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第二十二話:ランク6冒険者会議 前編
しおりを挟むギルドマスターの部屋に着いてから30分くらい経つと、扉の外からノックの音が聞こえた。
「今開ける。」
ギルドマスターはそう言うと立ち上がり扉を開けた。
「やっほー!リナちゃん到着ー!」
扉を開けた瞬間に元気な声を出しながら女の子が入ってきた。
「いつもだが遅刻だぞ。」
「すいませんー。寝坊しちった。」
女の子はギルドマスターに怒られても軽い口調で話し続けた。
「やや、どもども!君たち2人が新入りだね!リナちゃんだよー!よろしく!」
「ヤミだ。よろしく。こっちはカナ。」
俺達の前に来ると自己紹介をしてくれたのでこちらも軽く自己紹介をし、カナはペコっと頭を下げた。
「リナは私とチームを組んでいてな。まあ、チームと言ってもただの子守りだがな。ちなみに公表はしていないがリナは魔族だ。私が発見した事もあり仕方なく面倒を見てる。」
ユナが口を開いたと思ったらとんでもない爆弾発言をして俺達は動揺した。
「ユナ、早速バラしちったねー。そう、リナちゃんは魔族なのである!よろしくねー。」
動揺している俺達を気にもしないように、リナは誇らしげに言った。
「魔族なんて初めて見た。人間とほとんど変わらないんだな。」
「そだよー。違いはここ!見て見て、ツノ生えてるのー!」
「ほんとだ。それ以外は見分けつかないな。」
俺の言葉を聞き、リナは自慢気にツノを見せてくれた。
「ツノ見せてくれたお礼だ。」
「わーい!ケーキ!」
俺は空間魔法でケーキとお茶をリナに渡した。
リナはケーキが好きなのか、食べるのが勿体無いような顔をしながらしっかり味わっていた。
そんなやり取りをしていると、またノックの音が聞こえた。
「今開ける。次は誰だ。」
ギルドマスターはやっとかというような顔をしながら、扉を開けた。
「どもっす!シュン、ショウチーム到着です。お待たせっす。」
「今日はちょっと遅かったな。いつもなら数分の遅刻なのに。」
「いやー。シュンが行きたくないってごねるもんで。」
同じような格好をした2人が入ってきた。
1人は元気な感じで気さくに話しているが、もう一人の方は静かに腕を組んでいた。
「おお、新入りさんっすね!ども、ショウっす!こっちはシュンです!よろしくっす!」
ショウが気さくな感じで話しかけてきて、自己紹介をしてくれた。
シュンはペコっとだけ頭を下げた。
「俺はヤミ。こっちはカナだ。よろしく。」
俺も同じく自己紹介をしてカナもさっきと同じくペコっと頭を下げた。
「シュンは全然喋らないから気にしなくていいっすよ。でも、そんなシュンに俺は憧れて冒険者になってお願いしまくって一緒にチーム組んでもらったっす。」
「そうなのか。だから同じような格好を?」
「そうっす。」
「なるほどな。そうだ、何か飲み物いるか?」
「飲み物っすか?じゃあ、俺はジュースがいいっす。シュンはコーヒーで。」
俺はそれを聞くとすぐに空間魔法から飲み物を出した。
「どうもっす。にしてもその魔法すごいっすね。見たことないっす」
「ありがとう。これは俺が考えた魔法だからね。」
俺が答えると部屋の扉からノックが聞こえた。
「ちょっと待ってくれ。今開ける。」
ギルドマスターはそう言うと立ち上がり、扉を開けた。
「おーす。遅れたわー。」
「どうも。すみません、遅れて。」
扉から男女2人が入ってきて、俺は見た瞬間に元いた世界の武士だと思った。
元いた世界の袴姿で刀を持って入ってきたからだ。
「お前たちはいつもおそいな。気をつけろよ。」
「すみません、マオが寝坊したもんで。」
ギルドマスターが注意をすると、女の子の方が礼儀正しく謝っていた。
「いやー、朝弱くてねー。わりわり。」
マオは軽い口調で特に悪いとおもってなさそうに謝っていた。
「おー、新入りか。よろしくな。俺はマオ、こっちはシーナだ。」
「よろしくお願いします。」
「よろしく。俺はヤミ、こっちはカナだ。」
俺に気がつくとマオが自己紹介をしてくれて、シーナは丁寧にお辞儀した。
俺が自己紹介をするとさっきと同じようにカナはペコっとした。
「2人は何か飲むか?」
「まじ?くれんの?じゃあ、茶で。」
「ありがとうございます。私も同じので。」
俺の質問に2人が答えると、すぐに空間魔法でお茶を出した。
「すげーな。俺も魔法使いてー。」
「マオは使えないでしょ。まあ、使えてもこれは無理ね。初めて見たわ。」
マオが羨ましそうに言うとシーナが宥めていた。
「後は、シルヴァだけだな。あいつはいつも遅いからな。」
ギルドマスターはため息をつきながら呟いた。
5分程話しながら待っていると、扉からノックが聞こえた。
「やっとか。今開ける。」
ギルドマスターが立ち上がり、扉を開けると、大きな体をして、顔にお面をつけた人が入ってきた。
俺はそのお面を見た瞬間に吹き出してしまった。
それを見てカナが説明をしてくれた。
「シルヴァは変なお面付けてるのよ。確か大切な人にもらったとか言ってた。」
俺はそれを聞き思うことがあった。
なぜならそのお面は俺の元いた世界で見たことのあるひょっとこのお面だったからだ。
その事実を確認したいところだけど、それは後回しにしようと思った。
「あんたがシルヴァか。俺はヤミ。カナとチームを組んでいる。よろしく。」
「そうか。俺はシルヴァだ。カナが世話になったな。よろしく。」
「シルヴァ!久しぶり!会いたかったー!」
俺がシルヴァの前に立ち、自己紹介をしているとカナが勢い良くシルヴァに抱きついた。
「久しぶりだな。元気だったか?」
「うん!ヤミのお陰で楽しい毎日!」
「それなら良かった。」
「おい、シルヴァ。今日の遅刻もいつものか?」
「ああ。すまないな。」
シルヴァとカナが再会の挨拶をしていると、ギルドマスターが割って話に入っていった。
「それじゃ、全員揃ったところで会議を始める。みんな席についてくれ。」
「あれ?まだ9人しかいないじゃん。もう1人は?」
「ああ、言ってなかったな。もう1人は私だ。ギルドマスターがランク6じゃないと示しがつかんだろ。」
「それもそうだな。」
俺の疑問にギルドマスターはすぐに答えてくれて、みんな席についた。
これから様々な事を知る会議が始まる。
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