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ライングループ2
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「河合、ちょっといいか?」
愛美の修学旅行参加に向け、同行してもらう等母親の全面協力のもと万全を期して準備を進めてきたのだが、ここにきて主治医からNGが出てしまった。
「あのさ、修学旅行だけど、俺、やっぱ行くのやめようかなと思って。ほら、俺って、不良で顔が売れてるだろ? 他校の奴らに喧嘩をふっかけられるかもないし、学校でおとなしくしていた方がいいカナって」
「・・・・・・」
ちょっと白々しいかな・・・
河合は俺をジト目で見て、黙り込む。
だけど、これで通すしかない。
こいつは旅館の大部屋でのクラス対抗プロレストーナメントを企画していて、実のところ、もの凄く楽しみにしていた。
「それで、立候補しといてなんだけど、俺の代わりに修学旅行委員をやってくんねーかなと思って」
俺は、愛美への配慮とか、諸々の采配をふるえるよう立候補して委員になっていた。
「・・・・・・」
「貴史に頼んでもいいんだけどさ、あいつはあんまそういうの向かねーし、かといって、他にこんな無理を頼めるような奴がいるかというと、お前くらいしか思い浮かばなくて」
「・・・・・・」
やっぱ、拗ねてやがる。
いつもなら、お前が頼りだ!と言えばホイホイ引き受けてくれるのに。
「お前に付き合ってやれなくて、俺だって悪いとは思ってるんだぜ? でもしょーがねーじゃん」
「いいよ」
「揉め事起こす方がみんなにメーワク、え?! いいのか?」
「いいよ。どうせ大和は高岡さんが行かないから、行きたくないんだろ?」
「いや、別にそういうわけでは、」
「わかってるって」
「わりぃ・・・・・・二、三日の事だから、大丈夫だとは思うんだけどさ。ここんとこ土日も一緒にいることが多いし、三日も目を離したこと、ねーんだよ」
「・・・・・・」
「だから、心配っつーか、落ち着かないっつーか」
「こじらせすぎだろ」
「ん? なんだ?」
「何でもない。クラスの方は俺に任せてくれていい。皆にもちゃんと言っとくから」
「そうか、助かったよ! 悪いな! この借りは必ず返すからさ」
「気にすんな。友達だろ?」
友達・・・
「・・・ああ、そうだな」
罪悪感に少し胸が痛んだ。
俺は、愛美を守るためにお前を利用しようとしているのに。
日課のトレーニングを済ませ、風呂に入り、部屋に戻るとピロンピロンとメッセージが届く音がする。
行くことになった原宿の相談かなとラインを開くと、川越のグループではなく、クラス男子の方だった。
このところ川越達のグループと過ごすことが多く、休み時間も男どもとはつるんでいなかったから、珍しいなと思いつつ開ける。
『残念だな』
『大和が抜けるとつまんねー』
『ぶっちぎりで優勝だったのに』
『しょうがないよ』
『で、どうするべ?』
『河合、よくごねなかったな』
ああ、俺が抜けるから、チームの相談か。
『こじらせ王子だからな、しょうがねーさ』
こじらせ王子?
