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第二十五話:カナの故郷
しおりを挟む俺達は王都の門を出て、移動魔法を使いバーテン村へと向かった。
バーテン村はバンダリー村の山を挟んで隣にあるのだが、山がかなりでかい事もあり、迂回して行くか、山の中を通るしかない。
山の中は魔獣が多く出現する為、戦えない人達は迂回して進むのだが、俺達は最短ルートである山を通って向かった。
途中魔獣が出たりもしたが、移動魔法のスピードについてこれずに諦めてくれる為、戦わずにバーテン村へと着いた。
「ここがバーテン村か。近くにあったのに、来るのは初めてだ。」
「懐かしいな。前とあんまり変わらない風景で、少し安心した。」
「おい、門の前で魔獣と誰か戦ってるぞ!」
「ほんとだ。すぐ行かないと!」
俺達は門の前で戦っているところへと急いで向かった。
近くに行くと、魔獣が10体いて、その中にはランク5のミノタウロスがいた。
「すぐに倒すぞ!」
「わかった!でも、私の剣ボロボロで使えない。」
「とりあえず、俺の刀を使え!」
俺はそう言うとカナに刀を渡し、魔獣の方へ向かった。
「ファイアボール!ファイアボール!ウォータースラッシュ!ロックブラスト!」
「はぁぁぁ!」
俺は4体の魔獣に向かって魔法を使い倒し、カナは刀で5体倒した。
残りがミノタウロスだけになり、俺は魔法で、カナは刀で攻撃した。
「アイススピア!」
俺の魔法はミノタウロスの両手両足に当たり、動きを止めたところにカナが刀で首を斬った。
「ふぅ。村の近くでもランク5が出るのか。」
「大丈夫ですか?」
カナは戦っていた人の方へと走っていった。
「ああ、大丈夫だ。ありがとう。」
「それなら良かった。」
門の前で戦っていた人はカナの顔を見ると、驚いたように声をだした。
「あんた、カナかい?」
「うん、そうだよ。」
その人は全身に鎧を着けていて、誰か判断することができなかったカナは、困惑しながら答えた。
すると、その人は鎧の兜を外しながら話した。
「わしだよ。カールだよ。大きくなったな。」
「カールおじさん!?」
「カナ、会えて嬉しいよ。」
「私も嬉しい!」
カナは涙ぐみながらカールおじさんに抱きついた。
「カールおじさんは私の家の近くに住んでいて、よく遊びに行ったの!」
カナは俺に分かるように説明をしてくれた。
「そうか。会えて良かったな。それで、この村にはいつもこんなに魔獣が?」
「ああ、そうだ。ここ最近はずっと強い魔獣ばっかり出現する。村の皆んなで対処しているが、怪我人が多くてな。」
「そうなのか。」
「君たち、バーテン村に用があったんだろ?なら門を開けるから入って行きなさい。村長なら集会所にいると思うから。カナ場所は分かるね?」
「ありがとう。場所は覚えてるよ。」
カールおじさんはそう言うと、門を開けてくれた。
俺達は門を通りそのまま集会所の方へと向かった。
集会所に着き、扉を開けると数人が中にいた。
「誰だ?」
村長らしき人が俺を見て真っ先にそう聞いてきた。
「俺は冒険者のヤミだ。」
「冒険者がここへ何しにきた?ん?後ろにいるのはカナか!?」
「うん!そうだよ!」
カナが答えると集会所の中にいたひと達が響めいた。
「本当にカナなのか?久しぶりだな。元気そうで安心したよ。」
「あなたもしかして、カイ?昔はあんなに小さかったのに、立派になったね!」
「ああ、そうだ。今じゃ、ここの村長だ。」
「カイはね、この村で唯一、歳の近い子供だったからよく遊んでたの。」
カナは関係をよく分かっていない俺に説明してくれた。
「皆んなに知らせないとな。カナが帰ってきたって!」
村民の一人がそう言うと、集会所の外に行ってしまった。
「カナ、本当に無事で良かった。王都に向かった人は皆殺されてしまったと思っていたから。」
「私だけは何とかね。」
カナは皆んなと再開した喜びを分かち合っていた。
「村長、今南の国はどこも魔獣が多く出ているのか?」
「恐らくな。バンダリー村と共闘しようとも試みたが、あっちも自分達の村を守るのに必死で手が貸せないようだ。村同士の移動は半日以上かかってしまうからお互い移動が出来ないんだよ。」
「そうか。山は迂回して行くのか?」
「そうだな。一刻も早く着きたいが、その前に体力を消耗するわけにもいかないし、強い魔獣と戦って負傷者を出す訳にも行かないからな。」
「そうか。なら一番近い道が出来ればいいのか。」
「そうだな。ただそんな道を作っている暇もなくて、どうしたら良いものかと悩んでいるところだ。」
「なるほどな。」
俺が気になっていた事を聞くと村長が色々と答えてくれた。
「カナ、今日は泊まって行くのか?それなら自分の家に行くといい。カールおじさんが帰って来る事を信じて毎日掃除してくれていたから。」
「そうなんだ。ただ泊まるかどうかは···。」
村長に聞かれ、カナは俺の方を見て困っていた。
「折角なら泊まって行こうか。カナの武器も作らないといけないし。」
「やった!じゃあ、おうちに行こ!」
カナは嬉しそうに俺の手を引っ張った。
俺達はそのままカナの家へと向かって行った。
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