来た扉は長年使われていなかったのか、錆び付いている。


「いよいよ、明日か。。。。」


うずくまった一人の少女は小さい声で呟いた。


彼女の名前はエディトリス・フロントリア。


一週間前までは、商会を束ねる子爵家の一人娘だった。


今は、罪を被され皇后暗殺の罪で、明日死刑執行される身。


要するにはめられたのだ。


シェリー・ガラトリエ伯爵令嬢に。。。!


「私はただ、ルカエル侯爵様に憧れてただけなのに。。」


国一番の美男子ルカエル・ローズバルト侯爵。


ルカエル侯爵は若くして、侯爵家を受け継ぎ、剣の腕前で国を支えている。


国はローズバルト家で成り立っていると言ってもおかしくない。


そのルックスよし。家柄よし。名誉よし。のルカエル侯爵に憧れていた。


なので侯爵様とシェリー・ガラトリエが婚約した知らせを聞き、ショックだったが、侯爵様が嬉しそうだったらいいと思った。


しかし、そのシェリー・ガラトリエにはめられるとは思わなかった。


何回も裁判で訴えたが、シェリー・ガラトリエ伯爵令嬢は表では女神と呼ばれ、優しい=この女なのだ。


皇后毒殺の現場を私は目撃し、伯爵令嬢のしたことに呆然としている間に、シェリー・ガラトリエは周りに助けを求めた。

おかしな話だ。

シェリー・ガラトリエは持ち前の素晴らしい演技力で見事エディトリス・フロントリアを死刑にした。

この牢屋に入れられてから脱走を試みたがダメ。


それで今にきたる。

もう。諦めるしかないのか。。。。

すると、扉が不気味な音を立てて空いた。


「おい。エディトリス。逃げるぞ。」


声の主は幼なじみのルクレティウスだった。


「え。。。。ルークなんで。。?」


「一直線に突っ走るバカなお前がそんな計画的なこと出来るわけないだろう?俺は賢いお前を信じないからな。」


信じてくれたことに涙が出そうになった。

涙ぐみながら、ルークと一緒に牢屋を飛び出した。


裸足でルークの後を追いながら、森を走った。
石や木が足の裏に刺さり痛みがはしる。

すると、後ろから、

「いたぞ!回り込め!なんとしても捕まえろ!」


と数人の声。


「早く気づいたか!?くそっ!」


周りに囲まれた。だが、木が月の光を遮り暗くて顔が見えないらしい。


足止めをしようとしたのかルークは腰に指している剣を抜いた。


このまま明るいところに出たらルークの存在がばれてしまう!


ルークは剣の腕を認められルカエル侯爵家の騎士団団長まで上り詰めた。

私の脱走を手助けしたとなればルークまで罪に問われてしまう。

何てしてでも。。。ルークだけは。。。!


「ルーク。。。信じてくれてありがとう。」


そう、静かにいいルークの剣を自分に刺した。


「。。。え。」


赤い血が草の上に落ちる。


「おい!ルクレティウス団長が捕まえたぞ!」


周りは、騎士たちが歓声を上げるがルークは真っ青な顔をしている。




ルークごめんね。。信じてくれた人に罪を被ってほしくなかったから。。。



そこで私の記憶は途切れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

あなたが望んだ、ただそれだけ

cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。 国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。 カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。 王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。 失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。 公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。 逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。  心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

私の恋が消えた春

豆狸
恋愛
「愛しているのは、今も昔も君だけだ……」 ──え? 風が運んできた夫の声が耳朶を打ち、私は凍りつきました。 彼の前にいるのは私ではありません。 なろう様でも公開中です。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

処理中です...