『あいつまじでヤバい。離れてると落ち着かねーんだと。
土日も会いに行ってるっぽい』
『マジで?』
『重症だな』
『ヤバくね?』
『向こうが嫌がってなきゃ、いいんじゃねーの?』
『だな』
『早くくっつけばいいのに』
『本人に自覚がないのに、くっつくかよ』
『だから、こじらせ中なんだろ!』
『初恋こじらせ中ってマジだったんだ』
『河合のジョークだと思ってた』
『おれも』
『なんか意外』
『ドーテー?』
『んなわけあるか』
『わかんねーぞ』
『だって、初恋なんだろ?』
『乙女か!』
『大和だぞ』
『案外ウブかもよ』
『見えねーW』
『財布にゴム入ってたぞ』
『えええぇぇ!!』
『マジかよ』
『相手は?』
『あのさ、すごく言いにくいんだけど、これ功ちゃんも入ってる方だよ』
・・・・・・
愛美の修学旅行参加に向け、同行してもらう等母親の全面協力のもと万全を期して準備を進めてきたのだが、ここにきて主治医からNGが出てしまった。
「あのさ、修学旅行だけど、俺、やっぱ行くのやめようかなと思って。ほら、俺って、不良で顔が売れてるだろ? 他校の奴らに喧嘩をふっかけられるかもないし、学校でおとなしくしていた方がいいカナって」
「・・・・・・」
ちょっと白々しいかな・・・
河合は俺をジト目で見て、黙り込む。
だけど、これで通すしかない。
こいつは旅館の大部屋でのクラス対抗プロレストーナメントを企画していて、実のところ、もの凄く楽しみにしていた。
「それで、立候補しといてなんだけど、俺の代わりに修学旅行委員をやってくんねーかなと思って」
俺は、愛美への配慮とか、諸々の采配をふるえるよう立候補して委員になっていた。
「・・・・・・」
「貴史に頼んでもいいんだけどさ、あいつはあんまそういうの向かねーし、かといって、他にこんな無理を頼めるような奴がいるかというと、お前くらいしか思い浮かばなくて」
「・・・・・・」
やっぱ、拗ねてやがる。
いつもなら、お前が頼りだ!と言えばホイホイ引き受けてくれるのに。
「お前に付き合ってやれなくて、俺だって悪いとは思ってるんだぜ? でもしょーがねーじゃん」
「いいよ」
「揉め事起こす方がみんなにメーワク、え?! いいのか?」
「いいよ。どうせ大和は高岡さんが行かないから、行きたくないんだろ?」
「いや、別にそういうわけでは、」
「わかってるって」
「わりぃ・・・・・・二、三日の事だから、大丈夫だとは思うんだけどさ。ここんとこ土日も一緒にいることが多いし、三日も目を離したこと、ねーんだよ」
「・・・・・・」
「だから、心配っつーか、落ち着かないっつーか」
「こじらせすぎだろ」
「ん? なんだ?」
「何でもない。クラスの方は俺に任せてくれていい。皆にもちゃんと言っとくから」
「そうか、助かったよ! 悪いな! この借りは必ず返すからさ」
「気にすんな。友達だろ?」
友達・・・
「・・・ああ、そうだな」
罪悪感に少し胸が痛んだ。
俺は、愛美を守るためにお前を利用しようとしているのに。
日課のトレーニングを済ませ、風呂に入り、部屋に戻るとピロンピロンとメッセージが届く音がする。
行くことになった原宿の相談かなとラインを開くと、川越のグループではなく、クラス男子の方だった。
このところ川越達のグループと過ごすことが多く、休み時間も男どもとはつるんでいなかったから、珍しいなと思いつつ開ける。
『残念だな』
『大和が抜けるとつまんねー』
『ぶっちぎりで優勝だったのに』
『しょうがないよ』
『で、どうするべ?』
『河合、よくごねなかったな』
ああ、俺が抜けるから、チームの相談か。
『こじらせ王子だからな、しょうがねーさ』
こじらせ王子?
『あいつまじでヤバい。離れてると落ち着かねーんだと。
土日も会いに行ってるっぽい』
『マジで?』
『重症だな』
『ヤバくね?』
『向こうが嫌がってなきゃ、いいんじゃねーの?』
『だな』
『早くくっつけばいいのに』
『本人に自覚がないのに、くっつくかよ』
『だから、こじらせ中なんだろ!』
『初恋こじらせ中ってマジだったんだ』
『河合のジョークだと思ってた』
『おれも』
『なんか意外』
『ドーテー?』
『んなわけあるか』
『わかんねーぞ』
『だって、初恋なんだろ?』
『乙女か!』
『大和だぞ』
『案外ウブかもよ』
『見えねーW』
『財布にゴム入ってたぞ』
『えええぇぇ!!』
『マジかよ』
『相手は?』
『あのさ、すごく言いにくいんだけど、これ功ちゃんも入ってる方だよ』
・・・・・・
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